世界経済の先行き不透明感などから国債利回りは低下

2016年2月12日
(No.2,396)
〈マーケットレポートNo.4,662〉
米国の債券市場(2016年2月)
世界経済の先行き不透明感などから国債利回りは低下
国債利回りは低下
リスク回避の動きが強まる
■2016年1月の米国10年債利回りは、低下しまし
た。低調な中国の景気指標を受けて世界経済減
速の懸念が再び浮上してきたうえ、サウジアラビアと
イランの対立が表面化したこと、株価や原油価格が
大きく値を下げたことから、リスク回避の動きが強まっ
たためです。
■加えて、1月26日~27日開催の米連邦公開市
場委員会(FOMC)では、市場の予想通り政策
金利が据え置かれましたが、会合直後に公表され
た声明文の内容は、世界経済と金融市場に対する
警戒的な文言が挿入されるなど、全体的にハト派
的なものでした。日銀が1月29日にマイナス金利を
導入したことも、国債の利回り低下を後押ししました。
社債スプレッドは拡大
日米短期金利差も拡大
米国債、ドイツ国債の利回りと
(%)
社 債 ス プ レ ッ ド ( 国 債 と の 利 回 り 差 )(%)
5.0
2.8
米国債利回り(残存10年、左軸)
2.4
ドイツ国債利回り(残存10年、左軸)
4.0
米社債スプレッド(残存約10年、右軸)
2.0
3.0
1.6
0.8
1.0
0.4
0.0
15/1
0.0
15/9 15/11 16/1
(年/月)
(注1)データは2015年1月2日~2016年2月11日。
(注2)米社債スプレッドはバークレイズ・米国投資適格社債
インデックスによる。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセット
マネジメント作成
0.6
15/5
15/3
(%)
0.5
15/7
日米短期金利と金利差
日米金利差
米国
日本
0.4
0.3
0.2
0.1
■米社債スプレッド(国債との利回り差)は、1月中
0.0
旬以降、欧州金融機関の信用リスクが高まったこと
もあり、リスク回避の動きが強まったため拡大しました。 ▲ 0.1
■短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利
(LIBOR)で見ると、日銀のマイナス金利導入に
より、日米金利差は拡大しました。
1.2
2.0
15/1
15/3
15/5
15/7
15/9 15/11 16/1
(年/月)
(注1)データは2015年1月2日~2016年2月10日。
(注2)日米短期金利はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)1カ月物。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセット
マネジメント作成
当面のところ国債利回りは低い水準で推移する見通し
■1月の雇用統計は、米国の景気が緩やかな拡大基
調にあることを示すものでした。2月10日のイエレン
議長の議会証言の内容も併せて考えると、
2016年も利上げは継続されると予想されます。
■ただし、物価が安定していることに加え、世界経済
の先行き不透明感はむしろ強まってきたことから、市
場の利上げ観測は一段と後退しています。国債利
回りは当面、低い水準で推移すると予想されます。
2016年2月8日 米国の雇用統計(2016年1月)
2016年2月4日 米国のISM景況感指数(2016年1月)
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