ポスター(PDF版) - 理研バイオリソースセンター

The 134th RIKEN
BRC SEMINAR
2016年1月26日
(火)14:30∼15:30
バイオリソースセンター1階 森脇和郎ホール
秋山 智彦先生
慶應義塾大学医学部 坂口記念システム医学講座
マウスES細胞のゲノム安定性に寄与する
クロマチンリセット機構
マウス胚性幹(ES)細胞はゲノムが非常に安定であり、250回以上の細胞分裂を繰り返し
ても形質転換や細胞死を起こすことなく、細胞老化を乗り越えていく。
この半永久的なゲノ
ム安定性には、ES細胞中のわずか1-5%程度しか存在しないZscan4遺伝子発現細胞が
重要な働きをする。Zscan4の発現は短時間(約6∼12時間)であるが、9継代以内にすべて
のES細胞がその発現を経験する。Zscan4発現細胞では、減数分裂期の相同組換え機構
を利用したテロメア伸張が起こるほか、受精後に発現する遺伝子およびリピート配列が大
量に転写されている。
この転写バーストは、通常のES細胞の遺伝子発現を保持しつつ短時
間に起こるため、特殊な調節機構が存在すると考えられる。本研究では、ES細胞の中から
Zscan4発現細胞を分離し、遺伝子発現およびクロマチン構造パターンの網羅的解析を行
った。
その結果、受精後に発現する遺伝子群およびリピート配列の制御領域において、
これ
まで知られていない特徴的なクロマチン構造が形成されていることが分かり、短時間に転
写のon/offの切り替えを可能にする機構の存在が新たに明らかとなった。
連絡先
疾患ゲノム動態解析技術開発チーム
阿部 訓也(029-836-9198)