インディペンデント企業の低油価への対応 -米系中堅企業を中心に-

更新日:2016/1/25
調査部: 高木路子
インディペンデント企業の低油価への対応
-米系中堅企業を中心に-
(各種情報、各社ホームページ)
・低油価を受けて、米系インディペンデント企業は、2015 年は前年比で平均3-4割程の投資額の削減
を行ったが、2016 年も多くの企業がさらに 30%程度の投資額削減を行う模様である。
・2015 年(第3四半期まで)は、低価格に伴う収入減少によってほとんどの企業が赤字であり、借り入れ比
率が高い企業は財務状況が悪化しつつある。
・価格低迷を受けて、
従来の規模拡大を優先した経営から一時離れ、財務の安定化に取り組む。
メジャーと同様で、投資削減、操業コスト削減、資産売却を通じてキャッシュフローの悪化を回避。
明確な投資基準・財務基準を示すというより、企業の強み等に基づきポートフォリオを再整理。
将来の成長ポテンシャルを高める好機であるが、財務悪化により格好の買収ターゲットにもなる。
1.インディペンデント企業の特徴
2015 年 11 月、米国インディペンデント企業 Anadarko が同 Apache に対して買収提案を行ったことが
明らかになった。Apache 側がそれを拒否し、情報開示に一切応じない姿勢を示したことで Anadarko 側
は買収を断念したとの声明を出した。翌 12 月には、米系メジャーや中国国営企業が Anadarko を買収対
象としているといったニュースも流れた。前者は、長期的な視野での米国シェール拡充が主目的とみら
れ、後者は、米国内外の将来の成長資産の取得が最大の目的とみられる。
表1.インディペンデント企業の特徴








企業間の競争で、常に価値最大化を追求
探鉱や M&A により生産量・埋蔵量の高成長
頻繁にポートフォリオの組み直しを実施
メジャーに比べ、資金の借り入れ比率が高い
トップの意向により、意思決定が迅速
少数のコアエリア(進出国)に、投資集中
株価、売り上げは原油価格にほぼ連動
競合相手の買収ターゲット(優良資産の取得 あるいは 株価下落による価値低下)
–1–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
こうした中堅クラスの米系インディペンデントは、高油価期には、上流参画や撤退を繰り返しながら、メ
ジャーに比べて企業価値の高い成長(図1)とともに株価上昇を達成してきた。また、資産入れ替えや資
産整理も頻繁に行いながら、効率的な規模拡大を目指している。
一方で、低油価時は、資金力のある企業が、インディペンデントが保有する将来性の高い資産を取得
しようと、戦略的な買収や合併を模索する。昨年 4 月には、LNGや大水深油田を有する英系BGが、欧
州メジャーに買収されることが発表された。それ以前にも、生産量が伸び悩んでいた Talisman(加)がス
ペインの Repsol に買収された(2015 年5 月買収完了)。株価が急落している企業や成長資産を保有する
企業は、他のインディペンデントやメジャー等による買収のターゲットにもなりやすい。
米系インディペンデントは、メジャーよりも資産に占める借り入れ比率が高いことから、財務の不安定
化回避が急務となっており、M&A(合併・買収)の活発な高油価期だけでなく、産業の合理化が進む低油
価期においても企業間競争を強いられる。
そうした環境下において、インディペンデント企業は、1つの国に集中して投資したり、数カ国のみに
進出してコアエリアを形成していき、効率的な開発・生産に取り組んでいる(図2)。特に米国のインディ
ペンデント企業は、地元での生産比率が高く、国際的な企業であっても5割以上の生産量が北米である。
例えば、Apache は、56%を北米が占め、それ以外では、2014 年にアルゼンチン、豪州の上流ビジネス
からの撤退を決めたことから、現在では北海、エジプトのみで活動する。生産量 60 万 boe/d の
Occidental も、上流ビジネスを米国陸上と中東にほぼ集中させている。Anadarko は生産量の 9 割が米国
陸上とメキシコ湾大水深での操業による。
中堅企業の生産量推移(2004-2015年Q3)
千boe/d
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
Anadarko Petroleum Corp.
BG Group
Canadian Natural Resources Limited
Devon Energy Corporation
EOG Resources
Suncor Energy Inc.
2011
2012
2013
2014
2015Q3
Apache Corporation
BHP Billiton
Chesapeake Energy Corp.
Encana Corporation
Occidental Petroleum Corporation
Evaluate Energy database 等より作成
図1.中堅企業の生産量推移(2005 年―2015 年Q3)
–2–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
2014年 インディペンデントの地域別生産量
100%
80%
豪州
アルジェリア
90%
中東(UAE, オ
マーン、カタール
他)
東南アジア・豪州・中国
70%
エジプト
60%
南米
英領北海
50%
カナダ
カナダ
40%
30%
米国
米国
20%
米国
米国
10%
0%
ConocoPhillips
米国
カナダ
南米
Anadarko
北海
中東
北アフリカ
Occidental
西アフリカ
アジア・太平洋
Apache
ロシア
関連会社
Evaluate Energy database 等より作成
図2.米系インディペンデント4社地域別生産量
現状、Occidental は、UAE でのガス生産量の増大、オマーン、カタールでの生産増加で、2013 年比で
増産している。一方、Apache は、近年のアルゼンチンや豪州資産を売却したのに加えて、米国陸上生
産量でも減少している。Anadarko も米国陸上での生産減が影響し始め、足元生産減少である。
メジャーと似通ったポートフォリオを有する ConocoPhillips は、マレーシア大水深油田や豪州 LNG 事
業で生産が開始され、2014-2016 年の石油ガス生産量は増加する見通し。
表2.インディペンデント4社の企業概要
主要操業地域
北米シェア
生産国
探鉱エリア
ConocoPhillips(米)
北米、アジア・豪
州(LNG)
57%
米国(シェール、メ
キシコ湾、アラス
カ)、カナダ、豪・
東南アジア
(14 年 ナイジェリ
ア撤退)
アンゴラ、グリーン
ランド、コロンビア
(2015 ポーラン
ド、バングラディシ
ュ撤退)
Anadarko(米)
米国、大水深フロンテ
ィア
90%
米国(シェール、メキ
シコ湾大水深)、アル
ジェリア、ガーナ
Occidental(米)
米国 Permian, 中
東諸国
53%
米国陸上
(Permian 最大事
業者)、オマー
ン、カタール、
UAE
西アフリカ(コートジボ 同上
アール、リベリア)、モ
ザンビーク、ケニア、
ニュージーランド、メ
キシコ湾、コロンビア
ブラジル等
Apache(米)
成熟油田地域+メ
キシコ大水深
56%
米国陸上、カナダ
エジプト、北海
スリナム、
アラスカ Cook Inlet
(2014 ケニア、アル
ゼンチン撤退)
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
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2.低油価の対応について
原油価格の低迷を受けて、メジャー企業のような、組織全体及び財務面に指標を明確にするような経
営方針をあまり明確にしていない(ConocoPhillips のみ、メジャーと同様で 2017 年までに原油価格 60 ド
ルでキャッシュフローを均衡させる方針)。インディペンデントは、一言でいえば、常日ごろから保有資産
の効率的な運用に取り組みながら、今般の低油価を受けて、株主への配当は維持しつつも、上流投資
の削減を早急に行ってこれ以上の財務悪化を最小限に止めたい姿勢である。
全般的な傾向としては、
 従来の規模拡大路線から一時離れ、バランスシートの健全化に対応
 その方法はメジャーと同様で、投資額削減、探鉱費削減、サービス費削減、操業効率向上・合理化、
資産売却などを行っている。ただし、メジャーと異なり投資大幅減や完全撤退といった思い切った経
営的判断をとっている企業がみられる。
 メジャーのような明確な投資基準で事業絞り込むというよりか、企業強み等に基づきポートフォリオの
再考を行っている。
 将来の成長ポテンシャルを拡充する機会でもある。冒頭の Anadarko やカナダ Suncore(同業者のオ
イルサンド事業者を買収)の例にみられるように, 戦略的に合致する上流資産を取得しやすい時期。
表3.最近の動き
最近の動き
主に上流投資
戦略や売却に
関して
ConocoPhillips(米)
・大規模な人員整理
計画 1800 人(10%
減)、うち本部 500 人、
カルガリー500 人
(2015 年 9 月)
Anadarko(米)
米国資産の売却
・メキシコ湾
・ルイジアナ
・ワイオミング
Occidental(米)
Bakken Shale を5
億ドルで全資産売
却を発表
(2015/10)
Apache(米)
LNG資産売却方
針 WheatstoneLN
G、カナダ
KitimatLNG 計画)
(2014/Q3)
セネガル、アンゴラ、カナ
ダ
・バハレーン、イラ
ク、リビア、イエメン
を縮小、アブダ
ビ、カタール、オ
マーン集中の方針
(2015/10)
・Rosneft との合弁事
業を解消し、ロシアか
ら完全撤退の方針
(2015 年 12 月)
・なお、2016 年、C
Farris CEO突然辞
EO交代を予定
任発表、即交代
(2015/Q1)
・2017 年までに大水
深探鉱から撤退方針
(2015 年 10 月)
豪州上流資産の売
却決定(2014/Q3)
米国資産の売却 14
億ドル ルイジア
ナ、テキサス
(2014/Q3)
各社発表資料等より作成
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れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
表4.各社 2014 年と 2015 年投資額
通年実績
2014 年
Apache
11.6
(10 億ドル)
第 3 四半期まで実績
通年計画
2015 年
(Q3時点)
3.6-3.9(-68%)
2016 年
2014 年*
2015 年*
Q1-Q3
Q1-Q3
未発表
9.2
3.8(-60%)
未発表
未発表
7.7
(-25%)
5.7
7.1
12.7
探鉱費 2.1
4.4(-23%)
4.6(-35%)
7.9(-38%)
探鉱費 1.3
国内 2.1-2.3
国外 1.5-1.7
Occidental
Anadarko
ConocoPhillips
8.9
9.3
17.1
5.8(-34%)
5.4-5.6(-40%)
10.2(-40%)
各社のホームページ及び四半期実績より作成
*Apache:発生コスト(Cost Incurred)、それ以外 Capital Expenditures
例えば(表4)、ConocoPhillips は、大幅な人員削減を計画するとともに、大水深探鉱(アンゴラ、セネガ
ル、カナダ)では全面的に撤退検討を行うと発表した。また 2015 年末には、ロシア企業の Rosneft との、
主にロシアのシェールオイル開発を目的とした合弁会社を解消する方針を表明し、コスト回収までに時
間がかかるような案件から手を引く判断を行っている。同社は、欧州メジャーBP や Total と同じように、
2017 年までに原油価格 60 ドルでのキャッシュフロー安定させることを約束しているものの、それだけで
なく、資金繰りの柔軟性を高めることも重要だと強調する。
ConocoPhillips の 2016 年投資額は、2015 年に比べて 25%減の全体で 77 億ドルの計画であり、地域
別では北米と豪州・中東を3割カットする計画である(表4、表5)。2014 年にくらべて、投資額削減幅は、
100 億ドル減の 60%減である。
表5.ConocoPhillips の地域別投資計画 2016 年
2016 投資計画額
米国陸上
2.6
カナダ
0.8
アラスカ
1.3
欧州
1.3
アジア・中東
1.4
その他
0.3
全体
7.7
(単位:10 億ドル)
2015 年比削減率
-30%
-30%
-5%
-15%
-30%
NA
-25%
【参考】2014 投資額実績(2016 比)
6.1
-57%
2.3
-65%
1.6
-19%
2.5
-48%
3.7
-62%
0.7
-57%
17.1
-55%
ConocoPhillips(2015 年 12 月 10 日)ホームページ
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
Occidental は、米国内では、Bakken Shale からの完全撤退を決定し、大規模に鉱区を保有する
Permian Basin に一極集中する方針を表明した。これは、Bakken への投資削減にあたり、同地からの生
産量が急速に減少することが予想されたことから撤退することを決定したと説明している(表3)。同時に、
中東/北アフリカ諸国内のうちでもノンオペレーターのリビア、イラク、イエメンなどで投資規模の縮小を
行い、アブダビ、カタール、オマーンの中東コア地域に投資を絞り込むという方針も示した。これらにより、
北米への投資集中と、中東の投資リスク低減化が可能になったと強調する。
同社は、前年に比べて生産量は増加しているものの、支出は、探鉱費を 7 割削減しており、マイナー
シェアの南米への投資も5割近く削減し、平均的には前年比 23%減である(表6)。また、北米ガスへの
依存が低く、割高な原油収入に依存していたことで財務は従前から比較的に安定しており、低価格後も、
キャッシュフローの安定に向けて資産売却を行っている。
ConocoPhillips 及び Occidental は、2015 年も配当を引き上げて株主優先の姿勢がみられる。
表6.Occidental 投資・探鉱費(2014 年と 2015 年)第 3 四半期まで
米国陸上
南米
中東/北アフリカ
探鉱費
その他
(石化、中流他)
全体
生産量(千 boe/d)
2014 年 2015 年
増減率
315
332
(+5%)
31
27
(-13%)
249
330
(+33%)
595
689
(+16%)
Occidental 2015 年第 3 四半期業績発表資料より作成
投資額(百万ドル)
2014 年
2015 年
2,423
2,248
210
116
1,535
1,167
373
103
1,195
808
5,736
4,442
減少率
(-7%)
(-45%)
(-24%)
(-72%)
(-32%)
(-23%)
カッコ内は前年同期比
Anadarko 及び Apache は、現状、投資カットを断行しつつも、資産売却を重ねて米国内での資産の合
理化を図っている模様であるが、共に従前の借り入れ比率が高い上に、足元では生産量が減少し始め
ており、バランスシートの不安定化が進んでいる(表7)。
Apacheは、2014 から 2015 年にかけてアルゼンチン資産の完全売却、豪州やカナダでのLNG事業か
らの完全撤退、また豪州上流事業からの撤退を行って資産合理化を急いでいたが、その後の低油価に
よって米国内の資産売却と同時に、2015 年の投資額を前年比で 60%の大幅削減に取り組んでいる。
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Anadarko は、低油価前より、東アフリカやメキシコ湾での大水深での権益ファームアウトや中国撤退など
で効率的な資産運用を図ってきたが、2015 年以降は、米国陸上資産の合理化を実施している。
表7.2014 年と 2015 年業績 (単位:10 億ドル)
売上高
(Q3)
2015
純利益
(Q3)
純利益
(Q1-Q3)
負債比率
D/E (Q3)
配当総額
(Q—Q3)
2014
2015
2014
2015
2014
2015
2014
2015
2014
インディペンデント
ConocoPhilli Anadarko
ps
7.3
1.7
(-40%)
(-66%)
12.0
5.0
-1.1
-2.2
2.7
1.1
-1.0
-5.4
6.9
-1.4
23.5%
32.3%
17.8%
24.3%
2.7
0.41
2.6
0.37
メジャー
Apache ExxonMobil
Occidental
3.2
(-34%)
4.9
-2.6
1.2
-2.7
4.0
16.6%
11.8%
1.7
1.6
1.5
(-57%)
3.4
-5.7
-1.3
-15.9
-0.6
31.6%
17.8%
0.28
0.27
各社 2015 第3四半期業績発表資料、及び Google Finance より作成
67.3
(-37%)
95.7
4.2
8.1
13.4
26.0
10.1%
6.2%
9.0
8.6
Chevron
32.8
(-37%)
49.7
2.0
5.6
5.2
15.8
13.3%
9.7%
6.0
5.9
カッコ内は前年同期比
これら4社の投資行動は、Apache と Anadarko が配当よりも上流投資への資金使途が高く、
ConocoPhillips と Occidental はメジャーのように配当優先、株主重視の戦略がみられる。さらに、足元の
低油価により、全体的に負債比率も徐々に上昇している(図3)。
負債比率
高
Apache
Anadarko
ConocoPhillips
Occidental
ExxonMobil, Chevron
規模拡大志向
低
配当優先志向
図3.投資行動と負債比率の関係
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3.まとめ
・低油価を受けて、米系インディペンデント企業は、2015 年は前年比で平均3-4割程の投資額の削減
を行い、2016 年は、さらに 30%程度の投資額削減を行う企業が多いとみられる。
・低価格に伴う収入減少によって、2015 年(第 3 四半期まで)は赤字経営であり、また資金の借入れ依存
が高い米系インディペンデントは財務状況が徐々に悪化している。
・価格低迷を受けてメジャーと同様に、投資削減、操業コスト削減、保有資産の売却を通じて財務悪化の
回避を急いでいるが、メジャーと異なり、投資額の半減や戦略的なポートフォリオの整理といった思い切
った経営判断を行う企業がみられる。
・また、将来の成長ポテンシャルを高める機会でもあり、競合相手への買収攻勢もみられる(例:Suncor 、
Anadarko による同業者買収提案)。逆に、経営・財務状況の悪化や株価の下落によって、米系インディ
ペンデント企業は買収ターゲットにもなりやすい。
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。