KAMIYAMA Reports「マイナス金利って結局なに?」

 ご参考資料
2016 年 2 月 16 日
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34 マイナス金利って結局なに?
チーフ・ストラテジスト
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マイナス金利政策は、インフレになる確率を上げる
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預金金利の低下などで我慢を強いられる
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投資家はリスクをとるチャンスが与えられている
神山 直樹 •マイナス金利政策は、インフレになる確率を上げる
デフレがなぜ悪いかについては、KAMIYAMA Reports Vol.18(2015 年 8 月 31 日付)でお伝えしたが、生活感覚とは
異なり、デフレは経済を委縮させる。それゆえ、インフレになる確率を上昇させる政策を発動することは、ポジティ
ブととらえることができる。
デフレと量的緩和のイメージ図
(日興アセットマネジメントが作成) モノが増える(供給過剰)
日銀の量的緩和
→
→
退蔵なら・・・
…通貨を供給
→
→
1台200万円だったのに…
1台100万円に値下がり
おカネが足りない(回っていない)
→
退蔵?
退蔵?
→
1台200万円だったのに…
1台100万円に値下がり
1台100万円に値下がり
市場から国債を買い入れるなど
で中央銀行が「おカネ」を増やす
簡単にデフレのメカニズムを思い出しておこう。モノが
増えたりおカネの流通量が減ると、モノの値段が下が
りやすい。例えば、モノが増えているのに、おカネが退
蔵(タンス預金などの流通しないおカネ)されているの
であれば、日銀にできることはおカネを増やすことだ。
これが量的緩和政策である。日銀は、金利をマイナス
にすることが難しいので、この方法を選んできた。
しかし、市場は量的緩和政策に限界を感じてきたようで、「掟破り」のマイナス金利政策が登場した。この政策は、すで
に欧州で導入されており、おカネを増やしてもインフレにならないのであれば、金利をマイナスに引き下げようとするこ
とだ。金利をマイナス(預金すると手数料がかかるイメージ)にすれば、おカネは退蔵されず、事業投資の活発化や外
債投資による円安(輸入物価高)をもたらす可能性などが高くなり、インフレになる確率は上昇することになる。
•預金金利の低下などで我慢を強いられる
マイナス金利政策は、二つの我慢を強いる。ひとつは、マイナス金利は、銀行などの預金を集める金融機関にとって、
簡単に預金金利をマイナスにできないと考えられるため、コスト上昇要因になることだ。
■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境などについてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料で
はありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。■投資信託は、値動きのある資
産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがありま
す。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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KAMIYAMA REPORTS
VOL. 34
もうひとつは、預金する人も預けるメリットがな
くなることだ。マイナス金利にならなくても、金
利が付かない状況になれば、タンス預金の方
がまだ良いと思う可能性がある(盗難リスクが
あるので、あまりお勧めはできない)。
国債利回りもマイナスに
(%)
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
-0.1
-0.2
-0.3
15/3
(2015年3月末~2016年2月12日)
国債利回り(10年)
国債利回り(2年)
-0.025
-0.240
15/5
15/7
15/9
15/11
16/1
(年/月)
(信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
実は、日銀がマイナス金利導入を発表する前
から、残存期間 2 年程度の市場金利はゼロ%
を下回っていた。つまり、債券市場はマイナス
金利をある程度織り込んでいたとみられる(政
策発表後はマイナス幅が拡大)。
債券は、取得時に利回りがマイナスであっても
マイナス幅が大きくなった時に売却すれば利
益が出る。しかし、預金金利はマイナスになる
と、名目上は元金が戻ってこない。
一方、住宅ローンなど負債の金利負担を減らしやすくするので、たとえば、銀行から低金利の住宅ローンへの借り換え
を促す提案が増えるだろう。また、負債が大きい電力や鉄道などの企業も、量的緩和では金利負担を減らすことが難
しかったが、市場金利がマイナスであれば金利負担は減らしやすくなる可能性がある。金利負担が減った分でおカネ
を退蔵しては経済効果が現れないが、投資や消費に利用されるのであれば、景気回復につながっていくと考えられる。
•投資家はリスクをとるチャンスが与えられている
プロの運用者は、未曾有のマイナス金利に直面して、可能な限り、同程度のリスクで少しでも高いリターンが期待でき
る市場を探すだろう。たとえば、外貨建ての円ヘッジ債券がこれにあたる。理論的には、ヘッジした外債利回りは日本
の同条件の債券利回りと同じになるが、市場ではさまざまなゆがみが生じるので、リターンが期待できる機会もあろう。
また、世界的なデフレ懸念の脱却や日本におけるデフレからインフレへの歴史的転換が近いとするならば、GPIF(年
金積立金管理運用独立行政法人)の投資行動をまねて、国内債券の投資比率を減らして国内外の株式の投資比率
を増やすアロケーション変更(リバランス)のチャンスとなる。足元、米国の雇用回復がいよいよ賃金上昇につながりは
じめ、米国が利上げするほどの経済に対する信頼感が見え始めていることは、歴史的転換の兆しかもしれない。今後、
米国消費が回復し、企業の売上成長なども続けば、日欧からの輸出が増え、中国などの生産国やオーストラリアなど
の資源国からの輸出も増え、世界景気は本格的に正常化へと向かうだろう。
ただし、足元の米国金利の低下は景気回復が遅れるというリスクを示しているとみられることが気がかりだ。2016 年に
入り、米国の 10 年債利回りは 2.3%程度から 1.7%台まで低下している。市場は、米国の雇用回復→賃金上昇→消
費・景気回復、のサイクルにまだ自信を持てていないようだ。為替市場では、日銀のマイナス金利導入の決定を歓迎し
て 1 米ドル=121 円台まで円安・米ドル高となったが、米国金利の低下などから一時 110 円台の円高・米ドル安となり、
2 月 12 日現在は 113 円台で推移している。長期トレンドとして見た場合、リーマン・ショックからの経済正常化を底流
に、景気サイクルの回復段階でリスク資産を増やす好機とみるが、市場のご機嫌が良くなるためには、景気指標の改
善が数ヵ月続くことが必要となろう。
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産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがありま
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