第3期藤井寺市地域福祉計画 素 案 平成28年2月 藤井寺市 目 次 第1章 計画策定にあたって .............................................................................................. 1 1.計画策定の背景 ......................................................................................................... 1 2.地域福祉とは ............................................................................................................. 3 3.計画の位置づけ ......................................................................................................... 6 4.計画期間 .................................................................................................................... 8 5.計画の策定体制 ......................................................................................................... 8 6.本市の地域特性 ......................................................................................................... 9 7.第2期計画の取り組みの成果と今後に向けた課題 .................................................. 15 第2章 計画の基本理念 ................................................................................................... 18 1.基本理念 .................................................................................................................. 18 2.基本目標 .................................................................................................................. 18 3.重点施策 .................................................................................................................. 20 4.施策の体系 .............................................................................................................. 23 第3章 施策の展開 .......................................................................................................... 24 1.福祉への理解を深め、身近で相談できるまち ......................................................... 24 2.地域でつながり、支え合うまち .............................................................................. 28 3.安心・安全で、誰もが住みやすいまち.................................................................... 31 第4章 計画の推進と進行管理 ........................................................................................ 34 1.計画の推進体制 ....................................................................................................... 34 2.計画の進行管理 ....................................................................................................... 35 資料編 ................................................................................................................................ 36 用語の説明...................................................................................................................... 36 i ※資料編の「用語の説明」にて説明を行っている用語は、右上に※を付けています。 ii 第1章 計画策定にあたって 第1章 計画策定にあたって 1.計画策定の背景 近年、少子化・高齢化・核家族化の進行による世帯構造の変化や価値観・生活スタイル の多様化など社会環境の変化を背景として、地域住民のつながりの希薄化や地域の経済 活動の低迷などが目立つようになってきました。 そうした状況の中で、引きこもりや児童虐待、配偶者などからの暴力、高齢者の孤立死、 生活困窮者※の増加、子育て家庭における様々な問題など、新たな社会問題が浮き彫りに なってきており、さらに、災害時における支援が必要な人々への対応も重要な課題となって いるなど、地域の抱える福祉課題は多様化・複雑化し、地域における福祉は厳しい状況に 置かれています。 こうした地域社会における様々な課題を解決するには、従来の考え方や公的なサービス だけでは困難となってきており、公的サービスの充実のみならず、地域住民や各種団体、 事業者などが相互に助け合い、協働※で地域における福祉を推進していく必要があります。 国では、平成12年に社会福祉の基本法であった「社会福祉事業法」を「社会福祉法」に 改め、これからの地域福祉は特定の人に対するサービスではなく、身近な地域社会で人々 の生活課題の解決を図るものであるということが示されました。また、「これからの地域福祉 のあり方に関する研究会(厚生労働省主催)」による報告書(平成20年3月)において、地 域における「新たな支え合い」の方向性が示され、「新たな支え合い(共助)」とは、公的サ ービスで対応しきれないような地域における様々な生活課題を、そこに住む地域住民が主 体となりお互いに支え合って対応していくこととしています。 平成25年12月には、生活保護に至る前の生活困窮者※への支援を抜本的に強化する 「生活困窮者自立支援法」が成立し、平成27年4月から施行されました。この新たな制度は、 地域福祉を拡充し、まちづくりを進めていくうえで重要な施策と位置づけられており、国では、 「市町村地域福祉計画に積極的に生活困窮者自立支援方策を盛り込むことが重要であ る。」としています。 大阪府では、平成27年度から平成31年度までの5か年を計画期間とする第3期大阪府 地域福祉支援計画を策定し、 (1)地域福祉のセーフティネット※を拡げ、強くする (2)地域福祉を担う多様な人づくりをすすめる (3)地域の生活と福祉を支える基盤を強化する (4)市町村の自主性・創造性を育み、その取組みを積極的にサポートする 以上の4つの方向性に沿った取り組みを行っています。 1 第1章 計画策定にあたって 本市では、平成18年3月に「藤井寺市地域福祉計画」(以下、「第1期計画」という)、平 成23年3月に「第2期藤井寺市地域福祉計画」(以下、「第2期計画」という)を策定し、「誰 もが安心して いきいきと暮らせるまちづくり」を基本理念(これまでの計画では「基本目標」 と表記)として地域福祉を推進する様々な取り組みを展開してきました。しかし、近年の社会 情勢の変化に伴う福祉に関する市民ニーズの多様化や複雑化、社会福祉制度の改正、 「協働のまちづくり」の推進などに対応していく必要があるため、これらに応じた計画の見直 しを行うものです。 2 第1章 計画策定にあたって 2.地域福祉とは (1)地域福祉とは 地域福祉とは、地域社会(市の区域や小学校区など)を基盤にして、行政と地域住民が 協力し合い、誰もが安心して、充実した生活のできる地域社会と、それを支える福祉サービ スを作り上げていこうとする新しい社会福祉の形態です。 地域福祉において、地域住民は福祉の対象(受け手)として位置づけられるだけではなく、 福祉の担い手としても期待されます。つまり、地域福祉とは行政と地域住民が協働※して作 り上げる福祉といえます。 (2)地域福祉の考え方 「福祉」というと、高齢者福祉や障害者福祉、児童福祉といった対象者ごとに分かれてい るものを思い浮かべることが一般的です。これら分野別の福祉は、その対象者ごとに必要な 福祉サービスを提供するもので、「特定の人のため」という意味合いが強いものです。 しかし、福祉サービスのような支援を必要としているのは特定の人だけではなく、地域に 暮らす誰もが、日ごろの生活の中で何らかの問題を抱え、手助けを必要としている時があり ます。 そのような時、行政が解決すべきものや、地域でのちょっとした手助けなどで対応できる ものなど様々なものがあります。特定の人だけではなく、誰もが地域で安心して暮らしてい けるためには、 ①日ごろ身の回りで起こる問題はまず個人や家庭の努力で解決(自助)し、 ②個人や家族内で解決できない問題は隣近所の力(互助)やボランティアやNPO法人※ などの活動(共助)、で解決し、 ③地域で解決できない問題は行政で解決(公助)する、 といった、重層的な取り組みが必要となってきます。 いわば、公的な福祉サービスなどの隙間を埋めるものとして、地域住民相互の助け合い・ 支え合いの力があり、これらの「自助」「互助・共助」「公助」を組み合わせた、地域における 助け合いの仕組みが地域福祉といえます。 3 第1章 計画策定にあたって ■「自助」「互助・共助」「公助」と地域福祉計画、地域福祉活動計画の関係図 地域住民と行政の 相互協力(協働※)の領域 地域住民の主体的な活動で 対応できるもの 自 助 互 助 共 行政施策として行うべきもの (地域住民の自助努力では 解決できないもの) 助 公 地域の生活課題 関連する福祉計画 「地域ぐるみ」福祉活動 暮らしのニーズ (日常的な生活課題) 身近な困り事、 生活のしづらさ、苦労など 助 ・ 「障害者計画」 ・ 「高齢者 保健福祉計画」 「地域ぐるみ」 ・「子ども・子育て 支援事業計画」 福祉活動へ など の支援 地域福祉活動計画 地域福祉計画 ※地域福祉計画及び地域福祉活動計画の関係についてはP.6∼7にかけての「3.計画の位置 づけ」も参照してください。 ■日常的な生活課題への「自助・互助・共助・公助」対応イメージ 自助のみによる対応例 ①地域に高齢の夫婦二人暮らし 世帯がある。 ②ある日、妻が転倒して骨折し入 院、生活が一変した。 夫は妻の介助や家のことに精 一杯努力する【自助】が、ひとり だけでは対応できない。 互助・共助・公助による対応策 地域(互助・共助) こうした世帯があることを地域 で把握し、日常的に見守りをし たり、話し相手になる。 地域(互助) 近所の人が助けに来て、 救急車を呼ぶ。 地域(互助) 近所の人たちで夫の日常的な 生活の手助けをする。 …… ここまでの対応は、隣近所や身近な地域でも可能 …… ③ し ばら く し て、妻 が退 院 する が、歩行の不自由が残ってし まう。 夫は入院していた頃以上に、 妻の介助や家のことに努力す る【自助】が、日を追うごとに疲 れ果てていき、妻にきつく当た ってしまうことも見られるように なる。 行政(公助) 介護保険制度や市の保健福 祉制度によるホームヘルパー や保健師などの派遣を行って 支援していく。 地域(互助・共助) 町内会・隣近所が協力し合っ て、地域ぐるみで見守りや手 助けを行っていく。 4 第1章 計画策定にあたって (3)地域福祉ネットワークの推進 地域福祉の考え方を具体的に実践していくため、福祉課題に応じて、地域住民にとって 身近な地区自治会の班や組、隣近所、あるいは地区での地域住民による支え合いから、市 全域での総合的・専門的な取り組みなど、「自助」、「互助・共助」、「公助」を圏域として捉え、 地域福祉ネットワークの推進を図ります。 ■地域福祉を推進するための圏域のイメージ 市全域 ○ ○ ○ 総合的・ 大阪府や専門機関との連携による対応 専門的支援 子ども・高齢者・障害のある方のような分野別の福祉活動による支援 障害者支援会議など、全市的な福祉課題についての会議の開催 ブロック=おおむね小学校区(7校区) ◆おおむね小学校区を単位とした圏域です。 ○ 関係機関と連携しながらサービスを調整し提供 ○ 関係機関・団体などとのネットワーク会議 ○ 地区の課題や対応などを検討するとともに、地区間での情報交換を 行うブロック懇談会を開催 地区(45地区) ◆地区を基本とした圏域です。 ○ 区長や民生委員児童委員、福祉委員などによる当事者、家族 への相談・情報提供 ○ 見守り・声かけなどの個別援助活動 ○ いきいきサロンなどのグループ援助活動や行事・イベント 地区自治会の班や組、隣近所など 地区自治会の班や組などの日常で生活する中での小さな 圏域です。隣近所でのおつきあいや日常的な支え合いがで きる程度の範囲。 5 住民による 支え合い 第1章 計画策定にあたって 3.計画の位置づけ (1)計画の位置づけ 本計画は、社会福祉法第107条の規定に基づく「市町村地域福祉計画」であり、「藤井 寺市総合計画」を上位計画とする、地域福祉を推進することを目的に策定する計画です。 【社会福祉法(抜粋)】 (地域福祉の推進) 第4条 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動 を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が、地域社会を構成す る一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する 機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。 (市町村地域福祉計画) 第107条 市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定 める計画(以下「市町村地域福祉計画」という。)を策定し、又は変更しようとするときは、 あらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活 動を行う者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、その内容 を公表するよう努めるものとする。 1 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項 2 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項 3 地域福祉に関する活動への住民の参加促進に関する事項 また、本計画の策定にあたっては、地域福祉の方向性から「藤井寺市『協働のまちづくり』 基本指針」を踏まえるとともに、福祉の分野別計画である「藤井寺市障害者計画・藤井寺市 障害福祉計画」、「藤井寺市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(藤井寺市いきいき 長寿プラン)」、「藤井寺市子ども・子育て支援事業計画」などとの整合を図りながら、地域福 祉の観点から横断的な施策を推進するために策定します。 さらに、地域福祉の分野は、保健・医療・福祉以外にも教育をはじめ市民の生活にかか わる多様な分野からなっているため、それぞれ関連する計画や施策と相互の整合・連携を 図ります。 併せて、国の方針や大阪府の「第3期大阪府地域福祉支援計画」の考え方などを鑑み、 避難行動要支援者対策及び、新たに施行された「生活困窮者自立支援法」に基づき、地 域のセーフティネット※の核となる生活困窮者自立支援策についても盛り込んでいきます。 6 第1章 計画策定にあたって 藤井寺市総合計画 藤井寺市「協働のまちづくり」基本指針 藤井寺市障害者計画・ 藤井寺市障害福祉計画 藤井寺市高齢者保健福祉計画・ 介護保険事業計画 藤井寺市 子ども・子育て支援事業計画 連携 その他、 様々な分野の関連する計画 藤井寺市地域福祉活動計画 藤井寺市地域福祉計画 (2)藤井寺市社会福祉協議会の地域福祉活動計画との関係 藤井寺市社会福祉協議会(以下、「市社協」という)では、平成25年3月に「人々の心の つながりと支えあいのある温かなまちづくり」を基本理念として、「第2期地域福祉活動計画」 を策定しています。この計画は、市が策定した地域福祉計画と整合を図りながら、地域住民 による主体的かつ自発的な地域福祉活動を推進するための指針となる計画です。 また、この計画は、市社協の今後の事業・組織の発展強化の方向性を示したものとなっ ています。 行政が策定する地域福祉計画は、地域福祉を推進するために必要な基盤づくりや仕組 みづくりなどの計画ですが、市社協が策定する地域福祉活動計画は、地区において地域 住民の参画と協働※を具体的に進める活動・行動のための計画であり、両計画は地域福祉 の推進を共通の目的に、車の両輪として密接な連携のもとに地域福祉を進めていく必要が あります。 ※地域福祉計画及び地域福祉活動計画の関係についてはP.4の「『自助』『互助・共助』『公助』と 地域福祉計画、地域福祉活動計画の関係図」も参照してください。 7 第1章 計画策定にあたって 4.計画期間 本計画の計画期間は平成28年度から32年度までの5年間とします。なお、福祉制度の 改正などの大きな変化があった場合には、必要に応じて見直していきます。 計画名 平成 27年度 藤井寺市総合計画 第四次 計画 藤井寺市地域福祉計画 第2期 計画 平成 28年度 平成 29年度 平成 31年度 平成 32年度 後期基本計画 次期 計画 第3期計画(平成28∼32年度) 第2期計画 (平成25∼29年度) 藤井寺市高齢者保健福祉 計画・介護保険事業計画 第6期計画 (平成27∼29年度) 次期計画 次期計画 次期 計画 計画(平成27∼32年度) 藤井寺市障害者計画 第4期計画 (平成27∼29年度) 藤井寺市 子ども・子育て支援事業計画 平成 33年度 第五次計画(平成28∼35年度)/基本構想 前期基本計画(平成28∼31年度) 地域福祉活動計画 (市社協) 藤井寺市障害福祉計画 平成 30年度 次期計画 計画(平成27∼31年度) 次期計画 5.計画の策定体制 本計画の策定にあたっては、事務局を中心として第2期計画の振り返りを行うとともに、市 民参画のもと「藤井寺市地域福祉計画策定委員会」において計画策定の進め方や計画内 容などについて都度、検討・協議を行いました。その際、市民アンケート調査をはじめ福祉 関係者アンケート調査、福祉関係者懇談会、パブリックコメントなどを通じて市民参加の取り 組みを行いました。 委員 参画 藤井寺市地域福祉計画 策定委員会 計画策定の進め方や 計画内容などの提案 検討・ 協議 市民、地域団体、 保健・医療・福祉関係者など 意見・ 提案 事務局 (福祉総務課) 8 各種アンケート調査、福祉関係者 懇談会、パブリックコメントなど 第1章 計画策定にあたって 6.本市の地域特性 (1)地理的・地形的特性 藤井寺市は、大阪平野の南東部、和泉山脈から延びる緩やかな起伏をなす羽曳野丘陵 の北端に位置し、北部を大和川、東部を石川が流れ、金剛・二上・生駒の山並みを望む、 風光明媚なまちです。市域のほとんどが平坦地で、南から北へ緩やかな傾斜をなし、市域 面積は8.89Km2と大阪府内で最も面積の小さい市です。 古くから難波津と大和飛鳥を結ぶ交通の要衝となっており、現在でも近鉄南大阪線、道 明寺線が通っており、市内には、藤井寺駅、土師ノ里駅、道明寺駅の3駅があります。また、 西名阪自動車道や大阪外環状線(国道170号線)をはじめとする広域道路も通っており、 高いアクセス性を有しています。 (2)人口と世帯の特性 ①人口の推移 人口の推移をみると、平成7年をピークとしてわずかに減少傾向を示していましたが、平 成17年以降は増加に転じており、平成27年9月末時点では66,189人となっています。 また、年齢3区分別の推移をみると、「65歳以上」が増加し続けており、平成27年9月末 時点で17,535人となっており、平成2年に比べ1万人以上増加しています。一方で、「15 歳未満」と「15∼64歳」は減少傾向を示しており、少子化・高齢化の進行が顕著となってい ます。 (人) 80,000 70,000 60,000 65,922 66,988 66,806 6,534 8,368 10,328 65,780 66,165 66,189 12,639 15,013 17,535 43,599 41,754 39,929 9,536 9,325 8,725 50,000 40,000 47,435 48,171 30,000 46,462 20,000 10,000 11,709 10,443 10,016 0 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 15歳未満 15∼64歳 65歳以上 平成27年 資料:平成22年までは国勢調査(各年10月1日現在)、平成27年は住民基本台帳(9月末現在) 国勢調査の総数は年齢不詳を含むため、年齢3区分の合計と合わない場合がある。 9 第1章 計画策定にあたって ②全国、大阪府との高齢化率の比較 本市の高齢化率を全国、大阪府と比べると、全国よりは低く、大阪府よりはわずかに高い 水準で推移してきましたが、平成22年にはほぼ全国、大阪府と同水準の22.7%となって います。なお、平成27年9月末時点の住民基本台帳に基づいた高齢化率は26.5%です。 (%) 25.0 23.0 20.0 10.0 22.4 17.4 14.6 15.0 22.7 20.2 19.2 12.1 15.0 12.5 9.9 18.7 15.5 11.9 9.7 5.0 0.0 平成2年 平成7年 平成12年 全国 大阪府 平成17年 平成22年 藤井寺市 資料:国勢調査(各年10月1日現在) ③一般世帯数の推移 一般世帯数(総世帯から施設等に居住する世帯を除いた世帯の数)の推移をみると、平 成2年以降増加を続けており、平成27年9月末時点では28,778世帯となっています。ま た、世帯あたり人員は平成2年以降減少を続けており、平成27年9月末時点では2.30人 となっており、世帯規模の縮小がより一層進行しています。 (世帯) 70,000 (人) 3.50 3.03 2.82 60,000 3.00 2.69 2.59 2.46 50,000 2.30 2.50 2.00 40,000 30,000 21,608 23,621 26,740 25,166 24,648 28,778 1.50 20,000 1.00 10,000 0.50 0 0.00 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 一般世帯数 平成22年 平成27年 世帯あたり人員 資料:平成22年までは国勢調査(各年10月1日現在)、平成27年は住民基本台帳(9月末現在) 10 第1章 計画策定にあたって ④高齢者世帯数の推移 高齢者世帯数の推移をみると、増加傾向を示しており、平成22年には10,292世帯と平 成2年の2倍以上となっています。また、平成22年の内訳をみると、「ひとり暮らし世帯」は2, 912世帯、「夫婦世帯」は2,684世帯となっており、それぞれ平成2年の3倍以上となって います。 (人) 12,000 10,292 10,000 8,664 7,293 8,000 6,040 6,000 4,915 4,493 4,066 2,684 3,710 4,000 3,306 2,083 1,590 2,000 0 4,696 754 855 平成2年 1,144 1,186 1,637 2,088 平成7年 平成12年 平成17年 ひとり暮らし世帯 夫婦世帯 2,912 平成22年 その他の世帯 資料:国勢調査(各年10月1日現在)、夫婦世帯は夫婦ともに65歳以上の世帯 11 第1章 計画策定にあたって (3)対象者別の状況 ①要介護認定者数の推移 要介護認定者数の推移をみると、認定者数は増加傾向を示していますが、第1号被保険 者に対する認定率は平成25年をピークとしてやや減少傾向を示しており、平成27年9月末 時点では認定者数が3,633人、認定率が20.3%となっています。 (人) 4,500 19.5 4,000 3,328 3,500 3,061 3,000 330 2,500 401 352 2,000 581 1,500 356 1,000 529 500 (%) 21.0 20.6 20.3 3,556 3,618 3,633 343 378 342 373 331 364 409 408 386 630 634 641 439 491 515 8.0 636 595 549 6.0 20.4 339 386 385 606 404 587 22.0 20.0 18.0 16.0 14.0 12.0 10.0 4.0 512 621 721 775 847 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 2.0 0.0 0 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 認定率 資料:各年介護保険事業状況報告(9月末現在) ②出生の動向 出生の動向をみると、本市の出生数は550人前後で増減を繰り返しています。出生率 (人口千人あたりの出生数)についても、出生数が多い年は全国や大阪府と同水準に達し ていますが、出生数が少ない年はやや下回る状況となっています。 (人) 1000 (‰) 10.0 8.7 900 800 700 600 8.5 8.5 8.6 8.5 8.3 8.5 8.4 8.2 8.5 8.0 531 8.0 8.2 7.8 570 8.3 7.7 567 523 509 6.0 500 400 4.0 300 200 2.0 100 0.0 0 平成21年 平成22年 出生数 全国の出生率 平成23年 平成24年 大阪府の出生率 資料:藤井寺市人口動態、全国及び大阪府は人口動態統計 12 平成25年 藤井寺市の出生率 第1章 計画策定にあたって ③母子・父子世帯の状況 母子・父子世帯の状況をみると、年々増加傾向を示しており、平成12年から17年にかけ ての増加が目立っています。また、平成17年から22年にかけての推移はほぼ横ばいとな っており、平成22年には母子・父子世帯を合わせて646世帯となっています。 (人) 700 600 399 402 60 58 60 53 571 588 40 300 200 646 472 500 400 631 432 339 349 100 0 平成2年 平成7年 母子世帯 平成12年 平成17年 父子世帯 平成22年 資料:国勢調査(各年10月1日現在) ④障害のある方の状況 障害のある方の状況をみると、手帳の種別に関わらず、年々増加傾向を示しており、特 に精神障害者保健福祉手帳の所持者は、平成26年度には461人と平成22年度の1.5倍 以上となっています。 (人) 4,000 3,500 3,000 3,571 3,672 416 461 3,270 3,332 3,433 302 323 359 453 483 496 522 437 2,531 2,556 2,591 2,659 2,689 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 平成22年度 平成23年度 身体障害者手帳 平成24年度 療育手帳 平成25年度 平成26年度 精神障害者保健福祉手帳 資料:藤井寺市障害福祉計画及び福祉総務課作成(各年度末現在) 13 第1章 計画策定にあたって ⑤生活保護世帯の状況 生活保護世帯の状況をみると、生活保護世帯数は増減を繰り返していますが、平成23 年に比べるとわずかに増加しており、一方で被保護者数はわずかに減少しています。保護 率(人口千人あたりの被保護者数)は26.0‰(パーミル)前後を推移しています。 (世帯、人) 2,500 26.8 (‰) 30.0 26.9 26.4 26.1 25.9 25.0 2,000 1,789 1,787 1,752 1,725 1,723 20.0 1,500 1,148 1,160 1,169 1,178 1,155 15.0 1,000 10.0 500 5.0 0 0.0 平成23年 平成24年 平成25年 生活保護世帯数 被保護者数 資料:生活支援課作成(各年9月末現在) 14 平成26年 保護率 平成27年 第1章 計画策定にあたって 7.第2期計画の取り組みの成果と今後に向けた課題 市民・福祉関係者に実施したアンケート調査や福祉関係者懇談会、第2期計画において 本市の実施した施策・事業の自己評価などを通じて、第2期計画における取り組みの成果 と今後に向けた課題を洗い出し、本計画において重点的に取り組んでいくべき方向性につ いて、以下のようにとりまとめました。 (1)地域福祉の啓発 ■「地域福祉」の考え方や各主体の担う役割などの啓発 ■協働※による福祉活動の必要性の浸透 ■市民の自治、自立心の醸成 など 第2期計画において、地域で様々な福祉活動を実施されている市民や団体などとの協 働※や活動への支援などに取り組むとともに、市民に向けて「地域福祉」の啓発に取り組ん できましたが、「地域福祉」という考え方が市民に広く浸透しているとは言えません。また、ア ンケート調査では市民の福祉への関心の高さや地域での支え合いの必要性が認められつ つも、他人に助けてもらうことへ抵抗を感じる人も少なくありませんでした。 今後に向けては、より一層「地域福祉」の啓発に取り組み、地域において福祉に関心を 持つ人や地域の活動の参加者の増加に努めるとともに、地域における住民相互の支え合 いについても市民の理解を深めていく必要があります。併せて、地域の福祉に関わる人々 や団体、施設などと行政との協働※による福祉活動の必要性の理解促進や市民との協働※ という観点からの行政による支援策の検討、協働※を支える市民の自立心の醸成などにも 取り組んでいくことが重要です。 (2)相談・情報提供体制の更なる充実 ■増加した相談件数への対応 ■相談窓口間・関係機関との連携強化 ■様々な手段による情報提供 など 福祉に関する制度や施策・事業は多様であることから、市民のニーズに合わせて様々な 情報を適切に提供できるよう、第2期計画では相談体制の整備や窓口間の連携強化、分か りやすい情報提供などに努めてきました。その結果、相談員の活動の充実や適切な情報提 供の実施など多くの成果があがっている一方で、様々な課題についても明らかになりました。 今後に向けては、増加した相談件数への対応や相談員のスキル向上、高齢者に向けた 相談機能の充実、相談内容に対する関係機関との連携強化、相談機能の更なる周知など、 市民の立場になって、より利用しやすい相談体制の整備・充実に努めるとともに、福祉に関 15 第1章 計画策定にあたって する情報についても、市民の多様なニーズに対応できるよう、様々な手段の活用や市民の 興味を引く提示方法の検討など、情報提供体制の更なる充実に取り組んでいく必要があり ます。 (3)地域福祉に関わる人々の交流促進・連携強化 ■市民、福祉関係者、専門職など地域の福祉に関わる主体間の交流促進・連携強化 ■行政における関係各課や関係機関との連携強化 など 第2期計画では地域におけるつながりの強化として、福祉関係者の交流・連携の促進や 地域コミュニティづくりなどに取り組みました。また、地域では、民生委員児童委員の相談援 助活動や福祉委員の見守り活動など、様々な地域福祉活動が展開されています。これらの 取り組みの中では、各主体間や地域との交流・連携が成されるなどの成果があがっている 部分もありますが、交流や連携への意識や考え方にばらつきがあることや、交流機会への 参加者が限定されているなどの課題も散見されました。 今後に向けては、第2期計画に引き続き、市民、福祉関係者、専門職など、地域の福祉 に関わる主体間の交流・連携に向けた環境整備や機会創出を促進するとともに、そうした 機会を通じて相互理解が深まるよう支援していくことが重要です。 また、本市の福祉関連施策のスムーズな実施に向けて、行政における関係各課や関係 機関との情報共有を促進し、更なる連携強化に取り組むことも必要です。 (4)地域における福祉を担う人材の確保・育成 ■幅広い世代のボランティアの育成・活動の場の確保 ■地域における福祉活動の認知度向上 ■民生委員児童委員の確保・育成 など 地域における福祉活動は、様々な人々によって支えられています。第2期計画において も地域の福祉を担う人材の確保・育成に取り組み、団塊の世代のボランティア掘り起しなど、 様々な形で人材の確保・育成の成果がみられましたが、ボランティアの高齢化や固定化、 若年層ボランティアのなり手が少ない状況が続いているため、今後も継続的に、幅広い世 代に向けて福祉を担う人材の確保・育成に取り組む必要があります。 また、アンケート調査や福祉関係者懇談会の意見などから、地域における福祉活動の認 知度を高めることが円滑な福祉活動の実施や福祉を担う人材の確保、さらにサービス利用 の促進にも有効と考えられるため、地域における福祉活動やその内容、活動に関わる人々 などの周知に努め、認知度の向上に取り組むことが重要です。 さらに、ボランティアや民生委員児童委員だけでなく、コミュニティソーシャルワーカー※ (以下、CSWという)などの専門職を含めて、地域における福祉活動を支える団体や人々 の活動の幅を広げるためのつながりづくりやスキル向上、活躍の場の提供など、様々な形 の支援に努めていくことも重要です。 16 第1章 計画策定にあたって (5)安心・安全の環境づくりに向けた防災・防犯の推進 ■避難行動要支援者支援の推進 ■自主防災組織結成の促進 ■虐待・暴力などの防止の推進 ■消費者被害防止の啓発 など 第2期計画では災害時の要支援者支援に向けた取り組みを実施してきましたが、避難行 動支援者対策への理解促進や要支援者の個人情報保護などが課題とされており、アンケ ート調査においても、地域における緊急時の対応や防災・防犯体制の整備を期待する声が あげられていました。これに対しては、第2期計画期間中に自主防災組織が結成された地 域もありますが、まだ全ての地域で結成されているわけではありません。 さらに、アンケート調査からは、身近な地域での福祉活動が日常生活の悩みや不安の解 消に役立つと考えられる一方で、近所づきあいの中で手助けを受けることへ抵抗がある人 も少なくありませんでした。 今後に向けては、緊急時や災害時に高齢者や障害のある方などの要配慮者への支援を スムーズに行えるよう、避難行動要支援者支援の推進と個人情報保護に配慮した運用面の 整備に努めるとともに、少しでも多くの地域で自主防災組織が結成されるよう啓発に取り組 む必要があります。 また、子どもや高齢者や障害のある方などへの虐待や暴力防止の取り組みや成年後見 制度※などの権利擁護の取り組み、日常生活自立支援事業※の周知を含めた消費者被害 防止の啓発なども第2期計画から継続するとともに、手助けを受けることへの抵抗感の軽減 を図るなど、身近な地域での助け合いを促進し、住み慣れた地域で安心・安全に暮らし続 けられる環境づくりに努めることも重要です。 (6)ユニバーサルデザイン※に基づくまちづくりの推進 ■公共施設などのバリアフリー※化の促進 ■移動が困難な方などへの支援の検討 ■ユニバーサルデザイン※の意識の啓発 など 第2期計画ではユニバーサルデザイン※に基づくまちづくりとして、市内の道路や主要駅 周辺のバリアフリー※化などを実施しましたが、公共施設のバリアフリー※化などはまだ十分 とは言えません。 今後も引き続き、公共施設のバリアフリー※化に努めるとともに、移動が困難な方に向け ては、ボランティアや市民との協働※による生活支援の検討や市民へのユニバーサルデザ イン※の意識啓発に取り組み、誰もが住みやすいまちを目指すことが必要とされています。 17 第2章 計画の基本理念 第2章 計画の基本理念 1.基本理念 本計画では、第1期計画と第2期計画において基本理念(これまでの計画では「基本目 標」と表記)とされていた『誰もが安心して いきいきと暮らせるまちづくり』を継承し、今後も より一層、市民誰もが住み慣れた地域で安心して、いきいきと暮らせるまちづくりを推進して いきます。 基本理念 誰もが安心して いきいきと暮らせるまちづくり 2.基本目標 本計画の基本理念である『誰もが安心して いきいきと暮らせるまちづくり』の実現を目指 し、本計画の具体的な方向性を示すものとして以下の3つを基本目標とします。 (1)福祉への理解を深め、身近で相談できるまち 地域福祉を推進していくには、市民の方々の地域福祉への理解をより深めることが重要 です。 そのため、地域福祉に関する研修や講習会、地域の交流会などでの生活課題や福祉課 題の共有、地域における福祉に関する活動の紹介などを通じて地域福祉の啓発を図ります。 加えて、福祉全般への理解を深める一環として、人権尊重の意識を育む人権教育・啓発に 取り組みます。 また、困り事がある市民が身近な地域で相談を受けられるだけでなく、様々な福祉サービ スを活用して困り事を解消できるよう、地域に密着した相談体制の充実と、地域の福祉に関 する情報提供体制の充実にも取り組みます。 18 第2章 計画の基本理念 (2)地域でつながり、支え合うまち 誰もが住み慣れた地域でいきいきと自分らしく暮らせる地域社会の実現を目指して、市 民や地域の福祉に関わる人々、行政がつながり、お互いに支え合う仕組みづくりに取り組 みます。加えて、支援を必要とする市民が孤立することのないよう、地域の福祉活動を通じ た状況把握やコミュニティづくりにも取り組みます。 また、今後の地域における福祉を支えられるよう、元気高齢者など地域の人材の福祉活 動への参加促進や、福祉に関わっている人材の育成などにも取り組みます。併せて、地域 の人材が活躍する機会を創出するなど、学んだ成果を社会に活かせる仕組みづくりの検討 を進めます。 (3)安心・安全で、誰もが住みやすいまち 誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、防犯や防災への取り組みが重 要となります。 そのため、地域の自主防災組織の立ち上げや地域の要支援者の把握及びその情報共 有などを促進するとともに、あいさつ運動や日頃からの見守りなどを通じた防犯の推進、消 費者被害の防止などに取り組みます。 また、地域における生活の利便性確保を目指し、施設や歩道、公共交通などのバリアフ リー※化や高齢者や障害のある方への理解を深める心のバリアフリー※の普及など、ユニバ ーサルデザイン※に基づくまちづくりに取り組みます。 19 第2章 計画の基本理念 3.重点施策 本計画では、以下の4つを重点施策として定め、本市における地域福祉の今後のより一 層の推進を目指して実施していきます。 (1)ボランティアセンターの活動支援 ■将来的にボランティアが行政と協働※による事業を検討できるような基盤の整備 ■ボランティア登録申請書のチラシを全戸配布 ■ボランティア登録者のデータベース化の支援 など 本市における地域福祉の活動を活性化し、今後、より一層推進していくためには、ボラン ティア活動に参加する市民を増やすとともに、様々な場面でボランティアとして市民が活躍 できるよう環境を整えることで、ちょっとした困り事などは市民がお互いに支え合い、助け合 うことで解決を目指す仕組みを構築することが重要であると考えられます。そこで、ボランテ ィアセンターの活動支援に取り組みます。 ボランティアセンターは、市社協に設置されており、ボランティア活動のコーディネートや ボランティア情報の収集及び発信、ボランティア団体の情報交換などを目的として組織され ています。また、これからのボランティアセンターの活動としては、地域の福祉ニーズに応え るためのボランティア活動のコーディネート及びボランティア活動の情報収集などが期待さ れています。 以前より、市では補助金を交付するなどボランティアセンターの活動を支援してきました が、ボランティア登録者数や加入ボランティア団体数、実際にマッチングした件数などから、 その活動が活発であるとは言えない状況にあります。 今後、本市の地域福祉の担い手である市民ボランティアの増加と市民のボランティア活 動のより一層の活性化を目指していくには、ボランティアセンターの活動に、これまで以上 の積極的な支援が必要であると考えられます。 ○ボランティアセンターの支援に向けて ボランティアセンターでは、地域の福祉ニーズに応えるため、様々なボランティアテーマ ごとに市民のボランティア登録を募り、登録者をデータベース化します。また、ボランティア テーマごとにボランティアを募集したい活動についても募集を行い、ボランティア活動のテ ーマとボランティア登録者が希望するテーマが合致した場合に、そのボランティア活動を紹 介するなど、マッチングなどに関する支援を行います。 ボランティアセンターの活動支援としては、ボランティア登録者数の増加を目指し、全戸 配布されている「広報ふじいでら」と合わせ、ボランティア活動の紹介を兼ねてボランティア 登録申請書のチラシを全戸配布します。 また、ボランティア登録者のデータベース化の支援や、ボランティアを募集したい活動の 20 第2章 計画の基本理念 収集支援を行います。 将来的には、興味や関心のあるボランティアテーマが同じボランティア希望者を集め、N PO法人※化からの独自活動を促進するなど、行政と協働※による事業などを検討していけ るよう基盤を整備することを目指します。 (2)生活困窮者※の自立支援 ■市広報やホームページ、パンフレットなどでの周知活動を実施 ■地域の福祉に関わる人々からの情報提供などによる対象者の把握 ■対象者個々の状況に応じた自立支援の実施 など 働きたくても働けない、住む所がない、経済的な理由により生活が心配などといった生活 困窮者※に対して、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図ることを目的として、 平成27年4月に施行された生活困窮者自立支援法に基づき、市では相談支援窓口を設 置し、生活に困り事や不安を抱えた方の就労支援や住居確保や家計相談など、自立に向 けた包括的・継続的な支援を実施しています。 ○生活困窮者※の支援に向けて 生活困窮者※の支援にあたっては、最後のセーフティネット※である生活保護制度を利用 する一歩前の段階で支援する(第2のセーフティネット※)ことで、本人の自立を促すというこ の制度の趣旨を踏まえて、対象となる方を早期に発見し、深刻な状況に陥る前に問題解決 を図ることが重要となります。 そのため、市広報やホームページを活用したり、パンフレットやチラシなどを作成し、公共 施設や関係機関等に広く置き、幅広い周知活動を行ったり、民生委員児童委員や社会福 祉法人など地域の福祉に関わる人々からの情報提供などによる対象者の把握や、税、保 険・年金、人権、消費者相談など行政内部における各部局間の相互のつながりを密接にし、 税や保険料の滞納状況や多重債務などによる経済的困窮に関する相談などからの対象者 の把握に努めます。その際、本人が希望する場合は、相談支援の窓口に接続し、早期に 支援を開始することも目指します。 また、対象者の早期把握後の対応としては、個々の状況に応じて、対応する支援先へつ なぐとともに、地域のネットワークや関係機関などと連携し、対象者の抱える課題が複雑化・ 困難化する前に自立できるよう相談支援を提供することで、一人ひとりにあった自立支援プ ランの作成や市社協をはじめとする、市内の社会福祉法人、生活困窮者就労訓練事業所、 民生委員児童委員など、地域の多様な担い手と協働※した自立支援に取り組みます。 さらに、就労支援の観点から、行政内部で雇用に関する部局やハローワークなどと積極 的に連携し、認定就労訓練事業者やNPO法人※、企業などの協力を得つつ、就労に向け た支援に取り組みます。具体的な方向性としては、先進市で実施されている、実際に働き ながら、知識や技能を身につけ、コミュニケーションスキルを磨いていく中間的就労の場が 確保できるよう福祉系事業所以外の地元企業にも働きかけるとともに、一般的就労につい 21 第2章 計画の基本理念 ても、企業に生活困窮者※が定着しやすい職場環境を考慮してもらえるよう、啓発に努めま す。 (3)障害者差別解消法の普及・啓発 ■障害者差別解消法に関する普及・啓発や人権教育の実施 ■障害のある方に対する合理的配慮※の提供 ■差別に関するワークショップの開催検討 など 平成28年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、障害者差 別解消法という)が施行されます。この法律は、行政機関や事業者に対して、障害を理由と する差別の解消に向けた具体的な取り組みを求めるとともに、普及・啓発活動などを通じて、 障害のある方も含めた国民一人ひとりによる自発的な取り組みを促しています。 また、行政機関や事業者は、障害のある方が支援を求めてきた場合、合理的配慮※の提 供が必要になります。この合理的配慮※の提供に当たる行為は、既に様々な場面において 日常的に実践されているものもあり、こうした取り組みや事例を周知することが国民一人ひと りの障害に関する正しい知識の取得や理解が深まることにつながり、障害のある方との建設 的対話による相互理解が促進されることや取り組みの一層の広がりが期待されます。 地域社会において、障害のある方を含めた様々な立場や状況の方たちと共生する社会 を目指すにあたっては、相互理解の促進と、差別の禁止は欠かせません。 本市では、障害者差別解消法に関する普及・啓発や人権教育に努め、また、地域福祉 懇談会などの機会を利用して、障害のある方に対する合理的配慮※の提供や、差別につい て、障害のある方を交えたワークショップの開催を検討します。 (4)民生委員児童委員のあり方の検討 ■民生委員児童委員の負担感の軽減、活動内容の周知、やりがいの提供 ■今後想定される民生委員児童委員の欠員に向けた対策の検討 など 民生委員児童委員については、現在、地区自治会からの推薦により選任を行っています。 しかし、以前より、引き受け手がいない、民生委員はしんどい仕事だ、と言った声が多くあが っており、そのあり方についての検討が必要だと考えられます。また、今後、本市の世帯数 がさらに増加した際には民生委員児童委員の増員を行う必要がありますが、その際に引き 受け手がいないために欠員が出ることも想定されます。 そこで、民生委員児童委員の負担感の軽減や活動内容の周知、やりがいの提供などだ けでなく、今後想定される欠員対策なども含めた民生委員児童委員のあり方についての検 討を、民生委員児童委員へのアンケート調査やヒアリングの実施、民生委員推薦協議会に おいての審議などを通じて進めていきます。 22 第2章 計画の基本理念 4.施策の体系 本計画の基本理念である「誰もが安心して いきいきと暮らせるまちづくり」に取り組むた め、施策の体系を次のように設定し、重点施策とともに展開していきます。 基本理念「誰もが安心して いきいきと暮らせるまちづくり」 重点施策 (1)ボランティアセンターの活動支援 (2)生活困窮者の自立支援 (3)障害者差別解消法の普及・啓発 (4)民生委員児童委員のあり方の検討 基本目標1 福祉への理解を深め、身近で相談できるまち 基本施策1 福祉意識の啓発 基本施策2 相談・情報提供体制の充実 基本目標2 地域でつながり、支え合うまち 基本施策1 地域におけるつながりの強化 基本施策2 地域福祉を担う人材の確保・育成 基本目標3 安心・安全で、誰もが住みやすいまち 基本施策1 安心・安全な環境づくり 基本施策2 ユニバーサルデザインに基づくまちづくり 23 第3章 施策の展開 第3章 施策の展開 1.福祉への理解を深め、身近で相談できるまち (1)福祉意識の啓発 市民が地域福祉の重要性への理解を深め、地域での交流や福祉活動などへの参加を 促進するため、地域福祉に関する研修や講習会を開催するとともに、地域における様々な 交流機会を活用した生活課題や福祉課題の共有、地域で福祉に関する活動をしている人 や団体などの紹介といった、地域福祉を理解する機会の充実を図ります。 また、子どもや高齢者、障害のある方など、様々な立場や状況の人々への理解を深め、 人権を尊重する意識を育むことで、虐待や暴力などの防止、福祉サービスの適切な提供な ど、人権侵害を見逃さない社会づくりに努めます。 ◎市民に期待すること(自助) ・福祉に対して関心を持ちましょう ・地域の生活課題や福祉課題に関心を持ちましょう ・地域の集まりなどに積極的に参加し、情報を共有しましょう ・福祉に関する研修や懇談会などに積極的に参加しましょう ・市の広報紙やホームページ、SNS※を通して、必要な情報を積極的に収集しましょう ・高齢者や障害のある方など、様々な人々を理解するよう心掛けましょう ・虐待やDVなどを発見したら、相談窓口などに通報しましょう ・権利擁護の仕組みについて関心を持ちましょう ・地域で活動している人や団体などに興味を持ちましょう ・共感できる活動などに、協力や支援を行いましょう ・市社協について関心を持ちましょう ◎地域や団体などに期待すること(互助・共助) ・地域の生活課題や福祉課題などについて、みんなで話し合う機会を持ちましょう ・福祉に関して、地域で学ぶ機会を設けましょう ・障害のある方などの様々な人が参加しやすい地域の集まりや活動となるよう配慮しましょう ・地域で活動している人や団体などは、自らの活動を積極的に周知しましょう ・地域で活動している団体と市民が協働※できる取り組みなどを実施しましょう ・地域における福祉活動の事例を積極的に発信しましょう ・権利擁護の制度などの支援が必要と思われる人がいたら、相談窓口などを紹介しましょう 24 第3章 施策の展開 ◎行政の取り組み(公助) 施策名 地域福祉に関する 内容 ○ 啓発 地域福祉に対して興味・関心をもってもらうために研修や講習 会などの開催を検討します。 ○ また、子どもから高齢者に至るまで各世代の福祉意識の啓発を 図るため、生涯学習と連携し多様な講座を開講します。 懇談会の実施 ○ 地域の様々な生活課題を住民相互の共通理解とするとともに、 地域の実情に即した自主的な取り組みとなるように、懇談会を開 催します。 地域における ○ 福祉活動の紹介 地域福祉活動の推進に向けて、ボランティア活動の意識を高 め、その楽しさややりがいを知ってもらうため、地区自治会やボ ランティアグループなどが行っている地域福祉活動事例を収集 し、市民に紹介していきます。 人権教育・啓発の ○ 推進 子どもたちの人権に対する意識を育むため、学校における人権 教育を推進します。 ○ また、ノーマライゼーション※やソーシャルインクルージョン※ など、人権にかかわる基本的な考え方の普及・啓発を図ります。 各種虐待への対応 ○ 子どもや高齢者、障害のある方に対する各種虐待や家庭内暴力 (DV)に対して、これらは人権侵害であることの周知を図り、 被害者の安全確保などを含めた適切かつ迅速な対応に努めます。 権利擁護体制に ○ ついての情報提供 サービスの質の 市社協と連携して、日常生活自立支援事業※や成年後見制度※に ついて、市民に対して広く周知を行います。 ○ 向上 サービスの苦情等について、関係機関との連携を図り、指導、 助言を行うことによりサービスの改善を促進します。 ○ また、他市の動向等をふまえ、第三者機関による保育サービス 評価について、検討します。 事業所職員や ○ サービス利用者が良質で適切なサービスを受けることができ サービス提供者の るように、事業所職員やサービス提供者に対して利用者の人権尊 研修参加について 重と接遇の意識と知識、技術などの向上のための研修への参加に の働きかけ ついて働きかけます。 25 第3章 施策の展開 (2)相談・情報提供体制の充実 市民が困った時に相談しやすいように、地域に密着した相談体制の充実とその周知に努 めるとともに、困り事がある人の身近な人などでも相談を受けられるような仕組みの検討に 取り組みます。併せて、相談内容とその対応に必要な福祉サービスを適切に結びつけるこ とができるよう、身近な相談先から専門相談機関までの連携強化を図ります。 また、様々な相談窓口や提供されている福祉サービスなど、地域の福祉に関する情報が 市民により届きやすくなるよう、多様な手段の活用や興味をひく表現を心掛けるなど、情報 提供体制の充実に努めます。 ◎市民に期待すること(自助) ・日頃から地域や福祉に関する情報に関心を持ちましょう ・得た情報を家庭内や周囲の人々に伝え、共有しましょう ・悩み事などは一人で抱え込まず、誰かに相談することを心掛けましょう ・民生委員児童委員や市の相談窓口など、様々な相談先があることを知っておきましょう ・家族や友人などの相談を受けたら、一緒に考えたり、専門的な相談先を紹介しましょう ◎地域や団体などに期待すること(互助・共助) ・民生委員児童委員など地域の身近な相談窓口に関する情報を発信しましょう ・地域の集まりや回覧板などで、様々な情報を共有しましょう ・支援が必要な人や悩んでいる人を見つけたら、適切な情報を伝えましょう ・生活に役に立つ情報(インフォーマルサービス※を含む情報)を把握し、発信しましょう ・地域で活動している団体などは、専門的な経験やノウハウなどを生かした情報提供を積極 的に行いましょう 26 第3章 施策の展開 ◎行政の取り組み(公助) 施策名 各種相談窓口の 内容 ○ 周知 訪問相談活動の 地域の身近な相談員である民生委員児童委員や障害者相談員、 専門機関等について周知します。 ○ 推進 妊産婦や乳幼児などのいる家庭を対象に、出産や育児などの 様々な不安や悩みに対応し負担の軽減を図るとともに、子育てに 関する情報の提供や必要なサービス利用について助言できるよ うに、家庭への訪問活動を行います。 相談窓口の ○ 連携強化 地域での市民の相談に適切に、かつ円滑に対応するため、地域 の身近な相談先である民生委員児童委員などと、市の各担当、専 門相談機関の連携強化を図ります。 情報提供方法の ○ 検討 地域における 情報の種類によって提供方法を工夫し、より効果的に情報提供 できるよう検討します。 ○ 地域福祉活動の推進に向けて、ボランティア活動の意識を高 福祉活動の紹介 め、その楽しさややりがいを知ってもらうため、地区自治会やボ (再掲) ランティアグループなどが行っている地域福祉活動事例を収集 し、市民に紹介していきます。 市社協における ○ 市社協において、現在各地域で展開されている地域福祉に関す 地域福祉関連情報 る様々な情報を集約し、データベース化することで、情報を利用 の集約 しやすいようにしていきます。 27 第3章 施策の展開 2.地域でつながり、支え合うまち (1)地域におけるつながりの強化 地域における多様な福祉ニーズに対応し、市民がいきいきと自分らしく暮らせる地域社 会を実現するため、行政のみならず、地域住民や団体、福祉関係者、専門職などが相互に 連携し、支え合う仕組みづくりに努めます。 また、支援を必要とする市民が孤立することのないように、住民同士が顔の見える関係を 築いていけるよう、地域での様々な交流や地域コミュニティづくりを進めます。さらに、福祉 委員会、民生委員児童委員、福祉施設などの様々な活動を通じた要支援者の把握にも取 り組みます。 ◎市民に期待すること(自助) ・地域で積極的にあいさつや声かけをしましょう ・地域の中で支援が必要と思われる人の事を気にかけましょう ・地域の行事や活動などに積極的に参加しましょう ・地域の行事や活動などに参加する際は、友人や近所の人と誘い合って参加しましょう ・様々な団体などの活動に参加し、交流を深めましょう ・地区自治会に加入し、地区自治会の活動に積極的に参加しましょう ・地域でイベントを主催して、人を集めてみましょう ・新しくコミュニティに入ってきた人を、温かく迎え入れましょう ◎地域や団体などに期待すること(互助・共助) ・地域の人が集まりやすい環境づくりを行いましょう ・様々な世代の人が集まれる行事やイベントなどを開催しましょう ・地区自治会の必要性を発信し、加入者を増やしましょう ・地区自治会をはじめとした様々な活動で、新たな参加者を温かく迎え入れましょう ・地域の活動などの情報を、地域に向けて積極的に発信しましょう ・地域で活動している団体などは、自らの活動の周知を積極的に行いましょう ・地域であいさつ運動や見守りなどの活動を行いましょう ・個人のプライバシーに注意しながら、地域の中で支援が必要と思われる人の情報をできる だけ共有しましょう ・様々な面で自立した活動ができるよう努めましょう 28 第3章 施策の展開 ◎行政の取り組み(公助) 施策名 懇談会の開催 内容 ○ (再掲) 地域の様々な生活課題を住民相互の共通理解とするとともに、 地域の実情に即した自主的な取り組みとなるように、懇談会を開 催します。 福祉従事者と民生 ○ ひとり暮らし高齢者の見守り活動(小地域ネットワーク活動) 委員児童委員、福祉 など、地域での見守り体制の充実を図るため、民生委員児童委員 委員の連携強化 と福祉委員の連携強化を図ります。 ○ 地域での課題に迅速・適切に対応するため、福祉施設職員を含 む福祉従事者と、民生委員児童委員、福祉委員の連携を強化しま す。 集まる場の提供 ○ 地域イベントなどの開催にあたり、市が管理する公共スペース (ふれあい広場)などの貸出を行います。 地域でのあいさつ ○ 運動の促進 子どもの連れ去り防止など、地域において顔の見える関係づく りを進め、相互の信頼関係や相互扶助意識を高められるよう、世 代を超えたあいさつ運動に地域ぐるみで取り組みます。 相談員等の資質の ○ 向上 民生委員児童委員をはじめ地域での相談先となる人材や、地域 包括支援センター、障害者相談支援事業所、市役所の各種相談窓 口などの相談員が、相談者のニーズに一層応えることができるよ うに、研修の受講を促すなど、資質の向上に努めます。 ※ CSW のあり方 の検討 現在、市社協と市役所に2名のCSW※を配置していますが、総 ○ 合相談業務に特化しているため、今後、地域づくりや地域の資源 開発を目指すにあたり、必要とされる体制や役割、周囲の環境な ど、そのあり方について検討します。 (2)地域福祉を担う人材の確保・育成 地域福祉を推進するうえで、民生委員児童委員や福祉委員の果たす役割への期待はま すます高まっています。地域における福祉活動はそういった様々な人々によって支えられ ていることから、現在、地域福祉の活動に携わっている人々のスキルやモチベーションの向 上などに取り組むとともに、活躍する機会の創出などの検討を進めます。 また、地域における福祉活動のすそ野を広げていくため、様々な知識や経験を持つ、元 気高齢者をはじめとした地域の人々の活動への参加促進を目指し、地域における多様な 活動の情報提供や地域について考える機会づくりなどに努めます。 ◎市民に期待すること(自助) ・一人ひとりが地域福祉を担う人材となることを意識しましょう ・研修や講習会などに積極的に参加しましょう ・地域での交流の場に積極的に参加しましょう 29 第3章 施策の展開 ・自分の持っている知識や経験を地域活動に活用しましょう ・地域におけるボランティアに関する情報を積極的に収集しましょう ・無理のない範囲で、ボランティア活動などに参加しましょう ・ボランティア団体を立ち上げましょう ・民生委員を依頼された際は、できるだけ引き受けましょう ・民生委員やPTAの活動に協力しましょう ◎地域や団体などに期待すること(互助・共助) ・地域で一緒に活動してくれる人を探しましょう ・地域や団体で行う活動において、ボランティア募集や積極的な受け入れを行いましょう ・様々な知識や経験を持っている地域の人々を、地域福祉の担い手として積極的に巻き込 んでいきましょう ・地域で活動している団体などは、より活発に活動を行いましょう ・地域で活動している団体などは、相互に交流する機会を作るよう努めましょう ・活動の後継者など、人材の育成に努めましょう ◎行政の取り組み(公助) 施策名 表彰の実施 内容 ○ 地域福祉活動に貢献された方に対して表彰し、その功績を広報 などを通して市民に周知します。 市社協ボランティ ○ 市民の多様なボランティア活動を促進するため、関係課などと アセンターの機能 連携しボランティアセンターにおけるボランティアに関する情 強化 報の集約機能を強化し、ボランティア団体などの交流や情報交換 の機会の充実を図ります。 地域福祉の ○ 主体形成 自分たちの暮らすまちの課題を知り、単なる知識の習得のみで なく、このまちの主体者としてどのような活動ができるのかを考 えてもらう機会を設けることで、シチズンシップ※の醸成を図り ます。 相談員等の資質の ○ 向上(再掲) 民生委員児童委員をはじめ地域での相談先となる人材や、地域 包括支援センター、障害者相談支援事業所、市役所の各種相談窓 口などの相談員が、相談者のニーズに一層応えることができるよ うに、研修の受講を促すなど、資質の向上に努めます。 NPO法人※、ボランティア団体、企業などの提案による地域福 公募型地域福祉事 ○ 業補助金制度の創 祉の推進に向けた新規事業について、採択した事業の経費の一部 設 を期限付きで補助する制度の創設に向けて取り組みます。 民生委員児童委員 のあり方の検討 ○ 民生委員児童委員のアンケート調査やヒアリングの実施、民生 委員推薦協議会においての審議などを通して、民生委員児童委員 の負担感の軽減や活動内容の周知、やりがいの提供だけでなく、 今後想定される欠員対策などを含めた民生委員児童委員のあり 方についての検討をします。 30 第3章 施策の展開 3.安心・安全で、誰もが住みやすいまち (1)安心・安全な環境づくり 日頃から災害などに備えるため、地域の自主防災組織の立ち上げを促進します。併せて、 緊急時に支援を必要とする人を把握し、地域で要支援者を支援する人々と個人情報の保 護に配慮しつつ要支援者情報の共有を図り、災害時における安否確認や支援を行う体制 の整備に取り組みます。 また、高齢者や障害のある方が消費者被害にあわないよう、振り込め詐欺や悪質商法な どの情報提供や支援制度の周知を図ります。さらに、子どもの放課後や休日の地域生活を 守るため、地域住民や地域で活動している団体などと連携し、防犯の取り組みを推進しま す。 ◎市民に期待すること(自助) ・地域で行われる防災訓練等に積極的に参加しましょう ・日頃から避難経路や避難場所を確認しておきましょう ・災害などの緊急時のために、家族間の連絡方法などを決めておきましょう ・子どもの安全のため、親子で防犯や交通安全などについて話し合いましょう ・子どもの登下校の見守りなど、地域の防犯を心掛けましょう ・ひとり暮らしの人は、定期的に知人と連絡を取りましょう ・日頃から隣近所の方と交流し、犯罪の起こりにくい地域づくりに努めましょう ・電話や訪問での勧誘やお金の振り込み依頼などに不審な点を感じたら、家族や友人、相 談窓口などに相談しましょう ・警察などの消費者問題に関する注意喚起の情報を、気に留めておきましょう ◎地域や団体などに期待すること(互助・共助) ・自主防災組織を立ち上げましょう ・自主防災組織で実際の避難方法の確認を行うなど、防災体制を整えましょう ・災害などの緊急時の避難経路や避難場所を、地域で共有しましょう ・行政と協力して、防災訓練を行いましょう。 ・個人のプライバシーに注意しながら、要支援者の把握に努めましょう ・地域内で連携し見守り体制を整えましょう ・地域で防犯パトロールを実施するなど、防犯意識を高めましょう ・地域で、防災や防犯、消費者問題などの情報を共有しましょう 31 第3章 施策の展開 ◎行政の取り組み(公助) 施策名 要支援者情報の 内容 ○ 共有化 消費者被害の防止 要支援者の災害時の支援を、よりスムーズに行えるように、地 域との情報共有化を継続します。 ○ 悪質商法などの消費者被害を未然に防止するため、注意喚起や 啓発を行うとともに、消費生活相談体制の強化を図ります。 ○ また、判断能力が低下した高齢者などの消費者被害を防止する ため、日常生活自立支援事業※や成年後見制度 ※の周知を図りま す。 孤立死防止対策 ○ 事業 孤立死の防止のため、見守り活動の協力者の拡大に向けて民間 事業所も含めたネットワーク作りを支援します。 ○ 孤立死に関する対応のため、民生委員などから寄せられる相談 に対し、福祉総務課が行政の所持する対象者情報を集約の後、市 社協に提供可能な範囲で提供し、現地への急行を依頼します。ま た、場合によっては、警察立ち合いの下、立ち入り調査を行いま す。 市社協災害ボラン ○ ティア養成事業 市社協において災害ボランティアの募集、養成を行うことで、 将来的に災害ボランティアセンターの運営訓練の実施も視野に 入れた定期的な会合による組織化を図ります。 (2)ユニバーサルデザイン※に基づくまちづくり 地域での移動の利便性や快適性を確保するため、歩道や道路の計画的な整備を図ると ともに、施設のバリアフリー※化や公共交通機関への働きかけなどに取り組みます。 また、新たに施行される障害者差別解消法の普及を通じて、障害への理解を深めるとと もに、障害のある方だけでなく、様々な立場や状況の人の困難への理解も含めた、心のバ リアフリー※の普及・啓発にも努め、ユニバーサルデザイン※に基づくまちづくりを推進します。 ◎市民に期待すること(自助) ・ユニバーサルデザイン※の意識を理解するよう努めましょう ・公共の場でのルールやマナーを守りましょう ・研修や講習会などに参加し、障害や障害のある方への理解を深めましょう ・様々な立場や状況の人を理解するよう心掛けて、心のバリアフリー※に取り組みましょう ・高齢者や障害のある方が困っていたら、できるだけ手助けするように心掛けましょう ・移動が困難な方のちょっとした買い物などを、できるだけ手助けするように心掛けましょう ・障害のある方は、地域行事等に参加し、地域の人と交流しましょう 32 第3章 施策の展開 ◎地域や団体などに期待すること(互助・共助) ・地域の中でユニバーサルデザイン※の意識を共有しましょう ・地域の人々の間で、気軽に手助けを頼める関係性を作りましょう ・障害のある方などの様々な人が参加しやすい地域の集まりや活動となるよう配慮しましょう ・歩道などの危険な箇所の確認や、地域への周知に努めましょう ・福祉のまちづくり条例に基づいて、あらゆるもののバリアフリー※化に努めましょう ・福祉有償運送の活用を検討しましょう ◎行政の取り組み(公助) 施策名 障害者差別解消法 内容 ○ の普及 平成28年4月施行の「障害を理由とする差別の解消の推進に 関する法律」に関する普及・啓発や人権教育に努め、また、地域 福祉懇談会などの機会を利用して、障害のある方に対する合理的 配慮※の提供や差別について、障害のある方を交えたワークショ ップの開催を検討します。 歩道や道路の ○ 計画的な整備 市民の円滑な移動や快適性・安全性の確保を図るため、道路整 備を計画的に進めるとともに、市内の道路反射鏡および横断防止 柵、転落防止柵、路面標示の新設及び補修、歩車分離整備、放置 自転車対策などを進めます。 ○ また、犯罪や交通事故から子どもを守るため、藤井寺市自転車 等の放置防止に関する条例により、藤井寺市内の3駅周辺を放置 禁止区域に定め、放置自転車などの撤去や啓発活動を実施しま す。 公共交通機関の ○ 公共交通機関の利便性の向上を図るため、鉄道沿線各駅及び駅 周辺のバリアフリー※化を促進します。 利便性の向上 ○ また、ノンステップバスやリフト付きバスなどの導入を事業者 に働きかけます。 ○ 視覚障害者用点字シート等の新設、補修を促進します。 33 第4章 計画の推進と進行管理 第4章 計画の推進と進行管理 1.計画の推進体制 地域福祉計画の推進にあたっては、市民、地区自治会、事業者、ボランティアやNPO法 人※、企業、市社協など、地域を構成する多様な主体がそれぞれの役割を認識し、主体的 にあるいは相互に連携して、さらには行政との連携・協働※などにより、様々な活動に取り組 んでいく必要があります。 そのため、地域福祉の考え方や市の目指す方向性などについて、市民をはじめとした多 様な主体の理解を得られるよう、地域福祉及び本計画について様々な機会を活用して周 知を図るとともに、本計画を実効あるものにし、基本理念である「誰もが安心して いきいきと 暮らせるまちづくり」の実現を目指して、市社協の策定した地域福祉活動計画と密接に連携 を取りつつ、多様な主体との連携・協働※による地域福祉を推進します。 また、市の地域福祉に関わる様々な施策が適切に実施されていくためには、福祉はもち ろん、その他の分野も含めて、行政における関係各課や関係機関との横断的な連携も重 要となることから、関係各課・関係機関などとの適切な情報共有・課題検討などの体制整備 に努めるとともに、困難事例や複合的な福祉課題への対応などを迅速に行うため、随時調 整を行っていきます。 (1)市民の役割 市民は福祉サービスの利用者であるだけでなく、その担い手でもあります。福祉に対する 意識を高め、地域福祉の担い手として様々な活動などに主体的に参加すること、市民相互 が各地域で支えあい助け合うこと、行政との協働※の取り組みへの協力などが期待されます。 (2)地区自治会、事業者、団体、企業などの役割 地域福祉の推進にあたって、地区自治会や事業者、団体、企業、NPO法人※、ボランテ ィア団体、各種サークルなどの果たす役割は大きいと考えられます。福祉に関わる様々な サービスの提供や活動の実施、地域住民との交流などによる専門的な助言を得られる機会 の創出などの社会貢献の活動だけでなく、行政との協働※の取り組みへの協力などが期待 されます。 (3)社会福祉協議会の役割 社会福祉協議会は、従来から地域住民主体による様々な地域福祉活動を推進するとと もに、市の様々な福祉事業を受託するなど、公共性の高い民間非営利組織として活動して きた経緯を踏まえ、地域福祉推進の中心的な役割を果たす団体として、地域における福祉 関係者や関係機関、団体などと連携し、地域の連帯と支援の輪を広げていくという重要な 34 第4章 計画の推進と進行管理 役割を果たしていくことが期待されます。 (4)行政の役割 行政は公的な福祉サービスを提供するとともに、市民や地区自治会、事業者、ボランティ アやNPO法人※、企業、市社協などの多様な主体の活動を支援し、相互の連携や交流機 会などの創出に努めるなど、地域における福祉活動を支える基盤整備に取り組んでいきま す。 2.計画の進行管理 本計画を効果的かつ着実に推進していくため、掲げられた各施策・事業についてPDC Aサイクルに基づき進捗状況を定期的に点検・評価することが重要となります。 そこで、事務局(福祉総務課)が中心となり、各施策・事業の実施状況や実施するうえで の問題点などを整理し、計画内容と実際の進捗状況の点検・評価を行います。その際、問 題点や課題がある場合や計画内容との乖離がみられる場合は、藤井寺市地域福祉計画庁 内連絡会議を通して各施策の改善や計画の見直しを検討していきます。併せて、法律や 制度の改正などがあった場合にも、必要に応じて計画の見直しを行います。 なお、計画の点検・評価、見直しに際しては、必要に応じて市民や事業者など、地域福 祉に関わる人々から広く意見を求めます。 Plan (計画:目標の設定) Action (改善: 改善策などの検討) 事務局 (福祉総務課) Check (点検・評価: 実施状況の点検・評価) 市民や事業者 などの意見 35 Do (実施:各施策の実施) 資料編 資料編 用語の説明 【ア行】 ■SNS(エス・エヌ・エス) ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、個人間 のコミュニケーションを促進し、社会的なネットワークの構築を支援する、インターネットを利 用したサービスのことを指します。趣味、職業、居住地域などを同じくする個人同士のコミュ ニティを容易に構築できる場を提供するサービスなどがあります。 ■NPO法人 NPOとはNon Profit Organizationの略で、民間非営利組織のことです。NPOは、 市民公益活動団体と同じ意味を指しますが、NPO法人という場合は、特定非営利活動促 進法に基づく特定非営利活動法人を指します。 ■インフォーマルサービス 家族や隣近所、地域、ボランティア、企業などが提供する支援のことを指します。それに 対して、公的機関や専門職による制度に基づいた支援サービスのことをフォーマルサービ スといいます。 【カ行】 ■協働 共通の目的を達成するために、市民・事業者・行政など、このまちに関わるあらゆるもの が、お互いに対する理解と尊重のもと、それぞれの特性に応じて、持てる力を余すことなく 出し合い、また、力を合わせることを指します。 ■合理的配慮 国連の「障害者の権利に関する条約」(日本は平成26年に批准)において、『障害者が 他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確 保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるも のであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの』と定義されています。 具体的には、障害の状態に応じた施設整備や人員配置、コミュニケーション手段の確保 など、多岐にわたる配慮があります。 36 資料編 ■コミュニティソーシャルワーカー(CSW) 大阪府の「市町村におけるCSWの配置事業に関する新ガイドライン」において、『地域住 民等からの相談に応じ、専門的な福祉課題の解決に向けた取組みや住民活動の調整を行 うとともに、行政の施策立案に向けた提言(地域住民主体の見守り・支え合い体制の構築な ど公民協働で福祉課題の解決を図るための提言)等を行う地域福祉のコーディネーターの 役割を担う者』と定義されています。 【サ行】 ■シチズンシップ 市民権、市民性と訳され、市民として権利を行使するだけではなく、社会や地域に対して 義務や責任を果たす必要があるという考え方です。地域福祉においては、地域における課 題解決に自主的に取り組むことが地域に暮らす市民としての責任ともいえます。 ■生活困窮者 国の「生活困窮者自立支援法」において、『現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維 持することができなくなるおそれのある者』と定義されています。 ■成年後見制度 認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人の法律行為(財産管理 や契約の締結など)を、家庭裁判所が選任した成年後見人等が本人を代理して契約を行 ったり、同意なく結んだ不利益な契約を取り消すなどの保護や支援を行う民法の制度。制 度の利用には、家庭裁判所に本人、配偶者、四親等内の親族が申立てを行うことになりま す。なお、身寄りのない人の場合、市町村長に申立て権が付与されています。 ■セーフティネット 事故や災害などの予期せぬ不幸な出来事に遭遇した場合や、定年退職のようにあらか じめ予想される事柄に備えるために用意された制度などを指します(雇用保険、生活保護、 年金、預金保険、融資に対する信用保証など)。 地域福祉においては、地域における相互の支え合いや住民の自助努力だけでは解決 困難な生活課題などに対する行政の支援などを指します。また、「第2のセーフティネット」と して、生活困窮者に向けた自立支援の各種制度などを指す場合もあります。 ■ソーシャルインクルージョン 「すべての人を孤立や排除、摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよ う、社会の構成員として包み支えあう」という考え方。大阪府では「第3期大阪府地域福祉計 画」の中で、『地域福祉推進に向けた原則』のひとつとしてあげています。 37 資料編 【ナ行】 ■日常生活自立支援事業 認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方が地域において自立し た生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助などを行う制度で す。 ■ノーマライゼーション 直訳すると「普通なものにすること」という意味で、障害のある方や高齢者など社会的に不 利を受けやすい人々が、社会の中で他の人々と同じように普通の生活を送ることができる 社会こそ普通の社会であるという考え方のことです。 【ハ行】 ■福祉有償運送 NPO法人や社会福祉法人などの非営利法人などが、要介護認定を受けた方や障害の ある方など、公共交通機関を使用して移動することが困難な方を対象として、営利とは認め られない範囲で行う、自動車によるドア・ツー・ドアの移送サービスのことです。なお、利用 者はあらかじめサービスを提供する事業所への登録が必要となります。 ■バリアフリー(心のバリアフリー) 障害のある方や高齢者などが、社会生活を行ううえで障壁(バリア)となるものを除去(フリ ー)すること。物理的な障壁だけでなく、社会的、制度的、心理的なもの、情報面などを含め たすべての障壁をなくし、自由に社会活動に参加できるようにすること、あるいはその考え 方をいいます。 【ヤ行】 ■ユニバーサルデザイン 性別や年齢、障害の有無にかかわらず、すべての人が利用可能なように、常によりよいも のに改良していこうという考え方です。また、施設や設備に限らず、だれもが生活しやすい ような社会システムを含めて広く用いられることもあります。 38
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