高純度なIGZOを安価で を安価で 高純度な 簡単に作製する方法 国立大学法人室蘭工業大学 もの創造系領域 教授 世利修美 1 従来技術とその問題点 具体的な情報は不明であるが、 In2O3,Ga2O3,ZnOの混合物を1500℃以上で 長時間焼成する方法 エネルギー消費が大きく、また焼結体の結晶 粒の粗大化や機械的強度の低下が起こる 等の問題がる。 2 背景 InGaZnO4 スマートフォンや液晶ディスプレイに使用 3種の金属In,Ga,Znからなる複合酸化物 主に固相法で作製されている 腐食合成法で作製する 3 目的 一般的な製造方法 問題点 固相法 液相法 金属酸化物を混合し焼成 省エネ、長時間等 腐食合成法 4 用いた金属と薬品 (99.99% In) (99.99% Ga) (99.9% Zn) 用いる薬品の純度で IGZOの純度が決まる。 (60% HNO3) (99% 8-hq) 5 腐食合成法の3つの例 溶解 pH調整 洗浄 乾燥 焼成 ①HCl +NaOH HCl 5ml In,Ga,Zn 各8.7mmol NaOH 適量 1200℃ ②HNO3 +NaOH HNO3 10ml In,Ga,Zn 各8.7mmol NaOH 適量 1200℃ ③HNO3 +8 8-HQ HNO3 10ml In,Ga,Zn 各0.87mmol 8-HQ 50g 1200℃ 6 3つの実施例の結果 焼成温度:1200℃ ●InGaZnO4 ●ZnGa2O4 Intensity, I arbitrary units ①6000 HCl +NaOH 4000 ●InGaZnO4 ●NaO2 ②HNO3 +NaOH 2000 ③HNO3 +8 8-HQ 0 20 ●InGaZnO4 30 40 50 60 Scattering angle,2θ / degree 70 80 7 8-hqを用いた を用いたIGZO作製のフローチャート 作製のフローチャート を用いた ① 硝酸(10 ml)中にIn(0.1023 g), Ga(0.0620 g), Zn(0.0565 g)を投入し,約313 Kで86.4 ks間加熱撹拌を行い、完全に溶解した. ② その後,50 mlのイオン交換水を投入し透 明な水溶液を得た. ③ さらにhq粉末47 g(900 s間隔で5 g)を溶液 に投入し86.4 ks間撹拌を行った. ④ 粉末を投入すると透明な溶液から粘性の ある黄色の溶液に変化した. ⑤ 得られた液体をろ紙によるろ過を行った 後、86.4 ks間風乾させ黄色の粉末を得た. ⑥ その後,各温度で焼成を行い白色の粉末 を得た. 8 8-hqの特性 の特性 ①ほとんどすべての金属イオンと安定なキレート錯体を形成する。 化合物 pKsp 適用pH範囲 色 In(hq)3 31.3 4~12 黄色 Ga(hq)3 32.1 3.1~11.5 黄色 Zn(hq)2・2H2O 24.3 4.6~13.6 緑黄色 (In、Ga、Zn複合酸化物ができるはず) ②8-hqは多くの金属イオンと反応するが選択性に乏しい。 (共沈反応が期待できる) ③8-hq(C9H7NO)は有機物として燃やすことができる。 (後処理としての精製処理が不要となる) In(hq)3+Ga(hq)3+2Zn(hq)2・2H2O → In2O3+Ga2O3+2ZnO +x(H2O+CO2+NO2) → In2O3・Ga2O3・2ZnO → 2(InGaZnO4) 9 作製風景 In,Ga,Zn金属をHNO3で溶解 8-hqを添加し錯体形成 錯体をろ過後、乾燥 乾燥錯体を1200度で焼成 10 XRD解析 4000 ● ● ● ● 800℃〜1200℃において 3500 InGaZnO₄の結晶相が 確認された Intensity, I/arbitrary units 3000 ● ● ● ● ● 1000 ● ● ● ● ● ● ●● ● ● ● ● ● ● ●● ● ●● 1000℃ ● ●● ● ● ● ●● 800℃ 500 0 20 1200℃ ●● ● ● 2000 1500 SEM観察 ● ● ● 2500 InGaZnO4 600℃ 40 60 80 縦軸 : X線強度 横軸 : 回折角 100 Scattering angle, 2θ /degree 11 焼成粉末のSEM観察 焼成温度:1200℃ 10μm 1μm 1μm前後の球形の粒⼦を確認した 葉状の形をした数⼗ミクロンの⼤きな粉末ができた 葉状の物質は球形粒⼦が合体したものである 12 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の問題点であった、省エネを改良す ることができた。 • 主に固相法で作製されていたが、液相法の1つ である腐食合成法を用いてIGZOを作製できる ことができた。 • 腐食合成法は「混ぜる」、「煮る」、「焼く」と言っ た簡単なプロセスであるため、高純度のIGZO を安価に大量に生産できる。 • 本技術の適用により、生産コストはおよそ1/10 程度まで削減されることが期待される。 13 想定される用途 本技術の特徴を生かすためには、 • 省エネタイプのIGZOの製造法として適用する メリットが大きいと考えられる。 • また、IGZOの高純度化も期待される。 • 新しい無機合成法の1つとして腐食合成法に 着目すると、複酸化物ナノ材料やセラミックス 作製といったIGZO分野以外の分野に展開す ることも可能と思われる。 14 実用化に向けた課題 • IGZO粉末については、現在実験室的な作製 が可能なところまで確認済み。 • しかし、連続作製と言った大量生産の点は未 実施である。 • 今後、他成分添加のIGZOに適用していく場 合の条件設定を行っていく必要がある。 • 更なる高品質化に向けて、原料の品質(例え ば薬品の純度化)を改善できるような技術を確 立する必要がある。 15 企業への期待 • 未解決の大量生産に関しては、腐食防食学 の知識と錯体化学の技術により克服できると 考えている。 • IGZO紛体の特性評価の技術を持つ企業との 共同研究を希望する。 • 腐食合成法の開発とそのビジネス展開が可 能な企業との共同研究を行いたい。 16 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 :IGZOの作製 出願番号 :特願2015-51882 出願人 :国立大学法人室蘭工業大学 発明者 :世利修美 17 お問い合わせ先 お問い合わせ先 国立大学法人室蘭工業大学 コーディネーター 宮澤邦夫 TEL 0143-46 - 5863 FAX 0143-46 - 5879 e-mail [email protected] 18
© Copyright 2024 ExpyDoc