福島市観光振興計画の実現に向けて 第9章

第9章
福島市観光振興計画の実現に向けて
1.推進体制の確立とさらなる発展
前計画においては、訪れる人々に満足感を与え、自慢できる都市・福島市を創り上げていくために、
観光を基幹産業と位置付け、市民(活動団体をはじめ市民一人ひとり)
、民間(観光関連事業者をは
じめ観光に結びつく多様な産業の事業者)
、行政がスクラムを組み、協働態勢により取り組みを進め
る、また、行政においても横断的な体制を構築し観光の推進を図るため、福島市では、地域や組織の
垣根を越えた「オール福島市」での推進体制で観光振興に取り組むこととしました。
この間、東日本大震災と及び原発事故により本市観光産業は大きな打撃を受けたことにより、関係
者が協力して復旧・復興事業を最優先に取り組んできたほか、
「ふくしまデスティネーションキャン
ペーン」の実施により、これまで実現に課題のあった市民・民間・行政が一体となった「オール福島
市」での取り組みの基礎を構築することができました。
今後は、ふくしまDCにより培われたこのような「オール福島市」の推進体制を確立させていくと
ともに、これをさらに発展させ、観光地域づくりの舵取り役として、関係者と協働しながら、明確な
コンセプトに基づく観光地域づくりを実現するための戦略を策定し、戦略を着実に実施するための調
整機能を備えた「日本版DMO」を確立します。
「オール福島市」の
推進体制の確立
日本版DMOの確立
観光による地方創生
交通事業者
市民
商 工 業
・二次交通の確保
・周遊企画乗車券の設定
・ふるさと名物の開発
・免税店の許可
連携と協働
総合的な
連携と協働
宿泊施設
観光まちづくり
・個別施設の改善
・品質保証の導入
の推進
民間
行政
連携と協働
地域住民
・観光地域づくりへの理解
・市民ガイドの実施
日本版
DMO
行
農林漁業
・農業体験プログラムの提供
・6次産業化による商品開発
政
・観光振興計画の策定
・プロモーション等観光事業
・インフラ整備 など
飲 食 店
・「地域の食」の提供
・多言語、ムスリム対応
観光客の呼び込み
観光による地方創生
福島市観光振興計画
57
2.段階的な施策の推進
福島市の目指す観光の将来像実現のため、基本戦略を段階的・計画的に推進するため、個々の推進
施策を進めるにあたってのスケジュールと推進主体を以下のとおり整理します。
(1)推進主体の役割について
戦略を具体化していく上で最も重要なことは「人が動く」ことであるため、それぞれの推進施策
は、市民、民間、行政など様々な主体が関わり合いながら、それぞれの役割を努める必要があるこ
とから、推進主体の役割を下記のとおり整理します。
区 分
市 民
対
象
福島市内のボランティ
役
○
割
観光客に対する「おもてなし」を進めていくには、市
ア活動団体、NPO組織
民が「おもてなし」の心を持って、日常的あいさつや声
をはじめ、市民一人ひと
がけなどを行うことが重要です。
りも対象。
○
市民が福島市を知り、地域に誇りを持つことが大切で
あり、訪れる人にやさしく、地域の自然や歴史を説明す
るなど、市民ならではの交流が地域の活性化と観光客の
増加に貢献します。
民 間
観光コンベンション協会、温
○
民間事業者は、観光のプロフェッショナルであり、観
泉地の観光協会、商工団
光振興の主役となります。観光客に対する「おもてなし」
体や観光関連の事業者
を向上させるなど、民間主導による観光振興の担い手と
(宿泊事業者をはじめ、
なることが必要です。
観光に結びつく多様な産
○
業の事業者)が対象。
観光コンベンション協会は、福島市と連絡調整を図り、主体
的な事業を推進するとともに、民間事業者や市民の活動
のコーディネート役を担い、効果的な事業の推進に努め
ます。
行 政
福島市をはじめ、関連
○
市民や民間事業者の協働のもと、人材育成を柱とした
するすべての行政機関が
各種観光振興施策を展開するとともに、市民、民間事業
対象。
者等の独自の取り組みを支援します。
○
福島市は庁内横断的な観光推進体制を構築するとと
もに、観光コンベンション協会と連絡調整を行い、その組織強
化を支援しながら事業の充実を図ります。
○
国・県及び周辺市町村等との連携を図り、広域観光を
推進するとともに、観光振興施策に関する調査研究を行
います。
福島市観光振興計画
58
(2)推進施策のスケジュールの考え方
推進施策のスケジュールを、必要性や緊急性、時間をかけて効果を期待するものなどを考慮し、
「短期」
「中期」
「長期」の3つに分類して、それぞれのスケジュール(成果を表す時期の目標)に
従って、着実に成果を出していくことを目指します。
短 期
(3年)
以下の①~③の観点から、今すぐ取り組みをスタートさせ、
短期間で成果を出していくべきもの。
①「すぐできること」(容易性・実効性)
②「すぐにやるべきこと」
(必要性・緊急性)
③「みんなでやると楽しいこと」(効果の実感と共有)
中 期
(5年)
短期(第一段階)の成果をみながら、さらに時間をかけて
長 期
(10 年)
すぐに効果が出なくても、じっくりと時間をかけて
成果を出していくべきもの。
やるべきもの。
福島市観光振興計画
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(3)推進施策のスケジュール
基本戦略1 地域資源を活用した“ふくしまツーリズム”の推進
[1]
「花」と「くだもの」~福島市らしさの創造
推進主体
推進施策
推進施策の内容
旬の花とくだものに出会
花とくだもののおもてなしの実践
える仕掛けづくり
季節の花とくだものを活かした旅
目
行
政
民
間
市
民
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
○
○
○
●
○
●
○
○
●
○
○
福島競馬場との連携
○
○
花観光の多様なイメージ
花の名所の空間整備
○
○
の創出と受入体制の整備
花見山を核とした周遊観光の回遊
○
○
●
○
○
●
花の名所の強化とネットワーク化
○
○
おもてなしの向上
○
○
○
花の観光スポットの保全
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
行商品の開発等
季節の花とくだものを活かした料
理等の提供
花やくだものをテーマとした観光
施設間の連携の促進
性の向上
誰もが花の名所を楽しめるバリア
フリー化の推進
くだものの多様な魅力の
くだものを活用した新たな商品開
開発と付加価値づくり
発の推進
風評払拭のための学びと交流の体
験プログラムの推進
果樹園の多様な魅力づくり
標
●
●
○
●
●
●
●
●
●
○
●
[2]
「歴史」と「文化」~福島市らしさの伝承
推進主体
推進施策
推進施策の内容
行
政
民
間
目
市
民
地域の歴史・文化資源の
文化財の観光資源としての利活用
○
○
掘り起こしと利活用
おもてなしの向上
○
○
○
○
○
○
地域の歴史・文化資源の掘り起こ
しと活用
標
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
●
●
●
福島市観光振興計画
60
[3]
「温泉地滞在と」と「山岳観光」の多様な魅力づくり
推進主体
推進施策
推進施策の内容
個性豊かな温泉地づくり
温泉地の復興・再生のための基盤
とネットワーク化
整備
行
政
民
間
目
市
民
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
○
温泉地の復興を後押しする再生可
●
○
●
○
○
●
おもてなしの向上
○
○
3温泉地のネットワークの強化
○
○
温泉地での長期滞在の促
温泉資源の保護と活用
○
進
現代版「湯治」プログラムの開発
能エネルギー事業の推進
温泉地の特性を活かした特色ある
温泉地振興
そぞろ歩きがしたくなる温泉街の
○
●
●
●
○
●
○
○
●
○
○
●
磐梯吾妻観光推進事業の展開
○
○
●
自然体験プログラムの充実
○
○
○
おもてなしの向上
○
○
○
教育旅行の誘致
○
○
演出
山岳・自然を楽しむ体験
観光客・登山客の安全を最優先と
プログラムの開発
した情報発信と受入体制の構築
標
●
●
●
[4]市民文化の醸成と「まちなか観光」の推進
推進主体
推進施策
推進施策の内容
市民を巻き込んだ「まち
まちなか観光資源を活用したまち
なか」の魅力発掘
歩きの実施
まちなか観光資源の掘り起こし
ご当地グルメ等まちなか食文化の
育成
市
民
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
○
○
●
○
○
○
○
○
○
○
発信
観光イベントの推進
ベントの創出
花やくだもの、音楽など、福島らし
いテーマによる市民イベントの開
標
民
間
行
政
日常の中の観光資源の発掘と情報
福島市ならではの市民イ
目
○
○
●
●
●
●
○
○
●
催
福島市観光振興計画
61
基本戦略2
国際的な観光地域づくりを目指した人づくり・組織づくり
推進主体
推進施策
推進施策の内容
魅力ある福島市観光を展
福島市観光の推進力となる人材の
開していくための人づく
育成
り・組織づくり
観光関係団体への支援
観光振興を推進する庁内連携の強
化
観光人材の育成
行
政
民
間
○
○
目
市
民
標
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
●
○
●
○
●
○
○
○
○
○
○
●
○
○
○
●
○
○
○
●
福島市のファン(応援団) 「福島市ファンづくり」の推進
○
○
○
●
づくり
観光アドバイザーとの連携強化
○
●
福島市観光を戦略的に推
観光関係団体への支援
○
●
進する中核組織の確立
「日本版DMO」の形成・確立
○
ボランティア組織の連携強化とネ
ットワーク組織の構築
おもてなし意識の向上と醸成
ふるさとへの「自信」と「誇り」を
育てる活動の推進
基本戦略3
○
●
●
戦略的な広域観光の推進
推進主体
推進施策
推進施策の内容
行
政
民
間
各種テーマ(歴史、文化、スポ
各種テーマによる広域観光の推進
○
○
ーツなど)による広域連携
東北6市ネットワークの推進
○
○
近隣自治体との連携によ
周辺エリアとの連携による着地型
る誘客促進
旅行商品の造成
近隣自治体合同によるエリア情報
の発信
目
市
民
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
●
●
○
○
○
ふくしま観光圏の推進
ふくしま観光圏整備事業の推進
○
○
南東北における観光ルートづ
南東北広域観光の推進
○
○
くりと観光拠点機能の整備
南東北拠点都市連携誘客の促進
○
○
標
●
●
●
●
●
福島市観光振興計画
62
基本戦略4
外国人観光客が楽しめる国際性豊かなまちづくり
推進主体
推進施策
推進施策の内容
外国人観光客の受入体制
多言語化よる情報提供の充実
の整備
観光・宿泊施設等における案内等
接遇の改善
外国人観光客の利便性を高める情
報通信設備の整備
外国人観光客のニーズ把握と新た
なターゲットづくり
外国人向け滞在プログラムの多様
化
醸成
在住外国人など外国人目
在住外国人や留学生を対象とした
線の効果的な情報発信
モニターツアーの実施
在住外国人による情報収集と情報
の発信
国際旅行博等への出展によるプロ
モーションの強化
海外プロモーションの強化
インバウンドに対応した
近隣自治体等と連携した外国人観
広域観光ルートや受入体
光客の誘致
制づくり
南東北拠点都市連携誘客の促進
広域観光周遊ルート形成事業(観
光庁)との連携
外国人観光客向け案内の充実
登録制通訳の活用による案内機能
の充実
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
民
間
○
○
●
○
○
●
○
○
○
○
●
○
○
●
●
○
税店の普及促進
外国人に対するおもてなし意識の
市
民
標
行
政
外国人観光客の旅行消費を促す免
外国人観光案内人材の育成
目
●
○
○
○
●
○
○
○
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
●
○
○
●
○
○
●
○
○
○
○
○
○
●
●
●
●
●
○
●
福島市観光振興計画
63
基本戦略5
地場産業との連携による観光振興
推進主体
推進施策
推進施策の内容
行
政
民
間
○
○
○
○
地場産品・食文化の継承
○
○
地場産品の販路拡大
○
福島市の“こだわりの逸
福島市の地場産品を活用した、こ
品”の開発支援
だわりの逸品づくり
農業をはじめとした他の産業との
連携
特産品の販路拡大
ブランド認証品ガイド(カタログ)
の作成と情報発信
物産イベント等での特産品のPR
と販売の強化
商談会等への積極的な参加
観光資源としての農業の
一年を通じたくだものの提供によ
ブランド化
るブランドイメージの醸成
グリーンツーリズム等の体験型旅
行の推進
農業従事者への支援
安全・安心な農産物の正確な情報
発信
目
市
民
標
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
●
●
○
●
●
○
●
○
●
○
●
○
○
●
○
○
●
○
○
○
○
●
○
●
福島市観光振興計画
64
基本戦略6
福島市の魅力と生活環境の安全を効果的に伝える情報発信力の強化
推進主体
推進施策
推進施策の内容
行
政
民
間
目
市
民
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
誘客対象を意識した観光
観光基本情報の収集と分析の強化
○
○
●
情報の収集・共有化
観光マーケティング調査の実施
○
○
●
情報の共有化
○
○
○
○
●
○
○
●
○
○
○
○
○
○
●
○
○
●
○
●
○
○
●
○
○
効果的な手段による戦略
各種マスメディアとタイアップし
的な観光情報の発信
た情報発信
ターゲットに応じた戦略的な情報
発信
教育旅行の誘致
SNSを活用した発信者と受信者
双方向の情報発信の確立
福島市らしい旬の情報発
季節・テーマ別の観光情報提供の
信
充実
旅行エージェントや旅行雑誌等と
のタイアップによる情報発信
くだもの狩り等の旬に素材を活用
した誘客の促進
地域ポータルサイトの活用
発信者と受信者による双方向の情
報発信の確立
標
○
●
●
○
○
●
●
統一した着地情報提供の
観光情報共有化の促進
○
○
●
仕組みづくり
観光案内・情報提供機能の充実
○
○
●
○
●
魅力ある福島市の観光情報活用研
修会の開催
復興ツーリズムの展開
復興や生活環境の安全をテーマに
したスタディツアーの実施
民間企業との連携による
民間企業と連携した情報発信の推
情報発信
進
福島ユナイテッドFCなどプロス
ポーツと連携した情報発信の推進
○
○
○
○
○
○
○
●
●
○
●
福島市観光振興計画
65
基本戦略7
あらゆる観光客を受け入れるための環境の整備
推進主体
推進施策
推進施策の内容
安心なバリアフリー観光
バリアフリー観光を推進する組織
の推進
への支援
誰もが安心して旅行ができる案内
と情報提供機能の強化
観光案内所や観光地における旅行
者支援
バリアフリー観光を推進する受入
環境の整備
バリアフリー観光推進のための意
識の向上
行
政
民
間
目
市
民
○
標
短期
中期
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
●
○
○
●
○
○
●
○
○
○
○
●
○
●
観光案内情報提供機能の
観光案内表示の整備
○
○
●
充実
観光案内所、サテライトの整備
○
○
●
民間の知恵と工夫を活か
季節バス・タクシーの運行や循環
した二次交通の整備
バスの運行
○
○
○
○
福島駅と観光地を結ぶバス・タク
シーの運行
鉄道と温泉・観光施設等の相互利
○
用の促進
3温泉地と観光施設をつなぐ二次
交通整備の検討
レンタカーやレンタサイクルの利
活用
○
○
○
○
●
●
●
●
●
福島市観光振興計画
66
基本戦略8
戦略的なコンベンションの誘致
推進主体
推進施策
コンベンションの誘致
推進施策の内容
コンベンション施設情報の提供
コンベンション誘致に向けたプロ
モーションの強化
国際コンベンション博への出展に
よる情報発信と誘致活動
開催ニーズに応じた福島らしいコ
ンベンションの誘致
東京オリンピック・パラリンピッ
クの競技等誘致
スポーツツーリズム推進のための
各種競技大会の誘致
国内外の需要が高いスポーツイベ
ント等の誘致
長期
(3 年)
(5 年)
(10 年)
○
○
●
○
○
●
○
○
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
の整備
交流拠点施設整備の検討
○
意識の向上と醸成
中期
民
間
コンベンション開催の支援
○
市
民
標
短期
行
政
コンベンション受入体制
コンベンション受入れおもてなし
目
●
●
●
○
●
●
●
○
○
●
福島市観光振興計画
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福島市観光振興計画
68