2015年11月 - 第一生命保険

Economic Indicators
定例経済指標レポート
指標名:商業動態統計(2015年11月)
発表日:2015年12月28日(月)
~11月の消費は不調~
担当
第一生命経済研究所 経済調査部
副主任エコノミスト 高橋 大輝
TEL:03-5221-4524
(単位:%)
商業販売額
前年比
2014
2015
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
4.4
2.5
8.5
3.4
1.0
0.6
0.1
1.6
1.6
0.3
2.7
1.4
2.7
3.3
8.3
2.5
1.9
1.1
0.1
0.3
2.1
0.7
1.7
卸売業
前月比
小売業
前年比
1.8
▲ 1.8
7.0
▲ 10.3
2.6
▲ 0.2
0.6
▲ 1.5
2.8
▲ 0.9
▲ 1.6
0.8
0.5
▲ 2.4
1.4
0.4
▲ 1.9
3.0
▲ 0.4
▲ 1.8
0.8
0.5
▲ 2.5
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
4.4
2.0
7.5
3.0
1.3
0.5
0.1
2.8
1.3
0.1
4.1
2.0
3.1
4.0
7.7
1.5
4.1
1.1
0.7
0.8
2.9
1.8
2.0
前月比
2.8
▲ 1.6
4.0
▲ 9.4
2.0
▲ 0.3
0.9
▲ 0.5
1.7
0.0
▲ 0.8
0.1
2.3
▲ 3.4
▲ 1.0
0.5
▲ 3.0
3.6
0.0
▲ 0.5
▲ 0.6
2.1
▲ 2.7
前年比
4.4
3.6
11.0
▲ 4.3
▲ 0.4
▲ 0.6
0.6
1.2
2.3
1.4
0.5
0.1
▲ 2.0
▲ 1.7
▲ 9.7
4.9
3.0
1.0
1.8
0.8
▲ 0.1
1.8
▲ 1.0
百貨店・スーパー
前月比
1.6
0.1
6.5
▲ 13.4
3.8
0.9
0.6
1.2
1.7
▲ 0.6
0.0
0.0
▲ 1.9
0.7
▲ 1.8
0.3
1.7
▲ 0.6
1.4
0.0
0.8
1.2
▲ 2.5
前年比
0.7
2.4
17.0
▲ 6.0
▲ 0.5
▲ 1.2
0.3
2.8
1.7
1.0
1.9
0.7
0.6
2.0
▲ 12.3
9.5
6.3
0.6
3.2
2.6
2.6
4.0
▲ 0.8
既存店
前年比
0.0
1.4
16.2
▲ 6.7
▲ 1.2
▲ 1.8
▲ 0.6
1.6
0.5
0.0
1.1
0.1
0.0
1.3
▲ 13.0
8.6
5.3
▲ 0.3
2.1
1.8
1.7
2.9
▲ 1.5
百貨店
スーパー
既存店
既存店
前年比
前年比
3.3
▲ 1.8
2.9
0.6
25.3
11.1
▲ 9.9
▲ 5.1
▲ 1.9
▲ 0.8
▲ 2.3
▲ 1.5
▲ 0.4
▲ 0.7
2.0
1.4
1.8
0.0
0.2
▲ 0.1
1.5
0.9
0.6
▲ 0.2
▲ 0.4
0.2
3.5
0.2
▲ 17.7
▲ 10.1
13.7
6.3
6.3
4.8
0.4
▲ 0.6
3.6
1.2
2.7
1.4
1.9
1.6
4.2
2.3
▲ 2.6
▲ 0.9
○11 月の消費は不調
経済産業省から発表された 11 月の小売業販売額は、前年比▲1.0%(コンセンサス:同▲0.1%、レンジ:
同▲1.6%~+2.1%)とコンセンサスを下回った。季節調整値でみても、前月比▲2.5%の大幅減少だ。11
月は全国的に降水量が多かったなど、天候要因が下押しに繋がった可能性があるものの、それを差し引いて
も弱い結果だろう。経済産業省による基調判断は「持ち直しの動きがみられる」から「一部に弱さがみられ
るものの横ばい圏」に下方修正された。
物価の影響を考慮した実質小売業販売額(実質化、季節調整は筆者)は、前月比▲1.6%と5ヶ月ぶりに減
少し4か月分の増加分を吐き出す形となった。10-11 月平均は、7-9月平均比+0.2%とほぼ横ばいにま
で低下した。11 月の消費は弱く、足元の消費が低調であるといえよう。
○業種別の推移
小売業販売額(名目、季節調整値)の内訳をみると、7業種中6業種が減少と内容も悪かった。最も下押
しとなったのは「自動車小売業」(前月比▲5.7%)だ。「自動車小売業」は 10 月に大幅増加し底打ち期待
感があったものの、11 月はそれ以上の減少となり、均してみても減少傾向が続いている。新車販売台数をみ
ると、普通乗用車は横ばい圏の推移となる中、小型乗用車がやや軟調、軽乗用車は 15 年4月に水準を切り下
げて以降苦戦が続くなど芳しくない状況が続いている。また、「織物・衣服・身の回り品小売業」(同▲
6.4%)、百貨店を含む「各種商品小売業」(同▲3.0%)は降水量の多さが下押しに繋がったとみられるほ
か、平均気温が高く推移したことが逆風となり冬物衣料が低調に推移したようだ。「燃料小売業」は同▲
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
3.1%と、原油価格の下落を背景に4ヶ月連続の減少となった。その他、「飲食料品小売業」が同▲1.6%、
「医薬品・化粧品小売業を含むその他小売業」が同▲1.9%と減少した。
一方で、「機械器具小売業」が前月比+4.7%と増加したものの、均してみれば横ばい圏の推移が続いてい
る。以上のように、11 月の小売業販売額は内容も悪く、10-12 月期の個人消費に大きな期待はしづらい状況
となっている。
○先行きは引き続き慎重な見方が必要
先行きの個人消費は、雇用所得環境の改善が下支えとなることで緩やかな改善基調を辿るという見方に変
更はない。雇用者数は増加基調を維持しており、雇用に先行する新規求人数は高水準にあることを踏まえれ
ば、雇用環境は先行きも良好な状態が続くだろう。賃金については、大部分を占める所定内給与は前年比プ
ラスが続いており、ベア効果の顕在化や労働需給の逼迫を背景に当面は緩やかな増加基調が続くとみている。
一方で、家計の節約志向は依然根強いこと、冬のボーナスも減少した可能性が高いことなど、懸念材料も
尽きない。また、消費者マインドは改善の兆しがみられるものの、供給側のマインドである景気ウォッチャ
ー(小売)は足元で大幅に悪化するなどまちまちの結果だ。以上のように、先行きの個人消費を考える上で
雇用所得環境の改善が続いていることは心強いが、懸念材料も多い。引き続き、個人消費の回復ペースにつ
いては慎重な見方が必要だろう。
小売業販売額(季調値)
(2010=100)
(2010年=100)
商業販売額指数
(自動車小売業、季調値)
115
115
110
実質
110
名目
105
100
105
95
90
100
85
80
95
3ヶ月移動平均
75
90
70
10
11
12
13
14
15
(出所)経済産業省、総務省
(注)実質小売業販売額指数の実質化、季節調整は第一生命経済研究所
(2010年=100)
123
商業販売額指数
(織物・衣服・身の回り品小売業、季調値)
12
13
14
15
48
消費者態度指数と景気ウォッチャー調査(季調値)
46
65
60
44
3ヶ月移動平均
118
11
(出所)経済産業省
55
42
50
113
40
45
108
38
103
40
36
98
35
34
消費者態度指数(郵送調査)
32
93
30
景気ウォッチャー(小売関連、右軸)
30
88
11
12
(出所)経済産業省
13
14
15
12
13
14
(出所)内閣府
(注)景気ウォッチャー調査の季節調整は筆者
25
15
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。