前・福島市観光振興計画の成果と課題 第5章

第5章
前・福島市観光振興計画の成果と課題
1.前・福島市観光振興計画の体系
図 前「福島市観光振興計画」の体系
目指すべき
将来像
「また、こらんしょ。
」
-また来たくなる『花もみもある』ふくしまへ-
【ふるさと自慢】
福島市民一人ひとりが、ふるさとに「自信」と「誇り」を持ち、
住んでいる人が自慢したくなるようなまちづくりを目指そう!
【ふくしまファン倍増】
福島市の魅力をたくさんの人に知ってもらい、
ふくしまファン倍増を目指そう!
基本戦略
基本目標
福島市の「目指すべき将来像」を実現するために
基
本
戦
略
1
観光振興の推進力となる
基
本
戦
略
2
福島市流の観光スタイル
基
本
戦
略
3
広域連携の推進による
基
本
戦
略
4
外国人観光客が楽しめる
基
本
戦
略
5
地場産品を活用した
基
本
戦
略
6
福島市の魅力を効果的に伝える
基
本
戦
略
7
観光客受入のための
人づくり・組織づくり
は、主体的に活動する市民等の参画が不可欠である
ことから、「人材育成」を目標達成の柱としながら、
下記の3つを個別目標として掲げる。
1.新しい福島市流の観光スタイルの提供
“ふくしまツーリズム”の展開
南東北の観光拠点づくり
国際性豊かなまちづくり
2.南東北の核となる観光まちづくりの展開
福島市の“こだわりの逸品”づくり
3.地域経済が元気になる観光の実現
情報発信力の強化
環境整備
出典)福島市観光振興計画(福島市
平成 21 年 4 月)
福島市観光振興計画
21
2.前・福島市観光振興計画における推進施策の主な取り組みに関する成果と課題
基本戦略1 観光振興の推進力となる人づくり・組織づくり
■主な取り組み成果
◆人づくり
ふくしま花案内人、飯坂まち歩きボランティアガイド、まちなかまち歩きガイドなどの観光案
内ボランティアの組織が立ち上げられるとともに、人材の育成が図られ、来訪者のニーズにあっ
た旅の楽しみ方の提案、本市観光資源の魅力向上の情報発信につながりました。また、こうした
人材が「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」において活躍することで、市民レベ
ルでのおもてなしの先導的・中心的な役割を担うことにつながりました。
◆市民意識
ふくしまDCを契機に、
「福が満開おもてなし隊」に県内約15万人が登録するなど、市民レベ
ルでのおもてなし意識の醸成、観光客受入れの土台ができあがりました。
◆組織づくり
「福島市観光物産協会」が、市内部に事務局を置く任意団体から、独立・一般社団法人化され
(H24 に福島市観光コンベンション協会に改称)
、これにより着地型旅行商品の造成等が開始され
るなど、本市の観光振興と観光関連組織・団体等の連携に資する中核的な組織づくりが進みまし
た。
■今後の課題
◆人づくり
多様化する観光客ニーズに的確な対応ができるよう、これまで育成が図られてきた各ボランテ
ィアガイドそれぞれが自己研鑽を行うとともに、組織間交流・連携強化によるノウハウや情報の
交換することにより、楽しみながらレベルアップしていくことが求められています。
◆市民意識
ふくしまDCにより培われた市民レベルでのおもてなし意識を向上させるため、観光客等に対
してのあいさつや声かけなどの実践など、さらに広く市民にご理解いただく必要があります。
◆組織づくり
マーケティング、マネジメント、自主財源の確保を実践する、本市観光を戦略的に推進する中
核的組織(地方創生政策による日本版DMO(注1)等)の構築が求められています。
(注1)DMO:Destination Management/Marketing Organization の略で、
「観光地経営」の視点に立っ
た観光地域づくりの舵取り役として、関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づく観光地
域づくりを実現するための戦略を策定し、その戦略を着実にするための調整機能を備えた法人。
基本戦略2 福島市流の観光スタイル“ふくしまツーリズム”の展開
■主な取り組み成果
◆「花」観光
花見山周辺において、マイカーや観光バス駐車場の整備、シャトルバスの運行など受入れ環境
の整備が着実に進められました。
また、花見山観光客の受入れを契機とし、飯坂の花ももの里、平田地区周辺の花々など花見山
以外の花の名所においても、地域づくりの核として受け入れ体制が整備されるなど、各地域に花
福島市観光振興計画
22
を素材とした観光が波及しました。
さらに、多くの市民が自ら参加する、花観光スポット整備やチャレンジーガーデン、ガーデニ
ング教室などが実施され、花のまちづくりが推進されました。
◆「くだもの」観光
くだものを使ったふくしまスイーツの開発や、温泉地での旬のフルーツを使ったウェルカムド
リンク・スイーツによるおもてなし、くだもの狩りをメインとした着地型旅行の実施などのコン
テンツが開発され、くだものを観光素材として活用した各種プロモーションやおもてなしが展開
され、定着してきました。
◆温泉地づくり
飯坂地区都市再生整備事業により、地域資源を活かした観光拠点づくりと回遊環境の向上が図
られるともに、
土湯地区においても同事業に着手し、
同地区の賑わい創出に取り組んでいるほか、
バイナリー発電等の再生可能エネルギー導入など、震災からの復興・再生が着実に進められてい
ます。
また、温泉地活性化推進事業により、花ももの里等温泉地散策スポット整備(飯坂)などのハ
ード事業や、温泉療養効果PR(高湯)、ふれ愛つちゆ(土湯)等のイベント開催などのソフト事
業が実施され、各温泉地がそれぞれの個性や観光資源を最大限に活かした独自の取り組みにつな
がりました。
さらに、各温泉地の「若旦那」が連携し、首都圏でのプロモーションやDC期間中のカフェオ
ープンなどが実施され、市内温泉地が一体となったネットワークが構築されました。
◆山岳・自然体験
磐梯吾妻スカイラインや浄土平周辺の魅力向上のため、定期バスの運行や他の観光スポットを
組み合わせた着地旅行商品の催行が行われたほか、吾妻山観光客・登山客の安全確保のため、国・
県等と連携した正確な火山情報や避難方法等の情報発信、防災訓練の実施などの対策を行い、万
全な受入体制の構築がなされました。
また、天文台での星空観察会や浄土平ガイドツアーが行われているほか、荒川流域の関係者が
連携し、流域や四季の里・アンナガーデン等の魅力発信、流域散策会の開催等の「ふくしま荒川
ミュージアム」の展開など、自然を楽しむ体験プログラムが市民レベルにまで広がりました。
◆地域の歴史・文化
これまで教育・文化施設のイメージが強かった「民家園」や「じょーもぴあ宮畑」等を観光ス
ポットとして着目し、観光素材として着地商品に取り入れるなどの活用につなげることができま
した
また、
「旧堀切邸」の整備により、飯坂地区の歴史や文化を伝える情報発信と、観光客や市民の
憩いと癒しの場の提供がなされ、同地区の観光拠点が形成されました。
さらに、まちなかや周辺地域におけるまち歩きコースの開発・人材育成・まち歩きの実施によ
り、市民や関係者が地域における歴史・文化の魅力を再認識することにつながりました。
■今後の課題
◆「花」観光
花見山への観光客を、いかに市内全域に回遊をさせていくか。観光客が市内を周遊・滞在可能
な観光スポット、食、宿泊などを含め、そのコンテンツづくりが早急に必要です。
◆「くだもの」観光
くだもの王国にふさわしいおもてなしを実現するため、極晩成種のナシ「王秋」、リンゴ「福島
6号」等を収穫と保管技術を向上させることにより活用し、これまで出来なかった春の観光シー
ズンでの提供、一年を通じたくだもののおもてなしが求められます。
福島市観光振興計画
23
また、トップセールス等により市場価格など回復しつつあるものの、観光農園やもぎ取りへの
風評は未だに根強いことから、風評払拭のため、国内外へ正確な情報発信や外国人等を対象とし
た体験プログラムなどの継続的な実施が必要です。
◆温泉地づくり
ふくしまDCを契機に連携が図られた各温泉地について、それぞれの個性や魅力をさらに向上
させるとともに、より一層のネットワーク化を進めることが重要です。
◆山岳・自然体験
観光客・登山客の安全を最優先とした、情報発信と万全な受入体制の継続実施が不可欠です。
◆地域の歴史・文化
まち歩き等を通じて再認識された地域の歴史・文化資源さらなる掘り起こし・磨き上げ・活用
をさらに進めるとともに、まち歩きを一層浸透させていくため、食・体験等立ち寄りの楽しみを
生むコンテンツ、付加価値をつけた商品化を進める必要があります。
基本戦略3 広域連携の推進による南東北の観光拠点づくり
■主な取り組み成果
◆広域連携
ふくしま観光圏の形成や花街道キャンペーン等の事業展開により、官民協働の連携強化と事業
推進が図られました。
◆商品開発
広域連携の利点を活かし、福島の現状を知ってもらう「ふくしまスタディツアー(旧:復興応
援ツアー)
」の商品造成(ふくしま観光圏)や、中通り地方の桜の名所を巡るツアー造成のAGT
要請(花街道)
、福島・仙台・山形の3市連携による広域周遊ルート開発に向けたモニターツアー
などを実施し、広域周遊・滞在型観光の推進が図られました。
■今後の課題
◆広域連携
官民協働の連携と事業推進の一層の強化を進めることが求められています。
◆商品開発
東北中央自動車道を活用した広域周遊ルートと各エリアへの滞在を促すコンテンツづくりと商
品開発を行う必要があります。
基本戦略4 外国人観光客が楽しめる個性豊かなまちづくり
■主な取り組み成果
◆受入れ環境の整備
英語版観光パンフレットの作成、観光案内板の英語併記化などを実施し、外国人観光客の情報
収集や市内周遊支援が図られました。
また、官民一体となって、市内観光拠点等に無料公衆無線LAN(Wi-Fi)環境の整備を行い、
外国人観光客の利便性の向上につながりました。
■今後の課題
◆受入れ環境の整備
福島市観光振興計画
24
震災に伴う風評は、特に外国人に未だ根強いことから、より一層本市の安心・安全、正確な情
報を継続して発信していく必要があります。
また、東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、ホームページ・パンフレット・案
内表示等の多言語化に加え、SNSを活用した情報発信、指差しツールの活用、外国人受入れの
研修・人材育成等を、計画的かつ着実に進める必要があります。
基本戦略5 地場産品を活用した福島市の“こだわりの逸品”づくり
■主な取り組み成果
◆産品ブランド化
特産品や郷土料理、工芸品など福島自慢の品々を「ブランド認証品」として、24品目が認証
され、こだわりの逸品づくりが進められた。そのほか、美容や健康に効果のある発酵食品を素材
として、発酵食品を活用した朝食メニューの提供によるおもてなしが行われるなど、新たな切り
口でのおもてなしのきっかけづくりにつながりました。
また、トップセールスにより、本市くだものを全国へPRしブランド力を高めたほか、ふくし
まスイーツコンテストの開催等により、くだものを活用したスイーツ開発と販売、本市くだもの
の品質の良さやくだもの狩り等の情報発信をおこなうことで、風評の払拭に取り組みました。
さらに、
「円盤餃子」や「福島やきとり」等を観光素材としてPRしてきたことにより、福島名
物として定着し、知名度が格段に向上、各店舗の盛況につながりました。
■今後の課題
◆産品ブランド化
「ブランド認証品」等を単に認証制度にとどまらせず、今後一層各認証品の質の向上に努め、
情報発信と販路整備を行い、いかにブランド力を高めていくかが課題です。
基本戦略6 福島市の魅力を効果的に伝える情報発信力の強化
■主な取り組み成果
◆情報発信
県情報発信拠点「日本橋ふくしま館(MIDETTE)」等での首都圏PRや、旅行AGTや旅行雑誌
等とのタイアップによる誘客と着地商品の募集広告の展開のほか、フェイスブックなどのSNS
を活用した、旬の観光情報を発信することができました。
◆コンベンション
コンベンション誘致事業補助金を創設し、コンベンション開催に係る事業費支援、コンベンシ
ョンガイドの作成、開催時歓迎看板装飾、MICE(注1)展示会等へ参加など、誘致体制の強化
が図られました。
また、コンベンション分析調査を実施し、本市既存のコンベンション施設・宿泊施設機能の把
握、大規模会議等開催方法・シュミレーション等の検証など、本市におけるコンベンション誘致
のための課題を把握することができました。
(注1)MICE:企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)
(Incentive Travel)、
国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭
文字のことであり、
、多くの集客が見込まれるビジネスイベントなどの総称。
福島市観光振興計画
25
■今後の課題
◆情報発信
拡散率が格段に高い個人旅行者を対象としたSNSの一層の活用と、マーケティング・現状把
握により、効果的な誘客と情報発信が必要です。
◆コンベンション
コンベンション誘致事業補助金を活用したコンベンション誘致の促進と、本市開催への影響が
大きい風評被害払拭のための情報発信が必要です。
また、コンベンションに係るマーケティング等を実施し、本市へのコンベンション誘致・コン
ベンション施設建設等の基本戦略を策定することが必要です。
基本戦略7 観光客受入のための環境整備
■主な取り組み成果
◆バリアフリー観光
ふくしまバリアフリーツアーセンターが設立され、バリアフリー観光に関する情報提供、車い
すでも楽しめるまち歩きや花見山の車いす散策コースの活用が図られたほか、観光施設・交通施
設・市街地におけるユニバーサルデザイン化が進められ、誰でも安心して楽しむことができる市
内バリアフリー観光が推進されました。
◆二次交通
春の花見山観光に合わせた、まちなか周遊バスや、花の名所を巡る観光バス、スカイライン定
期バスの運行などにより、花見山と観光スポットを周遊できる二次交通の充実が図られました。
■今後の課題
◆バリアフリー観光
観光施設や交通拠点等におけるユニバーサルデザイン化を一層進めるとともに、民間の宿泊施
設の早急なバリアフリー対策が必要です。
◆二次交通
高齢化やインバウンド対策としての二次交通の重要性が、今後ますます高まることから、交通
事業者だけでなく、違った切り口からの二次交通の検討・整備が必要です。
福島市観光振興計画
26