嘉麻市保育事業整備計画(案) 【中間報告】

嘉 麻 市 子 ど も・子 育 て
支援会議中間報告
嘉麻市保育事業整備計画(案)
【中間報告】
平成28年1月
嘉麻市子ども・子育て支援会議
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保育事業見直しの趣旨
(1 ) 嘉 麻 市 行 政 改 革 の 実 施
本市は、行政サービスの維持向上や行政運営の効率化等を目的として、平
成18年3月に1市3町の合併により新しく誕生しましたが、市税等に乏し
く、国・県からの地方交付税や補助金等に過度に依存した財政構造であった
ことなどから、合併当初から、危機的な財政状況にありました。
こ の よ う な 中 、確 固 と し た 行 財 政 基 盤 の 構 築 を 図 る た め 、平 成 1 8 年 以 降 、
2次にわたり行政改革大綱及び行政改革実施計画を策定し、これに基づき、
自 主 財 源 の 確 保 、組 織 機 構 の 見 直 し 、職 員 定 数 の 適 正 化 、事 務 事 業 の 見 直 し 、
職員の意識改革など、社会情勢や多様化する行政ニーズに的確に対応しなが
ら、総合的かつ計画的な行政改革に継続して取り組んできたところです。
これらの取組みにより、一時懸念されていた財政再建団体への転落を回避
するなど、一定の成果を得ています。
また、保育事業においても、第一次行政改革時において公立保育所4園の
民 営 化 及 び 2 園 を 統 廃 合 し 1園 と す る な ど の 取 り 組 み を 行 っ て き ま し た 。
(2 ) さ ら な る 改 革 の 必 要 性
第1次及び第2次の厳しい行政改革の取組みにより、合併後から平成26
年度までは財政収支の黒字を維持してきたところですが、今後の中長期的な
財政状況の展望(参考:資料編①の財政計画)では、平成28年度から開始
される地方交付税の合併算定の段階的廃止や、人口減少に伴う税収の減少、
さらには、加速する高齢化などに伴う社会保障経費の増加や、昭和40年~
50年代に整備が集中した公共施設や道路等のインフラ設備の老朽化等に
伴う更新・修繕等に係る費用の増加などにより、これまで以上の厳しい職員
定数管理を見込んでも、平成28年度から約10年度間は歳入・歳出の収支
バランスを保持できないなど、非常に厳しい財政状況が見込まれています。
このような中、本市が自立した自治体として確固たる行財政基盤 を構築す
るためには、聖域なき徹底した行財政の簡素化・合理化などについて、具体
的かつ実効性ある取組みの早期の着手が求められます。
また、老朽化が著しい公共施設等の更新・維持などの課題への対応に迫ら
れる一方で、職員定数管理によるマンパワーの減少などが見込まれ、ひと・
もの・かねといった限られた行政資源を効率的かつ集中的に運用することも
求められます。
以上を踏まえ、第2次行政改革終了後においても、引き続き行政改革に取
り組むものとし、保育事業においては、計画的かつ積極的に改革を推進する
指 針 と な る 保 育 事 業 整 備 計 画 (案 )を 庁 内 検 討 委 員 会 に お い て 策 定 し た も の
です。
1
2
保育所の現状把握
まず、嘉麻市の保育事業を取り巻く状況については、就学前児童が年々減
少 を 続 け 、住 民 基 本 台 帳 人 口 で 比 較 す る と 平 成 22 年 10 月 に 1,926 人 い た 対
象 者 が 平 成 27 年 10 月 に は 1,648 人 と 5 年 間 で 278 人 も の 減 少 が み ら れ ま す 。
ま た 、 国 勢 調 査 人 口 を 利 用 し た 将 来 人 口 の 推 計 で は 平 成 37 年 の 対 象 者 人
口 は 1,241 人 と な っ て お り 今 後 10 年 間 で 対 象 児 童 は 378 人 減 少 す る 見 込 み
です。
次 に 、市 内 で は 公 立 保 育 所 が 5 箇 所 及 び 私 立 保 育 園 が 8 箇 所 あ り 、対 象 者
人 口 に 対 す る 保 育 所 へ の 入 所 率 は 平 成 22 年 度 当 初 に 対 象 者 55.75% に 当 た る
1,076 人 で し た が 、 平 成 2 7 年 度 当 初 で は 65.80% の 1,120 人 が 入 所 し て お
り、現状では対象者人口は減少しているものの保育所の入所率は上昇傾向に
あり、その結果保育所利用者数は微増傾向にあります。
また、ここ数年は保育士不足による待機児童も発生しています。
保 育 園 以 外 で は 、 市 内 で 開 園 中 の 私 立 幼 稚 園 が 4 園 あ り 、 平 成 22 年 5 月
現 在 で は 対 象 者 14 .46 % の 279 人 が 在 園 し て い ま し た が 、 平 成 27 年 度 で は
13.57% の 231 人 と な っ て お り 、 幼 稚 園 の 入 園 率 に つ い て は 減 少 傾 向 に あ り
ます。
次 に 公 立 保 育 所 5 箇 所 の 施 設 の 状 況 に つ い て は 、嘉 穂 保 育 所 及 び 鴨 生 保 育
所 が 平 成 13 年 4 月 に 移 転 改 築 し 14 年 が 経 過 、 残 り の 施 設 の う ち 42 年 を 経
過 し て い る 施 設 が 1 箇 所 、残 り の 2 箇 所 は 35 年 と 27 年 を 経 過 し よ う と し て
います。経過年数の長い施設については、施設改修の必要な時期がきていま
すが、公立保育所の施設整備に対する国・県補助金が実質的に廃止され、そ
の 他 運 営 費 負 担 金 を 初 め 多 く の 国 ・ 県 補 助 金 が 平 成 16 年 の 三 位 一 体 改 革 時
に廃止されました。これらの経費は市の自主財源に依るところとなっていま
す。
ま た 、保 育 料 を 国 の 基 準 額 の 約 67% と し た こ と 、そ の 他 障 が い 児 保 育 や 病
後 児 保 育 の 実 施 及 び 平 成 28 年 度 か ら は フ ァ ミ リ ー サ ポ ー ト セ ン タ ー 事 業 の
実施も予定しており、嘉麻市での子育てしやすい環境を創る努力も平行して
行っています。
このような状況のもと、公立保育所の運営は市の財政を圧迫する一因とな
ってきています。
しかし、保育を必要とする児童の保育確保は、児童福祉法第24条におい
て市町村の責務とされており、公立が行っている保育事業を全てなくすこと
はできず、民営化等により保育確保を継続する必要があります。
一 方 、 私 立 保 育 園 は 、 平 成 27 年 度 か ら 施 行 の 子 ど も ・ 子 育 て 支 援 新 制 度
のもと、保育士の処遇改善など保育の質の向上を目的とした 各種加算の充実
がなされております。また、一時保育等保護者のニーズに即した保育を実施
し、これからも多様化する保育ニーズに即したサービスを提供できるものと
2
考えます。
また、これらの私立保育園の運営については、建物の建替えをはじめ国・
県補助等の助成措置が継続しており、市の財政的にも負担が少ないというメ
リットがあります。
3
今後の整備方針
以上のことから、嘉麻市では
・要保育児童数に適合した定員の見直し。
・ 施 設 の 配 置 等 の 見 直 し 。( 統 廃 合 を 含 む 。)
の2点を考慮しながら
・公 立 保 育 所 を よ り 効 率 的 に 利 用 者 へ の サ ー ビ ス の 提 供 が 出 来 る 民 間 保
育園等への移行を基本として整備計画を推進していくこととします。
ま た 、保 育 所 の 運 営 だ け を 民 間 に 委 託 す る 「公 設 民 営 」の 場 合 、国 に よ
る運営費が支給対象外となるなどの制約があります。
こ れ ら の こ と を 考 慮 し て 、民 営 化 の 手 法 と し て は 保 育 所 の 設 置 主 体 ・
運 営 主 体 と も に 民 間 へ 移 行 す る「 民 設 民 営 」で 進 め る べ き で あ る と 考 え
ます。
また、実施に際しては、次の点に十分配慮して行うこととします。
○ 保育環境の維持について
民営化等により保育環境が低下することのないように、移行時において法
人等に対する指導を行うとともに、移行後も定期的な指導を行い、その結果
を公表することにより保育環境の維持・向上を図ります。
○ 民営化等の移管先の選定について
移管先は、現在保育園の経営を行なっている社会福祉法 人など信頼できる
法人等を選ぶこととし、今後対象者の増加が予想される乳児保育の実施拡大
や障害のある子ども等の受け入れ体制の充実、その他延長保育や休日保育な
どの保護者のニーズに積極的に取り組む意思のある法人等の選定が行われ
るよう、選定委員会の設置を行います。
○ 保護者への説明会について
計画実施の際には、保育所の保護者への説明会を実施し保護者の理解が得
られるよう努めるとともに、保護者の不安解消並びにできる限り保護者の意
向が反映されるような保育所運営を移行法人等へ要請します。
○ 民営化等移行の際には保護者や入所児に十分配慮します
民営化等の移行時に発生する入所児の精神的負担を和らげるために、入所
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児には移行等法人の保育士との交流を行うなど、親近感が生まれるような措
置を講じるとともに、可能な限り臨時保育士の継続雇用を移行法人等へ要請
します。
4
民営化等保育所の選定等
民営化を実施するためには、対象となる保育所を具体的に決定してから実
際に民営化するまでの間に、すべての保護者が、対象となる保育所に入所さ
せるかどうかの選択ができる期間を確保することや、保護者に対する説明会
の実施、移管先を選定し十分な引継ぎを行うなど、最低でも1年以上の期間
が必要です。
このことから、民営化の目標を平成30年4月として準備を進めていきま
す。
また、前述の整備方針の考え方を基本として、民営化保育所の選定は古い
施設から検討を進めるものとします。
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① 嘉 麻 市 財 政 計 画 ( H 27~ H 37)
【資料偏】
5
②0~5歳の地区別住民基本台帳人口(実績)
嘉穂
碓井
H22
H27
H22
稲築
H27
H22
山田
H27
H22
全体
H27
H22
H27
0歳
52
44
48
32
121
96
63
49
284
221
1歳
65
55
48
40
134
120
66
55
313
270
2歳
81
61
40
44
136
120
70
64
327
289
3歳
56
58
50
44
144
117
76
42
326
261
4歳
64
57
43
42
143
144
73
65
323
308
5歳
61
56
46
47
155
136
91
60
353
299
計
379
331
275
※各年10月1日現在住民基本台帳人口
249
833
733
439
335
1,926
77
1,648
29
上記①の計との差異
③0~5歳の人口の推移(人口ビジョン「社人研推計値」)
平成22年 平成27年 平成32年 平成37年 平成42年 平成47年 平成52年 平成57年 平成62年 平成67年
0~4歳
1,509
1,320
1,148
1,014
922
843
769
682
597
521
5歳
340
299
261
227
201
183
167
152
135
119
計
1,849
1,619
1,409
1,241
1,123
1,026
936
834
732
640
※平成22年国勢調査データによる推計
④全児童数に対する入所率
入所児童数(人)
区分
幼稚園
保育所(園)
幼稚園+保育所(園)
全児童数
(人)
入所率(%)
幼稚園
保育所(園)
幼稚園+保育所(園)
平成21年度
286
1,045
1,331
1,975
14.48%
52.91%
67.39%
平成22年度
279
1,076
1,355
1,930
14.46%
55.75%
70.21%
平成23年度
264
1,083
1,347
1,886
14.00%
57.42%
71.42%
平成24年度
264
1,063
1,327
1,811
14.58%
58.70%
73.27%
平成25年度
257
1,099
1,356
1,807
14.22%
60.82%
75.04%
平成26年度
264
1,119
1,383
1,789
14.76%
62.55%
77.31%
平成27年度
231
1,120
1,351
1,702
13.57%
65.80%
79.38%
※幼稚園:各年度5月1日現在の児童数
※保育所(園):各年度4月1日現在の児童数
※全児童数:各年4月1日現在の0~5歳の数
6
入所率推移表
入所率推移表
67.39%
67.39%
70.21%
70.21%
52.91%
52.91%
55.75%
55.75%
14.48%
14.48%
14.46%
14.46%
90.00%
90.00%
80.00%
79.38% 79.38%
77.31% 77.31%
73.27% 75.04%75.04%
71.42%
71.42% 73.27%
70.00%
65.80% 65.80%
62.55% 62.55%
60.82%
60.82%
60.00%
58.70%
57.42%
57.42% 58.70%
50.00%
80.00%
40.00%
40.00%
30.00%
30.00%
20.00%
14.58% 14.22%14.22%14.76% 14.76%
14.00% 14.58%
14.00%
13.57% 13.57%
10.00%
20.00%
0.00%
70.00%
60.00%
50.00%
10.00%
0.00%
平成21年度 平成22年度
平成22年度 平成23年度
平成23年度平成24年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
平成21年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
幼稚園
幼稚園
保育所(園)保育所(園)
幼稚園+保育所(園)
⑤こども育成課所管施設一覧表
【平成27年4月現在】
構造
建築
年月日
建築
年数
嘉穂保育所
木造(一部鉄骨)造
平屋建て
H13
14年
1,740.30
613.56
646.83
22
22年-14年=8年
碓井保育所
鉄骨平屋建て
S48
42年
7,329.25
681.62
875.05
47
47年-42年=5年
鴨生保育所
鉄筋コンクリ-ト造
1階建て
H13
14年
6,270.00
638.35
859.87
47
47年-14年=33年
山野保育所
鉄筋コンクリ-ト造
1階建て
S55
35年
4,632.66
555.77
671.22
47
47年-35年=12年
どんぐり
鉄筋コンクリ-ト造
保育所
1階建て
813.09
889.98
S63
27年
47
47年-27年=20年
308.88
328.49
施設等名
敷地面積
延床面積 建築面積
(㎡) (㎡) (㎡)
保育所
児童福祉
センタ-
3,303.81
耐用
年数
残余耐用年数
(耐用年数-建築年数)
※嘉穂保育所、鴨生保育所の起債については償還済み。(嘉穂保育所:平成24年9月償還済み、鴨生保育所:平成25年9月償還済み)
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