対策講座 ビジネス数学塾 第2回 分析力 講師/中村 力 ビジネス数学塾<第2回>のテーマは「分析力」です。 「分析力」とは、 「把握力」で現状の状態や問題点を把握した後、 データ・情報を収集して分解や加工などの処理を行って、情報の 整理、問題点の抽出や原因究明を行う力です。この分析力では、 基本的なデータの演算処理や集合・論理、確率や統計解析などの 知識が要求されます。今回は「分析力」をチェックする基本 問題を2問紹介しますので分析力を養成してください。分析 した後は意思決定のフェーズに移行します。これは、次回の 「選択力」で説明します。 問題1 マスマスの読者を対象にアンケートをとったとこ ろ、以下の結果が得られました。 「創造力のある人は行動力のある人で、かつ仕事が早い人です。マスマスを読む人 は広い知識をもつ人で、かつ創造力のある人です。行動力のある人は数学力のあ る人で、かつ計画性のある人です。」 この結果からいえることは次のどれでしょ うか。 ①広い知識をもつ人は数学力のある人です。 ②創造力のある人は広い知識をもつ人です。 ③行動力のある人は仕事が早い人です。 ④マスマスを読む人は計画性のある人です。 ⑤広い知識をもつ人は仕事が早い人です。 <解説> アンケートとの結果を問題文にあるアンケートを読んでも、頭が混乱してしまい ます。そこで、条件を満たす集合を以下のように考えてみてはどうでしょうか。 「創造力のある人」の集合をA、 「行動力のある人」の集合をB、 「仕事が早い人」の集合をC、 「マスマスを読む人」の集合のD、 「数学力のある人」の集合をE、 「広い知識をもつ人」の集合をF、 「計画性のある人」の集合をGとしますと、下図のような関係が得られます。 F D A G B E C 選択肢はそれぞれ、 ①はF→E、 ②はA→F、 ③はB→C、 ④はD→G、 ⑤はF→C ですので ④が正解とわかります。 集合と論理の基本は押さえてください。 一般に「条件pならば条件q」が正しい(真)とするならば、 「p →q」で表すことができます。 また、 「p→q」かつ「r→p」ならば、 「r→q」となる論法を3段論法と いいます。 問題2 A社の今期の財務諸表分析は以下のとおりです。 ◎売上総利益率 : 80% ◎売上高営業利益率 : 20% ◎営業利益 : 300百万円 (1)A社の売上高を求めなさい。 ①1,500百万円 ②1,600百万円 ③1,700百万円 ④1,800百万円 ⑤2,000百万円 (2)A社の売上総利益を求めなさい。 ①1,000百万円 ②1,200百万円 ③1,400百万円 ④1,600百万円 ⑤1,800百万円 <解説> 財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3表が基本で、 ビジネス世界に関与する人にとっては、そこから財務情報を読み取るスキルが大切 です。これらの数値から企業の収益性や安全性、成長性を示す指標を求めることが でき、企業経営を診断する重要な情報になります。本問は損益計算書にある基本 指標に関する問題です。 (1)売上高営業利益率(%)= 20= 営業利益 ×100 なので、 売上高 300百万円 × 100 売上高 売上高は、1,500百万円と求められ、正解は①です。 (2) 売上総利益率(%)= 80= 売上総利益 ×100 なので、 売上高 売上総利益 × 100 から 1500百万円 売上総利益=1,200百万円、正解は②です。 ここで、売上総利益率(売上高総利益率ともいいます) 、売上高営業利益率、 売上高経常利益率は、企業の収益性、すなわちどれだけ売上を計上したかを計る 指標で、数値が高いほど良好といえます。 他に収益性を計る重要な指標として、総資産利益率(ROA)や自己資本利益率( ROE;株主資本利益率ともいいます)があって、貸借対照表から以下のように求め ることができます。 ・総資産利益率(ROA)= 当期純利益 総資産 ・自己(株主)資本利益率(ROE)= 自己(株主)資本 総資産 ちなみに総資産利益率(ROA)は、企業が保有している資産全体をどれだけ有効活 用しているかの財務指標で、自己(株主)資本利益率(ROE)は、株主から預かっ たお金を効率的に活用していかに利益を上げているかの財務指標です。
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