中国経済をどう評価すれば良いか

 ご参考資料
2016 年 2 月 2 日
32 中国経済をどう評価すれば良いか
チーフ・ストラテジスト
•
•
•
神山 直樹 生産は大きな経済力を持つ中国、消費は先進国が中心
日本は部品と機械を中国に輸出、中国は先進国に出荷する
中国の改革は長期的な需要先の成長のために重要
生産は大きな経済力を持つ中国、消費は先進国が中心
世界の投資家が中国の経済情勢に注目している。しかし、マスメディアの取り扱いは過剰に見える。中国の経済力は
世界第 2 位であり、経済成長率は日本よりも高い。この意味で中国は重要だ。しかし、今の中国の経済情勢は、世界
経済を低迷させている原因というよりも、結果であるとみたほうが良いと思われる。なぜなら、中国はいまだに世界の
工場であって、消費地としては小さいからだ。
世界の名目 GDP の内訳(2014 年)
日本
6.0%
その他
新興国
17.7%
新興国:
39%
中国
13.4%
77兆
米ドル
米国
22.5%
先進国:
61%
インド
2.7%
ロシア
2.4%
ブラジル
3.0%
その他
先進国
15.0%
ユーロ圏
17.4%
注)四捨五入の関係で、合計が 100%にならない場合があります。
(IMF のデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
日本は 70-80 年代に加工貿易国として成長してきた
が、中国はその程度が大きく、日本以上に、世界の
生産を一手に引き受けている。それゆえ、購買者の
センチメントを測る製造業 PMI が伸びているかどう
かを確認することは、世界の需要が強いかどうかの
バロメーターとして重要だ。
だが、中国の需要が弱いから世界の需要が弱まる
と考えるよりも、世界の需要が弱いから中国の原油
や鉄鉱石、石炭、鉄鋼、電子部品などの需要が弱い
と考える方が適切とみている。もちろん、中国で生産
するが輸出しない最終需要の自動車や一部の高級
品市場については、先進国が中国で生産するため
に必要な機械や部品を供給している。
ここで重要なことは、中国が現時点で持っている消費パワーと、社会保障改革などで伸びるであろう 5~10 年後の消
費の成長ポテンシャル、中国は生産拠点であるが最終需要先が先進国であり世界景気に連動する部分がある、とい
う点を知っておくことだ。一つ目については中国政府の財政支出や金利引き下げなどの景気刺激策、二つ目は農地制
度や戸籍制度改革を含む政治改革の進展、三つ目は原材料や部品、機械の輸入の動向、これに李克強首相の供給
過剰削減の指導などが関わってくる。
日本は部品と機械を中国に輸出、中国は先進国に出荷する
中国の貿易統計は香港の計上などが複雑なため、中国と先進国との貿易状況の例として、日本との貿易を見てみる。
■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境などについてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料で
はありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。■投資信託は、値動きのある資
産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがありま
す。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
1
KAMIYAMA REPORTS
VOL. 32
日本から見た中国との貿易(2014 年)
化学製
品
16%
その他
19%
輸送用
機器
10%
輸出
原料別
製品
13%
その他
34%
輸入
約13兆円
電気機
器
23%
化学製
品 原料別
6%
製品
12%
約19兆円
一般機
械
19%
輸送用
機器
2%
一般機
械
17%
電気機
器
29%
(財務省のデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
日本は、中国に対して電気機器や一般
機械などを輸出し、ほぼ同じ項目を輸入
している。
日本は、機械として金属加工機械などを
輸出して電算機器・周辺機器を輸入、電
気機器として電子部品や IC、電気回路
を輸出し通信機や音響映像機器などを
輸入している。その他の輸入には衣類や
家具、バッグなどが含まれる。このやり
取りを見れば、日本が部品と機械を供給
し、中国を生産拠点としていることが分
かる。
ここで注目すべき点は、日本の輸入金額
が輸出金額よりも大きいことだ。
日本が輸入超過(2014 年)であることは、日本が部品を輸出して中国で生産することが中国 GDP の成長に貢献する
こととなり、日本において製品を輸入して消費している姿を象徴している。日本からの自動車や自動車部品、自動車生
産に関わる輸出に加え、高級雑貨あるいは一部の電気製品は中国の消費に依存するが、中国を生産拠点としている
部分も大きいことを知っておきたい。1 月 21 日付日本経済新聞で報じられた、日本の電子部品メーカーの受注の伸び
が急減速したといった記事でも、中国で製造する米社のスマートフォンなどの世界的な売上が思ったほど伸びなかっ
た影響を受けて受注が鈍化した、としている。このことを、中国の財政出動による消費拡大期待と混同してはならない。
中国の改革は長期的な需要先の成長のために重要
中国の改革は多岐にわたる。昨年 9 月 16 日付の KAMIYAMA Reports で紹介したように、少子高齢化を目前に価格
メカニズムの拡大を含む改革を列挙している。世界経済の成長の観点から見れば、13 億人の中国の消費拡大のため
には、最低賃金の引き上げや社会保障制度の充実とその前提となる戸籍制度改革、農地転売の規制緩和などが改
革の支援となるだろう(ただし、これら改革が数年で消費拡大に結実するとは言いにくい)。また、金利や為替取引に対
する市場メカニズムの導入や株式市場へのサーキットブレーカーの導入などは、長期的に適切な方向を向いている。
一方、これまでの政府・地方政府主導の生産能力の急激な拡大は、なかなか本格化しない世界の消費需要の回復を
背景に供給過剰をもたらした。李克強首相が指導する過剰生産力の削減も、経済政策の「スイング」が少々大きすぎ
るように見えるとはいえ、適切な方向にあると言える。もちろん、これは固定資産投資の低下を通じて、中国の成長率
を一時的に引き下げる要因となる。
以上のように、投資の観点から中国をよく見直してみると、中国がハードランディングするかどうかは、そもそも中国の
生産の要因である世界需要がそれほど弱いのか(米国の雇用や賃金の回復から弱くないと見ている)、不必要な引き
締めで政策的に失敗するのか(金融緩和や需要刺激も行なわれている)、資本の急激な引き揚げが起こるのか(資本
取引はそれほど自由化されていない)、といった判断が重要だ。たとえば、製造業 PMI は世界需要に対する生産拠点
としての中国の好不況を知るには有用であり、適切な政策が行なわれているかも注視すべきだが、「中国発の世界的
経済混乱」を想定するシナリオは、あまりに悲観的すぎるだろう。
PDF ファイルおよびバックナンバーは、日興アセットマネジメントのホームページでご覧いただけます。
また、facebook やツイッターで発行をお知らせいたします。
http://www.nikkoam.com/products/column/kamiyama-reports
facebook https://www.facebook.com/nikkoam Twitter https://twitter.com/NikkoAM official
■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境などについてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料で
はありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。■投資信託は、値動きのある資
産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがありま
す。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2