EU Indicators 欧州経済指標コメント:2月ドイツZEW景況感 発表日:2016年2月16日(火) ~崖っぷちで踏ん張った~ 第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 田中 理 03-5221-4527 ・ 2月のドイツのZEW景況感指数(市場参加者の半年先の景況感)は+1.0と前月から9.2ポイント悪 化、マイナス圏への転落を辛うじて回避した。同指数が前回マイナスとなったのは、ドイツ景気の減 速懸念が広がった2014年10月、それ以前は欧州債務危機時の2012年にかけて。調査票の回答期間は2 月1~15日。世界景気の減速懸念やドイツ大手行の経営不安が広がり、世界的なリスクオフが高まっ た時期と一致する。市場参加者の景況が大きく損なわれたのも無理はない。同時に発表された景気の 現状判断は+52.3と、こちらも前月から7.4ポイント悪化したが、比較的高水準を維持している。 ・ 調査項目の詳細をみると、市場参加者の間で、米景気の後退懸念(米国の先行きの景況感がマイナス 圏に転落)、主要先進国の物価上昇期待の後退、主要先進国で一段の短期/長期金利の低下期待、ドル 高期待の後退(=米利上げ観測の後退)、主要先進国株価と原油市況の底入れ期待が広がっている様 子が窺える。業種別の業況判断は、銀行不安や金融環境の悪化を受けて銀行や保険会社の業況が一段 と悪化したほか、世界景気の減速懸念から自動車や鉄鋼など外需部門の不振が目立つ一方で、小売、 サービス、建設、通信など内需部門は揃って業況が改善した。内需の堅調が支えとなり、米景気の減 速懸念が和らげば、ドイツも景気減速を免れるとのシナリオは今のところ崩れていない。 ■ドイツ:景気の現状・先行き判断 ■ドイツ:ZEWの業種別景況感 景気の先行き判断(ZEW景況感) 景気の先行き判断(ZEW景況感) 100 100 80 80 60 60 40 40 20 0 -20 -40 -60 -60 -80 -80 -100 -100 景気の現状判断 景気の現状判断 80 80 60 60 40 40 自動車 自動車 建設 建設 銀行 電機 小売 一般機械 サービス 小売 銀行 公益 20 00 -20 -20 -40 -40 -60 07 10 08 11 09 12 10 13 11 14 12 15 13 -80 -60 -100 -80 07 10 16 出所:ZEW 08 11 09 12 10 13 11 14 12 15 13 16 出所:ZEW ■ドイツ企業景況感(季節調整済み) 2015 1Q ZEW景況感(先行き) 52.1 現状指数 41.0 Ifo景況感(総合) 107.2 現状指数 111.9 先行き指数 102.7 PMI製造業指数 51.6 サービス業指数 54.7 2Q 3Q 4Q 42.2 22.3 9.5 66.3 65.7 54.9 108.3 108.3 108.6 114.1 114.3 113.0 102.8 102.7 104.4 51.7 52.5 52.7 53.6 54.3 55.4 2015 5月 41.9 65.7 108.6 114.6 102.9 51.1 53.0 6月 31.5 62.9 107.6 113.5 102.1 51.9 53.8 7月 29.7 63.9 108.1 114.0 102.5 51.8 53.8 8月 25.0 65.7 108.4 114.9 102.2 53.3 54.9 9月 12.1 67.5 108.5 114.1 103.3 52.3 54.1 10月 1.9 55.2 108.2 112.7 103.9 52.1 54.5 11月 10.4 54.4 109.0 113.4 104.8 52.9 55.6 12月 16.1 55.0 108.6 112.8 104.6 53.2 56.0 2016 1月 2月 10.2 1.0 59.7 52.3 107.3 - 112.5 - 102.4 - 52.3 - 55.0 - 出所:ZEW、Ifo、Markit 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1
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