2月は二日新甫で荒れた展開か ディフェンシブ志向が強まろう

マーケットウィークリー・814号
マーケット展望 2月は二日新甫で荒れた展開か
ディフェンシブ志向が強まろう
2015.2.6
作成者:奥村義弘
世界経済の減速
感を感じさせる
スタート
二日新甫(しんぽ)は荒れるという相場のジンクスがある。この2
月相場は日経平均株価で、1万7,558.04円、前週末比116.35円安と冴え
ないスタートとなった。1月末の米国市場では、10~12月の実質GDP
の伸び率が前期比・年率2.6%と市場予想の3.2%を下回るスタートと
なった。底堅い労働市場や消費動向はあるものの力強さに欠ける展開、
企業決算にもドル高や新興国経済の減速感の強まりによる輸出の鈍さ
が出てきている。またHSBC/マークイットが発表した中国の1月製
造業購買担当者指数(PMI)は49.7と2カ月連続で50を下回るなど、
一段の金融緩和や景気対策に期待感はあるが、中国経済の減速感を印
象付けさせた。1月22日のECBの量的金融緩和開始の発表で楽観論が
広がったマーケットに利益確定の口実を与える結果となった。
日本株に底堅さ
も
ただ日本株が1万7,500円を割り込む水準では、日銀のETF買い期
待も膨らむようである。2日の場中の動きでは、業績の下方修正の発表
をしたホンダ(7267)に代表されるように、悪材料の出尽くし感のあ
る銘柄にリバウドねらいの動きが出るなど、相場の底堅さを感じる動
きも出ていた。
海外投資家は引
き続き様子見姿
勢が強い
2月は、欧州の政治情勢への不安感は1月より和らいだとはいえ、引
き続き根強いと考える。企業決算への反応も全体としては限られたも
の と な っ て お り 、 日 経 平 均 株 価 の 想 定 レ ン ジ は 1万 7,000円 か ら 1万
8,000円で、これまでのレンジから上放れの動きを見せるには材料不足
の月と考える。昨年の投資家別売買動向を見ると、海外投資家が日本
株を大きく買い越したのは、日銀が意表を突いたタイミングで追加金
融緩和の発表を行った影響が残った11月のみ。他は短期的な売買動向
に終始しており、目下のところ政策面での期待値は低いと言わざるを
得ない。期待を裏切るスピーディーな改革を示す動きが出てくること
に期待したいところである。
好株主還元が期
待できる銘柄に
注目
投資主体としては、引き続きGPIF、企業の自社株買い、投資信
託、日銀のETF買いなどが注目されよう。また、2月から3月にかけ
ては配当取りの季節である。1月の業種別株価騰落率をみると、医薬品、
食料品などディフェンシブ株への関心が高まっている。国内機関投資
家の目からは安定した配当収入が期待できる銘柄への関心が高まりや
すい。好財務体質で高収益率(ROE)を上げる銘柄は、増配、自己株
式買いなど株主還元にも期待できる銘柄として関心が高まる可能性が
ある。次頁ではスクリーニングリストを作成した。
国会開催中、成長
戦略や構造改革
の動きに注目
また国会が開催中で、国が打ち出す政策を反映したテーマ株には関
心が高まる可能性がある。例えば、1月23日には経済産業省が「ロボッ
ト新戦略」をまとめて注目を集めた。少子高齢化社会に向け、生産性
の向上や、医療介護などへロボット技術を導入し、次の輸出産業育成
も目指していこうという成長戦略。自走ロボット、無人飛行ロボット、
ロボットの医療機器採用に向けての許可・承認手続きなど問題点も取
り上げられており興味深い。
この他注目されているのが環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる
日米両政府の動きであろう。早ければ2月中にも合意する公算が大きい
マーケットウィークリー・814号
2015.2.6
と報じられている。日米で意見に隔たりが大きかった、自動車、農産
物をめぐる事務レベルの協議が開催されている。閣僚協議で合意すれ
ば、3月中のTPP参加12カ国全体の合意を目指していると言われる。
株式市場でも米国向け輸出でメリットの出る自動車や機械、輸入メリ
ットのある食品メーカーへの関心が増す可能性があり、こちらの流れ
も注目したい。
◇東証業種別株価騰落率(14.12.30-15.1.30)
(単位:%)
順位
業種
騰落率 順位
業種
騰落率
[上昇上位]
[下落上位]
1 医薬品
11.4
1 その他金融
▲ 8.0
2 ゴム製品
10.6
2 証券商品先物
▲ 7.6
3 空運業
9.8
3 不動産業
▲ 6.4
4 陸運業
6.4
4 卸売業
▲ 4.5
5 海運業
5.8
5 石油製品
▲ 4.3
6 食料品
5.8
6 銀行業
▲ 4.2
7 パルプ・紙
4.9
7 鉄鋼
▲ 4.0
8 化学
4.5
8 その他製品
▲ 3.4
9 情報・通信業
4.5
9 非鉄金属
▲ 3.4
10 電気・ガス
4.4 10 鉱業
▲ 3.1
TOPIX
0.5
(出所)Quick Astra Manager より CAM作成
◇主な好財務体質、高収益率銘柄
対
象:銀行、証券、保険を除く東証1部上場銘柄
選択基準:今期予想経常利益50億円以上、予想経常増益率10%以上、予想PER20倍未満、
前期実績のROE10%以上、自己資本比率50%以上いずれの条件も満たす銘柄
銘柄
コード
株価
1/30
予想増
益率
予想
PER
PBR
予想配
当利回り
ROE
円
%
倍
倍
%
%
ABCマート
2670
5,890
18
18.2
3.02
1.36
16.6
あいHD
3076
2,065
28
17.5
3.52
1.45
16.1
クリエイトS
3148
4,005
11
13.8
1.97
1.55
13.5
三栄建築
3228
900
32
5.1
0.92
2.17
13.1
ネクソン
3659
1,164
21
12.0
1.58
0.86
11.4
コロプラ
3668
2,707
27
19.2
10.06
0.52
68.3
大塚HD
4578 3,657.5
21
11.4
1.26
2.73
10.8
太陽HD
4626
4,310
12
18.6
2.36
2.09
12.8
大塚商会
4768
4,075
12
17.6
2.50
1.96
14.9
WOWOW
4839
5,100
19
12.1
1.75
1.18
14.1
Drシーラボ
4924
4,050
12
18.7
4.73
2.03
21.4
特殊陶
5334
3,520
25
19.6
2.29
1.02
11.5
タダノ
6395
1,431
18
11.0
1.59
1.54
15.3
オムロン
6645
4,755
36
16.5
2.11
1.49
11.6
航空電子
6807
2,696
42
16.9
2.64
0.74
14.3
村田製
6981
12,820
62
18.1
2.49
1.40
10.3
ガリバー
7599
943
18
18.8
2.81
2.12
14.0
JAFCO
8595
3,905
32
6.2
0.98
0.64
12.7
宇徳
9358
608
64
8.5
1.10
1.65
11.9
KDDI
9433
8,363
11
16.5
2.37
1.91
13.0
(注1) 予想増益率、予想PER、予想配当利回りは、1月30日現在の日経予想
(注2) PBR、ROE、自己資本比率は前期実績ベース
(出所)Quick Astra Manager よりCAM作成
自己資
本比率
%
66.8
70.7
55.6
53.1
73.7
63.1
73.2
69.6
51.6
64.8
82.1
65.6
51.3
65.8
53.9
76.8
62.2
72.4
66.6
55.1