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フィボナッチ数と三辺整数の三角形
山本文隆
長崎県立小浜高等学校
1.はじめに
α 2 +α 1 =2β 2 、α 2-α 1 =2β 1 ・・・・2-4
三辺整数の三角形にはピタゴラス三角形
β2+β1=α2 、β2-β1=α1 ・・・・・・・2-5
1角60°、1角120°等の三角形があるがそ
次に式を変形すると
のどれもフィボナッチ数と密接に関わっている。
(C-A)(C+A)=B 2 =4β 1 2 β 2 2 ・・・・2-6
三角形abcにおいて辺の長さをA、B、C
C-AとC+Aは2以外、互いに素である
角θcを60°90°120°とおいて、余弦定
C-A=2β12 、C+A=2β22・・・・・2-7
理を考えると
(C-B)(C+B)=A2=α12α22 ・・・・・2-8
C 2 =A 2 +B 2-2ABcosθ c・・・・1-1
2
60:C =A +B -AB・・・1-2
C-B=α12 、C+B=α22 ・・・・・・ 2-9
θc=
90:C2=A2+B2・・・・・・1-3
6-8、6-10 式を連立させてとくと
2
2
C-BとC+Bは互いに素であるから
θc=
2
2
2
A=α1α2=β22-β12・・・・・・・2-10
α22-α12
B=─────=2β1β2・・・・・・2-11
2
α22+α12
C=─────=β22+β12・・・・・2-12
2
すなわち、ピタゴラス数の変数A、B、CはA
θc=120:C =A +B +AB・・・1-4
1-3 は3平方の定理でありピタゴラス三角形が存
在する。また 1-2 と 1-4 の解も整数解を持つこと
は山田潤(2013)が導いている。そしてこれ
ら三辺整数の解のうちピタゴラス三角形について
はフィボナッチ数と関わりが深いことを拙著(山
本文隆(2013))で示した。そして今回1角
が60°120°の三角形もピタゴラス数と同じ
を構成する2成分のみで表せ、また
Bを構成する2成分のみでも表せる。そしてA、
Bの入れ替えを考えたときBの成分で表した公式
は、Aの成分で表した公式のちょうど2倍になる。
系列のフィボナッチ数が関わっていることが解っ
た。ここではピタゴラス数とフィボナッチ数の関
係をまとめ直し1角が60°120°の三角形と
なおA+B+C、A+B-C、C+A-B、
C+B-A の4要素の間にも
A+B+C=α2(α2+α1)=2β2(β2+β1)
の関係まで考える。
=2α 2 β 2・・・・・・・・・・・・2-13
A+B-C=α1(α2-α1) =2β1(β2-β1)
2.ピタゴラス数
=2α1β1・・・・・・・・・・・・2-14
既約ピタゴラス数を構成する成分は4成分であ
C+A-B=α1(α2+α1)=2β2(β2-β1)
る。そしてそれは驚くほどに精巧に組み合わさっ
ている。まずm、nを任意の整数としてユークリ
=2α 1β 2 ・・・・・・・・・・・2-15
C+B-A=α2(α2-α1) =2β1(β2+β1)
ッド解(原解と仮称)
=2α 2β 1 ・・・・・・・・・・・2-16
A=M2-N2、B=2MN、C=M2+N2・・2-1
で考えると
という華麗な関係がある。ピタゴラス数を構成す
る最も基本的な要素は2成分ではなくα1、α2、
A=(M-N)(M+N)=α1α2
β1、β2の4成分である。
(α1=M-N、α2=M+N)・・・・・・2-2
B=2NM=2β1β2(β1=N,β2=M)・・・・2-3
例えば拙著「ピタゴラス数ネット」では次のよ
うな関係を導いた。まず原解は
従って
A=(M-N)(M+N)、B=2MN
- 1 -
C=M2+N2=M(M+N)-N(M-N)
また2成分で表すときはβ1、β2に相当する連続
=(M-N)M+N(M+N)・・・・2-17
したHk、Hk+1で表せば効率的で原解のときは
で4成分からなる。また独自に導いたピタゴラス
H0=n、H1=mの使用となる。
数の解(仮称単位解)は
数列組Hの関連を表1表2に載せる。ところ
A=n(2m+n)、B=2m(m+n)
2
C=n +2mn+2m
でピタゴラス三角形の面積をD k=AkB k/2と
2
おけばSk=Dk-Dk-1も
=(m+n)(2m+n)-mn
=n(m+n)+m(2m+n)
・・・・・・2-18
でありこれも4成分で構成される。
単位解と原解を比べると、M-N→n
N→m、M→m+n、M+N→2m+n
の対応があり N→m、M→m+n という置き換
えで全てを表せる。さらにそこには
m-n → n → m → m+n →2m+n
の一連の系列が見られる。これをmとnに分けて
係数を考えると
m:1、0、1、1、2
表1
フィボナッチ数列組H
n:-1、1、0、1,1
これはそれぞれがフィボナッチ数になっており
nはmに1段階遅れている。
従ってこの系列のピタゴラス構成成分を
H k=f km+fk-1n
とおき、これをフィボナ
ッチ数列組Hと仮称した(山本文隆(2013))。
フィボナッチ数列組Hはフィボナッチ数
fk+2=fk+1+fk
と同じく
H k+2 =H k+1+H k・・・・・・・・・2-19
の関係がある。また数列組がHkー1、Hk、Hk+1、
H k+2の4成分の連続で構成されるとき、順に
Hkー1=α1、Hk=β1、Hk+1=β2、Hk+2=α2
と対応する。一般式は
表2、k=-1~3までの公式
Ak=Hk-1Hk+2、B=2HkHk+1
またピタゴラス三角形の面積であり、山本文隆
Ck=Hk-1Hk+1+HkHk+2
(2013)が示した通り、面積和もまた面積
=Hk+1Hk+2+Hkー1Hk
になる。 Dk-1+Sk=Dk
なおk=0は原解、k=1は単位解である。
原
※
解:A0=H-1H2=m2-n2、
C0=H2H0+H1H-1 =H2H
2
2
2
=H1 +H0 =m +n
例えば原解と単位解で考えると
D0=(m-n)nm(m+n)
B0=2H0H1=2mn
・・・・・・・2-20
2-21
D1=nm(m+n)(2m+n) 2-22
1
-H 0H-1
2
単位解:A1=H0H3=n(n+2m)
S1=nm(m+n)(m+2n) 2-23
なおフィボナッチ数列組Hのすべてに共通して次
の関係があることを新たに導いた。
B
A-─=(-1) k (m 2 -mn-n 2 )・・2-24
2
B1=2H1H2=2m(m+n)
C1=H3H1+H2H0=H3H2-H1H0
これは次のようにして得られる。
=H22+H12=n2+2mn+2m2
- 2 -
2
2
A=Hk+1 -Hk =
なお n=m のときは正三角形となる。
=(fk+1m+fkn)2-(fkm+fk-1n)2
2
2
=(fk+1 -fk )m
これを60°負項含む解と仮称する。
2
正三角形以外で最も簡単な整数比は
+2fk2mn+(f k2-f k-12)n 2・2-25
m=3、n=2(m=2、n=3)であり
B
──=Hk+1Hk
2
=(fk+1m+fkn)(fkm+fk-1n)
A=8、B=3、C=7である。
72=82+32-2・8・3cosθ
cosθ=(64+9-49)/48
=fk+1fkm2+(fk+1fk-1+fk2)mn
+f kf k-1n2
=24/48=1/2
・・・ 2-26
θ=60°
B
A-──=(fk+12-fk+1fk-fk2)m2
2
+(fk2-fk+1fk-1) mn
+(f k2-fkfk-1-fk-12)n 2・2-27
であるが、フィボナッチ数の特性より
fk+1fk-1-fk2
=fk+12-fk+1fk-fk2=(-1)k・・2-28
図2
3.1角が60°の3辺整数の三角形
1-2 より
2
2
2
C =A +B -AB・・3-1
C2-(A-B)2=AB
変形して
(C+A-B)(C-A+B)=AB・・3-2
ここで
C+A-B=A、C-A+B=Bなら
C=A=B
であり正三角形となる。このとき整
数解は無限に存在する。逆に
n
m
2)C+A-B=─B、C-A+B=─A
m
n
のとき
m+n
m+n
C=───B-A=───A-B・・・・3-7
m
n
2n+m
2m+n
────A=────B・・・・・・・3-8
n
m
従ってA、B、Cを満たす簡単な公式の一例はそ
れぞれ A=2mn+n2、B=2mn+m2
C=m2+mn+n2
C+A-B=B、C-A+B=A
ならば
60°負項含む解のA-B図分布
・・・・3-9
これを60°正項のみの解と仮称する。
2B=C+A、2A=C+B
正三角形以外で最も簡単な整数比は
前者から後者を引いてCを消去すると
m=2、n=1(m=1、n=2)であり
2(B-A)=A-B より 3(B-A)=0
ゆえにA=B、このときC=A=B
A=5、B=8、C=7
であるから、同じく正三角形となる。
72=52+82-2・5・8cosθ
cosθ=(25+6 1-49)/80
次にA、Bにそれぞれ逆数の有理数(m/n、
n/m、m、nは任意整数)を掛け
m n
(C+A-B)
(C-A+B)=─A─B・・・3-3
n m
m
n
1)C+A-B=─A、C-A+B=─B
n
m
のとき
m-n
n-m
C=B+───A=A+───B・・・・3-4
n
m
2n-m
2m-n
────A=────B・・・・・・・3-5
n
m
従ってA、B、Cを満たす簡単な公式の一例はそ
0/80=1/2
図3
れぞれ
A=2mn-n2、B=2mn-m2
C=m 2 -mn+n 2
・・・・・・・3-6
これを充たす条件は2n>mかつ2m>n
- 3 -
θ=60°
60°正項のみの解のA-B図分布
=4
72=52+32-2・5・3cosθ
cosθ=(25+9-49)/30=-
15/30=-1/2
θ=120°
n
m
2)A+B+C=─B、A+B-C=─A
m
n
のとき
n-m
n-m
C=───B-A=───A+B・・・・4-7
m
n
2n-m
n-2m
─────A=─────B・・・・・4-8
n
m
従ってA、B、Cを満たす簡単な公式の一
例はそれぞれ
A=n2-2mn、B=2mn-m2
C=m2-mn+n2
・・・・・・・・4-9
これを充たす条件はn>2mであり”60°負
図4
項含む解”でAが-Aになった式である。従って
60°三辺整数の三角形の最小組
最も簡単な整数はmとnが入れ替わるだけで
m=1、n=3
4.1角が120°の3辺整数の三角形
1-4 より
C2=A2+B2+AB・・・・・4-1
1)2)をあわせた
A=±(n2-2mn)、B=±(2mn-m2)
(A+B)2-C2=AB
変形して
C=m 2-mn+n 2 ・・・・・・・・・・4-10
(A+B+C)
(A+B-C)=AB・・・・4-2
ここで
A+B+C=A、A+B-C=B
となる。
を120°の解と仮称する。
なら
C=A=-B
A+B+C=B、A+B-C=A
なら
C=B=-A
となって、成立しない。
次にA、Bにそれぞれ逆数の有理数を掛け
m n
(A+B+C)(A+B-C)=─A─B・・4-3
n m
m
n
1)A+B+C=─A、A+B-C=─B
n
m
のとき
m-n
m-n
C=───A-B=───B+A・4-4
n
m
m-2n
2m-n
─────A=─────B・・・・・4-5
n
m
従ってA、B、Cを満たす簡単な公式の一例はそ
図5
120°三辺整数の三角形の最小組
5.フィボナッチ数列組Hとの関係
(1)山田潤の解との比較、相似と相違
1-2 式をBについて整理して
れぞれ
2
B2-AB+A2-C2=0・・・・・・・5-1
2
A=2mn-n 、B=m -2mn
C=m2-mn+n2
これを充たす条件は
・・・・・・・4-6
m>2nであり
”60°負項含む解”でBが-Bになった式であ
る。これは cos 60=- cos 120であることか
ら自明である。
最も簡単な整数はm=3、n=1であり
これを解いて
A±√4C2-3A2
B=──────────・・・・・・5-2
2
ここで山田解は
A=2mn-n2 、C=m2-mn+n2
・・・・・・・・・5-3
であるから、判別式
D=4C2-3A2は
4(m2-mn+n2)2-3(2mn-n2)2
A=5,B=3、C=7となって、
- 4 -
=4m 8m3n+4mn3+n4
V k=H k-1+H k+1 ・・・・・・・・5-10
1-
=(n2+2mn-2m2)2・・・・・・・5-4
従って
2mn-n2±(n2+2mn-2m2)
B=──────────────── ・5-5
2
・・・・
となり+のとき B=2mn-m2・・・・5-6
2
2
-のとき B=m -n ・・・・・5-7
2
B=m -n2
の場合は山田解であり、
従って、60°の公式もまた全て数列組Hで表せ
て
A=Hk+2Hk-1、
B=HkHk-1+HkHk+1
Hk+2Hk+Hk-1Hk+1+Hk-12
C=──────────────・・5-11
2
つぎに”60°の負項含む解”は
B=2mn-m2 は60°負項を含む解である。
A=(2m-n)n、B=m(2n-m)
(2)フィボナッチ数列Hとの関わり
C=m 2 -mn+n 2
1)60°におけるフィボナッチ数との関わり
・・・・・・・5-12
であるがこれに対応する山田解(原解の2)が存
在することが表3の中の対称性から見えてくる。
フィボナッチ数との関わりを考えると
山田解は
これを表3の中に負の原解として示しているが公
A=N(2M-N)、B=(M-N)(M+N)
式で示すと
で 2M-N、M-N、N、M+N から構成され
A=M(M+2N)、B=(M+N)(M-N)
る。ピタゴラス数の原解と比べるとMの2倍が2
C=M2+2MN+N2
M-Nと変化している点が異なるが他の成分は一
・・・・・・・・5-13
成分を対応させると
致する。この山田解はピタゴラス数のユークリッ
M-N、M、M+N、M+2N
ド解(原解)に相当している。また60°正項の
→2n-m、n、m、2m-n
みの解は
であり、今度は
A=n(2m+n)、B=m(2n+m)・・5-8
に進めていけばいい。
で 2n+m、n、m、2m+n
M→n
と逆方向
から構成され
る。ピタゴラス数同様後者3っつの成分は
m
M+N→m
N→
M→m+nとして置き換えればフィボナッチ
数の関係で連続してつながる。そこでこれを最初
の成分2N+Mにも当てはめると山田解と正の単
位解の間には2M-N→2(m+n)-m=2n+m
の関係がありこれも成立する。60°正項のみの
解はピタゴラス数単位解に相当する。
ところでこの系列は一般のフィボナッチ数と異
なる。表2に示すがこの系列は
f’
(0)=2、
f’(1)=1から始まっている。これを準フィ
ボナッチ数Vnとして数列組を新たに
Vk=f’(k)m+f’(k-1)n
Vk+2=Vk+1+Vk と定めると一般式はAとB
を逆転させ
A=Hk+2Hk-1、B=HkVk
表3、表4、60°と120°の数列組
Hk+2Hk+Hk-1Vk
C=───────── ・・・・・・5-9
2
なお表3より数列組V(□)はその前後の数列
2)120°におけるフィボナッチ数との関り
組Hの和となっていることが解る。これを表4に
120°の場合は60°の負の単位解でA、ま
載せる。□印は☆印2つの和である。式で表せば
たはBの正負を反転させたものに相当することを
- 5 -
3節で示した。
3)負項含む解
1-2 の
60°:C2=A2+B2-AB
1-3 の
120°:C2=A2+B2+AB
A=2mn-n2、B=2mn-m2
ⅰ.整数nで構成する放物線群
1
1
3
2
B=-───A
+─A+─n2・・6-7
4n2
2
4
を見比べてみれば解るとおり、AまたはBの一方
が正負を反転させれば120°の与式と同じにな
る。Aを反転させるかBを反転させるかで3節1)
2)の違いが出るが本質は60°の負の単位解と
同じである。なお表3、表4で黒く塗りつぶした
ⅱ.整数mで構成する放物線群
1
1
3
2
A=-───B
+─B+─m2・・・・・6-8
4m2
2
4
4)正項のみの解
A=2mn+n2、B=2mn+m2
マークは正負の反転を示す。
ⅰ.整数nで構成する放物線群
1
1
3
2
B= ───A
+─A-─n2・・・・・6-9
4n2
2
4
6.60°ネット、120°ネット
ピタゴラスネットと同様60°の整数辺三角形の
群として描くことが出来る。
ⅱ.整数mで構成する放物線群
1
3
2 1
A= ───B
+─B-─m 2 ・・・・6-10
4m2
2
4
1)山田解原解の1
これらのグラフを示すと次の様になる。
ネット、120°の整数辺三角形ネットも放物線
A=2mn-n2、B=m2-n2
ⅰ.整数nで構成する放物線群
A,Bから、mを消去すると
A+n2
m=────を Bの式に代入して
2n
1
1
3
2
B=───A
+─A-─n2・・・・・・6-1
4n2
2
4
ⅱ.整数mで構成する放物線群
A-B=2mn-m2
図6
であるから
原解と正項負項単位解で描くピタゴラス数ネット
2
A-B+m
n=──────を Bの式に代入して
2m
1
1
3
2
B=-───(A-B)
-─(A-B)+─m2・・6-2
4m2
2
4
この式は一見楕円に見えるが、45°の回転座
標で変換すると
√2
3√2
2
B’=-───A’
+─── m2・・6-3
2m2
4
という放物線となる。
2)山田解原解の2
A=2mn+m2、B=m2-n2
図7、山田解原解の2と60°負項解のA-B図分布
図2の分布を繋ぐネット A=B軸を挟んで線対称
ⅰ.整数nで構成する放物線群
A-B=2mn+n2 であるから
A+B-n2
m=──────を Bの式に代入して
2n
1
1
3
2
B=───(A-B)
-─(A-B)-─n2
4n2
2
4
・・・・・・・6-4
45°の回転座標で変換すると
√2
3√2
2
───A’
-─── n2・6-5
2n2
4
ⅱ.整数mで構成する放物線群
B’=
1)と同様
1
1
3
2
B=-───A
+─A+─m2・6-6
4m2
2
4
図8、山田解原解の1と60°正項解のA-B図分布
図2の分布を繋ぐネット。図7に対し180°回転、
またはA=-B軸に対し折り返した関係にある。
- 6 -
列組H」(2013)で表せることが判明した。
なお、それぞれの系列から生まれた公式の比較
検討はこれからの課題である。またピタゴラス数
ネット(仮称、2012)に相当するグラフも描
け、同じく放物線から構成される。
1)既約ピタゴラス数の全ては、垂直2辺の一辺
をなす成分の2つで表現できる。偶数辺での表
現は奇数辺での表現のちょうど2倍になる。
図9 山田解1,2と正項解、負項解で描く60°ネット
2)ピタゴラス数を構成する基本成分は、垂直な
2種の分布が重なって見難いが、図7と図8が
2辺を積の形で構成する4成分であり、これら
重なっておりA=-B軸を挟んで線対称の関係。
はフィボナッチ数列組Hの4連続組成で構成さ
れている。
3)フィボナッチ数列組Hの4連続組成を順にず
らせば、面積和が面積になるピタゴラス数を順
次得ることができる。
4)ピタゴラス数を垂直2辺の座標に配列したと
き、そのグラフの基本形態は上下左右に開く4
方向の放物線となり、そのほかにも無限の幾何
学図形を描く可能性が秘められている。これを
ピタゴラス数ネットと仮称する。
5)”60°負項含む解”と”120°の
解”
の関係はA→-Aとなるか、B→-Bとなるか
であり、A,Bどちらかの符号が入れ替わるだ
けである。
6)山田解と60°正項のみの解はBを二次関数
として解いた解の±の符号の違いだけで表裏一
体の関係にある。
7)ピタゴラス数と解の成分が似ており、60°
120°共フィボナッチ数列組Hで公式化でき
る。ただし5成分である。
6.参考文献
図10 120°の解、2種 上:2種の解の重ね
中央、下、図7の60°負項含む解に対しB軸反転(中
央)とA軸反転(下)したもの。60°負項含む解に対
しAまたはBを反転して求まる
山田潤(2013)
「1角が60°の3辺整数の三角形」
日本数学教育学会誌数学教育68-4(96巻第7号)
山本文隆(2013)
7.まとめ
「ピタゴラス三角形の面積と面積和を求める公
独自の導出で解いた60°の3辺整数の三角形
式群に表れるフィボナッチ数列組H」、
は山田解と似ていた(A、Cは同じ)がBが異な
全国数学教育学会誌、数学教育学研究
ることに疑問を持ち、始めた研究である。結果的
第19巻第1号2013、pp1~8
にこれらは原解と単位解の関係であることが解っ
小林吹代
た。そしてこれもまた「ピタゴラス三角形の面積
と面積和を求める公式群に表れるフィボナッチ数
『ピタゴラス数を生み出す行列の話』
ベレ出版
山本文隆(2012)『ピタゴラス数ネット』文芸社
- 7 -
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- 9 -