法務上級 - 金融財政事情研究会

第 121 回 金融業務能力検定(2016 年1月 24 日実施)
(2015 年度 9月試験再実施分)
《模範解答》
・法務上級
※配点は、特に記載のない限り、公表しておりません。また、配点・試験の内容に関す
るお問合せには、お答えできません。
※合格発表は,3月3日の予定です。
一般社団法人 金融財政事情研究会
検定センター
〈合格基準〉100 点満点で 60 点以上
【第1問】(10 点)
《問1》
4)
《問2》
4)
《問3》
[解答例]
〔結論〕 Dの法定相続分に相当する額の範囲内で、その請求に応じる。
〔理由〕 共同相続人の1人であるDからの請求であるので、その法定相続分の範囲内で、
その請求に応じることは可能であるため。
【第2問】
(10 点)
《問4》
4)
《問5》
1)
《問6》[解答例]
(1) ・第三債務者(銀行)への転付命令送達前に、他の債権者から当該預金に対する差
押え・仮差押え・配当要求がされていないこと
・債務者が転付命令につき執行抗告をしていないこと(執行抗告がされた場合は却
下または取下げが確定していること)
(2) 確定後、差押債権者の債権および執行費用は、転付命令に係る預金債権が存する限
り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達されたときに弁済されたものとみな
される。
1
【第3問】(10 点)
《問7》
2)
《問8》
1)
《問9》[解答例]
(1) 取立委任裏書とは、「回収のため」「取立のため」等の単なる委任を示す文言を記載し、
手形金の取立目的のためになされる裏書をいう。
(2) 取立受任者は、手形の裏書については、再取立委任裏書しかできない。
(3) 取立委任印は、手形取立の実質的な権限を付与されていることを証明できることか
ら、金融機関相互間の取立事務の合理化のために使用されるが、取立委任印の後に再
取立委任裏書ができない等、取立委任裏書と同様の効果があるわけではない。
【第4問】(10 点)
《問10》
3)
《問11》
3)
《問12》[解答例]
(1) 預託金の差押え時に弁済期が到来していない手形貸付金債権であっても、銀行取引
約定書に基づき差押命令が発せられた時点で当然に期限の利益を喪失するので、不渡
異議申立預託金返還請求権と相殺適状となり、相殺できる。
(2) 不渡異議申立預託金の差押え以前に発生した割引手形の買戻請求権は、差押え前に
発生し、かつ弁済期が到来している債権であるので、相殺できる。
【第5問】(10点)
《問13》 4)
《問14》 4)
《問15》[解答例]
(1) 保険業法 300 条の弊害防止措置の規定において銀行が禁止されている、
「保険契約者
又は被保険者が保険会社等又は外国保険会社等に対して重要な事項につき虚偽のこと
を告げることを勧める行為」、「保険契約者又は被保険者が保険会社等又は外国保険会
社等に対して重要な事実を告げるのを妨げ、又は告げないことを勧める行為 」に当た
る可能性がある。
(2) 引受リスクを負担する保険会社から、保険契約締結に際して当該疾病の存在を知ら
せなかったことが告知義務違反に該当するとの主張がなされ、将来、保険会社と保険
契約者であるPとの間で紛争になる可能性があるため。
2
【第6問】(10 点)
《問16》
4)
《問17》
3)
《問18》[解答例]
(1)X銀行がA社に対して有する手形上の遡求権の消滅時効期間は1年であるのに対し、
買戻請求権の消滅時効期間は5年であり、買戻請求権のほうが長い。
(2) 手形上の遡求権を訴訟上行使する場合、手形訴訟により簡易・迅速に債務名義を取
得することができる。この点で、訴訟を提起する場合には、手形上の遡求権を行使す
るほうが、買戻請求権を行使するよりも有利である。
【第7問】(10 点)
《問19》
3)
《問20》
4)
《問21》[解答例]
(1) 債務者からの債務不存在確認訴訟に応訴した債権者が勝訴した場合、その債権の消
滅時効は中断する。
(2) 仮差押えは、一時的な時効中断事由となる催告とは異なるので、6カ月以内に改め
て強い時効中断措置をとる必要はない。
【第8問】(10点)
《問22》 4)
《問23》 4)
《問24》
[解答例]
〔結論〕 PがA社に差し入れていた敷金(の返済債務)は、Tには引き継がれない。
〔理由〕 抵当権者であるX銀行に対抗できない賃借権しか有していないPは、競売手続の
開始前から乙建物を使用していることから、Tの買い受けの時から6カ月間はそ
の明渡しが猶予されるものの、Pはその賃借権を買受人Tに対抗できず、また、
買受人Tはその賃借権を承継するものではないため。
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【第9問】(10点)
《問25》
4)
《問26》
2)
《問27》[解答例]
(1) <極度額増額の場合>
(承諾の要否) Y社の承諾が必要
(理由) X銀行とA社との間で根抵当権の極度額を増額する場合、1番根抵当権者で
あるX銀行の優先弁済を受け得る範囲が拡大し、後順位抵当権者には不利益に
作用することから、極度額の増額の場合には、後順位抵当権者は利害関係人と
解されるため。
(2) <極度額減額の場合>
(承諾の要否) Y社の承諾は不要
(理由) X銀行とA社との間で根抵当権の極度額を減額する場合、後順位抵当権者に
は利益に作用することから、極度額減額の場合には、後順位抵当権者は利害関
係人と解されないため。
【第10問】(10点)
《問28》
2)
《問29》
3)
《問30》[解答例]
〔結論〕
抹消されることがある。
〔理由〕
民事再生手続開始時に再生債務者の財産に担保権が存する場合、当該財産が再
生債務者の事業の継続に欠くことができないものであるときには、再生債務者等は
裁判所に対して担保権を消滅させることについての許可の申立てを行うことができ
る。製造業であるA社にとって、本社工場の土地・建物はその事業の継続に必要な
ものであり、担保権を消滅させることについての許可の申立てを行うことができ、
消滅許可決定に基づく金銭が納付されれば、抵当権は消滅し、書記官の嘱託により
抵当権の登記が抹消されることになるため。
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