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横 浜 市 記 者 発 表 資 料
平成 28 年1月 20 日
財政局公共施設・事業調整課
横浜市職員技術提案 最優秀賞選考会・表彰式を開催します
~平成 27 年度 横浜市職員技術提案~
「横浜市職員技術提案」は、新技術の開発・導入や創意工夫等により、コスト縮減や品質
の向上等に貢献した職員を表彰する制度です。34 件の提案から選出された優秀賞5提案の中
から最優秀賞を決定する最優秀賞選考会を実施します。
選考会では、職員による7分間のプレゼンテーションを行い、局長級の選考会委員の採点
により、その場で最優秀賞を決定します。
選考会終了後は、各賞の受賞者に副市長から表彰を行います。
※市民生活を支える技術職員の取組みに触れる機会です。ぜひ取材にお越しください。
1
概要
日
場
2
時
平成 28 年1月 27 日(水)
第一部 最優秀賞選考会 午後2時 40 分~3時 50 分
第二部 表彰式
午後4時 00 分~4時 45 分
所 市庁舎5階 危機管理センター 関係機関執務室
※取材は随時受け付けます。
最優秀賞候補
部門
提案名
提案者所属
土木・造園
不断水切替弁を用いた新たな連絡工法の開発
水道局給水課
土木・造園
水道用スタンドパイプの研究開発
水道局北部第二給水維持課
業界初!公民連携して安全と安心を追求した
建築局
配管支持金物の安全カバー製品化
機械設備課
設備・機器
設備・機器
設備・機器
3
環境創造局
放流ゲート緊急閉による津波対策
神奈川水再生センター
グリーンライン車両への初込めカット適用による
交通局
ブレーキライニングの交換コスト及び電気代縮減
川和保守管理所
表彰内訳
別
最優秀賞
優秀賞
特別賞
奨励賞
努力賞
計
土木・造園 /建築・まちづくり
優秀賞
設備・機器 /環境・農業
から選考
合計
-
2
3
5
0
1
1
10
6
16
6
6
12
18
16
34
部
4
(単位:件)
種
門
出席者
鈴木副市長、荻島技監、大熊環境創造局長、葛西資源循環局長、坂和建築局長
平原都市整備局長、手塚道路局長、伊東港湾局長、土井水道局長、加賀交通局長
藤田公共施設・事業調整室長及び受賞者
お問合せ先
財政局公共施設・事業調整課担当課長
富岡
淳
Tel 045-671-2225
職員技術提案制度の概要
1 審査過程
提案受理
審査は
①効果
審査・評定 ・・・・・内容を審査部会員が審査します。
②取組姿勢
(一次審査(書類)
・二次審査(プレゼン)
)
③創意工夫
審査委員会 ・・・・・審査委員会で承認します。
最優秀賞選考会
が主な視点です。
・・・・・優秀賞の中から最優秀賞を選考します。
(プレゼンテーション)
【選考評価のための提案者による
プレゼンテーションを行います。
】
表彰
・・・・・・副市長による表彰を行います。
2 審査体制
種
類
構 成 員
最優秀賞選考会
委員長
技監
委員
工事関連局長8名※
財政局公共施設・事業調整室長
審査委員会
審査部会
委員長
技監
委員
各局部長級の8名(技術職)
部会長
財政局 公共施設・事業調整室長
副部会長 財政局 公共施設・事業調整担当課長
部会員
各局課長級の 12 名(技術職)
※環境創造局長、資源循環局長、建築局長、都市整備局長、道路局長、港湾局長、
水道局長及び交通局長
3 表彰種類
種 別
最優秀賞
基
準
優秀賞の中で、特に優れているもの
優秀賞
本市が実施する事業の改善に大きな効果があるもの
奨励賞
本市が実施する事業の改善に効果があるもの
努力賞
奨励賞に準ずるもの
特別賞
表彰の対象の中から、特別に委員会で認められるもの
平成27年度横浜市職員技術提案審査結果(最優秀賞は1月27日の選考会で決定します)
整理番号
優
秀
賞
特
別
賞
努
力
賞
提案名
提案者所属
DZ-005
土木・造園
不断水切替弁を用いた新たな連絡工法の開発
水道局
給水課
DZ-006
土木・造園
水道用スタンドパイプの研究開発
水道局
北部第二給水維持課
SK003
設備・機器
業界初!公民連携して安全と安心を追求した配管支持金物の安全カバー製品化
建築局
機械設備課
SK005
設備・機器
放流ゲート緊急閉による津波対策
環境創造局
神奈川水再生センター
SK008
設備・機器
グリーンライン車両への初込めカット適用によるブレーキライニングの交換コスト及び電 交通局
川和保守管理所
気代縮減
整理番号
部門
SK010
設備・機器
整理番号
部門
提案名
自己託送制度を活用した電気代削減の取り組みについて
提案者所属
資源循環局
施設課
提案名
提案者所属
港湾局
建設第二課
土木・造園
南本牧埋立工事における空気圧送揚土工法の採用について
DZ-004
土木・造園
代替施設がなく下水の流入を止められない汚水分配槽に対する市初のコンクリート腐 環境創造局
下水道施設整備課
食 対策
DZ-007
土木・造園
橋梁添架管点検カメラの開発
水道局
西部第一給水維持課
DZ-012
土木・造園
渋滞軽減を図る3次元シミュレーションによる末吉橋架替事業における川崎市との共
同事業着手について
道路局
橋梁課
DZ-013
土木・造園
トンネル覆工背面空洞探査の簡便化による効率的活用について
道路局
橋梁課
DZ-014
土木・造園
橋梁及びトンネルの保全更新に関する、横浜国立大学との連携協力協定の締結
道路局
橋梁課
DZ-015
土木・造園
持続可能な地域公共交通の実現に向けた取組
道路局
企画課
DZ-016
土木・造園
和泉川改修工事における未供用護岸を活用した暫定的な貯留と通水について
道路局
河川事業課
DZ-017
土木・造園
通学路の整備における地域と行政による取組事例の映像を用いた紹介について
道路局
施設課
DZ-018
土木・造園
海面最終処分場における高密度化工事の適用について
資源循環局施設課
処分地管理課
SK-001
設備・機器
既存建物の等電位ボンディング化による太陽光発電設備の雷対策
港湾局
維持保全課
SK-002
設備・機器
ちょっとした工夫で快適☆省エネ 本庁舎空調設備の運転制御
建築局 保全推進課
総務局 管理課
SK-004
設備・機器
ポンプ場沈砂池設備の更新における、除砂設備の形式変更
環境創造局
下水道設備課
SK-006
設備・機器
下水道施設における除砂ホッパの水切り対策
環境創造局
神奈川水再生センター
SK-011
設備・機器
蒸気タービンの寿命評価による安全性の確保について
資源循環局
鶴見工場
KN-001
環境・農業
中小規模施設へのESCO事業の導入(横浜型中小規模ESCO事業)
建築局
保全推進課
整理番号
部門
DZ-002
奨
励
賞
部門
提案名
提案者所属
DZ-001
土木・造園
場所打ち杭の施工における品質確保の取り組みについて
港湾局
建設第一課
DZ-003
土木・造園
歴史的コンクリート構造物の補修および維持管理の基礎的研究
都市整備局
都市交通課
DZ-008
土木・造園
北西線事業における大規模地下構造物の仮設計画について
道路局
横浜環状北西線建設課
DZ-009
土木・造園
DZ-010
土木・造園
DZ-011
土木・造園
SK-007
設備・機器
SK-009
設備・機器
生物処理槽ばっ気空気量適正化によるブロワ消費電力削減
資源循環局施設課
処分地管理課
SK-012
設備・機器
若手職員のスキルアップの取り組み
資源循環局
都筑工場
SK-013
設備・機器
旭工場売電量増加への取組みについて
資源循環局
旭工場
SK-014
設備・機器
埋立処分場における排水処理施設で使用する電気料金削減に向けた取組みについ 資源循環局
処分地管理課
て
KN-002
環境・農業
水再生センター水処理に関するナレッジデータベースシステムの構築
横浜環状北西線の工事における本市の地元調整能力の活用と市内企業受注機会拡
大に向けた取り組み
開削トンネルの計画的な工事着手を実現した地域との合意形成について(都市計画
道路 鴨居上飯田線(本宿・二俣川地区))
都市計画道路整備における地域要望を考慮した暫定開放について 宮内新横浜線
(新吉田・高田地区)
膜処理工程の見える化
~セラロッカミニの作成とその効果的な運用方法の考察~
道路局
横浜環状北西線建設課
道路局
建設課
道路局
建設課
水道局
川井浄水場
環境創造局
下水道水質課
平成 27 年度横浜市職員技術提案
優秀賞提案要旨及び講評
◯
不断水切替弁を用いた新たな連絡工法の開発
[水道局 給水課]
◯
水道用スタンドパイプの研究開発
[水道局 北部第二給水維持課]
◯
業界初!公民連携して安全と安心を追求した配管支持金物の安全カバー製品化
[建築局 機械設備課]
◯
放流ゲート緊急閉による津波対策
[環境創造局 神奈川水再生センター]
◯
グリーンライン車両への初込めカット適用によるブレーキライニングの交換コスト
及び電気代縮減
[交通局 川和保守管理所]
( 並びは事務局の整理番号順です )
優秀賞
名 称
提 案 部 署
局・区課名
提案概要
不断水切替弁を用いた新たな連絡工法の開発
部 門
土木・造園
小西孝之,翠川和幸
礒山朋子,武井紀子
中井一雄
水道局では老朽管更新工事を年間約110km行っており、大半の工事で断水を伴うが、お客さまの生活へ
の影響が懸念される場合、断水を伴わない不断水連絡工法を採用している。ところが、この工法は一時使
用する弁の毀損や誤操作・停滞水等の維持管理上のリスクがある。提案する不断水切替弁を用いた工法
は、弁を一時使用後、撤去・再利用することができ、これらの課題を解消することができる。さらに開発
した流路ガイド・防食体を使用することで、管の切断端面を錆から防ぎ、長寿命化が期待できる。この新
たな連絡工法の開発により、不断水工法をより容易に採用できる状況となった。またこの工法及び流路ガ
イド・防食体は、特許出願中である。
水道局 給水部 給水課
・弁体撤去後、管内部での水の動きが複雑になり、不要な圧力や、空気が混ざることによる水の白濁が
想定されたため、水の流れをスムーズにするための、流路ガイド・防食体の提案を行った。この提案に
ついては、特許を出願中である。
創意工夫
・布設時に加わる不平均力の検討を行うことで、防護コンクリートの提案を行った。
アピールポイ ・試験施工により、局職員による不断水切替弁の開閉作業の際、開閉の微調整が難しいことがわかった
ため、微調整ができるよう、改良を行うよう提案した。
ント
・弁の開閉表示が見づらく、開閉作業を行う局職員の誤操作が懸念されたため、職員にもわかりやすい
表示方法を提案した。
図1.従来の不断水連絡工法
従来の不断水連絡工法の課題を解決するために、既設管に不断水で設
置でき、3方向に通水可能な『不断水切替弁』を開発した。この工法
は、まず既設管に不断水切替弁2基を設置し、新設側の流れを止水して
新設管を布設していく。次に、切替弁を回転させ撤去側を止水し、既設
管を撤去していく。(黒い扇形の向きが止水方向)
不断水切替弁は、設置後に不断水で弁体を取り外すことができ、取り
外した弁体は再利用することができる。また、取り外した後に、管内の
流れをスムーズにし、切断面の腐食を防止する『流路ガイド・防食体
(以下、防食体)』も合わせて開発した。
不断水切替弁
流路ガイド・防食体
図2.新たな不断水連絡工法
講評
職員のアイデアを4年間かけて具現化に結びつけた根気と情熱を評価する。
これまでの工法では残置していたバルブを転用可能にすることで無駄な工事費が解消でき、従来工
法に比べて大幅な長寿命化も実現している。
職員の着想と民間企業との共同研究により実現した工法であり独創性も高い。
優秀賞
名 称
水道用スタンドパイプの研究開発
提 案 部 署
局・区課名
提案概要
水道局 給水部 北部第二給水維持課
部 門
土木・造園
一方井俊和,窪田雄二
水道局では、導・送・配水管の各種工事や作業完了後、洗浄水の排水及び空気の排気作業を行っている。この作
業は、地下式消火栓(以下「消火栓」という。)等に消防用スタンドパイプ(以下「スタンドパイプ」という。)
を接続した後、消防用ホースを連結して行う方法と、スタンドパイプから直接排水を行う方法で実施している。
そのような中、新規に購入したスタンドパイプを使用した直接排水による洗浄作業中に、スタンドパイプが破断
して消火栓から離脱し、職員が受傷する事故が発生した(平成25年1月)。
過去にも負傷には至らなかったが、消火栓等からスタンドパイプが離脱したことがあり、事故の危険性に留意し
ながら作業を行っている状況である。
この事故を契機に、安全に作業を行うことができる水道用スタンドパイプの開発を民間企業と共同で行い、特許
を取得した。
水道用スタンドパイプの開発を進めるうえで留意したことは、
①破断・離脱事故の原因の究明
②水道用スタンドパイプとしての使用条件を満たすための新たな構造・機構の検討、材質を選定し通常の 使用に
加え直接排水でも破断・離脱事故を防止できること
③安価で耐久性に優れ安全に使用できることであり、試作品による実証実験、耐久試験を実施し、課題を解決する
ため検証を行った。
創意工夫
検証結果から、
アピールポイ ①パイプと受け口の接続部にパイプ外径の10%以上の長さを有するサポート部分を設けることにより、曲げ
応力の集中の緩和
ント
②受け口端面にOリングを挿入し、これを消火栓等の差し込み部品と係合することで、パイプの横揺れを
抑制
③係止め爪及びカバーの材質をステンレス鋼に変更することで係止め爪の変形と磨耗の防止、カバーの割れ
や変形防止
以上の3点を加えることで、破断・離脱防止対策に必要な機能の向上を図ることができた。
新たな機能と特徴を持った水道用スタンドパイプについて特許申請し、平成27年3月13日付けで特許登録された。
延長したパイプサポート部
開発品の
水道用スタンドパイプ
既製品
開発品
Oリング
既製品
開発品
カバー部
材質変更:アルミニウム⇒ステンレスへ変更
※曲げ荷重による割れ等の破損防止と強度
の向上
赤斜線部はスタンドパイプと
接続される、消火栓等の口金部
講評
係止め爪
材質変更:青銅⇒ステンレスへ変更
※変形、摩耗防止と強度の向上
事故を教訓として、安全に使用できるスタンドパイプを民間企業と共同開発し、特許を取得したこ
とを評価する。
開発にあたっても、安全性を確保するための事故原因究明や試作品による実証実験や耐久試験など
に職員が関与し品質性能の向上に努めているなど大いに評価する。
アイデアの提案は市が行ない実証実験は民間企業が行なう役割分担は、市職員主導の技術開発の好
事例であり、成果品は他都市への波及効果も期待できる。
優秀賞
名 称
業界初!公民連携して安全と安心を追求した
配管支持金物の安全カバー製品化
提 案 部 署
局・区課名
提案概要
創意工夫
アピールポイ
ント
部 門
設備・機器
田原次郎、鈴木節雄
宮腰努、岩瀬武
建築局 公共建築部 機械設備課
配管を支持するための金具(通称:立てバンド)は、板金をプレス加工したものであり、端部のエッジや固定するた
めのボルトの先端が露出する形状である。
特に学校や保育園などの施設では、小さな子供たちが配管に登ったりするなど思わぬ行動をとるため、不用意に手を
触れた際に怪我をするおそれがある。これまでは、配管保温材などで保護することで安全対策を図っていたが、経年劣
化、施工性さらに美観などに課題があった。
そこで、安全性はもとより施工性・耐久性・コストに配慮した材料を選定し、さらに既存建築物に馴染む美観なども
考慮して、製造メーカーと共に安全と安心を追求した「配管支持金物の安全カバー」を製品化した。
課内会議を開催し、あらゆる視点から課題解決に向けた取組みを掲出した。
安全対策として、配管支持金物の安全カバーにおける取組要点として、次の5つを目標を設定した。
①品質 :耐候性のある塩ビ製(樹脂管と同材質)
②コスト:施工業者の採用を考慮し、コストを抑えたシンプルな構造(目標販価100円未満/個)
③施工性:工具不要、ワンタッチで取付けができ、かつ、いたずら等で簡単に外れない構造
④美観 :公共建築物にマッチするグレー色
⑤汎用性:主要他社製の支持金物の構造・寸法を調査し既存の設置品への取付けも可能
【立てバンド設置例】
素手で触ると危険
・板金の角部
・端面のバリ
・ボルト先端部
学校 空調用ドレン管の立てバンド
立てバンドの危険部位
配管支持カバーによる施工
講評
金具の安全性を向上するためにアイデアを出し合い、その後、試行錯誤しながらメーカーと協力し
製品の製作を行うなど、苦労の過程が思い浮かぶ提案となっている。
施工時に現場合わせの対応であった安全対策を、施工性、耐久性を踏まえて製品化したことによ
り、将来にわたって児童のけがの要因を取り除く改善がなされていることを高く評価する。
また、汎用性や維持管理上の簡易性から、他の施設への波及効果が期待できる点も評価する。
優秀賞
名 称
提 案 部 署
局・区課名
提案概要
創意工夫
アピールポイ
ント
部 門
放流ゲート緊急閉による津波対策
設備・機器
石原卓磨,増沢諭理也
佐藤保夫
環境創造局 下水道施設部 神奈川水再生センター
平成23年3月に発生した東日本大震災を教訓とし、環境創造局では平成25年3月に「横浜市下水道BCP【地震・
津波編】‐第1版‐」が策定された。これは、地震や津波が発生した際に下水道事業を継続していくための計画であ
る。
神奈川水再生センターでは、職員全員が参加する技術検討会において、神奈川水再生センターにおけるBCPを検
討した結果、津波が発生した際に生じる逆流から水処理機能を守る必要があるとの結論に至った。放流口から海水が
逆流し、最終沈殿池に海水が入ると、返送汚泥ポンプにより反応タンクへ海水が送られ、微生物が死滅してしまうの
である。
これを防ぐためには、津波が発生した際に放流ゲートを素早く閉めることが必要となる。また、現場に行くことな
く、安全に閉めるためには、遠方操作による緊急閉を可能とする必要があった。
遠方操作を行うゲートは、高価な電動ゲートを採用することが一般的であるが、手動ゲートに自重降下機能を持た
せ、ブレーキレバーを操作するための電動シリンダーを組み合わせることによって、安価に必要な機能を実現したの
で報告する。メーカーに確認したところ、手動ゲートと汎用の電動シリンダーを組み合わせる今回の提案内容は、過
去に例のない取り組みとのことである。
電動ゲートと手動ゲートでは、手動ゲートの方が安価であるが、通常、遠方操作が出来ないゲートである。しか
し、津波が迫る中、現場に行くことなく安全に閉めるためには、どうしても遠方操作による緊急閉が必要となる。
当初、電動ゲートへの変更を検討したが、予算の制約もあり、実現が困難であった。その中で、職員自らが諦める
ことなく検討した結果、自重降下機能付き手動ゲートと、既存の製品である電動シリンダーを組み合わせることで必
要な機能を満たし、コストを安価に抑えることができた。自重降下機能付き手動ゲートに、ブレーキレバーを操作す
るための汎用の電動シリンダーを設置して、遠方からの緊急閉を可能にした前例はない。
ブレーキレバー
【自重降下を開始する機構】
ブレーキレバーに電動シリンダーを設置
し、電動シリンダーを動作させることで自重
降下を開始できるようにした。
電動シリンダー
【遠方操作】
ブレーキレバーを戻す
ブレーキ解除
(自重降下開始)
電動シリンダー操作
遠方から電動シリンダーを制御できるようにした。
これにより、人が直接現場に赴くことなくゲートを閉
めることが可能となり、安全性が向上した。
操作場所:中央操作室
高さ:T.P.+15 m
【時間短縮】
全開→全閉までの所要時間が60分→2分に短縮さ
れ、迅速にゲートを閉められるようになった。
改良後のゲート
押しボタンスイッチ
(自重降下開始)
講評
操作場所
遠方
操作方式
自重降下
所要時間
2分
職員全員が参加した検討会において提案された案件について、職場が一体となって放流ゲートに必要
な機能を創意と工夫を重ねて追加し、システムを完成させたことを評価する。
自重降下機能付き手動ゲートの応用活用でコスト削減を図り、自重降下の開始をブレーキレバーに電
動シリンダーを組み合わせ遠隔操作で可能とする等、アイデアと工夫が込められている。
また、これまで60分かかっていたゲートの開閉が2分で対応できることは、災害時における水再生セ
ンターの安全性が飛躍的に向上し、他都市を含めた波及の可能性を高く評価する。
優秀賞
名 称
提 案 部 署
局・区課名
提案概要
グリーンライン車両への初込めカット適用による
ブレーキライニングの交換コスト及び電気代縮減
交通局 技術管理部 川和保守管理所
部 門
設備・機器
柏 昭一
グリーンライン車両は、他のリニア地下鉄車両と比較してブレーキライニングの摩耗量が多く、ライニングの交換
コストが課題となっており、この原因を調査した結果、電気ブレーキと空気ブレーキの切り替え時の応答性を高める
ため、電気ブレーキ時に若干の空気ブレーキを込めている「初込めブレーキ」の影響であることが判明した。
課題解決に向け、26年3月に導入した新造車両にて「初込めブレーキ」を取り除くこと(初込めカット)を提案
し、ライニング摩耗量の変化を調査した結果、摩耗量が半減し、大幅な交換コスト縮減が可能となり、さらに、初込
めブレーキ分のブレーキ力を電気ブレーキで補うことで、電気代の縮減にもつながった。
今回の提案は、職員が主体となりゼロからスタートして検討を進め、周囲の協力を得てライニングの摩耗量や初込
め圧力のデータを収集し、グラフ等を用いて分かりやすくメーカーに説明し、協力を得ることができた。「初込め
カット」を導入するに当たり、鉄道事業者(交通局)の責務として、お客様に安全な車両を提供するため、夜間現車
試験を数十回にわたり実施し、性能と安全性の確認を行った。また、効果の検証(ライニングの摩耗量の変化)も職
創意工夫
アピールポイ 員が主体となって実施した。
「初込めブレーキ」システムを取り除くことで、車両のブレーキ力が不足してしまう弊害が発生したが、電気ブ
ント
レーキ力を向上させることにより課題を解決した。さらに、電気エネルギーを無駄なく変換することが可能となり、
電気代の削減にもつながった。
講評
安全運行上、常識とされているブレーキ動作を見直すことで、回生ブレーキによる電力の削減、ブ
レーキの消耗を防ぐなど大きな成果を得ることが出来た提案である。
他都市のリニア地下鉄車両と比較してブレーキライニングの摩耗量が多いことに着目し、その原因
を究明し、十分なデータの収集、メーカーとの調整、継続的な調査を行い、慎重に段階を踏んで困難
な課題に取組んでいる。
性能だけでなく、利用者に対して十分に安全に配慮し、検討・検証を重ねた上で、成果に結びつけ
ている点を高く評価する。