花壇を利用した 低コスト・低炭素・グリーン化・ 高度処理・水再生システム

花壇を利用した
低コスト・低炭素・グリーン化・
高度処理・水再生システム
日本大学 工学部
教授
日本大学 工学部
教授
土木工学科
中野 和典
機械工学科
橋本
純
1
花壇を利用した水再生システム
花壇を下る毎に水がろ過されて再生される
花壇内の
水の流れ
植栽の
位置
ろ材
2
従来技術とその問題点
現在の標準的な汚水処理手法である活性汚泥
法は、下水処理場や浄化槽において普遍的に
用いられているが、以下の問題を抱えている。
・曝気に多大なエネルギーを要する
・汚水の負荷変動に弱い
・余剰汚泥の処理を要する
これらの課題を打破する次世代の汚水処理
技術として、本研究チームは人工湿地に着目
3
提案システムのルーツである人工湿地とは?①
人工湿地は、湿地の水質浄化機能
を人工的に強化した半自然的な水
処理システムであり、欧米諸国では、
処理システムであり、欧米諸国では、
主に郊外における汚水処理施設
として近年、急速に普及している。
として近年、急速に普及している。
人工湿地の特長
・施設建設費,維持管理費が安価
・施設建設費,維持管理費が安価
・運転管理に特殊な技術が不要
・運転管理に特殊な技術が不要
・曝気が不要なため
曝気が不要なため最小限の動力
なため最小限の動力で排水処理が可能
最小限の動力で排水処理が可能
・面積に対して適正な負荷で処理運転を行えば、堆積汚泥の
・面積に対して適正な負荷で処理運転を行えば、堆積汚泥の
処理は十数年に一度程度でよい
処理は十数年に一度程度でよい
・低炭素技術であり、近年世界各国で導入
・低炭素技術であり、近年世界各国で導入が進んでいる
世界各国で導入が進んでいる
4
・用地確保が容易な地方では十分に適用可能な廃水処理手法
用地確保が容易な地方では十分に適用可能な廃水処理手法
4
提案システムのルーツである人工湿地とは?②
ヨシ
汚水
分配パイプ
砂ろ過層
遮水 シート
処理水
ドレインパイプ
礫層
図1 人工湿地の構造
人工湿地における2段階の水質浄化メカニズム
①ろ過層内での汚濁の
①ろ過層内での汚濁の物理的除去
内での汚濁の物理的除去(ろ過・吸着作用)
物理的除去(ろ過・吸着作用)
②ろ過層内の生物膜および根圏微生物群による生物学的分解
②ろ過層内の生物膜および根圏微生物群による生物学的分解
・有機物 + 酸素 → 二酸化炭素 + 細胞
5
・汚れ→
→カエル・鳥
汚れ→細菌→
細菌→原生動物→
原生動物→微小後生動物→
微小後生動物→昆虫→
昆虫
5
提案システムのルーツである人工湿地とは?③
フルスケールでの実証実験を7年間継続中
フルスケールでの実証実験を 年間継続中
目的:厳寒期を含む東北地方の気象条件下において、果たし
目的:厳寒期を含む東北地方の気象条件下において、果たし
てどの程度の汚水処理性能が実現できるのかを検証し、
人工湿地の単位面積当りの水質浄化性能を明らかにする.
4段目
2段目
5段目
3段目
汚水は棚田の
ような 5つの
つの
人工湿地を経
人工湿地を経
て浄化される
1段目
6
6
提案システムのルーツである人工湿地とは?④
30頭の乳牛由来の畜産
頭の乳牛由来の畜産
排水を浄化対象とした
2)を通過することで
5つの人工湿地(総面積
つの人工湿地(総面積111m
つの人工湿地(総面積
ヒト70人分相当の汚水が浄化される様子
ヒト 人分相当の汚水が浄化される様子.
人分相当の汚水が浄化される様子
7
7
提案システムのルーツである人工湿地とは?⑤
表 4年間の水質浄化性能の変遷
1 年目
2 年目
3 年目
4 年目
平均
B OD
9 4 .3
9 9 .0
9 7 .7
9 9 .5
9 7 .6
SS
8 6 .5
9 3 .3
9 2 .8
9 8 .2
9 2 .7
TN
7 3 .6
9 4 .3
9 1 .3
8 4 .1
8 5 .8
TP
8 5 .0
9 4 .3
8 6 .9
8 3 .6
8 7 .5
( %)
①BOD、
、SS、
、TN及び
及びTPの除去率の平均値は、
、92.7、
、85.8
及び の除去率の平均値は、97.6、
の除去率の平均値は、
及び87.5%であり、高度処理に相当する除去率を達成。
であり、高度処理に相当する除去率を達成。
及び
②本水質浄化性能は植物の持ち出しがない条件で
②本水質浄化性能は植物の持ち出しがない条件で得られた
は植物の持ち出しがない条件で得られたもので
得られたもので
あり、植物の刈り取りを行わなくても
植物の刈り取りを行わなくても高度処理は
高度処理は8可能.
可能.
り、植物の刈り取りを行わなくても高度処理
8
提案システムのルーツである人工湿地とは?⑥
夏(2009.
.8月)と冬(
月)と冬(2010.1月)の人工湿地の違い
月)の人工湿地の違い
夏(
月)と冬(
自然環境下で稼動する人工湿地は,冬
季には積雪条件下での稼動
積雪条件下での稼動も余儀なく
積雪条件下での稼動
されるが,凍結等の障害が起きることも
なく人工湿地は稼動し続けた
稼動し続けた.
稼動し続けた
9
9
提案システムのルーツである人工湿地とは?⑦
5-10月
11-3月
年間
80
60
40
97 91 94
99 99 99
98 97 98
99 99 99
20
0
5-10月
11-3月
100
1年目
2年目
3年目
4年目
TN除去率(%)
BOD除去率(%)
100
年間
80
60
93 97 95
40
83
66
92 91 91
80
74
89 84
20
0
1年目
2年目
3年目
4年目
成長期と枯死期の水質浄化性能の比較
5-10月
11-3月
TP除去率(%)
100
年間
80
60
40
88 84 85
95 93 94
85 89 87
78
89 84
20
0
1年目
2年目
3年目
4年目
・人工湿地の水質浄化性能は、
・人工湿地の水質浄化性能は、
植物の生長や季節に依存しない
植物の生長や季節に依存しない
・窒素・リンの除去率80%を高度処
・窒素・リンの除去率 %を高度処
理の目安とすると、人工湿地では
理の目安とすると、人工湿地では
高度処理に相当する窒素・リンの
高度処理に相当する窒素・リンの
10
処理が行えている
10
提案する花壇を利用した水再生システムは
世界初の超コンパクト人工湿地
ヨシ
特開2014-
-231042
特開
水質改善用の人工湿地
人工湿地の地下構造を
重層化することで占有
重層化することで占有
面積を大幅に削減する
面積を大幅に削減する
手法を考案。
手法を考案
汚水の流入
砂ろ過層
遮水シート
ろ床内への酸素フラックスが地表面積に
廃水で硝化を達成するには
依存.高BOD廃水で硝化を達成するには
依存.高
多段処理が有効であるが面積を要する
処理水
穴あきドレインパイプ
2段目
3段目
レキ層
1段目
1段目または2段目でBODが十分に除去
が十分に除去
1段目または2段目で
された後、3段目で硝化が促進される
図6-1 従来の鉛直流型人工湿地による多段処理の概要
重層化技術により
空気層により地表面積に依存せず重層的に好気条件を創出できるた
め単独の湿地の面積でも多段処理と同様な処理が可能となる
人工湿地の多段処理
第1層と第2層
第1層と第 層
に要する面積をコンパクト
に要する面積をコンパクト
第1層 でBODが十分
が十分
第2層
層 に除去された後、
化するとともに、花壇化
するとともに、花壇化
第3層
層 第3層と第4層
第3層と第 層
第4層
層 で硝化が促進さ
することで、多機能化を
することで、多機能化を
れる
実現したシステム
実現したシステム
ヨシ
換気口
汚水の流入
砂ろ過層
空気層
レキ層
遮水構造
穴あきドレインパイプ
処理水
図6-2 空気層を導入した重層型人工湿地の概要図
11
花壇を利用した水再生システムの多機能性
花壇型人工湿地の多機能性:
人工湿地に緑化の機能を付加
人工湿地に緑化の機能を付加
・水の再生 ・冷却(打ち水効果)
・景観 ・癒し ・大気浄化
この花壇では、流入する廃水
この花壇では、流入する廃水は、
廃水は、
植物を育てる水
植物を育てる水であり、肥料
であり、肥料であり、
肥料であり、
暑夏には植物の蒸散作用を促進
暑夏には植物の蒸散作用を促進し、
蒸散作用を促進し、
周辺環境の気温を下げる源
周辺環境の気温を下げる源となる。
気温を下げる源となる。
花壇が有する大気浄化
花壇が有する大気浄化機能、
大気浄化機能、景観
機能、景観
形成機能、人を癒す
形成機能、人を癒す機能に
人を癒す機能に水質浄化
機能に水質浄化
機能が付加されることで、単なる緑
化施設や単なる浄化施設に留まらな
い多機能なグリーンインフラとなる。
多機能なグリーンインフラとなる。
12
花壇の水再生能力を確かめる実証
花壇の水再生能力を確かめる実証実験を実施中
再生能力を確かめる実証実験を実施中
1年間で
年間で100トンを超える学食排水を再生
トンを超える学食排水を再生
年間で
BOD
T-N
T-P
原水
(mg/L)
汚濁 負荷量
(g/d)
生活廃水換算
(人・d)
処理水
(mg/L)
浄化率
(%)
940
14.2
3.4
235
4.0
1.0
5.9
0.4
1
12.8
2.6
0.7
97.9
75.1
74.5
再生水
学食廃水
花壇による水の再生処理
13
花壇を利用した水再生システムを導入した
エコハウス(ロハスの家)の事例
日本大学工学部キャンパスのロハスの家
・室温を再生可能エネルギー
・室温を再生可能エネルギーでコントロール
エネルギーでコントロール
・雨水利用と水の再生により、水の完全な
自給自足を実現
花壇を利用した
水再生システム 自然浄化により
自然浄化により
雨水
屋根集水
水再生を最小
エネルギーで
実現!
雨水貯留・浄化
利用
生活排水
再生水
浄化
廃水を出さない
ゼロエミッション
14
新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来技術(活性汚泥法)の問題点であった
曝気操作および汚泥処理が不要
• 従来技術(活性汚泥法)では対応不可能で
あった汚水の負荷変動への対応が可能
• 従来技術(人工湿地)の問題点であった
占有面積を1/4以下に削減することが可能
• 本技術の導入により、緑化用地を活用した
汚水の高度処理が可能となる
• 本技術の適用により、曝気操作および汚泥処
理が不要となるため、汚水処理の運転コスト
が1/10以下に削減されることが期待される。
15
想定される用
想定される用途
される用途
• 本技術の導入により、汚水処理(下水、家庭雑排水、
畜産廃水、工場廃水)の高度化と低コスト化が図れ
る。
• 本技術の特徴を生かし、緑化と組み合わせた汚水処
理システムとすれば、緑化のメリット(汚水処理施設
のグリーン化、低炭素化、大気浄化機能の付加、抗
ヒートアイランド機能の付加、癒しの場の創生、景観
の美化等)を汚水処理施設に付加することができる。
• 緑化施設(屋上緑化、壁面緑化、公園、街路・駐車場
の緑地帯、花壇)や雨水貯留浸透施設の多機能化
に活用できる。
16
実用化に向け
実用化に向けた課題
向けた課題
• 畜産排水、学食排水については、日処理水量
2トンのレベルでの実証試験を継続しており、
その有効性が確認できている。
• 現在、排水ゼロエミッションのトイレシステムに
応用した場合の実証試験を計画中であり、
その有効性を実証する予定である。
• 既存の汚水処理槽を有効活用した本技術の
実用化のためには、実証試験による検証が
必要であり、今後の課題である。
17
企業への期
企業への期待
の期待
• プラントメーカーとの共同開発により、既存の
汚水処理槽を有効活用した本技術の実用化
を果たしたい。
• 緑化施設の施工企業と組むことで、水質浄化
機能を有する新しい緑化施設を普及させたい。
• 汚水処理のグリーン化を考えている企業には
本技術の導入が有効である。
• ハウスメーカーと組むことで、エネルギーと水
の自立を実現したエコハウスを普及させたい。
18
本技術に関
本技術に関する知
する知的財産権
•
•
•
•
発明の名称 :水質改善用の人工湿地
出願番号 :特開2014-231042
出願人
:日本大学
発明者
:中野和典、橋本 純
19
お問い合わせ先
お問い合わせ先
日本大学
研究推進部 知財課(NUBIC)
コーディネーター 松岡 義人
TEL 03-5275 - 8139
FAX 03-5275 - 8328
e-mail matsuoka.yoshihito@nihon-u.ac.jp
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