インディペンデントの低油価対応 ー 米系企業 ー 2016年1月21日 調査部 エネルギー資源調査課 高木 路子 1 内容 1.米系インディペンデントとは 2.低油価(Lower for Longer)対応 ConocoPhillips, Anadarko, Occidental, Apache 3.まとめ (参考)メジャーの低価格への対応 2 1.インディペンデント攻防 米系中心 ・低油価期(1998‐2003):メジャー同士の大合併、 インディペンデント(Arco, Amco等)も吸収 ・高油価期(2004‐2014) : 環境に応じて迅速に再編 前半:米国減退で、大水深探鉱含め国外進出に傾倒 (例)Anadarko、Apache、Marathon、Devon (すべて米) 後半:米シェールにより規模拡大、米国回帰/投資集中 (例)Devon地元回帰、EnCana(加)ガス・石油資産の分社化、 Chesapeake(米)、EOG(米)、XTO(米)シェール企業急成長 競合相手による、戦略資産拡充に向けた買収 Burlington(米), XTO(米), Unocal(米), Nexen(加) Karr‐McGee(米), Petro‐Canada(加) :下流部門を分社化 ConocoPhillips(米)、Marathon(米) :その他分社化 Occidental(米) カリフォルニア子会社分離 ・再び価格低迷 赤字経営、大手が買収BG(英) Talisman(加) 33 1.インディペンデントの特徴 企業間競争、常に価値最大化追求 探鉱やM&Aにより生産量・埋蔵量の高成長 他方で、うまくいかない場合、早期撤退 頻繁にポートフォリオの組み直し メジャーに比べ、資金の借り入れ比率が高い トップの意向により、意思決定が迅速 少数のエリア(進出国)に、投資集中 株価、売り上げは原油価格にほぼ連動 競合事業者の買収ターゲット(優良資産 or 成長失敗) 4 別添カラー資料1あり インディペンデント・中堅企業の生産量推移(2004-2015年Q3) 千boe/d 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 2005 2007 2009 Anadarko(米) BG(英) Canadian Natural Resources(加) Devon(米) EOG (米) Suncor(加) 2011 2013 2015Q3 Apache(米) BHP Billiton(豪) Chesapeake (米) Encana(加) Occidental(米) 注:EnCanaは2009年にガス生産資産をCenovusとして分社化させたため、大幅縮小。 Suncorは2009年にPetro‐Canadaを買収したため、大幅増加 Evaluate Energy data より作成 5 インディペンデント4社 別添カラー資料2あり 2014年 インディペンデントの地域別生産量 100% 80% 豪州 アルジェリア 90% 中東(UAE, オ マーン、カタール 他) 東南アジア・豪州・中国 70% エジプト 60% 南米 英領北海 50% カナダ カナダ 40% 30% 米国 米国 米国 米国 ConocoPhillips Anadarko Occidental Apache 20% 10% 0% 米国 カナダ 南米 北海 中東 北アフリカ 西アフリカ 各社アニュアルレポート及びEvaluate Energy dataより作成 アジア・太平洋 関連会社 6 インディペンデント4社概要 各社発表資料等より作成 ConocoPhillips Anadarko(米) Occidental(米) Apache(米) (米) 主要操業地域 北米(沖合/陸上)、米国、大水深フ 米国Permian, 中東 成熟油田(米、北 海)、メキシコ湾 アジア・豪州 ロンティア 諸国 2015年Q3 全体生産量 〈千b/d〉 1,554 (+3%) 787 (-7%) 689 (15%) 542 (+7%) 890 423 516 348 3,984 2,186 1,025 1,162 551(+1.5%) 586(-4%) 332(+5%) 306(-14%) 57% 42% 90% 46% 53% 25% 56% 36% (前年同期比%) 内石油生産量 〈千b/d〉 内ガス生産量 〈mmcf/d〉 米国陸上 〈千boe/d〉 北米シェア ガスシェア 新規探鉱エリ ア アンゴラ、グリー コートジボアー 生産地域と同様 ンランド、コロンビ ル、リベリア、モ ア ザンビーク、ケ ニア、ニュー (2015 ポーラン ジーランド、コロ ド、バングラディ ンビア、ブラジ シュ撤退) ルなど スリナム、アラスカ Cook Inlet (2014 ケニア、ア ルゼンチン撤退) 7 2.低油価(Lower for Longer)対応 ・投資額削減、探鉱費削減 ・サービス費削減、操業効率向上・合理化 ・投資先の厳選 ・資産整理・撤退 ← 資産拡大志向 ・バランスシートの維持 基本的な対応策はメジャーと同様 ただし、そのバランスは各社で異なる 長引く低迷 ⇒バランスシート 維持 ⇒経営・財務が急速に悪化 8 2014年と2015年 業績 ・売上高(Q3)は、前年同期比 3割-7割減 ・2015年Q1‐Q3 全社 損失 Apache 150億ドル大赤字 ・バランスシート悪化 借り入れ比率 全面増加 ・それでも配当実施 配当維持(Chesapeake, EnCana 減配) 単位:10億ドル メジャー インディペンデント ConocoPhillips Anadarko 売上高 (Q3) 純利益 (Q3) 純利益 (Q1-Q3) 負債比率 (D/E) (Q3) 配当総額 (Q1-Q3) 2015 2014 2015 2014 2015 2014 2015 2014 2015 2014 7.3 (‐40%) 12.0 ‐1.1 2.7 ‐1.0 6.9 23.5% 17.8% 2.7 2.6 1.7 (‐66%) 5.0 ‐2.2 1.1 ‐5.4 ‐1.4 32.3% 24.3% 0.41 Occidental Apache ExxonMobil Chevron 3.2 1.5 (‐34%) (‐57%) 4.9 3.4 ‐2.6 ‐5.7 1.2 ‐1.3 ‐2.7 ‐15.9 4.0 ‐0.6 16.6% 31.6% 11.8% 17.8% 1.7 0.28 0.37 1.6 0.27 67.3 (‐37%) 95.7 4.2 8.1 13.4 26.0 10.1% 6.2% 9.0 8.6 32.8 (‐37%) 49.7 2.0 5.6 5.2 15.8 13.3% 9.7% 6.0 5.9 ()は前年同期比 負債比率=Total Debt/Total Equity Google Financeデータ参照 9 各社財務諸表、Google Finenceより作成 2014年と2015年 投資額 ・2015年 前年比 平均3‐4割カット メジャー1‐3割減に比べ大幅削減 ・2016年 さらに削減へ 2015比で3割程度減 Hess(米) 2015 4.1B ⇒2016 2.9B‐3.1B (‐27%) 単位:10億ドル ()は前年同期比 通年実績 通年計画 2014年 第3四半期まで実績 ConocoPhillips 17.1 2015年 (Q3時点) 10.2(‐40%) 2016年 7.7 (‐25%) 2014年 Q1‐Q3 12.7 探鉱費2.1 2015年 Q1‐Q3 7.9(‐38%) 探鉱費1.3 Anadarko 9.3 5.4‐5.6(‐40%) 未発表 7.1 4.6(‐35%) Occidental Apache 8.9 11.6 5.8(‐34%) 未発表 3.6‐3.9(‐68%) 未発表 5.7 9.2 4.4(‐23%) 3.8(‐60%) 国内 2.1-2.3 国外 1.5-1.7 各社発表資料より作成 10 最近の動き ConocoPhillips(米) Anadarko(米) Occidental(米) 中国から完全撤 米Bakken Shale 退(2014/Q3) を5億ドルで全資 産売却し、 北米資産の売却 Permian集中投資 ・メキシコ湾 を発表 (2015/10) ・ルイジアナ 2017年までに大水 ・ワイオミング 中東は、バハレー 深探鉱から撤退方 針(2015/10) ン、イラク、リビ ア、イエメンを縮 対象:セネガル、 アンゴラ、カナダ 小、アブダビ、カ タール、オマーン Rosneftとの合弁解 に集中する方針 (2015/10) 消(シェール)で ロシアからの完全 トップ、Hollub 撤退の方針 氏に交代予定 (2015/12) (2016年初) 最近の動き 大規模な人員整理 計画1800人(10% 主に上流戦 減)、本部500人+ 略・ポート カルガリー500人他 フォリオ変化 (2015/9) Apache(米) LNG事業からの 完全撤退方針 Wheatstone、 Kitimat (2014/Q3) 豪州上流の売却方 針(2014/Q3) 米国陸上の売却 ・ルイジアナ、テ キサス $1.4B (2014/Q3) Farris CEO突然辞 任、交代 (2015/Q1) 11 発表資料等より作成 <インディペンデントとメジャー> ・Conocophillips メジャー同様 配当最優先、2017年60ドル基準 ・Occidental 減損処理 2014‐2015年Q3で110億ドル 大規模な、ノンコア資産整理 財務不安定化の回避 ・Apache,Anadarko 2015年以降 米国陸上資産の売却が中心 負債比率 Apache Anadarko ConocoPhillips Occidental ExxonMobil, Chevron 生産拡大優先 配当優先 12 3.まとめ インディペンデントは、価格低迷を受けて 従来の規模重視より、バランスシート維持 その手段はメジャーと同様 ただし、メジャーと異なり、投資大幅カットや 完全撤退といった、判断 明確な投資・財務基準で振るい分けでなく、 企業強み等に基づきポートフォリオ再考 他方で、短期・長期的な成長ポテンシャル Suncor やAnadarkoによる同業者買収提案 メジャーや国営企業等の買収対象 13
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