Economic Indicators 定例経済指標レポート 指標名:家計調査(2015年12月) 発表日:2016年1月29日(金) ~10-12月期の消費は期待外れ~ 担当 実質消費支出 合計 (二人以上世帯) 前年比 除く住居等(※) 前月比 第一生命経済研究所 経済調査部 副主任エコノミスト 高橋 大輝 TEL:03-5221-4524 (単位:%) 消費性向 (勤労者世帯) 実質可処分所得 (勤労者世帯) 前年比 前月比 前年比 1月 1.1 1.0 1.0 2.1 ▲ 0.5 2月 ▲ 2.5 ▲ 0.7 ▲ 2.2 ▲ 2.3 ▲ 1.3 3月 7.2 10.9 8.6 9.8 ▲ 3.2 4月 ▲ 4.6 ▲ 13.8 ▲ 6.6 ▲ 13.6 ▲ 7.0 5月 ▲ 8.0 ▲ 2.9 ▲ 6.4 0.5 ▲ 3.4 6月 ▲ 3.0 1.8 ▲ 3.7 0.6 ▲ 8.0 7月 ▲ 5.9 ▲ 0.1 ▲ 6.3 ▲ 0.3 ▲ 5.2 8月 ▲ 4.7 ▲ 0.1 ▲ 3.4 1.2 ▲ 5.2 9月 ▲ 5.6 1.1 ▲ 5.8 ▲ 0.2 ▲ 5.9 10月 ▲ 4.0 0.7 ▲ 2.0 0.9 ▲ 2.4 11月 ▲ 2.5 0.4 ▲ 0.9 0.6 ▲ 3.9 12月 ▲ 3.4 0.2 ▲ 2.1 0.2 ▲ 0.3 2015 1月 ▲ 5.1 ▲ 0.3 ▲ 4.7 ▲ 0.3 ▲ 2.5 2月 ▲ 2.9 0.8 ▲ 3.3 ▲ 1.4 ▲ 0.5 3月 ▲ 10.6 2.4 ▲ 9.6 2.8 ▲ 1.1 4月 ▲ 1.3 ▲ 5.5 1.4 ▲ 3.5 2.3 5月 4.8 2.4 3.7 2.1 1.5 6月 ▲ 2.0 ▲ 3.0 ▲ 1.4 ▲ 2.6 1.7 7月 ▲ 0.2 0.6 1.1 1.1 5.0 8月 2.9 2.5 1.9 1.5 1.8 9月 ▲ 0.4 ▲ 1.3 ▲ 0.9 ▲ 1.8 ▲ 1.2 10月 ▲ 2.4 ▲ 0.7 ▲ 2.4 ▲ 0.4 ▲ 0.3 11月 ▲ 2.9 ▲ 2.2 ▲ 2.9 ▲ 1.8 ▲ 2.5 12月 ▲ 4.4 1.0 ▲ 4.3 1.0 ▲ 3.1 (出所)総務省「家計調査報告」 ※「住居」、「自動車購入」、「贈与金」、「仕送り金」を除いている 前月比 2014 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 季調値 1.4 1.3 0.3 3.3 3.0 3.2 1.0 0.5 0.4 2.0 0.9 2.3 0.6 0.7 0.9 0.1 2.2 3.1 4.2 3.5 3.3 2.8 3.1 1.7 75.3 75.3 84.4 74.6 71.3 74.8 75.0 73.6 75.1 74.2 75.5 73.8 74.6 72.9 76.5 73.0 74.3 73.7 71.4 74.3 74.6 73.3 73.2 72.9 ○10-12 月期の消費は期待外れ 本日総務省から発表された 12 月の家計調査によれば、実質消費支出は前年比▲4.4%(コンセンサス:同 ▲2.3%、レンジ:同▲4.9%~▲1.2%)と市場予想を下回った。前月比では+1.0%と4ヶ月ぶりの増加だ が、これまでの減少を一部取り戻したに過ぎず弱い結果だ。10-12 月期は前期比▲1.9%と減少、水準でみ ても消費税率引き上げによる反動減が顕在化した 2014 年4-6月期を下回っている。振れの出やすい項目を 除いた「除く住居等」をみても、12 月は前年比▲4.3%、前月比+1.0%、10-12 月期は前期比▲2.0%と結 果はほとんど変化がなく、消費の低調さを示している。 10-12 月期の実質小売業販売額(実質化、季節調整は筆者)が前期比▲0.2%、消費財出荷が同+0.9%と なったことを合わせて考えると、家計調査の弱さは割り引いた方がいいと思われるが、10-12 月期の個人消 費が期待外れなものであったことは確かだろう。 なお、12 月の賞与は前年比▲3.5%と、家計調査としては3年ぶりの減少となった。毎月勤労統計の結果 が待たれるが、冬のボーナスの低迷が 12 月の消費の重荷となった可能性が示唆されよう。 ○項目別の動向 項目別に 12 月の実質消費指数(季節調整値)をみると、10 項目中5項目が減少と項目数で見れば半々と なった。増加に寄与した項目をみると、「住居」が前月比+9.9%と高い伸びとなったほか、「保険医療」 (同+3.2%)で高めの伸びが続いたことが押し上げとなった。また、「食料」が3ヶ月連続の増加と緩やか 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 な改善傾向にある。 一方、減少となった項目は、「交通・通信」(同▲7.6%)、「光熱・水道」(同▲6.6%)、「教養娯楽」 (同▲2.8%)、「教育」(同▲3.0%)、「被服及び履物」(同▲2.8%)だ。「交通・通信」は自動車購入 の減少を背景に、5ヶ月連続の減少となった。商業動態統計でも自動車小売業の不振が目立つなど、新車販 売の低調さが窺える。「被服及び履物」は3ヶ月連続の減少、減少幅も大きい。11 月、12 月は暖冬による冬 物衣料の苦戦が逆風となったとみられるが、水準は過去最低まで落ち込んでおり不振は深刻だ。 以上のように、実質消費支出は4ヶ月ぶりの増加となったものの懸念材料は山積しており、先行きにも大 きな期待がしづらい。 ○個人消費は引き続きリスクは下振れ 個人消費を取り巻く環境を俯瞰すると、雇用者数は好調を維持しており、雇用に先行する新規求人数は高 水準にあることを踏まえれば、雇用環境は良好な状態が続くだろう。賃金についても、大部分を占める所定 内給与は前年比プラスが続いており、ベア効果の顕在化や労働需給の逼迫を背景に当面は緩やかな増加基調 が続くとみている。2016 年の賃上げ率は鈍化が予想されるが、賃金の増加基調は持続可能だろう。こうした 雇用所得環境の改善が後押しとなることで、個人消費は緩やかな改善基調を辿ると見込んでいる。ただし、 家計の節約志向は依然根強く消費の抑制に繋がることが懸念される上、消費者マインドは1月の株価急落に よって悪化した可能性がある。こうした懸念材料が残存していることから個人消費は、引き続き下振れリス クの方が高い。 2010=100 115 実質消費支出(季節調整済) 実質消費支出 120 115 110 実質消費指数 110 除く住居等 105 105 100 100 95 90 95 被服及び履物 85 80 90 12 13 14 15 10 (出所)総務省「家計調査」 賞与の推移 (前年比、%) 15 11 12 13 14 15 (出所)総務省「家計調査」 年末賞与(毎月勤労統計) 実質消費支出 (前年比、%) 8 12月賞与(家計調査) 6 4 10 2 5 0 -2 0 -4 -6 -5 -8 -10 選択的支出 基礎的支出 実質消費支出 -10 -12 -15 01 02 03 04 05 (出所)総務省、厚生労働省 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 12 13 14 15 (出所)総務省「家計調査」 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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