第6章 地震災害対策計画(PDF:1879KB)

第6章 地震災害対策計画
第6章
地震災害対策計画
第1節 目的
本計画は、地震(津波)による災害発生時の迅速かつ的確な応急対策の実施と、災害発生の
未然防止及び被害の軽減を図る予防対策を加え、震災時における町民の生命、身体及び財産の
保護を図ることを目的とする。
第2節 被害想定
1
地震の想定
北海道では北海道地域防災計画(地震防災計画編)において、北海道に被害を及ぼすと考え
られる地震を整理している。
1 海溝型地震
(1)千島海溝南部・日本海溝北部(T1~T5)
プレート間地震は、過去の地震の震源域や現在の地震活動から見て、三陸沖北部(T1)、
十勝沖(T2)、根室沖(T3)、色丹島沖(T4) 及び択捉島沖(T5)の各領域で発
生する地震に区分される。いずれもプレート境界で発生する逆断層タイプの大地震~巨大地
震である。これらの地震については地震調査研究推進本部の長期評価が出され、中央防災会
議からは強震動と津波に関する評価が示されている。なお、千島海溝におけるM(マグニチ
ュード:以下同様)8クラスのプレート間地震の平均発生間隔は72.2年とされている。
(2) 500年間隔地震(T6)
根室地域から十勝地域にかけての津波堆積物調査の結果、この地域では過去約6,500
年間に10数回の巨大津波が発生したことが確認されている。この約500年間隔の津波堆
積物に対応した地震(「500年間隔地震」)についての地震動は明らかではないが、津波
の資料から見れば、この地震は根室半島から十勝沖の領域までまたがって繰り返し発生した
プレート間地震と考えられている。中央防災会議によれば、M8.6の超巨大地震が予想さ
れている。直近のものは17世紀初めに発生しており、既に約400年経過していることか
ら、ある程度切迫性があるとみられている。
(3)日本海東縁部(T7~T10)
日本海の東縁部にもプレート境界があると考えられており、その境界には東西方向の圧縮
力のために「歪み集中帯」と呼ばれる活断層・活褶曲帯が形成されている。ここでは,北海
道南西沖、積丹半島沖及び留萌沖の領域で歴史地震があり、逆断層型の地震が起きている。
これらの領域とサハリン西方沖の間の北海道北西沖は歴史的に大地震が知られていない領
313
第6章 地震災害対策計画
域である。なお、これらは太平洋側の海溝型地震に比べ発生間隔は長いと考えられている。
(4)プレート内のやや深い地震(P1~P3)
陸側プレートの下に沈み込んだ海洋プレートが、深さ100kmほどのところで破壊して
発生する地震で、釧路沖の1993年M7.5や北海道東方沖M8.2の地震等がある。震
源域を同じくする繰り返し発生は確認されておらず、同様のメカニズムで発生する陸域近く
のやや深い領域の地震として、釧路沖(P1)、厚岸直下(P2)、日高中部(P3)を想
定する。
2 内陸型地震
道内の主要起震断層として地震調査研究推進本部が評価を発表しているのは、以下の11の
活断層帯である。M7以上のいずれも浅い(20km以浅)逆断層型の地震が想定される。
(1)石狩低地東縁断層帯主部(N1)
(2)サロベツ断層帯(N2)
(3)黒松内低地断層帯(N3)
(4)当別断層(N4)
(5)函館平野西縁断層帯(N5)
(6)増毛山地東縁断層帯(N6)
(7)十勝平野断層帯(N7)
(8)富良野断層帯(N8)
(9)標津断層帯(N9)
(10)石狩低地東縁断層南部(N10)
(11)沼田-砂川付近の断層帯(N11)
図 想定される地震
3 その他
上記のほか、青森県西方沖、チリ沖等において発生する地震、津波、また、火山活動に伴う
地震、津波に対しても注意を要する。
314
第6章 地震災害対策計画
2
地震の被害想定
想定地震による被害想定結果の内、被害想定の基本量である建築物被害、人的被害の結果を
表に示す。なお、被害の最大・最小とは、計算を行ったパターン中における全道分の被害量で
ある。
図
震源の位置
315
第6章 地震災害対策計画
表
被害想定
木造住宅全壊棟数(棟)
死傷者数(人)
計算パ
最大
ターン
震度
10
7
2,040
1,339
2,059
813
②十勝平野断層帯主部
8
7
5,971
4,044
5,033
3,758
③十勝平野断層帯光地園断
10
7
486
165
293
242
④富良野平野断層帯西部
10
7
2,534
787
1,627
1,253
⑤富良野平野断層帯東部
10
7
690
265
707
378
⑥増毛山地東縁断層帯
10
7
12,696
5,006
18,054
3,419
⑦沼田-砂川付近の断層帯
10
7
11,593
7,675
5,119
3,852
⑧当別断層
10
7
2,125
791
4,192
2,154
6,033
1,708
11,550
4,676
10,628
5,754
14,984
7,079
地震(断層)名
1)①標津断層帯
最大
最小
最大
最小
石狩低地東
⑨主部(北)
10
6強
縁断層帯
⑩主部(北)深さ3km
10
7
⑪主部(南)
10
6強
280
98
1,798
832
⑫主部(南)深さ3km
10
7
927
688
3,068
1,911
⑬南部
5
7
5,115
2,310
11,904
2,483
⑭南部 深さ3km
5
7
9,682
4,299
14,143
3,879
⑮黒松内低地断層帯
10
7
1,028
379
715
465
⑯函館平野西縁断層帯
10
7
4,075
2,217
3,477
2,422
⑰サロベツ断層帯
5
7
940
680
612
479
⑱サロベツ断層帯 北延長
5
7
2,589
1,429
1,121
700
2)①西札幌背斜に関連する断層
1
7
32,596
-
22,265
-
②月寒背斜に関連する断層
1
7
44,437
-
34,318
-
③野幌丘陵断層帯
2
7
17,549
17,068
23,264
22,898
3)①根室沖・釧路沖
1
6強
271
-
1,225
-
②十勝沖
1
6強
2,694
-
8,637
-
③三陸沖北部
1
6強
356
-
4,036
-
④北海道北西沖
6
7
3,768
1,613
3,420
619
⑤北海道西方沖(積丹半島沖)
3
6強
39
1
1,077
33
⑥北海道南西沖
3
7
2,011
745
4,904
1,596
⑦北海道留萌沖(走向N193°E)
3
7
6,401
108
15,502
1,541
⑧北海道留萌沖(走向N225°E)
3
7
8,384
3,024
18,257
9,070
5
6強
189
0
668
3
5
6強
57
0
195
3
4)①網走沖(北見大和堆)
②紋別沖(紋別沖構造線)
316
第6章 地震災害対策計画
3
津波の想定
北海道では、津波発生時における住民の避難対策の強化を図るとともに、北海道沿岸地域に
影響を及ぼす海域の地震による津波に対する対策の強化を図るため、想定される最大地震津波
に対応した本道沿岸域における詳細な津波浸水予測及び被害想定を行っている。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を踏まえ、津波堆積物調査等の科学的知見に
より、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの津波の想定を行い、太平洋沿岸から想定の見直
しに取り組んでいくものとした。
1 津波浸水予測・被害想定調査の実施(平成18年度)
北海道太平洋沿岸地域の日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による津波は、広範囲に影響を
及ぼすものであることから、平成18年度に表に示す北海道に影響の大きい地震津波について、
中央防災会議の専門調査会で検討された断層パラメータを用いて、津波の伝播状況、津波水位、
遡上(浸水)状況を予測するとともに、この結果に基づき被害想定計算を行っている。
平成18年度に太平洋沿岸西部地区(渡島総合振興局管内から胆振総合振興局管内に至る沿
岸市町)の調査を完了したが、東日本大震災を踏まえ、次の2のとおり、平成24年度に太平
洋沿岸における新たな津波浸水予測を行っている。
(1)道想定の調査対象の震源断層パラメータ
断層帯
十勝沖・釧路沖の地震
三陸沖北部の地震
500 年間隔地震
地震モーメント
2.86×1021
5.56×1021
9.10×1021
8.24
8.43
8.57
563
1284
1388
14610.23
32650.12
33834.34
深さ0~10km
-
1.47
9.81
深さ10~16km
-
2.05
5.75
深さ16~32km
4.50
3.11
7.23
深さ32km~
3.01
4.01
7.00
Mo(Nm)
モーメントマグニチュードMw
要素断層数
断層面積S(km2)
平均す
べり量
D(m)
注)地震モーメント:マグニチュードがほぼ等しい場合でも、地震波の進み方、方向により震度が大きく異な
る場合がある。マグニチュードを定める方法の一つとして地震モーメントを使用することが金森博雄によ
り1977年に提唱されている。地震モーメントは断層運動としての地震の大きさに対応する量である。
モーメントマグニチュード:断層運動の地震モーメントから求めたマグニチュード
Mw=(logMo-9.1)/1.5(Mo:地震モーメント)
平均すべり量:D=Mo/μ・S(Mo:地震モーメント、μ:剛性率、S:震源断層面積)
317
第6章 地震災害対策計画
道の調査結果では、本町では最大で2~2.5m程度の津波が想定される(資料編:資料3
0参照)
。また、道の調査では、津波に対する住民意識が低い場合と高い場合によって、被害
に大きな差が出ることが想定されている。したがって、他の防災機関との連携や広報活動等に
より、津波対策について十分な広報・学習活動が求められている。
2 新たな津波浸水予測の実施(平成24年度)
東日本大震災を踏まえ、あらゆる可能性を踏まえた最大クラスの津波の想定に取り組むこと
とし、これまでに北海道太平洋沿岸で発見された津波堆積物の最新データを基に、できるだけ
安全サイドに立って北海道太平洋沿岸の最大クラスの津波浸水予測を行っている。
町としては、このような想定を十分考慮するととともに、過去の被害の経験を踏まえ、本章
計画で対策を講ずることとする。
資料編:資料23
資料編:資料30
町の過去の災害
津波浸水予測
318
第6章 地震災害対策計画
第3節 災害予防計画
地震・津波による災害の発生及び拡大の防止を図ることを目的に、町、道及び防災関係機関
は、災害予防対策を積極的に推進するとともに、町民及び事業所は、平常時より災害に対する
備えを心がけるよう努めるものとする。
1
町民の心構え
平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災や平成23年3月の東日本大震災の経験を踏まえ、
町民は、自らの身の安全は自らが守るのが基本であるとの自覚を持ち、平常時より災害に対す
る備えを心がけるとともに、災害時には自らの身の安全を守るよう行動することが重要である。
地震・津波発生時に、町民は、家庭又は職場等において、個人又は共同で、人命の安全を第一
として混乱の防止に留意しつつ、地震・津波災害による被害の発生を最小限にとどめるために
必要な措置をとるものとし、その実践を促進する町民運動を展開することが必要である。
1 家庭における措置
(1) 平常時の心得
ア
地域の避難場所・避難経路及び家族の集合場所や連絡方法を確認する。
イ
崖崩れ、津波に注意する。
ウ
建物の補強、家具の固定をする。
エ
火気器具の点検や火気周辺の可燃物に注意する。
オ
飲料水や消火器の用意をする。
カ
非常持出品の備蓄に当たっては、第4章第4節「物資及び防災資機材等の整備・確保
に関する計画」に基づくものとする。
キ
地域の防災訓練に進んで参加する。
ク
隣近所と地震時の協力について話し合う。
(2) 地震発生時の心得
ア
まずわが身の安全を図る。
イ
特に緊急地震速報を見聞きしたときには、まわりの人に声をかけながら周囲の状況に
応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する。
ウ
火災の予防措置については、第4章第7節1「4火災の予防」に基づくものとする。
エ
あわてて戸外に飛び出さず出口を確保する。
オ
狭い路地、塀のわき、崖、川べりには近寄らない。
カ
山崩れ、崖崩れ、津波、浸水に注意する。
キ
避難は徒歩で、持物は最小限にする。
ク
みんなが協力し合って、応急救護を行う。
ケ
正しい情報をつかみ、流言飛語に惑わされない。
319
第6章 地震災害対策計画
サ 秩序を守り、衛生に注意する。
2 職場における措置
(1)平常時の心得
ア 消防計画、予防規程等を整備し、各自の役割分担を明確にすること。
イ 消防計画により避難訓練を実施すること。
ウ とりあえず身を置く場所を確保し、ロッカー等重量物の転倒防止措置をとること。
エ 重要書類等の非常持出品を確認すること。
オ 不特定かつ多数の者が出入りする職場では、入場者の安全確保を第一に考えること。
(2)地震発生時の心得
ア 火災の予防措置については、第4章第7節1「4火災の予防」に基づくものとする。
イ 職場の消防計画に基づき行動すること。
ウ 職場の条件と状況に応じ、安全な場所に避難すること。
エ 正確な情報を入手すること。
オ 近くの職場同士で協力し合うこと。
カ マイカーによる出勤、帰宅等は自粛すること。また、危険物車両等の運行は自粛する
こと。
3 駅やデパート等の集客施設でとるべき措置
(1)館内放送や係員の指示がある場合は、落ち着いてその指示に従い行動すること。
(2)あわてて出口・階段等に殺到しないこと。
(3)吊り下がっている照明等の下からは退避すること。
4 街等屋外でとるべき措置
(1)ブロック塀の倒壊や自動販売機の転倒に注意し、これらのそばから離れること。
(2)ビルからの壁、看板、割れたガラスの落下に備え、ビルのそばから離れること。
(3)丈夫なビルのそばであれば、ビルの中に避難すること。
5 運転者のとるべき措置
(1)走行中のとき
ア 走行中に車内のラジオ等で緊急地震速報を聞いたときは、後続の車が緊急地震速報を
聞いていないおそれがあることを考慮し、ハザードランプを点灯する等周りの車に注
意を促した後、緩やかに停止させること。
イ 走行中に大きな揺れを感じたときは、急ハンドル、急ブレーキを避ける等、できるだ
320
第6章 地震災害対策計画
け安全な方法により、道路の左側に停止させること。
ウ
停止後は、ラジオ等で地震情報や交通情報を聞き、その情報や周囲の状況に応じて行
動すること。
エ
車を置いて避難するときは、できるだけ道路外の場所に移動しておくこと。やむを得
ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せて駐車し、エンジンを切り、エ
ンジンキーを付けたままとし、窓を閉め、ドアはロックしないこと。駐車するときは、
避難する人の通行や、災害応急対策の実施の妨げとなるような場所には駐車しないこ
と。
(2)避難するとき
被災地域では、道路の破壊、物件の散乱等のほか、幹線道路等に車が集中することにより
交通が混乱するので、やむを得ない場合を除き、避難のため車を使用しないこと。
6 津波に対する心得
(1)一般住民
ア
強い揺れ又は弱くても長い時間ゆっくりとした揺れを感じたときは、迅速かつ自主的
にできるだけ高い場所に避難する。
イ 「巨大」等の定性的表現となる大津波警報が発表された場合は最悪の事態を想定して
最大限の避難等防災対応をとる。
ウ
津波の第一波は引き波だけでなく押し波から始まることもある。
エ
津波は第二波・第三波等の後続波の方が大きくなる可能性や数時間から場合によって
は一日以上にわたり継続する可能性がある。
オ
強い揺れを伴わず、危険を体感しないままに押し寄せる、いわゆる津波地震や遠地津
波の発生の可能性がある。
カ
津波警報等の意味や内容、地震発生直後に発表される津波警報等の精度には一定の限
界がある。
キ
津波警報等の発表時にとるべき行動について知っておく。
ク
沖合の津波観測に関する情報の意味や内容、この情報が発表されてから避難するので
はなく避難行動開始のきっかけは強い揺れや津波警報等である。
ケ
正しい情報をラジオ、テレビ、無線等を通じて入手する。
コ
津波注意報でも、海水浴や磯釣りは危険なので行わない。
サ
津波は繰り返して襲ってくるので、警報・注意報解除まで気をゆるめない。
(2)船舶関係者
ア
強い揺れ(震度4程度以上)を感じたとき又は弱い揺れであっても、長い時間ゆっく
りとした揺れを感じたときは、直ちに港外(※1、※2)に避難する。
イ
揺れを感じなくても、津波特別警報・警報・注意報が発表されたら、直ちに港外(※1、
321
第6章 地震災害対策計画
に避難する。
※2)
ウ 正しい情報をラジオ、テレビ、無線等を通じて入手する。
エ 港外(※2)避難できない小型船は、高い所に引き上げて固縛する等最善の措置をとる。
カ 津波は繰り返して襲ってくるので、警報・注意報解除まで警戒をゆるめず、海浜等に
近づかない。
※1 港外:水深の深い、広い海域
※2 港外退避、小型船の引き揚げ等は、時間的余裕がある場合のみ実施。
(3)漁業地域
ア 陸上・海岸部にいる人は、陸上の避難場所に避難する。決して漁船や海を見に行かな
い。漁港にいる漁船等の船舶の乗船者も陸上の避難場所に避難する。
イ 漁港周辺にいる漁船等の船舶で避難海域に逃げる方が早い場合、又は沖合にいる漁船
等の船舶は、直ちに水深概ね50m以深の海域(一次避難海域)へ避難する。一次避
難海域に避難するまでの間に気象庁からの津波情報を入手し、「大津波警報」が出さ
れた場合、更に水深の深い海域(二次避難海域)へ避難する。
ウ 避難判断は、独自の判断では行わず、津波特別警報・警報・津波注意報が解除される
まで避難海域で待機する。
資料編:資料60
2
避難海域図
地震に強いまちづくり
町は、地震に強いまちづくりに取り組むために、次の予防対策の推進に努めるものとする。
1 建築物等の安全化の促進
(1)町は、不特定多数の者が使用する施設及び学校並びに医療機関等の応急対策上重要
な施設について、耐震性の確保に充分配慮する。
(2)町は住宅をはじめとする建築物の耐震性の確保を促進するため、基準の遵守の指導
等に努める。
(3)町は、既存建築物の耐震診断・耐震補強・不燃化等の促進に努める。
資料編:資料25参照(鹿部町の建築年別住家棟数)
(4)町は、建築物の落下物対策及びブロック塀等の安全化対策に努める。
(5)町は、鹿部町耐震改修促進計画に基づき既存建築物の耐震化の推進に努める。
2 公園等の整備
町は、震災時における避難場所・災害応急対策活動拠点等として防災上重要な役割を果
たす公園、広場を防災まちづくりの一環として、より充実整備に努める。
322
第6章 地震災害対策計画
3 避難場所の計画的な整備促進
町は、災害応急対策の実施拠点や避難場所となる公立学校施設等の防災拠点となるべき
公共施設の耐震化・不燃化等の計画的な整備促進に努める。
4 津波ハザードマップの作成及び周知
地震防災対策特別措置法第14条の規定に基づき、資料30「津波浸水予測」により、
津波ハザードマップの作成に努める。
5 主要交通の強化
町は、防災関係機関等の協力を得て、道路、橋梁、漁港等の基幹的な交通施設等の整備
に当たって、耐震性の強化や多重性・代替性を考慮した耐震設計やネットワークの充実に
努める。
6 通信・上水道等の機能の強化
町は、防災行政無線等通信施設や上水道施設等の機能の確保を図るため、震災時応急体制の
確保、主要設備の耐震化、復旧体制の整備、資機材の備蓄等に努める。
7 ライフライン施設等の機能の確保
(1)町及び防災関係機関及びライフライン事業者は、上下水道、工業用水道、電気、ガス、
電話等のライフライン施設及び灌漑用水、営農飲雑用水等のライフライン代替施設の
機能の確保を図るため、主要設備の耐震化、震災後の復旧体制の整備、資機材の備蓄
等に努める。特に、3次医療機関等の人命に関わる重要施設への供給ラインの重点的
な耐震化を進めるものとする。
(2)町及び防災関係機関は、関係機関と密接な連携を取りつつ、ライフライン共同収容施
設としての共同溝、電線共同溝等の整備等に努める。
(3)町及び防災関係機関においては、自ら保有するコンピューターシステムやデータのバ
ックアップ対策を講じるとともに、企業等における安全確保に向けての自発的な取組
を促進する。
8 復旧対策基地の整備
町は、震災後の復旧拠点基地、救援基地となる都市公園等の整備に努める。
323
第6章 地震災害対策計画
9 液状化対策
町、防災関係機関及び公共施設等の管理者は、施設の設置に当たって、地盤改良等により
液状化の発生を防止する対策や液状化が発生した場合においても施設の被害を防止する対
策等を適切に実施するほか、大規模開発に当たって十分な連絡・調整を図る。
また、個人住宅等の小規模建築物についても、液状化対策に有効な基礎構造等についてパ
ンフレット等による普及を図る。
10 危険物施設等の安全確保
町及び防災関係機関は、石油コンビナート等の危険物施設等及び火災原因となるボイラー
施設等の耐震性の確保、緩衝地帯の整備及び防災訓練の積極的な実施等を促進する。
11 災害応急対策等への備え
町及び防災関係機関は、災害復旧・復興を迅速かつ円滑に行うために必要な備えを行うこ
ととする。
また、町は、地震等が発生した場合に備え、災害応急対策活動拠点として、災害対策車両
やヘリコプター等が十分活動できるグラウンド・公園等を確保し、周辺住民の理解を得る等
環境整備に努める。
3
津波に強いまちづくり
(1)津波からの迅速かつ確実な避難を実現するため、やむを得ない場合を除き、徒歩による
避難を原則として、地域の実情を踏まえつつ、できるだけ短時間で避難が可能となるよ
うなまちづくりを目指すものとする。
(2)町は,浸水の危険性の低い地域を居住地域とするような土地利用計画、できるだけ短時
間で避難が可能となるような避難場所・津波避難ビル等及び避難路・避難階段等の整備
等、都市計画と連携した避難関連施設の計画的整備や民間施設の活用による避難関連施
設の確保,建築物や公共施設の耐浪化等により,津波に強いまちの形成を図るものとす
る。
(3)町は,地域防災計画等の計画相互の有機的な連携を図るため,関係各課による共同での
計画作成、まちづくりへの防災専門家の参画等,津波防災の観点からのまちづくりに努
めるものとする。また、職員に対して,ハザードマップ等を用いた防災教育を行い,日
常の計画行政の中に防災の観点を取り入れるよう努めるものとする。
(4)町は、老朽化した社会資本について、その適切な維持管理に努めるものとする。
324
第6章 地震災害対策計画
4
予防対策の推進
町は、地震による災害発生の未然防止や被害の軽減を図る予防対策として、本章第3節「災
害予防計画」の定めるところにより、各種予防対策の計画的な推進を図るものとする。
(1)地震、津波等による災害が予想される重要警戒区域及び整備計画については、第4章第
1節「重要警戒区域及び整備計画」の定めるところにより、予防対策等の推進に努める。
(2)積雪時における地震の発生の場合、積雪による避難場所、避難道路等の確保に支障が生
じることが懸念されるため、第4章第16節「雪害対策計画」の定めるところにより、
雪害対策等の推進に努める。
(3)地震に起因して発生する多発火災、大規模火災、危険物火災等を防止するため、地震時
における出火の未然防止、初期消火の徹底等の火災予防対策等については、第4章第1
節「重要警戒区域及び整備計画」
、第4章第13節「消防計画」の定めるところにより、
予防対策等の推進に努める。
(4)地震災害応急対策を円滑に実施するため、第4章第3節「防災訓練計画」の定めるとこ
ろにより、単独又は関係機関と緊密な連絡をとり各種の防災訓練を実施し、地震防災に
ついての知識及び技能の向上並びに防災意識の普及と向上に努める。
(5)地震防災諸活動を円滑に行い、かつ地震防災の成果をあげることを目的として、第4章
第2節「防災思想・知識の普及・啓発及び防災教育の推進に関する計画」の定めるとこ
ろにより、防災関係者及び町民に対して災害予防及び応急対策等の防災知識の普及・啓
発に努める。
(6)地震発生時における要配慮者の安全の確保については、第4章第10節「避難行動要支
援者等の要配慮者に関する計画」の定めるところにより、予防対策等の推進に努める。
(7)町民は、第4章第7節「町民の心構え」の定めるところにより、「自らの身の安全は自
らが守る。
」
「備えあれば憂いなし。」が基本であるとの自覚をもち、平常時より地震災
害に対する備えを心掛けるとともに、災害時には自らの身の安全を守るよう行動するこ
とに努めるものとする。
また、地震災害発生時には、家庭又は職場において、個人又は共同で、人命の安全を第
一として混乱の防止に留意しつつ、災害による被害を最小限に止めるための必要な措置
をとるものとする。
(8)地震災害発生の防止や災害発生時の被害の軽減を図るため、「自分達の地域は自分達で
守る。
」という精神のもとに町民や事業所等が自主防災組織を結成、活動することが極
めて重要であり、第4章第8節「自主防災組織育成指導計画」の定めるところにより、
その普及啓発及び指導育成の推進に努める。
(9)津波対策の対象地域は、原則として海岸区域の全域とし、その災害予防対策に関しては
次のとおりとする。
325
第6章 地震災害対策計画
ア
津波予報受伝達に関する対策
・津波予報の正確な伝達を図るため、予報の種類並びに標識(サイレン等)について必
要な機会を通じて、その周知徹底を図るものとする。
・特に津波警報等の迅速かつ確実な伝達を期するため、防災行政無線施設による連絡体
制の確認を行うとともに、広報車、消防車、サイレン等の広報媒体の確保を図るもの
とする。
・各防災関係機関は、地震配備体制に基づく休日、夜間の配備も含め、迅速な情報伝達
を可能とする組織体制を確立するものとする。
・各防災関係機関は、情報伝達系統、伝達先を再確認し、常に関係団体等の協力が得ら
れるよう、連携を密にすること。
イ
津波予報と標識
津波予報と標識については、第3章第4節「気象警報等の伝達計画」5「地震動予報
及び警報等 3地震情報及び津波情報(3)
「津波警報・注意報の発表基準」
、
(4)
「津
波予報の発表基準」によるものとする。
ウ
津波避難、退避に関する対策
・沿岸地域住民、海浜来場者、船舶関係者等の早期かつ迅速な避難、退避の実施を確保
するため、地域団体、鹿部漁業協同組合等との協調連絡体制を強化し、緊急を要する
場合は、自主的に避難誘導措置が講じられるよう指導を実施する。
・小型船舶の避難、安全性を確保するため、早期の沖合避難、係留船の係留綱補強措置、
引き上げ固縛措置等の指導を実施する。
エ 津波防災意識の啓発、広報、訓練に関する対策
・
「地震、イコール津波、即避難」の認識が沿岸地域に限らず、全町民の津波に対する
共通意識として定着するよう、第3節1「町民の心構え」6「津波に対する心得」を
基本とし、必要な機会を通じて啓発に努め、その周知を徹底する。
・広報紙、防災パンフレット、テレビ、ラジオ等の広報媒体を活用するとともに、防災
訓練等の機会をとらえて、津波に関する正しい知識、認識の啓発、対策の周知等を積
極的に広報するものとする。
・沿岸地域を重点とした津波避難、誘導訓練には、地域住民を積極的に参加させる。
326
第6章 地震災害対策計画
5
津波災害予防計画
地震による津波災害の予防及び防止に関する計画は、次のとおりである。
1 基本的な考え方
津波災害対策の検討に当たっては、
(1)発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波
(2)最大クラスの津波に比べて発生頻度が高く、津波高は低いものの大きな被害をもた
らす津波の二つのレベルの津波を想定することを基本とする。
最大クラスの津波に対しては、住民等の生命を守ることを最優先として、住民等の
避難を軸に、そのための住民の防災意識の向上及び海岸保全施設等の整備、浸水を
防止する機能を有する交通インフラ等の活用、土地のかさ上げ、避難場所・津波避
難ビル等や避難路・避難階段の整備・確保等の警戒避難体制の整備、津波浸水想定
を踏まえた土地利用・建築規制等を組み合わせるとともに、臨海部の産業・物流機
能への被害軽減等、地域の状況に応じた総合的な対策を講じるものとする。
また、比較的頻度の高い一定程度の津波に対しては、人命保護に加え、住民財産の
保護、地域の経済活動の安定化、効率的な生産拠点の確保の観点から、海岸保全施
設等の整備を進めるものとする。
2 津波災害に対する予防対策
津波の発生を予知し、防御することは極めて困難なことであるが、この予防対策として過
去の被害状況や道が調査研究した「津波浸水予測図」、国が調査した「浸水予測図」等を参
考として、町は、避難場所・経路や同報系防災行政無線等住民への多重化、多様化された情
報伝達手段の整備を図るとともに、住民が安全かつ迅速な避難行動を取れるよう、津波避難
計画や津波ハザードマップの周知徹底に努めるほか、地震・津波防災上必要な教育及び広報
を継続的に推進するものとする。
(1) 津波等災害予防施設の整備
町及び国、道は、次により災害予防施設の整備を実施するとともに、地震発生後の防御
機能の維持のため、耐震診断や補強による耐震性の確保を図るものとする。
ア
海岸保全対策
町及び国、道は、高波、高潮及び津波による災害予防施設として、防潮堤防、防潮護岸
等の海岸保全施設事業を実施する。
また、防潮扉・水門等管理者は適切に管理をするとともに、水門や陸閘の自動化や遠隔
操作化を図る等、津波発生時における迅速、的確な開閉に万全を期するものとする。
327
第6章 地震災害対策計画
(2) 津波警報等、避難指示等の伝達体制の整備
ア 津波警報等の迅速かつ確実な伝達
町は、住民等に対する津波警報等の伝達手段として、走行中の車両、運行中の列車、
船舶、海水浴客、釣り人、観光客等にも確実に伝達できるよう、防災行政無線、北海道
防災情報システム、全国瞬時警報システム(J-ALERT)、テレビ、ラジオ(コミ
ュニティFM放送を含む。)、携帯電話(緊急速報メール機能を含む。)、ワンセグ等
のあらゆる手段活用を図るとともに、海浜地での迅速かつ確実な伝達を確保するため、
サイレン、広報車等多様な手段を整備する。
また、船舶については、特に小型漁船を重点として無線機の設置を促進する。
イ 伝達協力体制の確保
町長は、沿岸部に多数の人出が予想される施設の管理者(鹿部漁業協同組合、海水浴
場の管理者等)、事業者(工事施工管理者等)及び自主防災組織の協力を得て、津波警
報等の伝達協力体制を確保する。
ウ 津波警報等災害情報伝達訓練の実施
津波警報等を迅速かつ的確に伝達するため、町及び防災関係機関は、北海道防災会議
が行う災害情報伝達訓練に積極的に参加するほか、独自に訓練を企画し実施するものと
する。
エ 町
町は、地域住民等に対し、各種講演会等各種普及啓発活動を通じ、津波に対する防災
意識の高揚を図るとともに、防災関係機関、地域住民、事業所等が一体となり要配慮者
にも配慮した津波警報等伝達、避難誘導、避難援助等の実践的な津波防災訓練を実施す
る。
オ 学校等教育関係機関
沿岸地域の学校等教育関係機関は、児童生徒が津波の特性を正しく理解するため、防
災教育の一環として、津波防災教育を行うとともに津波避難訓練を実施する。
6
火災予防計画
地震に起因して発生する多発火災及び大規模火災の拡大を防止するため、地震時における出
火の未然防止、初期消火の徹底等火災予防のための指導の徹底及び消防力の整備に関する計画
は、次のとおりである。
328
第6章 地震災害対策計画
1 地震による火災の防止
地震時の火災発生は、使用中の火気設備等によるものが多いことから、町及び道は、地震
時の火の取り扱いについて指導啓発するとともに、南渡島消防事務組合火災予防条例に基づ
く火気の取り扱い及び耐震自動消火装置付石油ストーブを使用するよう指導を強化する。
2 火災予防の徹底
火災による被害を最小限に食い止めるためには、初期消火が重要であるので、町及び道は、
地域ぐるみ、職場ぐるみの協力体制と強力な消防体制の確立を図る。
(1)一般家庭に対し、予防思想の啓発に努め、消火器の設置促進、消防用水の確保を図る
とともに、これらの器具等の取り扱い方を指導し、地震時における火災の防止と初期
消火の徹底を図る。
(2)防災思想の啓発や災害の未然防止に着実な成果をあげるため、地域の自主防災組織、
婦人防火クラブ、少年消防クラブ等の設置及び育成指導を強化する。
(3)ホテル、病院等、一定規模以上の防火対象物に対し、法令の基準による消防用設備等
の設置を徹底するとともに、自主点検の実施及び適正な維持管理の指導を強化する。
3 予防査察の強化指導
町は、消防法に規定する立入検査を対象物の用途、地域等に応じて計画的に実施し、常に
当該区域の消防対象物の状況を把握し、火災発生危険の排除に努め、予防対策の万全な指導
を図る。
(1) 消防対象物の用途、地域等に応じ計画的に立入検査を実施する。
(2) 消防用設備等の自主点検の充実及び適正な維持管理の指導を強化する。
4 消防力の整備
近年の産業、経済の発展に伴って、高層建築物、危険物施設等が増加し、火災発生時の人
命の危険度も増大していることから、町は、消防施設及び消防水利の整備充実を図るととも
に、消防職員の確保、消防技術の向上等により、消防力の整備充実を図る。
あわせて、地域防災の中核となる消防団員の確保、育成強化及び装備等の充実を図り、消
防団活動の活性化を推進する。
5 消防計画の整備強化
町の消防機関は、防火活動の万全を期するため、消防計画を作成し、火災予防について次
の事項に重点を置く。
(1)消防力等の整備
329
第6章 地震災害対策計画
(2)災害に対処する消防地理、水利危険区域等の調査
(3)消防職員及び消防団員の教育訓練
(4)査察その他の予防指導
(5)その他火災を予防するための措置
330
第6章 地震災害対策計画
第4節 災害応急対策計画
地震(津波)による災害発生時に、第5章「災害応急対策計画」の定めるところにより、迅
速かつ的確な応急対策を実施し、町民の生命、身体及び財産の保護を図るものとする。
1
災害対策本部の設置
町長は、地震による災害が発生し、又は津波のおそれがある場合、第3章第2節「災害対策
本部」の定める設置基準に基づき、災害対策本部を設置し、防災関係機関と密接な連携のもと
応急活動体制を確立し、応急対策を実施するものとする。
1 災害対策本部設置基準
災害対策本部設置基準
地震
津波
2
1,町内域に震度5弱以上の地震が発生したとき。
2,町内に地震による被害が発生したとき、又は発生するおそれがあるとき。
1,本町沿岸に「津波警報」が発表されたとき。
2,町内に津波による被害が発生したとき、又は発生するおそれがあるとき。
災害情報連絡室の設置・廃止等及び設置基準
町長は、地震が発生し、又は津波のおそれがある場合、次の設置基準により、「鹿部町災害
情報連絡室」を短期間設置する等の体制をとるものとする。
災害情報連絡室の体制及び廃止の時期については、町長がその都度必要に応じて判断し、指
示をするものとする。
設置基準
1,災害が発生するおそれがあり、災害情報の収集や災害対策を要する事態の発生等に備え速
やかな連絡体制の確保等を要するとき。
2,町内域に震度4の地震が発生したとき。
3,本町沿岸に「津波注意」の津波注意報が発表されたとき。
4,災害対策本部廃止後も、災害発生後の情報等収集や再度対策を要する事態の発生等に備え
速やかな連絡体制の確保を要するとき。
331
第6章 地震災害対策計画
3
災害対策本部の配備体制
配備基準及び配備体制は、次のとおりとする。
1 第1非常配備
(1)配備時期
ア 本町域に震度4の地震が発生したとき。
イ 本町沿岸に「津波注意」の津波注意報が発表されたとき。
(2)配備体制
情報連絡及び災害が発生した場合に速やかに対処するための少数の人員をもって当たるも
ので、状況により次の配備体制を円滑に移行できる体制とする。
(3)担当対策部
総務・防災対策部を担当対策部とする。なお、災害の種類及び態様により、次の配備体制に
円滑に移行するため、総務・防災対策部長の判断で水産経済対策部及び建設水道対策部を含め
た配備体制に適宜修正することができる。
2 第2非常配備
(1)配備時期
ア 本町域に震度5弱の地震が発生したとき。
イ 本町沿岸に「津波」の津波警報が発表されたとき。
(2)配備体制
災害の発生とともに関係各対策部所要の人員をもって速やかに災害応急活動が開始できる
体制とする。又は、各対策部の全員とする。
(3)担当対策部
総務・防災対策部、水産経済対策部、建設水道対策部を担当対策部とする。なお、災害の種
類及び態様により、次の配備体制に円滑に移行するため、総務・防災対策部長の判断で文教対
策部及び民生対策部を含めた配備体制に適宜修正することができる。
3 第3非常配備
(1)配備時期
ア 本町域に震度6弱以上の地震が発生したとき。
イ 本町沿岸に「大津波」の津波特別警報が発表されたとき。
332
第6章 地震災害対策計画
(2)配備体制
各対策部の全員をもって当たるもので、状況によりそれぞれの災害応急活動が迅速にできる
体制とする。
(3)担当対策部
全対策部
4 各対策部の活動体制の確立
災害対策本部が設置されると同時に、各対策部及び班の活動体制が速やかに確立されるよう
各対策部長は、その所掌する業務内容についての活動要領を作成し、平常時から職員に周知徹
底をする。
5 本部連絡員
総務・防災対策部長が必要と認めたときは、本部に本部連絡員をおく。本部連絡員は、各対
策部の災害に関する情報及び応急対策の実施状況をとりまとめて本部又は現地指揮本部に報
告するとともに、本部からの連絡事項を各対策部に伝達する。
6 本部情報収集責任者
本部の設置と同時に本部情報収集責任者は、総務・防災対策部職員のうちから総務・防災対
策部長が指名する。
本部情報収集責任者は、災害情報の収集及び本部長からの指令の伝達に当たる。
333
第6章 地震災害対策計画
4
地震情報及び津波情報の伝達系統
334
第6章 地震災害対策計画
5
津波予報等の伝達系統
335
第6章 地震災害対策計画
6
情報収集及び伝達
第5章第2節「災害通信計画」の定めるところにより、防災関係機関の通信機能を総動員
し、情報の収集及び伝達を行う。
1 海面監視
強い揺れの地震(震度4程度以上)を感じたときは、直ちに海面状態の変化を監視する
ものとする。
海面監視は、鹿部消防署の協力を得て、各漁港(鹿部漁港・本別漁港・本別漁港出来澗
分区)において海面状況の把握を行うことを基本とする。なお、監視の実施に当たり、海
面監視地点での監視が危険であると判断した場合は、高台等の安全な場所から監視するも
のとする。
海面監視地点
実施対策部(機関)
連絡手段
伝達先
鹿部漁港
鹿部消防署
防災行政無線等
総務・防災対策部
本別漁港
水産経済対策部
防災行政無線等
総務・防災対策部
本別漁港
水産経済対策部
防災行政無線等
総務・防災対策部
建設水道部
防災行政無線等
総務・防災対策部
出来澗分区
町内海岸
2 避難の勧告、指示等
町長は、大津波警報(特別警報)
・警報が発表された場合又は海面監視により異常現象を
発見した場合、海浜等にある者、海岸付近の住民に対して、直ちに退避し、安全な場所に
避難するよう勧告又は指示を行う。また、津波来襲が切迫している場合にあっては、必要
に応じて最寄りの高い建物等に緊急避難するよう指示するものとする
町長が災害の発生により、避難の勧告、指示を行うことができない場合は、知事が避難
のための立ち退きの勧告、指示に関する措置の全部又は一部を町長に代わって実施するも
のとする。
津波特別警報・警報の伝達に当たっては、防災行政無線、サイレン等多様な手段を活用
して行う。
3 異常現象を発見した場合の通報
異常現象を発見した者は、直ちに町長又は警察官、若しくは海上保安官に通報する。
また通報を受けた町長は速やかに道及び函館地方気象台等関係機関に通報する。
336
第6章 地震災害対策計画
(1) 異常気象
・地震に関する事項
頻発地震、異常音響及び地変
・水象に関する事項
異常潮位又は異常波浪
337
第6章 地震災害対策計画
(2)通報系統図
338
第6章 地震災害対策計画
7
通信連絡体制
1 通信連絡の方法
災害時の通信連絡は、第5章第2節「災害通信計画」の定めるところによる。
2 無線局の確保
無線固定局、基地局を災害から極力守り、無線の安全を確保する。停電の場合は、発電
機等により電力を供給し通信を確保する。
3 移動無線局、携帯無線局
町及び防災関係機関等のもつ移動無線局、携帯無線局を活用し、有効適切な通信連絡体
制を確保する。
資料編:資料45
防災行政無線移動系各局
4 被害状況等の調査・報告
通信途絶時には、災害現地の実態を把握するため、対策本部は災害の実情に応じて各対
策部の班員を派遣して、第5章第1節「災害情報収集・伝達計画」の4「被害状況等の報
告」により、被害状況等を調査・報告させる。
5 機動力による連絡体制の確立
交通及び電話等の通信不能地域の災害状況を把握するため、ヘリコプター、船舶、車両、
オートバイ、自転車等の機動力を動員する連絡体制を確保する。
6 放送局、新聞社、無線関係者との協力体制の確立
放送局、新聞社との情報連絡体制を緊密にするとともに、北海道地方非常通信協議会の
組織やアマチュア無線局等の協力を得て、通信の万全を図る。
7 放送の優先利用
知事及び町長は、緊急を要する場合で特別の必要があるときは、関係放送局に災害に関
する通知、要請、伝達又は警告等の放送を依頼することができる。放送を依頼された放送
局は、最も有効かつ適切な方法で関係地域全般に周知徹底するよう努めるものとする。
339
第6章 地震災害対策計画
8
広報活動
防災行政無線施設、広報車等の諸設備は、突発時においても直ちに放送、出動できるよう、
平常時から点検、整備を行い、職員の動員体制を確立し、災害時初動広報の万全を期するもの
とする。
1 広報の内容
(1)津波に関する情報(特別警報・警報・注意報、危険区域等)
(2)避難場所等について(避難場所の位置、経路等)
(3)医療救護所の開設状況
(4)火災状況(発生箇所、避難指示等)
(5)交通、通信状況(交通機関運行状況、不通箇所、開通見込時間、道路交通状況、通
信途絶区域等)
(6)電気、ガス、水道施設の状況(被害状況、復旧状況、営業状況、注意事項等)
(7)給食、給水の実施状況(供給日時、場所、量、対象者等)
(8)衣料、生活必需品等供給状況(供給日時、場所、種類、量、対象者等)
(9)道路、河川、漁港、橋梁等土木施設状況(被害状況、復旧状況等)
(10)住民の心得及び社会秩序保持のための必要事項
なお、大地震の後は、混乱が生じ、人心が不安定な状況にあるので、情報を広
報するときは、住民の不安を助長することのないよう充分留意する。
2 広報の方法
防災行政無線施設、広報誌、広報車等を利用し、第5章第4節「災害広報・情報提供計
画」に定めるところにより、迅速かつ適切な広報を行うものとする。
9
消火対策
1 消火活動
災害対策本部は、第4章第13節「消防計画」及び第9章第8節「林野火災対策計画」
の定めるところにより、関係機関との連絡調整を図り相互に応援協力して、消火活動を行
う。
2 危険物の保安対策
(1)火薬類
関係機関と緊密な連絡をとり、火薬類を取り扱う製造業者、販売業者及び消費者に対
し、製造、運搬、消費及び火薬庫の一時使用停止等の対策を講ずる。
340
第6章 地震災害対策計画
(2)石油類及び薬品
災害により引火爆発等のおそれがある場合、施設関係者及び関係機関と緊密な連絡の
もとに、立入禁止区域の設定及び区域内住民に対する避難立退きの指示、勧告をする。
(3)放射性物質
医療機関と緊密な連絡をとり、危険場所の認知等を行い、汚染区域の拡大防止を図る。
また、大量放出又はそのおそれがある場合は、危険区域内の住民等の避難誘導に当たる
とともに、立入禁止区域を設定する。
10 避難対策
1 避難勧告又は指示
町長は、地震の発生に伴う災害により住民に危険が切迫していると認めたときは、危険
地帯の住民に対し、第5章第6節「避難対策計画」に定めるところにより、速やかに避難
先を明示して立退き勧告又は指示をする。
2 周知の方法
(1)防災行政無線施設による。
(2)広報車、消防車等による。
(3)消防団、自主防災組織等により行う戸別訪問による。
(4)北海道防災情報システムによる。
(5)全国瞬時警報システム(J-ALERT)による。
(6)テレビ・ラジオによる。
(7)携帯電話(緊急速報メール機能を含む)による。
(8)ワンセグによる。
(9)前記の方法が不可能な場合は、口頭等最も適切な方法により周知する。
3 周知の内容
(1)避難対象地域及び避難先
(2)避難経路、避難理由その他注意事項
4 避難誘導
避難立退きに当たって、避難誘導者は円滑な立退きについて適宜指導する。その際、自力避
難の困難な要配慮者に関しては、その実態を把握しておくとともに、事前に援助者を定めてお
く等の支援体制を整備し、危険が切迫する前に避難できるよう十分配慮する。
また、避難誘導に当たる者の安全の確保に努めるものとする。
341
第6章 地震災害対策計画
(1)避難誘導者
避難者の誘導は、災害対策本部が、消防署、消防団及び警察官等の協力を得て行うもの
とする。
(2) 避難の順位
避難をさせる場合は、高齢者、障がい者、外国人、乳幼児、妊産婦等の要配慮者を優先
的に避難させるものとする。
また、町長は、平常時から要配慮者の人数等の把握に努めるものとする。
(3)避難の方法
避難の方法は次の区分とするが、町長は、災害の規模、避難開始の時期、交通状況等を
考慮し、状況に応じた有効・適切な避難方法を指示するものとする。
ア 自力避難
徒歩、車両(自家用車等)により、住民が自力で、指定緊急避難場所へ避難するもの。
イ 救出避難
残留地域住民、負傷した住民等を危険地帯から救出し、指定緊急避難場所へ避難させ
るもの。
ウ 集団避難
指定緊急避難場所に集合した住民等を、災害対策輸送車両により、集団的により安全
な避難場所及び地域へ避難させるもの。
5 避難場所の選定基準
第5章第6節「避難対策計画」の定めるところにより、指定緊急避難場所及び指定避難所
へ安全を確認のうえ収容する。
資料編:資料38
資料編:資料39
資料編:資料40
ヘリコプター離発着可能場所
指定緊急避難場所一覧
指定避難所一覧
資料編:資料42
資料編:資料43
資料編:資料44
火山噴火における第一次避難場所
避難収容施設管理様式
避難収容施設位置図及び避難道路図
342
第6章 地震災害対策計画
11 津波応急対策
1 津波情報等の収集に関する対策
(1)防災関係機関は、地震を感じた場合は、即時にテレビ・ラジオの聴取体制を確立する
とともに、インターネット等により的確な情報収集に努めるものとする。
(2)町長は、気象台の発表する津波予報によるほか、強い地震(震度4程度以上)を感じ
た場合又は弱い地震であっても長い時間ゆっくりとした揺れを感じた場合で津波予報
が発表されないときであっても、潮位観測等海面の監視並びに警戒に当たり異常発見
に努めるものとする。
(3) 強い地震により津波情報等が発令された場合には、直ちに海面状態の変化を監視する。
監視に当たっては、安全な場所から監視できる体制を確立するものとする。
2 津波情報等の伝達に関する対策
(1)町長及び各関係機関は、津波予報及び海面監視情報等を早期に掌握し、防災行政無線
施設、広報車、消防車、サイレン等により、各沿岸地域、河川流域周辺を重点として、
迅速、的確な情報伝達活動を実施し、テレビ・ラジオ・メール、町等の情報に注意す
るよう呼びかけるものとする。
(2)津波情報の伝達に当たり、津波の発生、襲来が確実視された場合は、規模の大小に拘
わらず、海浜からの早期退避を併せて呼びかけるものとする。
3 避難の勧告、指示等に関する対策
(1)町長は、津波注意報が発表された場合は、潮位の測定及び海面監視を行い、被害を伴
う津波の発生が予想される場合は、地域住民に対して避難立退きの勧告・指示等必要
な処置を取るとともに、海浜の遊客(釣り人等)に対し避難の伝達に努めるものとす
る。
(2)町長は、津波警報が発表された場合は、時機を失することなく、直ちに沿岸地域住民
に対し、防災行政無線施設、広報車、消防車、口頭等あらゆる方法により避難の伝達
を行うものとする。
(3)避難の勧告指示に当たっては、津波警報の内容、海面の状態、地震による護岸等の損
壊状況等から総合的に判断し、沿岸の要避難地域を優先的に実施するものとする。
(4)津波情報の伝達は、町内会等及び鹿部漁業協同組合等の協調、協力を得て、組織的に
実施するものとする。
343
第6章 地震災害対策計画
12 救助対策
1 被災地域における救助救出活動
町及び森警察署は、職員の安全確保を図りつつ、緊密な連携のもとに被災地域を巡回し、
救助救出を要する者を発見した場合は、救助関係機関及び住民の協力を得て、被災者の救出、
救護を実施する。
特に、発災当初の72時間は、救命・救助活動において極めて重要な時間帯であることを
踏まえ、人命救助及びこのために必要な活動に人的・物的資源を優先的に配分するものとす
る。
2 海上における海上救助救出活動
第一管区海上保安本部は、海上災害が発生した場合、速やかに巡視船艇及び航空機により、
海上における遭難者の救助活動を実施する。
3 住民等による救出救助活動
住民等による救出は、原則として消防団が主体となって実施するが、消防団による救出が
非常に困難な場合は、住民等による自主的救助活動を促進する。
(1)付近住民に対する協力要請
防災行政無線施設、広報車、消防車、報道機関等により隣保精神に訴え、救助活動の積極
的な協力を呼びかける。
(2)住民組織等に対する協力要請
第3章第3節「住民組織等の活用」の定めるところにより、町内会、日赤奉仕団、女性団
体、青年団体、民間防災組織等に対し、協力を要請する。
(3)住民に対する従事命令
町長は、基本法第65条の規定に基づき、救助活動の従事協力を命ずることができる。
4 自衛隊の派遣要請
町長は、緊急に多数の住民を救出救助する必要があると認めた場合は、第5章第31節「自
衛隊災害派遣要請及び派遣活動計画」の定めるところにより、知事(渡島総合振興局長)へ
自衛隊の派遣要請を依頼する。
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第6章 地震災害対策計画
13
医療救護対策
町長は、第5章第18節「医療救護計画」の定めるところにより、保健福祉対策部に出動
を指示するとともに、被災状況により、渡島医師会、国立、道立の医療機関、日本赤十字社
北海道支部等に協力を要請する。
14 給水対策
町長は、第5章第12節「給水計画」の定めるところにより実施し、震災時における応急
給水に万全を期する。
15
防疫等保健衛生対策
町長は、第5章第19節「防疫計画」
、第20節「廃棄物等処理計画」の定めるところによ
り実施し、震災時における防疫等保健衛生対策に万全を期する。
16
食料供給対策及び衣料、生活必需品等物資供給対策
町長は、第5章第11節「食料供給計画」
、第14節「衣料、生活必需品等物資供給計画」
の定めるところにより実施し、震災時における食料の調達、供給及び衣料、生活必需品等の
確保、供給を迅速かつ的確に行う。
17
行方不明者の捜索、遺体の収容処理及び埋葬対策
町長は、第5章第25節「行方不明者の捜索及び遺体の収容処理並びに埋葬計画」の定め
るところにより実施する。
18
障害物除去対策
町長は、第5章第26節「障害物除去計画」の定めるところにより実施し、震災時におけ
る住民の生活安定と道路機能等の確保を図る。
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第6章 地震災害対策計画
19 被災建築物安全対策
町長は、被災建築物による二次災害を防止するため、地震により被災した建築物等の当面
の使用の可否を判定し、所有者等に知らせる応急危険度判定士(北海道震災建築物応急危険
度判定士認定制度要綱を参照のこと。
)による応急危険度判定の実施を、北海道及び建築関係
団体の協力を得て行う。
応急危険度判定の活動体制は、次のとおりとする。
1 応急危険度判定の基本的事項
(1)判定対象建築物
原則として、全ての被災建築物を対象とするが、被害の状況により判定対象を限定するこ
とができる。
(2)判定開始時期、調査方法
地震発生後、できる限り早い時期に、主として目視により、被災建築物の危険性について、
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の構造種別ごとに調査表により行う。
(3)判定の内容、判定結果の表示
被災建築物の構造駆体等の危険性を調査し、
「危険」、「要注意」、「調査済」の3段階で判
定を行い、赤「危険」
、黄「要注意」
、緑「調査済」の3色の判定ステッカーに、対処方法等
の所要事項を記入し、当該建築物の出入口等の見やすいところに貼付する。
なお、3段階の判定内容は、次のとおりである。
・危 険「赤」
:建築物の損傷が著しく、倒壊等の危険性が高い場合であり、使用及び
立ち入りができない。
・要注意「黄」
:建築物の損傷は認められるが、注意事項に留意することにより立ち入
りが可能である。
・調査済「縁」
:建築物の損傷が少ない場合である。
(4)判定の効力及び変更
応急危険度判定は、行政機関による情報の提供であり、応急的な調査であること、また、
余震等で被害が進んだ場合あるいは適切な応急補強が行われた場合には、判定結果が変更さ
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第6章 地震災害対策計画
れることがある。
20 その他必要な対策
(1)その他必要な対策については、第5章「災害応急対策計画」の各節に定めるところによ
り実施し、震災時の応急対策に万全を期する。
(2)近地地震の自衛措置
地震の震源地が近い場合、気象台から発表される津波警報前に津波が襲来することも予
測されるので、地震発生と同時に海岸、漁港へ職員及び消防職員を安全確保に留意のうえ
派遣し、海面の異常等を監視して自衛措置体制の確立を図る。
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第6章 地震災害対策計画
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