設置の趣旨等を記載した書類 Ⅰ 設置の趣旨及び

設置の趣旨等を記載した書類
Ⅰ
設置の趣旨及び必要性
1
設置の背景
近年,教育専門職に求められる課題は大きい。例えば「特色ある学校づくり」や「開
かれた学校づくり」のための新しい学校マネジメント,学力低下に対応した新しい指
導方法やカリキュラムの開発,さらに「いじめ」「不登校」「特別支援教育」に対応す
る教育臨床的な指導等,多様な課題を解決する新たな実践力と応用力が求められてい
る。
一方,そうした課題の解決のためには経験豊かな人材による研修の機会の確保が必
要であるが,少子化に伴う小規模校化による校内研修の縮小や,
「2010年問題」
(団
塊世代の退職に伴う社会問題)による中堅層教員数の減少の影響により,その機会と
条件の保障が困難な状況にある。
このような課題に対応すべく教員養成系大学に対する方向性が国の施策として示さ
れている。
例えば,平成13年11月に文部科学省から国立の教員養成系大学・学部の在り方
に関する懇談会報告書「今後の国立大学の教員養成系大学・学部の在り方について」
において,教員養成系の学部・大学院の教員組織及び教育課程等について重要な指摘
がなされた。また,平成18年7月には中央教育審議会「今後の教員養成・免許制度
の在り方について」の答申が示され,教員養成の変革が喫緊の課題として求められて
いる。
本学は,平成13年に国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会報告書
「今後の国立大学の教員養成系大学・学部の在り方について」が示されたことを受け
て,幾度となく慎重に検討し,これまで実施してきた従来の教育実習のみでは教育実
践能力を高めるには不十分との反省から,理論と実践(実習)の融合を目指し学部の
1年生から4年生まで全ての学年(1年生:教職トライアル,2年生:教職リサーチ,
3年生:教職プラクティス(教育実習)
,4年生:教職インターン)において学校現場
での教育実践体験を系統的にカリキュラムの中に仕組む必要があると考え,実践科目
を機軸としたACTプラン(Active collaboration teaching plan:行動的連携教育
計画)を平成15年から実施している。ACTプランについてはすでに報告書等(た
とえば教師教育研究Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,2005年~2007年等)により一般に公表して
いる。この取組については岐阜市教育委員会及び対象学校から高い評価を得ており,
成果を挙げている。中でも教職インターンでは派遣学生の数が不足するほど各学校か
らの派遣要望がある。
-1-
一方,大学院教育学研究科(以下「本研究科」という。)では,これまでの教員養成
は大学で行い教員研修は教育委員会で行うという枠組みを再考し「両者が一体となっ
て教員養成段階と教員研修段階の有機的な教育体制を整備し,教員の生涯にわたる多
様な教育課題に対応できる資質の向上にあたる」という考え方を重視して,これまで
に教員研修及び大学院教育の教育体制の改革を推進してきた。この教育改革を進める
段階において,岐阜県教育委員会及び各市教育委員会との連携を一層強くするととも
に,大学院及び教員研修の改善のための取組を継続的に遂行してきた。その主な取組
は次の2つに集約することができる。
①夜間・遠隔大学院の展開
②大学における教員研修プログラムの開発
これらの取組の背景には,教育委員会及び現職教員からの強い要望として,地理的・
時間的制約にとらわれない教育環境で大学院教育及び教員研修を受けられるようにし
てほしいという,いわゆる教育の機会均等という立場からの要請があった。この要請
を受けて,本研究科では平成11年度からテレビ会議システムを導入して夜間・遠隔
大学院の授業を遂行してきた。この夜間・遠隔大学院は,当初岐阜県内のみで実施し
ていたが,他県(熊本県)からも受講できるようにという要請があり,本研究科はそ
の要請に応えてきた。現在はこの夜間・遠隔大学院を発展させてインターネット型大
学院(現代GP)として複数県の現職教員に対しても大学院授業が受講できる状況に
なっている。このような取組を進めてきた背景には,強い勉学意欲のある現職教員に
対して「働きながら学べる大学院」を提供していくという本研究科の強い意図がある。
教員研修においては,岐阜県教育委員会と連携して,6年目研修及び12年目研修
(10年経験者研修)を夏季休業中に本学内で実施している。12年目研修では本研
究科の教員のほとんどがこの研修を担当しており毎年現職教員の要請する課題に対応
するよう配慮している。
これらACTプラン,夜間・遠隔大学院及び教員研修の取組は特色GPとして採用
されている。
これらの取組を進める中で,平成18年7月に中央教育審議会から「今後の教員養
成・免許制度の在り方について」の答申が出され,既存の大学院(修士課程)のカリ
キュラムには学校現場で必要とされる実践的な資質・能力の習得に直接結び付く教育
プログラムがほとんど組み込まれていないため,特に学部新卒の入学者(ストレート
マスター)においては修了時に教育実践の力量が不足しているという指摘がなされて
いた。本研究科ではこの指摘に応えるため,既存の大学院(修士課程)のカリキュラ
ムには学校現場で必要とされる実践的な資質・能力の習得に直接結び付く教育プログ
ラムがほとんど組み込まれていないこと,特に学部新卒の入学者(ストレートマス
ター)においては修了時に教育実践の力量が不足しているということを反省し学部教
-2-
育で実施しているACTプランの考え方を大学院にも発展させて,学部新卒の入学者
を対象としたACT-gプランを試行的に実施し,学部新卒の入学者の実践的力量の
向上を目指している(教員養成GP,平成18年度~19年度)。このACT-gプラ
ンでは,教職大学院の中で扱われる実習を現状の大学院カリキュラムの中に位置づく
ように配置して展開している。
一方,岐阜県教育委員会と話し合いの場を幾度となく設けて,岐阜県におけるリー
ダーとなる教員をどのように養成していくかについて検討してきた。その話し合いの
中で,教職大学院制度は従来の大学院制度とは異なり,組織的に教員のリーダーを養
成していくのに有効であるという共通の考え方に立ち,大学と教育委員会が一体と
なって教職大学院の設置をめざすこととした。その際に,本研究科の既存専攻の内容,
教職大学院で養成する教員像,教育課程の内容,教員組織等について検討した。その
結果,目的に競合する内容が多い既存の学校教育専攻を発展的に解消して新たに教職
大学院を設置するのが有効であると考えた。
本学は,このような背景と地域の学校でリーダーシップをとることのできるスクー
ルリーダーの養成に対する岐阜県教育委員会からの強い要請に応えるため,これまで
の実績を基盤として大学院教育学研究科に教職修士課程の「教職実践開発専攻」
(以下
「本専攻」という。)を設置する。
2
教育研究上の理念・目的
新設する本専攻では,学校現場の実践や開発に即戦力として貢献する高度な教育専
門職を養成する。既存の大学院(修士課程)は,どちらかと言えば入学生個人の研究
的なニーズに応じた研究指導を通して修士論文という形で集大成し,基本的に個人の
研究成果として還元されることを目的としてきた。教職大学院では,地域や学校の社
会的なニーズすなわち岐阜県の学校教育全体の活性化や学校組織の改善ニーズに応じ
て,地域や学校に役立つ高度な教育専門職を輩出することを目的とする。
その場合,そうした教職大学院を設置する領域としては,教員養成のための専門科
目が多い既存の学校教育専攻が考えられる。しかし,既存の学校教育専攻は「教育学」
・
「教育心理学」・「臨床心理学」といった学問領域の集合という性格が強く,さらにそ
の指導も個人の研究的ニーズに応じたものであった。
このため,新たな教職大学院の設置に際しては,学問領域の区別ではなく,学校改
善・授業開発力・教育臨床的指導力など多面的な実践力を持つ高度なジェネラリスト
の養成の観点から,既存の学校教育専攻を再編し,教職実践開発専攻を設置する必要
がある。
そのため,特に第2学年に各コース必修科目の「開発実践報告」
(2単位)は,これ
までの修士論文とは異なり,現在の学校が抱える実践的な改善課題をテーマとして探
-3-
求し,開発プランとしてまとめ,学校や地域に還元する社会的成果として修得するこ
ととしている。これらの過程を経て新しい学校づくりの有力な一員,地域の中核,学
校の中堅としてのスクールリーダーの養成を目的としている。
具体的に実現するため,学校改善,授業開発さらに教育臨床のそれぞれの力量を多
面的に形成することを教育目標として,その教育目標を達成するため,学校改善コー
ス,授業開発コース,教育臨床実践コースさらに特別支援学校コースで編制された教
職実践開発専攻を新たに設置する。
この場合,新しい学校づくりの有力な一員及びスクールリーダーの養成は,組織体
制においては単に大学において行われるものではなく,連携協力校等との連携を重視
している。本専攻で開講する科目における「演習」でのリサーチや「学校教育臨床実
習・特別支援学校臨床実習」における実習さらに「開発実践報告」における開発実践
の場として連携協力校を重視し,指導体制としての連携を採用する。この指導は,大
学側の研究者教員(スーパーバイザー),実務家教員(アドバイザー)と連携協力校側
の実習指導教員(メンターティーチャー)がチームとなったリエゾン体制により行う。
(資料1参照)
また,経営力・実践力・応用力を備えたスクールリーダーの養成は,地域の教育委
員会の大きな課題となっている。これは平成15年から導入された「10年経験者研
修」に見受けられるように,教職経験10年の中堅教員に対して,自らの教職キャリ
アを見直し,専門的職業人としての展開を求めるものであり,都道府県教育委員会に
対してより高度なスクールリーダー(エクセレントティーチャー)の養成が求められ
ている。この点,岐阜県においては,岐阜県教育委員会と本学教育学研究科との連携
により,「10年経験者研修」の校外研修を実施し,積極的に対応している。
本専攻の入学者の多くは現職教員が想定されるが,学部新卒の入学者(ストレート
マスター)についても,学部段階を修了した教員としての基礎的・基本的な資質能力
の上に,新しい学校づくりの有力な一員となり得る新人教員として養成する。この場
合,専攻で履修する科目名は同一であっても,その指導に関しては現職教員対象とは
異なるコホートを形成し,科目の演習や「実習」に関して固有なプログラムを用意し,
個別な指導を行う。
なお,本専攻の入学定員は,教育学研究科全体及び専攻の入学状況,さらに本専攻
設置により岐阜県教育委員会が増員する現職教員の派遣枠(現在12人を18人に拡
大)を基礎とし20人を設定した。この人数は教育学研究科全体の入学実績からも確
保できると考える。
このように,教職実践開発専攻の設置は,実務家教員の派遣や連携協力校との連携
など岐阜県教育委員会と本学の協働により機能するものである。
-4-
3
どのような教員を養成するのか。
本専攻が養成する人材像は,学校改善力・授業開発力・教育臨床的指導力など多面的
な実践力を持つ高度な教育専門職である。既存の大学院修士課程の教育研究では,学問
領域に分化した専門領域の教育専門職(準研究者)が養成する人材像であった。また,
学校教育実践の領域を研究課題にする現職教員の教育研究指導についても,その履修成
果は修士論文に集約され,高度な教育専門職としての力量形成が必ずしも多面的に身に
付いたとは言えなかった。本専攻の養成する教員の人材像は,あくまでも多面的な実践
力を持つ高度な教育専門職にある。学校改善力・授業開発力・教育臨床的指導力を養成
するため,多面的・総合的な力量を身につけるカリキュラムと学校組織や教育指導の実
践的な開発を意識したコース編成を行い,高度なジェネラリストとしての教師像を重視
する。
(表1)
表1
区
分
教育目的
教職大学院と既存の大学院との相違
教職大学院
修士課程
学校教育全体の活性化や学校組 個人の学校教育研究の課題に応じて
織の改善ニーズに応じて地域や 専攻分野の専門性を高め,研究能力
学校に役立つ高度な教育専門職 や高度な専門性を育成
(スクールリーダー)を育成
養 成 す る 教育に関する多面的・総合的な力 専攻分野の専門性を高め,研究課題
人材像
量と学校組織や教育指導の実践 の探究を通して研究の方法論を身に
(教員像) 的 な 開 発 を 推 進 で き る 高 度 な 付け,それに基づいて学校教育にお
ジェネラリストとしての教員
ける研究を推進できるスペシャリス
トとしての教員
教育課程
学校改善・授業開発・教育臨床実 専門科目を16単位として重点化す
践に関する多面的な理論と実践 るとともに,課題研究の6単位によ
を修得する必須科目を20単位 る研究指導と修士論文を必須とする
とするとともに,学校実践を通し 専門性と研究能力の育成を重視した
た総合的な力量を形成する教育 教育課程
実習,開発実践報告を12単位と
する教育課程
本専攻では,現職教員と学部新卒生を対象として,それぞれのコースにおいて以
下のような人材の教員を養成する。
○
学校改善コース
-5-
・ 校長・教頭を補佐し,学校全体の運営に関して中間的なマネジメントを担当
できる将来の主幹及び総括教諭(指導教諭)になり得る現職教員を養成する。
・ 学校運営の全体に関わり,校務分掌上の役割を充分に遂行できる新人教員を
養成する。
○
授業開発コース
・ 学校の授業研究や教育課程の改善と開発のリーダーとなる将来の主幹及び総
括教諭(指導教諭)あるいは研究主任等になり得る現職教員を養成する。
・ 授業者として基本的な能力の上にさらに発展的な,応用的な能力を身につけ
た新人教員を養成する。
○
教育臨床実践コース
・ 生徒指導領域においてスクールカウンセラーと協働し,児童・生徒への臨床
的な指導を専門的に担当できる将来の総括教諭あるいは生徒指導主事等にな
り得る現職教員を養成する。
・ 学校担任として基本的な能力の上にさらに実践的な,臨床的な能力を身にう
つけた新人教員を養成する。
○ 特別支援学校コース
・ 特別支援学校の現職教員に対して勤務校や地域の小・中・高校の要請に応じ
た支援ができる特別支援教育コーディネーターになり得る現職教員を養成す
る。
・ 特別支援学校の教員として基本的な能力の上にさらに応用的な能力を身につ
けた新人教員を養成する。
4
研究科・専攻の名称及び授与する学位
(1) 研究科・専攻の名称 「教育学研究科教職実践開発専攻」
理
由
本専攻は,新しい学校づくりの有力な一員,地域の中核,学校の
中堅としてのスクールリーダーの養成を目的としている。このた
め,教職に関する理論と実践の融合による教育課程を編成し,多
様な課題を解決することができる幅広くて高度な実践力と応用
力を自ら開発する力量をもつ教育専門職(スクールリーダー)を
養成する。
英語名称
Graduate School of Education
Major of teaching professional practice development
(国際的に通用する英訳である。)
(2) 授与する学位 「教職修士(専門職)」
-6-
5
教育課程の編成の考え方及び特色
(1) 教育課程の編成
教職実践開発専攻は,教育目標を達成するため,学校改善コース・授業開発コー
ス・教育臨床実践コース及び特別支援学校コースの4コースで編成した。
【共通科目】
教職の総合的な力量の形成を重視し,共通科目(全て必修)を設定する。授業科
目は教職に必要と考える以下の 5 つの領域に対応するものである。
○
教育課程の編成・実施に関する領域
「カリキュラム構成の方法論」
○
教科等の実践的な指導方法に関する領域
「教科授業研究の開発実践」「授業分析の方法論」
○
生徒指導,教育相談に関する領域
「生徒指導・教育相談の理論と実践」
「学校適応の理論と実践」
○
学級経営,学校経営に関する領域
「スクールマネジメントの技法と実践」
「学級経営の理論と実践」
○
学校教育と教員の在り方に関する領域
「学校改革の理論と実践」「教職開発論」
○
このほか,特別支援教育に関する教育の理論と実践を取り扱う次の授業科目
を置く。
「特別支援教育の理論と実践」
【専門科目】
各コースには,養成する人材像を実現するための授業科目を設定する。
具体的には,コースごとの選択必修科目と選択科目により編成する。
演習・実習の重要性を鑑み,コースごとに設定した「開発実践報告」科目を選択
必修科目とする。また,学校改善コース,授業開発コース,教育臨床実践コースで
は「学校教育臨床実習」の3科目を,特別支援学校コースでは「特別支援学校臨床
実習」の3科目を選択必修科目として設定した。
①学校改善コースは,学校改善のための技法を習得するためのコースであり,校
務分掌の役割を持つ有力な新人教員としての応用力,さらに,スクールリーダー
としてのマネジメントの形成を目的としている。
これからの自主的・自律的な学校づくりのためにどのような学校ビジョンを
構想すべきか。さらに,どのように学校経営計画を作成すべきかという課題を
探求するとともに,現在学校に強く求められる学校評価や危機管理の計画を作
-7-
成することなどを学ぶ。そのため,それぞれの科目は理論と実践の融合を重視
し,学校改善の実践開発の方法論を中心とした教育内容と,学校問題の理論的
省察,事例分析,学校フィールド調査のステップを持つ教育方法を構成してい
る。例えば,
「学校評価の開発実践」では,効果的な学校評価票とシステムの開
発の方法論を習得することを教育内容として,学校評価の考え方を理論的に考
察し,内部評価や外部評価の事例分析や事例校調査を通じて,最終的には効果
的な学校評価票やシステムの開発を行う。
②授業開発コースは,授業改善や教育課程改善のためのストラテジーと技法を習
得するためのコースであり,エクセレントティーチャーとしての授業力の形成
を目的としている。授業のクオリティ向上のためにカリキュラム・マネジメン
トをどのようにすべきか。子ども(学習者)理解や効果的な教材開発をどのよ
うにすべきか。確かな学力を向上させる授業の開発的力量と実践的方法を身に
つけるとともに,授業改善プランや教育課程の評価計画を作成することなどを
学ぶ。このための授業開発コースの各科目は,理論と実践の融合を重視し,授
業開発のストラテジーと手法を中心とした教育内容と,授業改善の理論的省察,
ワークショップ,事例分析,授業案のPDCA,実地調査等,実効的な架橋を
図る学習方法上の工夫によって構成されている。
「教育課程の経営と評価」を例
にとると,効果的な教育課程経営の方略開発の手法を習得し,ワークショップ
や実地調査等により学校の実際のケースを素材に実践課題を探求するとともに,
アセスメント・チェックリストや教育課程の評価・改善計画を作成することで
形式知の実用化を促す。
③教育臨床実践コースは,教師自身が学級担任の立場から教育臨床問題を解決す
るための理論と技法を習得し,教育臨床実践家としての力量と資質の向上を目
的としている。子どもの成長・発達を支援する教育実践をどのようにすべきか。
教育臨床問題を解決するために道徳教育や教育相談さらに生徒指導をどのよう
にすべきか。そして,児童・生徒の精神的健康・学習適応・ソーシャルスキル
の習得といった学校適応の方法を学ぶ。理論面については,生徒指導,教育相
談,道徳教育,特別活動等についての心理学的,教育学的な理論を学習するこ
とにより,学級すべての児童生徒の適応に資していく。さらに,学級の一部に
みられる登校しぶりや学習意欲の低下等の危険性を有する児童生徒については,
早期の発見と援助開始が重要になるが,援助ニーズの大きい者を発見する実践
力が理論力に加えて必要になる。さらに,不登校やいじめ等の特別な援助を必
要とする生徒に対しては,より専門的な知識と可能な限りの援助資源を活用す
る特別な実践力を要する。教育臨床実践コースでは,これらの理論と実践の高
い融合を目指す。
-8-
④特別支援学校コースは,特別支援学校における特別支援教育を推進していくた
めの理論と技法を習得するためのコースであり,特別支援学校の特別支援教育
コーディネーターとして勤務校内及び地域の幼・小・中・高校の要請に応じた
支援ができる力量の形成を主たる目的としている。
「特別支援教育のさらなる推
進」「地域における特別支援教育のセンター的機能」「特別支援学校教員の専門
性の向上」といった特別支援学校に喫緊に求められている諸課題に対応してい
くための実践的方法を学ぶ。特別支援学校は在籍児童生徒の重度・重複化が急
速に進み,理論と実践の更なる融合が喫緊の課題となっている。そのため,特
別支援学校コースではいずれの科目も「科目内部における理論と実践の融合」
を基本とする。例えば,児童生徒の生命維持さえもその課題となる講義「特別支
援学校の危機管理対策」では,まず,大学において危機管理に関する基本理念や法
制度に関する講義を行う。そして,その知見をもって,「知的障害児を中心とする特別
支援学校」,「肢体不自由児を中心とする特別支援学校」,「病弱児を中心とする特別
支援学校」,「視覚障害児を中心とする特別支援学校」,「聴覚障害児を中心とする特
別支援学校」といった多様な学校現場を訪問し,危機管理に関する資料収集や学校
設備等の視察を行う。さらに,その資料収集や視察の結果を大学で分析し,各障害に,
また,その重度・重複化に対応可能な「特別支援学校の危機管理マニュアル」の作
成・検討を行う。
(2)養成される力量
本専攻で養成される力量の設定は,学校における優れた教員あるいはスクール
リーダーとして行動するそれぞれの段階で期待される行動特性に応じた力量を想定
している。
具体的には,学校現場における行動の段階を「実践の省察と問題発見」,「事例の
分析と解析」,「課題の析出と開発」の三段階とした。さらに,それぞれの段階にお
いて優れた教員あるいはスクールリーダーが持つべき行動特性を3つに分類し,合
計9つに区分した。詳細には,
「実践の省察と問題発見」の段階における「省察」
「受
容」
「問題発見」,
「事例の分析と解析」の段階における「分析」
「情報収集」
「解析」,
「課題の析出と開発」の段階における「課題設定」「改善戦略」「プレゼンテーショ
ン」である。
以上,本専攻において養成される力量は,この9つの行動特性において求められ
る力量であると考えた。例えば,
「実践の省察と問題発見」の段階では,「省察」に
おいて「一定の考察枠組みにより教育事象や自らの実践を相対化する力量」,
「受容」
において「異なる視点や異なる考えを受容し,多様な見方・考え方を持つ力量」,さ
らに,
「問題発見」において「教育事象や実践に潜在する問題を発見する力量」を養
-9-
成される力量とした。以下,
「事例の分析と解析」
・
「課題の析出と開発」においても,
それぞれの力量を設定した。
(資料2参照)
開講する科目では,この優れた教員あるいはスクールリーダーとしての力量イ
メージを背景に,科目に応じた具体的な力量を設定している。それらの力量の形成
がそれぞれの科目の達成目標となる。
(様式第2(その3)に添付のシラバスの「到達目標及びテーマ」を参照)
(3)教育課程の特色
本専攻では,優れた教員あるいはスクールリーダーとしての多面的で多様な力量
の形成に対応したカリキュラムの編成を重視しており,共通科目において総合的な
力量の形成を重視するとともに,選択科目において学校改善,授業開発,教育臨床
実践さらに特別支援学校コースでの実践開発の力量の形成を重視している。
教育方法としては,理論と実践の融合を課題とした授業方法を重視しており,多
くの科目において「事例研究」「討議」「臨床的観察」を重視し,技法とその応用力を導
く方法を採用している。
学校フィールドでの観察・分析・検証を重視した教育内容・方法を効果的にする
ため,連携協力校との連携を重視しており,「実習」及び「フィールド科目」(観察や
事例分析を重視した科目)において,連携協力校の実習指導教員を加えたリエゾン
体制を組むことを重視している。
さらに,学生が身につけた資質能力を,教員として必要な資質能力として有機的
に統合・形成させるため,「学校教育臨床実習」として3科目(10単位),すなわ
ち「学校改善臨床実習」
(3単位),
「授業開発臨床実習」
(4単位),
「教育臨床実習」
(3単位)を連携協力校において実施する。なお,
「特別支援学校臨床実習」につい
ては,連携協力する特別支援学校において「学校改善臨床実習」
(3単位),
「授業開
発臨床実習」(4単位),「教育臨床実習」(3単位)を総合的に実施する。
6
教員組織の編成の考え方
(1)教員組織の編成の考え方
本専攻の各コースには,それぞれ学校改善コース(教授3),授業開発コース(教
授3,准教授1),教育臨床実践コース(教授2,准教授2),特別支援学校コース
(教授1,准教授2)の計14人(教授9,准教授5)教員を配置する。そのうち
実務家教員は6人である。
開設される授業科目のうち,「スクールマネジメントの技法と実践」「教科授業研
究の開発実践」
「生徒指導・教育相談の理論と実践」及び各コースの中核的な授業科
目には,当該分野における博士・修士の学位を有し,十分な研究業績を有する教員
-10-
を配置している。
また,事例研究やフィールドワークにおいては協力教授方式,「実習」や「演習」に
おいてリエゾン体制を採用するため,実務家教員を配置している。
実務家教員は,その実務経験による技法と実践的指導の能力を重視して,理論的
な指導よりも実際的な技法と開発プランの設計等の指導が強く求められる科目を担
当する。
共通科目については,県教育次長など県下の学校改革の推進に従事した実務家教
員が「学校改革の理論と実践」を担当し,市教育長,教育事務所長などとして市内
学校の教職員の研修指導に従事した実務家教員が「教職開発論」などを担当する。
それぞれ,管轄の学校や教職員集団の管理的業務に従事した実務家が,専任教員の
立場においてその管理的技法を発揮することを意図した配置としている。
また,選択科目については,長い教職経験を有する実務家教員3人が特任教授の
立場において,その教育実践上の指導力を生かし,教育実践上の技術と開発能力の
形成を必要とする科目を研究者教員と共同で担当する。例えば,
「授業分析の事例研
究」
「校内授業研究システム改善」
「ワークショップ型教材研究」
「生徒指導・教育相
談の事例研究」などを担当する。それぞれ教育指導者(授業者)としての実務経験
を有する実務家教員が,実践経験を生かした指導が発揮されることを意図した配置
としている。
さらに,
「学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習」については,実質的な実習
指導の役割を持つとともに,
「開発実践報告」についても開発プランの指導者として
加わる。
なお,本専攻の専任教員の年齢構成は平成20年4月時点で38~63歳であり,
岐阜大学職員就業規則第23条の定年の規定においても問題はない。(資料3参照)
7
教育方法,履修指導の方法及び修了要件
(1) 教育方法
本専攻は,学校現場に実際に取り込むことのできる技法の習得と学校改善や授業改
善,さらに児童生徒の臨床的支援のための実践を開発し,その成果を学校現場に還
元するスクールリーダーの養成を目的としている。そのため,多くの開講科目は,
実践技法の習得のための「講義」とその技法の検証と開発のための実践的な「演習」
の両方を組み合わせた履修形態とする。
具体的には1科目全体を大きく3つのステップに分け段階的に学習する履修形態
をとる。
ステップⅠでは,
「実践の省察と問題発見」を目標として,養成・評価される力量
を「概念化能力」に置き,「研究者教員による講義」の「受講」を行う。
-11-
つぎに,ステップⅡでは「事例分析と課題の析出」を目標として,養成・評価さ
れる力量を「分析能力」に置き,研究者教員・実務家教員等による「T.T(ティーム
ティーチング)による演習」形態の「小集団によるケースメソッド」を行う。
さらに,ステップⅢで,
「実践の検証とプログラム開発」を目標として,養成・評
価される力量を「コミュニケーション能力」に置き,研究者教員・実務家教員等に
よるプロジェクト(リエゾン)による「臨床演習」「実践演習」指導を行う。
例えば,
「ワークショップ型教材開発」の科目では,段階的に展開する履修形態を
とっている。ステップⅠで,
「実践の省察と問題発見」として,研究者教員がその理
念等に関する講義を行う。そして,ステップⅡで,
「事例分析と課題の析出」として
3つの小集団に分かれ,実務家教員3名と研究者教員からなるT.T(ティーム
ティーチング)で,連携協力校の教材開発等に関するケース分析を行う。さらに,
ステップⅢで,「実践の検証とプログラム開発」として,その課題に応じたワーク
ショップによる討議やアイデアの交流,連携協力校での模擬授業の実施とその改善
検討を行うといったコホートによる臨床実習を実務家教員3名と研究者教員が実践
指導していく。
モデル科目「ワークショップ型教材開発」
区
分
ステップⅠ
授業方法
講
義
授業形態
一
斉
ステップⅡ
ステップⅢ
ケース分析
協議
ワークショップ
ワークショップ
グループ
コホート
ティームティーチング
ティームティーチング
教員B
担当教員
教員A
教員C
教員B
教員A
教員D
教員C
教員A
教員D
ただし,こうした履修形態は対象となる科目の特性や受講生の数に合わせて異なる
場合もある。
なお,学校現場における演習の実践の現場として,大学から30分圏内に所在す
る小・中学校等に本学部の附属学校(小・中学校各 1 校)を加えた合計16校を,
「連
携協力校」と位置づけ,協力支援の体制をつくる。
さらに,本専攻での履修は,学年進行に応じた科目の配列にしたがって行うこと
とする。学習の基本的な進行は,技法知から実践知への段階的に展開する。
(資料4参照)
(2) 履修指導の方法
-12-
本専攻の修了要件は,授業科目46単位以上の単位を修得すること。
なお,学部新卒者に対しては,年度当初に履修方法についてきめ細かいガイダン
スを行うとともに,担当指導教員(研究者教員1人,実務家教員1人)を早期に決
定して授業及び実習の事前指導を行うよう配慮する。特に,実践報告の課題設定に
配慮しそれぞれの科目において指導上の工夫をする。具体的には,必須科目(「スクー
ルマネジメントの技法と理解」「学校改革の理解と実践」)では,学部新卒者のみの
コホートを編制し提示する課題や指導に特別な配慮を行う。また,選択科目では,
個々の学部新卒者の関心や力量に応じた個別指導を行う。
このコホート方式は,類似の課題やテーマ(教育研究目的)を有する少人数グルー
プによる教育指導方法であり,指導教員と学生及び学生相互のコミュニケーション
を深めるのに有効である。またコホート内でのコミュニケーションにより実践の省
察に基づく学生の課題意識,課題解決方法等を追求していくのに効果的な教育方法
であり,本研究科で既に実践し効果を挙げている。
―講義・演習―:(共通科目)20単位(必修科目)を修得する。
(専門科目)コース別16単位(うち,2単位は各コースの
実践報告,8単位は各コース開講科目から選択必
修)以上修得すること。
ただし,選択科目では各コースの科目に限定す
ることなく,コース横断的に幅広く他のコースの
科目も履修するよう指導する。
―実
習―:(専門科目)
学部段階での基礎的・基本的な実践力を養成する「教
育実習」科目群の上に,さらに応用力のある高度な
実践力を養成するために開講される「教育実習」科
目をいう。
本専攻は,学部段階の実習に連続して,経営・授
業・教育臨床技法など,多面的な能力開発を行いな
がら,より高度な実践力を養成することを目的とし,
学校現場で即戦力となり,有力な一員となるために,
実習を通じて高度な実践技法を習得させるとともに,
実践の省察力と分析力,さらに独創的な開発力を養
成することを目指している。
学校教育臨床実習(学校改善臨床実習,授業開発
臨床実習,教育臨床実習)又は特別支援学校臨床実習
-13-
(学校改善臨床実習,授業開発臨床実習,教育臨床実
習)を10単位(選択必修)修得すること。
ただし,上記臨床実習10単位については,現職教
員学生が所定の手続きを経て,研究科委員会で免除適
格の判定を得た場合は,単位を履修したものとみなす。
履修登録は,入学後のガイダンス,コース選択を経て行う。なお,各期における
履修登録の上限を1年次前期20単位,1年次後期以降は17単位とする。
本専攻では,1年前期に共通科目(必須)を集中して受講させ,基本的な理論を
修得させる趣旨から,1年前期に20単位を上限として設定した。また,それ以外
の期間では実習の時間を含めて17単位を上限として設定した。この上限の単位数
であれば1週間に受講する科目数(概ね8~10科目,1日2科目程度)であり,
学生が授業で提示された課題の勉強を行うことが十分可能である。
現職教員学生の「臨床実習」の免除についての申請もこの時に行う。
その後,担当の研究者教員,実務家教員を決定し,その指導の下に各コースの「開
発実践報告」の課題を決定し,定期的なゼミを通して授業を展開する。
学部新卒者に対しては,年度当初に履修方法についてきめ細かいガイダンスを行
うとともに,担当指導教員(研究者教員1人,実務家教員1人)を早期に決定して
授業及び実習の事前指導を行うよう配慮する。
各コースの履修方法は次のとおりである。
○学校改善コース
学生は,共通科目(必修)20単位並びに専門科目の学校教育臨床実習(他
のコースの2つの臨床実習科目を含む。)10単位(選択必修)
,学校改善開発
実践報告2単位(選択必修)及び選択科目として14単位以上(うち,8単位
は学校改善コース専門科目)を履修する。
例えば,必修科目「学校改革の理論と実践」
(1年後期)では,前半の講義に
よる学校改革の全体把握を受けて,講義中後半からそれぞれの学校改革の事例
(学力向上,不登校対策等)に応じたケースメソッドによる学習を計画してい
る。この段階では,受講生の同期性に応じたコホートを編成し,それぞれのコ
ホートの中での実証データの分析や問題の析出さらに省察を行い,ディスカッ
ションを中心とした学習を重視する。
このとき,現職教員のコホートは主に勤務校の学校種別により編成され,例
えば,
「小学校における学力向上」といった小学校の現職教員に共通な課題性が
与えられる。一方,学部新卒者コホートは,現職経験がないという同じ条件の
中で講義担当者による個別的な指導(具体的な課題とそれに伴う実態資料の提
-14-
示,課題達成の考え方・方法の指導等)を行う。コホートは,このように基本
的には現職教員と学部新卒者の同期性の相違に配慮したものであるが,同時に
コホート内での問題の析出や課題の分析を通じた協議の活性化を促すものとし
て重視している。また,講義中にはそれぞれのコホートによる協議結果の報告
を常に求め,全体の協議にかける。こうしたコホートによる報告と全体協議は,
特に新卒学部生にとって現職教員のコホートの報告を聞くことでよりリアルで
実践的な学習の機会になる。
○授業開発コース
学生は,共通科目(必修)20単位並びに専門科目の学校教育臨床実習(他
のコースの2つの臨床実習科目を含む。)10単位(選択必修)
,授業開発実践
報告2単位(選択必修)及び選択科目として14単位以上(うち,8単位は授
業開発コース専門科目)を履修する。
○教育臨床実践コース
学生は,共通科目(必修)20単位並びに専門科目の学校教育臨床実習(他
のコースの2つの臨床実習科目を含む。)10単位(選択必修)
,教育臨床開発
実践報告2単位(選択必修)及び選択科目として14単位以上(うち,8単位
は教育臨床実践コース専門科目)を履修する。
○特別支援学校コース
学生は,共通科目(必修)20単位並びに専門科目の特別支援学校臨床実習
10単位(選択必修),特別支援学校開発実践報告2単位(選択必修)及び選択
科目として14単位以上(うち,8単位は特別支援学校コース専門科目)を履
修する。
(3)授業の工夫
本専攻の授業全体では,実践技法の習得のための「講義」とその技法の検証と開
発のための実践的な「演習」の両方を組み合わせた授業の工夫を行う。特に,
「演習」
指導の部分では,コホートを活用したケースメソッドを導入することを工夫する。
例えば,必修科目「学校改革の理論と実践」
(1年後期)では,前半の講義による学
校改革の全体把握を受けて,講義中後半からそれぞれの学校改革の事例(学力向上,
不登校対策等)に応じたケースメソッドによる学習を計画している。この段階では,
受講生の同期性に応じたコホートを編成し,それぞれのコホートの中での実証デー
タの分析や問題の析出さらに省察を行い,ディスカッションを中心とした学習を重
視する。
このとき,現職教員のコホートは主に勤務校の学校種別により編成され,例えば,
「小学校における学力向上」といった小学校の現職教員に共通な課題が与えられる。
-15-
一方,学部新卒者コホートは,現職経験がないという同じ条件の中で講義担当者に
よる個別的な指導(具体的な課題とそれに伴う実態資料の提示,課題達成の考え方・
方法の指導等)を行う。コホートは,このように基本的には現職教員と学部新卒者
の同期性の相違に配慮したものであるが,同時にコホート内での問題の析出や課題
の分析を通じた協議の活性化を促すものとして重視している。また,講義中にはそ
れぞれのコホートによる協議結果の報告を常に求め,全体の協議にかける。こうし
たコホートによる報告と全体協議は,特に学部新卒者にとって現職教員のコホート
の報告を聞くことでよりリアルで実践的な学習の機会になる。
本専攻は養成する人材としての資質,教職の総合的な力量の形成を重視し,共通
科目に5つの領域の科目を必修として配置した。これらの共通科目は全て広い見識
を習得するために必要な科目であり,早期に履修することにより専門科目との連携
が図れるため1年次での積極的な履修を指導する。また,同時に各コースの基礎理
論と技法を習得させるため関係するフィールド科目(専門科目の一部)の履修も指
導する。これらの授業を通して1年次末に開発実践報告の課題の決定をスムーズに
行う。特に学部新卒者に対してはきめ細かな履修指導を行う。
本専攻では,1年次の前期の上限単位数を20単位としているが,週5日を前提
として,1日2科目の授業を履修することにより前期20単位以内の履修が可能と
なる。1日2科目であれば,授業以外の時間帯で授業課題を勉強・整理するのに十
分な時間的余裕があり,授業を進める上で学生に与える負担はそれほど大きくなく,
教育効果を上げることが可能となる。また,授業時間以外の時間帯では,指導教員
と個別に授業課題について相談することが可能であり,図書館などでの学習時間も
確保できる。1年前期以外は17単位を上限としており,前期以上に学生に対する
時間的負担は少なくなり,個別の学習時間を十分に確保できる。
2年次には,コース必修科目の開発実践報告の授業を支援する専門科目を履修させ
るとともに開発実践報告の授業を実習校との連携により指導を行う。現職教員の場
合,学校現場での実践を中心としながら定期的に指導教員と実践報告書作成のため
の話し合いを進めることになり,授業科目は少なくして配置している。
これに対して,主として学部新卒者の場合は,教育臨床実習以外に学校での長期実
習を行いながら実践報告書を作成することになるため,学部新卒者においても2年
次の授業科目は少なく配置している。
また,学生の多くが現職教員(県派遣の教員が中心)であり14条適用であること
にも配慮する。
以上のように履修単位数の点からは1年次の履修(特に前期)の負担が大きく見え
るが,実際は1日2科目の履修で十分対応が可能である。一方,2年次の履修単位
数は少なくなるものの開発実践報告の授業内容は単位数に示される以上の内容が豊
-16-
富である。このため,少ない授業科目に集中できる時間を確保することにより教育
効果を高めることとする。また,時間を確保することにより,必要に応じ反復指導
が可能となる。
(4)標準修業年限
本専攻の標準修業年限は2年である。
(5)修了要件
本専攻の修了は,2年以上在学し,46単位以上の単位修得を要件とする。
その内訳は,科目34単位以上,臨床実習10単位,開発実践報告2単位とする。
ただし,臨床実習10単位については,現職教員学生が所定の手続きを経て,研
究科委員会で免除できるとの判定を得た場合は,単位を履修したものとみなす。
(6)既修得単位の認定
教育上有益と認めるときは,学生が大学院に入学する前に大学院又は他大学院に
おいて履修した授業科目について修得した単位を,当該研究科委員会の議を経て,
大学院に入学した後の大学院における授業科目の履修により履修したとみなすこと
ができる。
(資料5参照)
現職教員学生が所定の手続きを経て,単位を履修したものとみなす,学校教育臨
床実習及び特別支援学校臨床実習の10単位については,この既修得単位には含め
ない。
(7)成績評価の方法
本専攻は,授業科目を履修した者に対しては,原則として試験を行う。この場合,
定期試験は,学期末又は学年末に行うものとし,その試験は,筆答試験,口頭試問,
研究報告等の方法により行う。履修した授業科目の成績は,試験のほか,出席及び
学習状況等により総合判定する。
開発実践報告書に基づく報告会を実施し,3名以上の研究者教員,実務家教員に
よって評価する。
成績は,優,良及び可を合格とし,不可を不合格とする。
最終的な学習の修了は,受講した科目の履修結果(単位数,成績)と開発実践報
告の評価をもとに教職実践開発専攻運営委員会が設置の趣旨,育成する人材像の達
成の観点を踏まえ総合的に評価し,その結果により研究科委員会が最終判定する。
この場合,特に開発実践報告の評価を重視する。開発実践報告の評価は主に最終
年度末に開かれる開発実践報告会での報告を対象とする。この報告会には,専攻の
-17-
教員のみならず学校関係者(学部新卒者の実習校の校長・教頭・指導教員等,現職
教員の勤務校の校長・教頭)や教育委員会関係者の出席を求め,本専攻の学生の発
表に関して質問・意見さらに一定の評価を受ける。開発実践報告の評価は,報告会
参加者のそうした評価に本専攻学生の修了にふさわしい実践的な資質力量の判定が
表れると考え,報告会での評価を踏まえて行う。
本専攻は,多面的な実践力を持つ高度な教育専門職としての力量形成を教育目標
としている。そのため,評価の最終的な確認として,受講した科目の履修結果(単位
数,成績)よりも開発実践報告の評価を重視し大学院教育の質を保証する。
(8)養成する人材像・履修モデル
本専攻の学生は,養成する人材像によって設定するコース(学校改善コース,授
業開発コース,教育臨床実践コース,特別支援学校コース)のいずれかに所属する。
各コースには,人材像に相応しい授業科目を配置し,修了要件にしたがって履修指
導を行う。ただし,選択科目では所属するコースの科目に限定することなく,コー
ス横断的に幅広く他のコースの科目も履修するよう指導する。
学部新卒者は教職経験がないことから,教科の履修においては学部新卒者のコ
ホートを編制し,事例学習やフィールドを方法とする科目においては課題設定と指
導体制に配慮する指導を行う。
【履修モデルは資料6を参照】
【大学院学生履修のフローチャートは資料7を参照】
(9)長期履修学生制度の特例
教育学研究科の定める長期履修学生制度の特例を適用可能とする。
(資料8参照)
(10)現職教員学生に対する「学校教育臨床実習」及び「特別支援学校臨床実習」の取
扱い
教職歴の「経験年数6年」は,新任期における基礎的・基本的な技法の習得を経
て,教師としての専門職の高度な力量形成を展開する段階にある。実際,岐阜県教
育委員会もその教員研修体系において,
「経験年数6年」を「教職基礎形成期」から
「教職資質向上期」に移る時期にあると考える。そのため,
「6年目研修」を体系化
している。
本専攻では,理論と実践の融合,教育現場重視の観点から「学校教育臨床実習」,
「特別支援学校臨床実習」の授業科目を配しているが「経験年数6年」の学生は県
が推進する6年目研修の必要性に見られるように教職歴において一つの区切り(理
-18-
論と実践の融合から新たな展開を期す時期)の時期を迎えた学生であり,すでに実
践経験上において,一通りの校務分掌上の役割,教科指導・生徒指導については,
実践的力量は身についていると考え,教職経験年数6年以上の入学生を実習の免除
申請の対象者とする。
実習の免除申請者については,実践経験上において,校務分掌上の役割,教科指導・
生徒指導についての実践的力量を判定するため,教育実践開発専攻運営委員会は申
請書とともに臨床実習内容(3科目)等関連資料を提出させ面接を実施しそれぞれの
科目について認定評価する。認定は10単位までとし,研究科委員会で最終判定を
行う。審査は,各臨床実習の次の事項を評価の観点として実践的力量の到達度につ
いて判定する。
〇 学校教育臨床実習
・学校改善臨床実習
学校経営計画,学校財務,学校評価,カリキュラム開発・教育課程経営
・授業開発臨床実習
教育課程の編成と評価,指導計画の立案と教材開発,授業の設計と評価,授業の
改善と省察
・教育臨床実習
生徒指導・教育相談,道徳教育,特別活動,学校カウンセリング
〇 特別支援学校臨床実習
・学校改善臨床実習
学校行事業務,児童生徒在籍管理業務,教科書採択業務,危機管理業務
・授業開発臨床実習
教育課程の検討,単元計画,授業の設計・評価,授業研究
・ 教育臨床実習
教育的支援の立案,教育的支援の実践,教育的支援の評価
「学校教育臨床実習」
,「特別支援学校臨床実習」の既修得とみなす手順
「教職経験に係る実践報告書」の提出
・対象者の範囲
学校教育法第1条に規定する学校において,教諭,助教諭又は講師の身分を有し,
合算して6年以上教職に従事した者で,「初任者研修」等の研修を受け実務を通じ
て実際的な実習研修経験を有する者
・申請手続
・上記対象者の範囲の基準を満たすことを証明する機関の証明
・
「教職経験に係る実践報告書」及び「各人や各校の実情に応じて,各実習内容に
対応すると考えうる実践経験を記述した関連資料」
-19-
教職実践開発専攻運営委員会による審査の実施
審査は,提出書類及び申請者に対する面接で行う。
審査は,到達目標に沿って行う。
各臨床実習の審査の観点
〇 学校教育臨床実習
・学校改善臨床実習
学校経営計画,学校財務,学校評価,カリキュラム開発・教育課程経営
・授業開発臨床実習
教育課程の編成と評価,指導計画の立案と教材開発,授業
の設計と評価,授業の改善と省察
・教育臨床実習
生徒指導・教育相談,道徳教育,特別活動,学校カウンセリング
〇 特別支援学校臨床実習
・学校改善臨床実習
学校行事業務,児童生徒在籍管理業務,教科書採択業務,危機管理業務
・授業開発臨床実習
教育課程の検討,単元計画,授業の設計・評価,授業研究
・教育臨床実習
教育的支援の立案,教育的支援の実践,教育的支援の評価
教職実践開発専攻運営委員会による評価,判定の実施
・臨床実習毎に評価し合格又は不合格の判定を行う。
研究科委員会による最終判定
・臨床実習毎に合格又は不合格の最終判定を行う。
(資料9参照)
(11)学位授与
本専攻の学位授与のプロセスは次のとおりである。
修了に必要な単位46単位を取得した学生について,研究科委員会で審議し,学
-20-
位授与の可否を決定のうえ,教職修士(専門職)の学位を授与する。
8
既設研究科(修士課程)との関係
(1)研究科修士課程の位置づけ
本研究科の,教職実践開発専攻においては,学校全体や地域が抱える組織的教育課
題への対応を重視した教師教育に主眼を置き,また既設修士課程(カリキュラム開発
専攻,教科教育専攻)及び新設の心理発達支援専攻においては,現職教員及び学部新
卒者の授業実践等における個人的研究課題への対応を重視した教師教育を遂行し,そ
れぞれの特色に応じた教育課程及び教育方法を整備して特徴のあるものとして編成す
る。以下に研究科各専攻の特色を生かした包括的な教師教育体制について示す。
①教職実践開発専攻
・学校及び地域の組織的課題に対応できるスクールリーダーを養成する。
・主な対象は現職教員とするが学部卒業生も対象とする。
・教育方法としては,昼間対面方式で行い,14条適用(現職教員の場合)とする。
・この専攻では,大学院での学習と研究の成果が地域や学校の教育力・学校力に還
元されることを目的とし,幅広い力量を身に付けたスクールリーダーの養成を推
進する。
②カリキュラム開発専攻
・主な対象は現職教員であり,全国の教員が対象となる。平成19年度には熊本県,
長崎県,石川県,滋賀県等の教員が入学している。
・現職教員自身が教育活動の推進過程で顕在化した研究課題(個人的研究課題)を
追求する。この場合,
「働きながら学ぶ」ことにより,常に教育実践を基盤として
追及することが可能となる。
・主として夜間遠隔授業を展開している。ここでは,サテライト教室,自宅,職場
を教室としてインターネット型による「働きながら学ぶ」カリキュラムを実現し
ている。
・学校での実践において顕在化するカリキュラム作成,授業構成,教材作成等にお
ける課題を,学校での実践を通して追求することを基本とし,個人的力量の育成
を推進する。
③教科教育専攻
・主な対象は現職教員及び学部卒業生である。
・現職教員に対しては夜間遠隔,インターネット型により授業を進めるが,学部卒
業生に対しては昼間の対面方式で授業を行う。
・現職教員自身及び学部卒業生自身が個別に抱える自己の教科に関わる専門的研究
課題(個人的研究課題)を追求する。この場合,専門的研究課題を解決するため
-21-
の研究方法等,研究を深めるための手法についても追求し,その成果を教科の授
業に生かすことを基本として,個人の専門的力量の育成を推進する。
④心理発達支援専攻
・主な対象は学部卒業生及び現職教員である。
・専攻内のコース(臨床心理学コース,学校心理学コース,特別支援教育コース)
別にそれぞれの専門性を高めるための授業を展開し,修了時には臨床心理士,学
校心理士の受験資格を取得可能とし,また,特別支援教育の専修免許の取得も可
能としている。この内,臨床心理学コースの学生は昼間のみで授業を行い,他の
コースは昼夜開講制・夜間遠隔授業を展開する。
・この専攻は教職実践開発専攻の新設と同時に,既存の学校教育専攻(学校心理学
領域,臨床心理学領域)と特別支援教育専攻を再編・統合したものであり,授業
科目の構成は従来の内容とほとんど同じである。
特に,教職実践開発専攻においては,組織的教育課題への対応を重視し,既設修士課
程においては,個人的研究課題への対応を重視し,それぞれの課題に応じた教育課程及
び教育方法に特色を有するものとして編成する(表2)。
表2研究科各専攻の特色を生かした包括的な教師教育体制
専
攻
現職教員の課題 主要な対象
備 考
大学院での学習と研究の成
果が地域や学校の教育力・
組織的教育課題
昼間対面
教職実践開
学校力に還元されることを
ス ク ー ル リ ー 現職教員 14 条適用
発専攻
目的とし,幅広い力量を身
ダー養成
(2 年次)
に付けたスクールリーダー
の養成を推進する。
個人的研究課題
夜間遠隔
サテライト教室(県内外6
カ リ キ ュ ラ 教員自身が教育
サテライト型 箇所),自宅や職場を教室と
現職教員
ム開発専攻 活動の推進過程
&インターネッ するインターネット型によ
で顕在化した研
ト型
り「働きながら学ぶ」カリ
究課題追究
キュラムを実現する。
「働きながら学
入学志願は個人の意思を尊
ぶ」ことにより,
重し,これに対応する学修
常に教育実践を
機会を拡充する。
夜間遠隔
基盤として追究 現職教員 イ ン タ ー ネ ッ 学校での実践において顕在
教 科 教 育 専 可能
化する課題を,学校での実
ト型
攻
践を通して追究することを
基本とし,個人の専門的力
量の育成を推進する。
学部
ACT-g プログラム*の開講
昼間対面
卒業生
を中核として,教科・心理
-22-
教育方法
心理発達支
援専攻
発達・特別支援の専門性を
ピークに持つ実践的力量の
学部
育成を推進する。
卒業生
昼間・夜間遠隔 現職教員に対しては,遠隔
教育により「働きながら学
現職教員
ぶ」カリキュラムを実現す
る。
※各専攻の特徴を明確とするために主要な対象等を示したもので,現職教員,学部
卒業生等及び教育方法を制限するものではない。
※「ACT-g プログラム」とは学部段階の教育実践を重視した「ACT プラン」を大学院
まで発展させた教育臨床実践をコア科目としたプログラムである。
(2)教職実践開発専攻と既設修士課程の教育課程
従来の研究科のカリキュラムの中には実践力を育成するための実習科目が設定され
ていなかった。そこで,教職実践開発専攻設置を契機として,既設研究科のカリキュ
ラムの中にオプション科目として教職実践開発専攻の授業科目である教育臨床実習科
目(学校改善臨床実習,授業開発臨床実習,教育臨床実習)を高度な実践的指導力を
養成する科目として位置づけたカリキュラムの改編を行う。また,教職実践開発専攻
科目の中の3科目(スクールマネジメントの技法と実践,教科授業研究の開発実践,
生徒指導・教育相談の理論と実践)を研究科全体の共通科目として位置づけて,各専
攻の融合カリキュラムとして改編し,既存の研究科においても,教員としての教科等
の専門性にピークを有する実践的力量を育成する。これらの再編を通して,研究科全
体の教育課程の改革を実現する。
一方,教科教育専攻においては,学部卒業生を対象として各教科の実践力を高める
ための科目(各教科等臨床実習Ⅰ,Ⅱ,各2単位)をオプション科目として開設し,
教科指導力を育成するカリキュラムを展開する。このカリキュラムの試行は教員養成
GP(平成18年度ー平成19年度)において遂行中であり,平成20年度からは教
科教育専攻のカリキュラムの中に正規に配置して展開することになる。また,この各
教科等臨床実習科目は教職実践開発専攻の学生も受講することを可能とし,これらの
実践科目に関しては各専攻が相互乗り入れして受講できるカリキュラムを展開する。
(資料10参照)
(3)教職実践開発専攻の設置による教員組織の変更
学部・研究科の指導組織改革を実施し,教職実践開発専攻を設置する。
教職実践開発専攻の教員組織は14名(教授9名,准教授5名)で構成しており,
その内訳は,従来の学校教育専攻の中にあった教育学領域(教授3名,准教授2名)
及び教育心理学領域(教授1名)と特別支援教育専攻(准教授2名)を基礎とし,こ
れに実務家教員(6名)を加えて教職実践開発専攻に再編して設置する。
-23-
教職実践開発専攻の実際の科目担当については,
「兼担」の形式で他の専攻(主に教
科教育専攻)のスタッフ及び附属学校の副校長の支援を受ける等,教職実践開発専攻
の運営は研究科による全体体制により行う。
一方,特別支援教育特別専攻科の教育機能は教職実践開発専攻及び心理発達支援専
攻(特別支援教育コース)に発展的に移行する。心理発達支援専攻は,既設学校教育
専攻の臨床心理学分野(教授2名,准教授3名)及び学校心理学分野(教授1名)の
教員及び特別支援教育専攻の教員(教授1名,准教授2名)を基礎とし,9名の構成
員で編成する。
また,平成19年度の学部の専任教員は105名である。平成20年度には本専攻
の設置に伴い学部所属の教員8名(専攻科の改組に伴う3名含む。
)が教職実践開発専
攻へ移動する。当面は(平成25年度まで)本専攻の教員4名が学部の学校教育(教
育学)の授業を兼担し,平成20年度入学の学部学生が卒業するまで対応することと
しており,設置基準上で必要とされる62名の教員は確保する。なお平成21年度に
は学部の学校教育講座と生涯教育講座を改組し,新たに学校教育開発講座(仮称)の
設置を目指す。
以上の教員配置計画により,学部及び大学院の教育に必要な教員は適正に配置され
る。
(資料11参照)
表3
研究科,学部の教員移行表
-24-
9
施設・設備等の整備計画
(1)講義室等の施設,設備,器具等の整備計画
本学は柳戸地区に,645,163 ㎡の敷地を有し,5学部5研究科3独立研究科を設置し
ている。
教育学部,地域科学部,医学部,工学部,応用生物科学部,
教育学研究科,地域科学研究科,医学系研究科,工学研究科,農学研究科,
連合農学研究科,連合獣医学研究科,連合創薬医療情報研究科
本専攻は,教育学研究科に設置される。現在本学は施設マネジメントにより,施設・
設備の有効活用を実施しており,この体制を維持し講義室等の有効活用を図る。
また,連携協力校と密接な有機的連携を行い,教育研究の一層の推進を図る。
器具等については,一般機器をはじめ関連情報機器やデータは学内共同利用施設等
を活用する。
本専攻の入学定員は20名である。したがって共通科目の授業を受ける学生数は2
0名程度となり,選択科目では20名以下の人数となる。この人数は,教室の数,学
生の控え室などの施設及び教育に必要な備品の配置などから見て,教育効果を挙げる
には適正な規模である。
クラス人数が20名以下であれば,全体でディスカッションを行う場合や5名程度
-25-
のコホートを形成して授業を進める場合に,目の行き届いた授業展開が容易になり,
教育効果も挙げることが可能である。また本専攻で採用しているコホート方式(5名
程度)は,類似の課題やテーマ(教育研究目的)を有する少人数グループによる教育
指導方法であり,指導教員と学生及び学生相互のコミュニケーションを深めるのに有
効である。またコホート内でのコミュニケーションにより実践の省察に基づく学生の
課題意識,課題解決方法等を追求していくのに効果的な教育方法であり,本研究科で
既に実践し効果を挙げている。
また,この20人の定員数は,多くの講義で予定しているコホートの集団単位の編
成の考え方にも合致する。例えば,本専攻では,新卒学部生の入学者を5人程度と想
定している。また,現職教員の内いわゆる派遣教員も小学校・中学校各4~5人を予
定している。そのため,4及び5の枠数で編成できる最小公倍数として20人は教育
効果のある学生数である。
(2)図書資料の整備計画
教職実践開発に関する図書,教育雑誌,学術雑誌,実践資料等は図書館及び教育実
践資料室で対応する。
学術雑誌としては,
・日本教育学会「教育学研究」
・日本教育経営学会「日本教育経営学会紀要」
・日本教育法学会「日本教育法学会年報」
・日本教育方法学会「教育方法学研究」
・日本教育方法学会機関誌「教育方法」(市販)図書文化
・日本教師教育学会「日本教師教育学会年報」
・日本カリキュラム学会「カリキュラム研究」
・中部教育学会「中部教育学会紀要」
・日本質的心理学会「質的心理学研究」
・日本特別活動学会「日本特別活動学会紀要」
・日本生活科・総合的学習学会「せいかつか&そうごう」
・日本学校心理学会「学校心理学研究」
・日本道徳教育学会「道徳と教育」
・日本道徳教育方法学会「道徳教育方法研究」
・日本道徳基礎教育学会「道徳教育論集」
・日本特殊教育学会「特殊教育学研究」
・日本発達障害学会「発達障害研究」
を整備する。
-26-
(3)電子ジャーナル等の整備計画
本学が契約している電子ジャーナルは,図書館内外のネットワークに接続されたパ
ソコンから利用できることから大学院生の教育研究に活用する。
(4)図書館の閲覧室等について
図書館の閲覧室等は必要数を有している。また,本学や他機関の蔵書検索だけでな
く,文献複写依頼等のWebサービスもネットワーク経由で学内のパソコンから利用
できる。また,E-mailでのレファレンスサービスにも柔軟に対応している。
(5)他の大学図書館等との協力について
国立情報学研究所が行っている図書館相互利用(NACSIS-ILL)により,
他機関への文献複写の取り寄せや提供等がネットワークの活用で容易に行うことがで
きる。
(6)大学院生の自習室等の考え方
大学院は,独創的かつ先進的研究の拠点として,知の創造と統合に努めるとともに,
高度な教育を通してそれを継承発展させ,豊かな人間性と学識を養い,判断力と実行
力及び想像力に富む人材の養成を行うことを目指している。このため,学生が自習や
議論をすることができる自習室の設置が必要である。
本専攻は,自習室として教職実践開発演習室を利用する。また,図書館閲覧室及び
ACT 支援室も自習の場として活用する。
(資料12参照)
10
入学者選抜の概要
【アドミッションポリシー】
岐阜大学大学院教育学研究科教職実践開発専攻は,新しい学校づくりの有力な一員,
地域の中核,学校の中堅としてのスクールリーダーの養成を目指す。この目的に沿っ
て,学部段階での基礎的な教職能力をさらに発展させ,新しい学校づくりの有力な一
員としての応用力を求める学部生,さらに地域の中核や学校の中堅として学校改善や
授業開発・教育臨床開発のための実践力を求める現職教員等を募集する。
(1) 入学定員は20人とする。(学部新卒者は,5人程度)
(2) 出願資格
教員免許状を取得(見込を含む。)している者又は研究科が教員免許状を取得して
-27-
いる者と同等とみなす者で以下のいずれかに該当する者
① 大学を卒業した者(見込を含む。)
② 学校教育法第 68 条の 2 第 3 項の規定により学士の学位を授与された者(見込みを
含む。)
③ 学校教育法第 67 条第 2 項の規定により本学大学院又は他の大学の大学院に入学し
た者であって,本研究科において,大学院における教育を受けるにふさわしい学
力があると認めた者
④ 外国において学校教育における 16 年の課程を修了した者(見込を含む。)
⑤ 外国の学校が行う通信教育における授業科目を我が国において履修することによ
り当該外国の学校教育における 16 年の課程を修了した者(見込を含む。)
⑥ 専修学校の専門課程(修業年限が 4 年以上であることその他の文部科学大臣が定
める基準を満たすものに限る。)で文部科学大臣が別に定めるものを文部科学大臣
が定める日以降に修了した者(見込を含む。)
⑦ 文部科学大臣の指定した者(昭和 28 年文部省告示第 5 号)
⑧ 本研究科において,個別の入学資格審査により,大学を卒業した者と同等以上の
学力があると認めた者で,22 歳以上に達する者
(3) 入学選抜の方法
入学者の選抜方法は,
「一般選抜」又は「派遣教員・現職教員等選抜」とする。
「一般選抜」:
教育に関る筆記試験(小論文を含む)及び口述試験
「派遣教員・現職教員等選抜」:
教育に関る筆記試験(小論文)及び口述試験,及び教育実践論文・記録,その他
教育実践がはかり得る諸書類及び成績証明書の結果を総合して行う。
「派遣教員」は,筆記試験の代わりに教育実践論文・記録及びその他の教育実践
がはかり得る諸書類をもってこれに充て,口述試験のみを課す。
(4)選抜体制
入学者選抜は,教職実践開発専攻の研究者教員及び実務家教員が教育学研究科・
教育学部教学委員会と連携し実施する。入学者は,研究科委員会の審議により決定
する。
(5)社会人の定義
本専攻の社会人は,教員免許状を所有し,学校での勤務経験を有する者とする。
その入学選抜は,「派遣教員・現職教員等選抜」として実施する。
-28-
11
取得できる教員免許状
本専攻の当該免許状の課程認定を受けた科目を必要単位数を修得することで,以下
の教員免許状を取得できる。
幼稚園教諭専修免許状
小学校教諭専修免許状
中学校教諭専修免許状
(国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,保
健,技術,家庭,職業,職業指導,英語,独語,仏語,
宗教)
高等学校教諭専修免許状
(国語,地理歴史,公民,数学,理科,音楽,美術,工
芸,書道,保健体育,保健,看護,家庭,農業,工業,
商業,水産,商船,職業指導,英語,独語,仏語,宗教,
情報,福祉)
特別支援学校教諭専修免許状
養護教諭専修免許状
12
大学院設置基準第14条による教育の実施
現職教員等に対して,大学院設置基準第14条に定める教育方法の特例及び同設置
基準第15条(大学設置基準第25条等準用)に定める授業の方法の趣旨に基づき,
現職教員等が大学院教育を受ける機会を広げるため,教育方法の特例を実施する。
(1) 修業年限
標準修業年限は2年とする。
(2) 履修指導の方法
現職教員等に対する14条特例による履修指導は,入学ガイダンスにおいて行う
とともに,教育委員会派遣教員については,教育委員会との協議により標準的に
14条特例を適用する。
(3) 授業の実施方法
標準カリキュラムにおいて,修了単位数のほとんどを 1 年次に修得できるように
履修指導を行う。2年次は,開発実践報告の作成を中心とする。この場合,所定の
手続きを経て実習に関する科目単位(10単位まで)を修得したものとみなす。
開発実践報告作成に関る指導は,勤務時間外の土日又は平日の勤務時間外の夜間
等において実施する。遠隔地に勤務する場合は,遠隔ミーティングシステムを活用
した指導を併用する。
-29-
(4) 教員の負担の程度
2年次の土日,夜間等における指導は,週休日の振替等により対応する。
(5) 図書館,情報処理施設等の利用方法や学生の厚生に対する配慮,必要な職員の配
置
大学の施設利用については,図書館は土曜日及び夜間(21時30分まで)開館
しており,利用可能である。さらに,全学的に利用している教育支援システム
(AIMS-Gifu)は24時間学外からも利用可能としており,指導教員の日常的な指導
支援,学務等の事務連絡を受けることが可能である。勤務学校等において遠隔ミー
ティングの端末が利用可能である。
(6) 入学者選抜の概要
教育に関る筆記試験(小論文)及び口述試験,及び教育実践論文・記録,その他
教育実践がはかり得る諸書類及び成績証明書の結果を総合して行う。
また,14条特例の適用を希望する場合は,所属学校長の派遣現職教員に対する
期待及び要望を含めた推薦書を提出するものとする。
13
自己点検・評価
本専攻は岐阜大学評価室規則第6条第1項に基づき「岐阜大学教育学研究科自己評価
実施委員会」を設置し,本専攻における教育研究活動等の状況についても自ら行う点検
及び評価の実施に関し必要な事項を定め,実施する。
現在までの本学の自己点検・評価の状況は下記のとおりであり,本専攻は研究報告な
ど独自の研究成果の公表や学生アンケートの実施などの自己点検・評価のほか,本学が
実施する自己点検・評価に積極的に参加する。
本学の自己点検・評価
本学は,平成4年11月に「岐阜大学自己評価に関する規則」を制定した。平成6年
3月に「明日をめざす岐阜大学」と題する自己点検・評価報告書を発行し,これまでの
教育・研究や管理・運営体制を自ら点検・評価を行い,医学部・附属病院及び医療技術
短期大学部の統合移転も視野に入れた大学の将来像を展望した。
平成10年3月に「岐阜大学改革の歩み―改革の現状と課題―」と題し第2号の報
告書を発行した。この中で,平成6年~平成9年までの本学の改革の歩みについて述
べ,現状を分析し,到達度について評価した。
平成13年3月に「21世紀に新たに飛躍する岐阜大学―改革の総括と今後の展開
-30-
―」と題し第3号の報告書を発行した。
現在,平成19年度認証評価を受けるべく準備中である。
14
情報提供
本学の情報提供の状況は下記のとおりであり,本学は積極的に情報を発信し続けてい
る。したがって,本専攻も本学の方針に沿って情報の提供に積極的に努める。
本学は,教育研究活動等の情報を積極的に提供するため,平成16年4月の国立大学
法人化を機に,中期計画に広報体制の充実を掲げ,広報業務は広報担当理事の下で一体
的に実施している。
以下に,情報提供項目毎にその実施方法を記載する。
(1)記者発表
①マスコミ懇談会
平成16年7月,地元報道機関16社の支局長及び大学担当記者を集め,「岐阜大
学マスコミ懇談会」を発足した。本会は,報道機関に対し,学長・役員が本学の特色
ある教育・研究活動や運営方針等を紹介し,本学への理解を深めていただくとともに,
意見・助言など協力支援を願うことを目的に組織したもので,年1回開催している。
②資料提供
上記マスコミ懇談会加盟各社に対し,本学の教育・研究や社会貢献にかかる学内
シーズを発掘して随時情報を発信し,積極的な広報を展開している。
また,毎月定期的に本学の行事を資料提供するほか,運営等の重要事項については,
随時記者会見を行っている。
(2)新聞広告(岐阜大学ニュース)
本学は,岐阜県及び近県での認知度は高いが,業績や実力が広く全国レベルで認知
されるよう,定期的に全国紙に広告(岐阜大学ニュース)を掲載している。
また,特に近隣地域の受験生や保護者向けの情報は,地方紙に定期的に広告(岐阜
大学ニュース)を掲載し,発信している。
(3)ホームページ
①公式ホームページ
公式ホームページについては,毎年,内容の見直しを行ってきているが,法人化を
機に,利用者の利便性を考慮するとともに,大学の取組をより迅速に発信するため,
全面的にリニューアルを行った。
②教育・研究等活動情報
-31-
これまで,教育職員の教育・研究活動を広く学内外に公表することを目的として,
検索機能を備えたデータベース「研究者プロフィール」をホームページに掲載してき
た。平成16年度からは,新たに教員の活動実績データベースシステム「教育研究活
動情報システム(ARIS-Gifu)」の情報をWeb化し,より一層公開内容の充実を図り
公開している。
また,海外への情報発信を図るため,平成17年度に英語版を作成し公開している。
(4)広報誌-「岐大のいぶき」
学外用の広報誌「岐大のいぶき」は年2回発行し,主に高等学校,産業・経済界,行
政機関(市町村,公民館,図書館等)などへ配付している。本学への受験を希望する高
校生の閲覧を意識し,サークル紹介や授業風景など掲載内容の一部見直しや,巻末にア
ンケートはがきをつけるなど,一層の内容充実を目指している。
(5)イベント
①岐阜シンポジウム
地球規模あるいは社会全体が抱える課題である環境,バイオ,情報,教育など2
1世紀の重要テーマについて,地域の知の拠点として「岐阜シンポジウム」を年2
回(約5,000部)開催し,情報を発信している。
②岐阜大学フェア
これまで,県内の技術を公開するイベント「ものづくり岐阜テクノフェア」に共
催し,本学のシーズを公開してきたが,17年度は,教育・研究・地域活動を広く
地域に紹介するため,同イベントと同時開催とし,53ブースからなる展示と発表
を行った。産業界はもとより,広く子どもから大人まで楽しめる実体験型のものを
企画し,本学の特色ある教育や研究成果を公表した。
(6)オープンキャンパスによる提供
毎年8月に①大学の概要・入試情報・学生生活などの説明,②学部・学科の紹介,
施設見学,窓口相談,③大学の講義や実習・実験の体験などを実施し,より多くの大
学進学希望者に紹介している。
(7)公開講座による提供
本学では,地域連携室を中心に一般社会人などを対象に公開講座を実施している。
15
教員の資質の維持向上方策
(1) 自己点検・評価による取組
-32-
本学は自己点検・評価を各部局等に義務付けており,大学院教育学研究科におい
ても規定を作成し報告書を公表する。また,報告書で明らかとなった課題に対して
積極的に改善し取り組む。
(2) ファカルティ・ディベロップメント
本学はFD研修会を平成11年度から継続的に実施し,教育方法・教育評価等の
改善を図ってきた。本専攻では,開発実践報告の内容等を関係者の協力を得て分析
し,その内容に基づくFDを独自に実施し,組織的な指導改善を図る。
(3) 学校での授業研究への参加・指導
学校で実施される授業研究会,研究発表会等に積極的に参加し,学校教育現場で
の情報収集を行うとともに,専門的立場からの指導を行い,教員自身の教育実践に
関る指導力を向上させる。
(4) 各種学会及び研修会への参加
各専門分野での学会,研究会に積極的に参加し,自己研鑽を図る。
(5) 教育・研究補助金等の獲得
各専門分野の立場から,教育研究補助金の獲得に努め,自己の教育研究能力を向
上させる。
16
管理運営の考え方
教育学研究科には「研究科委員会」があり,本専攻は研究科の組織の位置付けで
はあるが,教職大学院である本専攻の目的とする力量ある教員の養成が効率的,機
動的また継続的に遂行するために,本専攻の研究者教員,実務家教員全員を構成員
とし,教員人事は除き教育研究戦略,教育研究方法等に一定の決定権限を有する「研
究科委員会」に準ずる審議機関「教職実践開発専攻運営委員会」を置く管理運営体
制とする。
なお,本専攻の運営委員会で決定した事項は,研究科長及び研究科委員会に報告
するものとする。また,本専攻の研究者教員及び実務家教員(専任教員とみなす者
を除く。)は,「研究科委員会」及び「教育学部教授会」において,議決権を持つ構
成員とする。
一方,地域の教育委員会や学校の意見を積極的に取り入れるため本専攻の研究者
教員,実務家教員全員参加の「連携連絡協議会」,「指導者連絡協議会」の体制を構
築している。
-33-
(1) カリキュラム委員会
本専攻の,教育学部・教育学研究科のカリキュラム委員会への参加は,研究者
教員及び実務家教員(専任教員とみなす者を除く。)であるが,本研究科は,専
攻のカリキュラムが他の専攻の教員の支援を受けることや各専攻が相互乗り入
れして受講できるカリキュラムの展開等研究科全体体制であり,カリキュラムの
改善や連携協力校との実習等の調整等のカリキュラム委員会の事前事後の対応
や本専攻の運営委員会での審議等各研究者教員,実務家教員の関与は大である。
(2) その他各種委員会への参加
本専攻からは,研究者教員及び実務家教員(専任教員とみなす者を除く。)が委
員として参加する。なお,実務家教員が委員会の要請等で委員以外の者として議
決権を有しなく出席の場合はある。
(3)事務組織
本専攻の事務は,教育学部の事務組織(総務係,管理係,学務係)が掌握し,
本専攻に係る学生窓口を学務係に置く。教職実践開発専攻対応の事務組織を強化
する。
【組織図】
研究科委員会
教職実践開発専攻
運営委員会
教職実践開発専攻運営委員会
大学教育委員会
カリキュラム委員会
研究者教員
岐阜大学
学長
教育学研究科長
教職実践開発専攻
実務家教員
役員会
経営協議会
連携連絡協議会
指導者連絡会議
教育研究評議会
実習指導教員
岐阜県教育委員会
実習指導教員
連携協力校 連携協力校
岐阜市教育委員会
-34-
実習指導教員
・・・ 連携協力校
Ⅱ
1
連携協力校等との連携・実習
連携協力校等との連携
(1) 小学校等との連携協力校
小学校,中学校については,岐阜市教育委員会とこれまでに教育実習の経験豊富な
実習校(小学校4校,中学校5校)を「連携協力校群」として位置づけ,年次交代で
連携協力校として設定している。また,高等学校,特別支援学校については,岐阜県
教育委員会と協議して連携協力校を設定している。
連携協力については,岐阜県教育委員会,岐阜市教育委員会,本学で構成する連携
連絡協議会において詳細を検討し,連携協力の在り方を確認しており,継続的に連携
協力校を確保した。
連携協力校で行う実習は臨床実習,開発実践報告はもちろんのことフィールド活用
科目で実施するケーススタディ,授業観察・分析,実務実習等であり,その運営は非
常に重要である。このため連携協力校には以下要件を満たすことを重視し,岐阜県教
育委員会及び岐阜市教育委員会と協議し,協力を得て選定した。
・ 教育実習に関する長年の実績
・ 教育実践研究における優れた実績
・ 岐阜県教育界の優れた人材輩出の実績
・ 実習を効果的に行うために,大学との間の移動時間が30分以内
その結果,本学附属小・中学校を含め小学校 5 校,中学校 6 校,高等学校 4 校及び特
別支援学校1校の16校を連携協力校とした。
(表4)
表4
予定連携協力校・附属学校
校種
小学校
中学校
高等学校
特別支援学校
予定連携協力校・附属学校
岐阜大学附属小学校
長良小学校
加納小学校
長良西小学校
長良東小学校
岐阜大学附属中学校
加納中学校
長良中学校
青山中学校
陽南中学校
東長良中学校
岐阜北高等学校
岐山高等学校
長良高等学校
本巣松陽高等学校
大垣特別支援学校
-35-
クラス数
21
16
14
27
22
15
15
14
13
17
17
26
24
25
18
75
本専攻に関する連携は,次の3領域において展開される。
① 学部新卒院生を対象とする「学校教育臨床実習」及び「特別支援学校臨床実習」
の3科目,すなわち「学校改善臨床実習」(3単位),「授業開発臨床実習」(4単
位),「教育臨床実習」(3単位)を連携協力校において実施する。
② 開設科目の7割以上につき,連携協力校におけるケーススタディ,授業観察・分
析,実務実習等を行う「フィールド活用科目」とする。
③ 学部新卒院生2年次を対象とする「開発実践報告」の指導を,連携協力校におい
て年間を通じて行い,初任者研修に相当する実習内容を実施する。
連携協力校におけるこれら3領域を円滑に実施するために,本学が関係機関となる
岐阜県教育委員会及び岐阜市教育委員会との間で下記の基本項目にわたって「連携連
絡協議会」及び「発表会等」を開催する。
① 連携協力校群におけるローテーションの取り決め
② 現職教員学生の探究プロセス(1年次:課題の明確化とその探究→2年次:勤務
校での検証に基づく課題の再構築と探究)の保障と支援
③ 3領域の実施と,当該の受入連携協力校における研究開発促進との関連付けの検
討
④ 大学及び連携協力校相互の年度当初情報交流会(1年次4月),実践課題構想発表
会(2年次4月),実践課題中間発表会(2年次8月),実践報告発表会(2年次
1月)の開催
⑤ 実習指導教員の配置,相互連絡協議の調整
⑥ 緊急事態への協力対応及び相互連絡に関するシステムの構築
⑦ 各校における学生指導・評価方法をめぐって生じた課題の協議
(2) 連携内容
次に,本学と連携協力校との連携内容について示す。
研究者教員,実務家教員,連携協力校実習指導教員の3者で「指導者連絡会議」
を行う。その内容は,学校教育臨床実習及び特別支援学校臨床実習(以下「学校教
育臨床実習等」という。)
・フィールド活用科目群・学校実践課題取組の3つにつき,
次のような諸項目にわたる。
【学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習】
① 臨床実習3科目の実習計画概要の確認と検討
② 実習指導体制(巡回スケジュール・回数,学生コホート構成,3者の役割分担と
協力,学生へのアドバイス方法)
③ 臨床実習3科目に関する事前指導(オリエンテーション),事後指導(レポート作
成指導,評価),実施中の情報交流
-36-
【フィールド活用科目】
① フィールド活用科目における連携協力校での観察,実践計画・実施,調査等の年
間計画への位置付け
② フィールド活用科目の校内研究への位置付けや活用
【学校実践課題取組】
① 年間全体計画の立案
② 事前指導(オリエンテーション),中間発表,事後指導(実践報告書)の計画と共
同実施
(3)連携協力校以外の関係機関との連携
岐阜県総合教育センターと,教育における諸課題への対応と教職員の資質能力の
向上のために,相互の機能を活用して実践的な研究と活動を行い,その成果を生か
して教育の充実発展を図っている。
(資料13参照)
(4)附属学校の活用
本学が設置する附属小学校及び中学校については,本専攻の教育上の目的を達成
するために必要な連携協力校の一つと位置づけ,特にフィールド活用科目において
積極的に活用する。
2
実習の具体的計画
(1) 実習計画の概要(実習のねらい)
①
「学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習」の意義・目的
「臨床実習」とは,学部段階での基礎的・基本的な実践力を養成する「教育実
習」科目群の上に,さらに応用力のある高度な実践力を養成するために開講され
る「教育実習」科目をいう。
既に,本学教育学部の場合,学部段階の教員養成カリキュラムを改革し,1年
生から4年生までの全学年を一貫して,学校現場と本学部との往復的な教職実践
教育を計画的に編成した「行動的連携による教員養成プログラム」(Active
Collaboration Teaching)を実行し,実践力の養成を行ってきた。本専攻の「学
校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習」は,そうした学部段階の養成プログラ
ムに連続して,経営・授業・教育臨床技法など,多面的な能力開発を行いながら,
より高度な実践力を養成することをねらいとしている。この臨床実習を通じて,
学校現場で即戦力となり,有力な一員となるために,高度な実践技法を習得させ
るとともに,実践の省察力と分析力さらに独創的な開発力を養成することを目的
-37-
としている。このため,
「授業開発」
「教育」
「学校改善」の「臨床実習」は所属コー
スに関係なく選択必修科目とする。また臨床実習は実践報告の課題探求の基礎と
なる科目である。
②「学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習」の内容
「学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習」は,学部段階の教育実習と異な
り,教員免許を所有している自律可能な教員として,学校の多面的な教育場面の
多様な教育実践に臨床的に関わり,学校の一員としての主体的で多様な実践力を
養うことを目的としている。そのため,その実習領域は,広く「学校改善臨床実
習」「授業開発臨床実習」「教育臨床実習」の3つの領域で構成される
(表5)。
表5
学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習の内容
領域
単位数
(時間)
学校改善臨床実習
(学校教育臨床実習)
3 単位
(135)
授業開発臨床実習
(学校教育臨床実習)
4 単位
(180)
教育臨床実習
(学校教育臨床実習)
3 単位
(135)
学校改善臨床実習
3 単位
(特別支援学校臨床実習) (135)
授業開発臨床実習
4 単位
(特別支援学校臨床実習) (180)
教育臨床実習
3 単位
(特別支援学校臨床実習) (135)
概要
学校経営の領域で,学校全体(校務分掌)の一
員としての教師としての役割を,自ら責任を持っ
て遂行し,実践力をつけるとともに,自らの基礎
的な学校経営の能力を開発する。
自律した教員として指導計画の全体と学年の
サイクルを視野に入れ,教材研究,指導案の作成,
単元の指導と評価の実践を通じて,実践力をつけ
るとともに,授業者としての能力を開発する。
学校経営,教育課程,道徳教育,学級経営,道
徳教育,特別活動の領域で,生徒指導の実践を主
体的に行いながら,生徒指導力の開発を行う。
学校行事等の調整,児童生徒の出席状況等の掌
握に関して実践的に体験し,学ぶ。また,特別支
援学校独自の業務のひとつである 107 条本※等の
教科書採択業務も実践的に体験し,学ぶ。さらに,
生命維持等も含める危機管理に関する教師の役
割を実践的に体験し,学ぶ。
特別支援学校特有の指導形態である「教科・領
域を合わせた指導」である生活単元学習,作業学
習の「授業開発」についての実習を行う。
教育的支援の実際として個別の指導計画の作
成とその実際の運用,対象児への支援についての
実習を行う。
※107条本とは…学校教育法第107条の規定により特別支援学校において教科書として使用することができる一般図書をいう。
-38-
臨床実習の具体的な内容
○
学校改善臨床実習(学校教育臨床実習)の内容
学校経営の領域で,学校全体(校務分掌)の一員としての教師の役割を,自ら責任を
持って遂行し,実践力をつけるとともに,自らの基礎的な学校経営の能力を開発する。
学校経営の実習内容を,
「スクールリーダーシップ」
「学校ビジョン・学校経営計画」
「学
校財務・学校事務」
「学校評価」
「学校組織開発」
「校区との連携・協働」といった5つの
ユニットに編成し,それぞれのユニットの段階的な学習を行う。それぞれの学習では,
スクールリーダーのリーダー行動に関するシャドーイング(非参与観察)・インタ
ビュー・観察記録を方法とする。また,それぞれのユニットの最終段階では,ポートフォ
リオによる自己洞察,実務家教授(スーパーバイザー)
・研究者教授(アカデミック・ア
ドバイザー)・指導教員(メンター)で構成されるスクールミーティングにおける発表・
討議を行う。
臨床実習の課題
オリエンテーション
活動内容等
実習校の学校経営の概要説明と臨床実習の計画・方法の確認
・ 実習校の学校(経営)特性をつかむ。
・ スクールリーダー(校長・教頭及び主任等)の役割の全体を
イメージする。
・ 実習校の学校経営上の課題を知る。
・ 自らの実習課題をイメージする。
ス ク ー ル リ ー ダ ー 校長の1日の職務行動をエスノグラフィックに観察・記録し,そ
シップ(校長)観察
のリーダー行動の全体を分析し,校長のリーダーシップのスキル
をつかむ。
ス ク ー ル リ ー ダ ー 教頭の1日の職務行動をエスノグラフィックに観察・記録し,そ
シップ(教頭)観察
のリーダー行動の全体を分析し,教頭のリーダーシップのスキル
をつかむ。
ス ク ー ル リ ー ダ ー 教務主任の1日の職務行動をエスノグラフィックに観察・記録
シップ(主任)観察
し,そのリーダー行動の全体を分析し,教務主任のリーダーシッ
プのスキルをつかむ。
ス ク ー ル リ ー ダ ー スクールリーダーの役割とリーダーシップ(①~③)に関する省
シップの省察
察と議論。
・ポートフォリオにもとづくリーダー行動の省察
・各リーダーシップのスキルの分析
・コホートミーティングによる討議
-39-
・スクールミーティングにおける報告とコメント
学校ビジョン・学校 教育目標及び経営目標と学校経営計画の考え方と設定方法を学
経営計画Ⅰ
ぶ。校長・教頭へのインタビューを方法として考察。
・教育目標の設定の考え方と方法
・経営目標の設定の考え方と方法
・学校経営計画設定の考え方と方法
学校ビジョンと学校 教育目標及び経営目標と学校経営計画の考え方と設定方法を学
経営計画Ⅱ
ぶ。校長・教頭へのインタビューを方法として考察。
・教育目標の設定の考え方と方法
・経営目標の設定の考え方と方法
・学校経営計画設定の考え方と方法
学校ビジョンと学校 教育目標及び経営目標と学校経営計画の考え方と設定方法を学
経営計画Ⅲ
ぶ。校長・教頭へのインタビューを方法として考察。
・教育目標の設定の考え方と方法
・経営目標の設定の考え方と方法
・学校経営計画設定の考え方と方法
学校ビジョンと学校 学校ビジョンと学校経営計画に関する省察と議論。
経営計画の省察
・ポートフォリオにもとづくリーダー行動の省察
・各リーダーシップのスキルの分析
・スクールミーティングにおける報告とコメント
学校財務・学校事務 学校財務のシステムを理解し,学校予算の設定の考え方と方法を
Ⅰ
学ぶ。特に学校事務職員とのインタビューを方法として考察。
・学校予算のシステム
・学校予算の編成のシステムと方法
・学校予算の裁量運営
・学校事務のシステムと実際
学校財務・学校事務 学校財務のシステムを理解し,学校予算の設定の考え方と方法を
Ⅱ
学ぶ。特に学校事務職員とのインタビューを方法として考察。
・学校予算のシステム
・学校予算の編成のシステムと方法
・学校予算の裁量運営
・学校事務のシステムと実際
学校財務・学校事務 学校財務のシステムを理解し,学校予算の設定の考え方と方法を
Ⅲ
学ぶ。特に学校事務職員とのインタビューを方法として考察。
-40-
・学校予算のシステム
・学校予算の編成のシステムと方法
・学校予算の裁量運営
・学校事務のシステムと実際
学校財務・学校事務 「学校財務・学校事務」に関するスクールミーティングにおける
の省察
報告・討議
学校評価Ⅰ
実習校の学校評価の実際を分析し,学校評価の設定の方法と考え
方を学ぶ。
・自己評価設定の方法と考え方
・他者評価設定の方法と考え方
・学校評価による学校改善の方法と考え方
学校評価Ⅱ
実習校の学校評価の実際を分析し,学校評価の設定の方法と考え
方を学ぶ。
・自己評価設定の方法と考え方
・他者評価設定の方法と考え方
・学校評価による学校改善の方法と考え方
学校評価Ⅲ
実習校の学校評価の実際を分析し,学校評価の設定の方法と考え
方を学ぶ。
・自己評価設定の方法と考え方
・他者評価設定の方法と考え方
・学校評価による学校改善の方法と考え方
スクールミーティングにおける報告・討議
学校評価の省察
スクールミーティングにおける報告・討議
カリキュラム開発Ⅰ
年間指導計画の実施に関して学校経営の視点から学年会や教科
部会への参与観察と学年主任,教科主任とのインタビューを方法
として実践の実態を学ぶとともに,カリキュラム開発の課題を追
求する。
・カリキュラムの設計
・カリキュラムの実施・評価
・カリキュラム開発の課題
カリキュラム開発Ⅱ
年間指導計画の実施に関して学校経営の視点から学年会や教科
部会への参与観察と学年主任,教科主任とのインタビューを方法
として実践の実態を学ぶとともに,カリキュラム開発の課題を追
求する。
-41-
・カリキュラムの設計
・カリキュラムの実施・評価
・カリキュラム開発の課題
教育課程経営
学校経営の視点からカリキュラム運営を中心に,教科部会・学年
会への参与観察と教科主任・学年主任とのインタビューを方法と
して考察
・校務分掌体系
・教科部会の役割
・学年(部)会の役割
・教育課程経営の課題
カリキュラム開発と スクールミーティングにおける報告・討議
教育課程経営の省察
○ 授業開発臨床実習(学校教育臨床実習)の内容
自律した教員として指導計画の全体と学年のサイクルを視野に入れ,教材研究,指導案
の作成,単元の指導と評価の実践を通じて,実践力をつけるとともに,授業者としての能
力を開発する。
臨床実習の課題
オリエンテーション
活動内容等
学校訪問とメンター教員との出合い
・授業開発臨床実習の目標
・目標達成のための課題の明確化
・メンター教員との教育観交流
・クラスの学級経営方針・状況の把握
・担当する単元・時期の決定
・臨床実習期間中の計画立案
各 学 校 に お け る カ リ 各学校で編成された教育課程の理解
キュラム開発と教育課 ・全体構想
程経営の実際
・年間指導計画等
・各学校における教育目標の実現のための研究の全体構想・主
題・共通課題等
・カリキュラム開発の実際
・教育課程経営の理解
・教育課程の評価と改善(現場のスキル)
-42-
パートナー教員の授業 学年(教科)指導計画等を理解した上で授業を観察し,メンター
観,児童・生徒観,教 教員の指導観を読み取りレポートを作成する。
材観
指導観と教育課程(各 レポートに基づく指導観の討議
教科)の実践展開
・レポート発表と討議
・学年や教科等における計画の展開
・メンター教員の教科単元指導計画
・小単元指導計画(教科)の作成課題
・小単元指導計画(教科)一次案
教科の単元指導計画の 小単元指導計画(教科)の討議
立案・討議
・指導計画案の発表と討議
・願う子ども像との関わりの視点から
・教科内容の系統性の視点から
・複数社の教科書での扱いの視点から
・単元の指導計画二次案
教科の単元指導計画と 小単元指導計画と教材観・評価観の討議
教材観
・指導計画の発表と討議
・指導計画と教材
・評価の観点
・指導案の作成
教科の単元指導計画に 指導案の検討と教材開発,単元の到達度評価問題の作成
基づく指導案・教材開
発・評価
指導案・教材に基づく 授業展開場面ごとの指導・支援・評価の具体的な手立て
授業展開
模擬授業
模擬授業の実施と実践課題への省察
授業設計・評価とミー
ティングⅠ
授業設計・評価とミー
ティングⅡ
授業研究と省察
公開研究授業
授業設計・評価とミー
ティングⅢ
授業設計・評価とミー
-43-
ティングⅣ
授業研究と省察
公開研究授業
授業設計・評価とミー
ティングⅤ
授業設計・評価とミー
ティングⅥ
授業研究と省察
公開研究授業
オリエンテーション
授業設計・評価とミー 交流実習(仮案)
ティングⅦ
授業研究と省察
公開研究授業
授業研究と省察
授業研究と省察
授業研究と省察
授業研究と省察
授業研究と省察
評価結果と指導法
評価結果の分析と指導法の検討
教科指導観
教科指導観について考察
○ 教育臨床実習(学校教育臨床実習)の内容
学校経営,教育課程,道徳教育,学級経営,道徳教育,特別活動の領域で,生徒指
導の実践を主体的に行いながら,生徒指導力の開発を行う。この指導では特に以下
の点を重視する。
・
生徒指導の全体計画と実践
・
子ども理解の調査と実践
・
生徒指導法(カウンセリングを含む)の習得
・
学級経営の指導案作成と実践
・
道徳教育の指導案作成と実践
・
特別活動の指導案作成と実践
・
場面ごとの生徒指導の事例研究(PBL)
臨床実習テーマごとにレポートを作成し,全体討議を行う。
臨床実習の課題
オリエンテーション
活動内容等
・学校訪問とメンター教員との話し合い
・生徒指導臨床実習の目標の設定
-44-
・臨床実習期間中の計画立案
生徒指導・教育相談の開発実 ・生徒指導の観察実習
践Ⅰ
・メンター教員の生徒指導観の理解
・メンター教員の子ども観の理解
生徒指導・教育相談の開発実 ・生徒指導の内容
践Ⅱ
・生徒指導の計画・作成の手順
・生徒指導計画の事例検討
生徒指導・教育相談の開発実 ・生徒理解の内容と技法
践Ⅲ
・個別的対応法と集団的対応法
・生徒理解の実際
生徒指導・教育相談の開発実 ・教育課程と生徒指導との関連
践Ⅳ
・学習指導と生徒指導の関連
・各教科,道徳教育,特別活動との関連
道徳教育の開発実践Ⅰ
・学級活動と関連づけて検討
・学級集団の形成と学級経営
・いじめ,学級崩壊への対応
道徳教育の開発実践Ⅱ
・道徳教育と関連づけて検討
・道徳授業の指導案作成と実施
・道徳教育(授業)の指導計画
特別活動の開発実践Ⅰ
・特別活動と関連づけて検討
・特別活動の指導
・生徒会活動との関連
特別活動の開発実践Ⅱ
・学校における教育相談の特質と方法
・カウンセリングの技法と実践
・他の機関との連携
特別活動の開発実践Ⅲ
・問題行動への対応法
・反社会的問題行動の指導
・非社会的問題行動の指導
特別活動の開発実践Ⅳ
・心身症,神経症の対応
・摂食障害,学習障害の対応
・具体的な実践指導
特別活動の開発実践Ⅴ
・相談業務の理解
・教育相談室の業務
-45-
・適応指導教室の業務
特別活動の開発実践Ⅵ
・生徒指導と学校行事の関連性
・学校行事の企画と参画
・事例研究
特別活動の開発実践Ⅶ
・クラブ活動における生徒指導
・部活動における生徒指導
・事例研究
特別活動の開発実践Ⅷ
・進路指導の方法
・ガイダンスの方法
・事例研究
特別活動の開発実践Ⅸ
・性教育と生徒指導
・健康教育と生徒指導
・事例研究
特別活動の開発実践Ⅹ
・学校と地域社会との連携
・専門諸機関との連携
・事例研究
学校カウンセリングⅠ
・学校と家庭の連携
・PTA活動の助長
・事例研究
学校カウンセリングⅡ
・他県の生徒指導と交流
・生徒指導実践の比較検討
・事例研究
学校カウンセリングⅢ
・生徒指導実践の評価法
・評価結果の分析と省察
・事例研究
生徒指導と学校経営
・生徒指導主事の役割
・校務運営と生徒指導体制
・事例研究
生徒指導の総括
・生徒指導全体の総括
・課題の検討
○
学校改善臨床実習(特別支援学校臨床実習)の内容
学校行事等の調整,児童生徒の出席状況等の掌握に関して実践的に体験し,学ぶ。ま
た,特別支援学校独自の業務のひとつである 107 条本※等の教科書採択業務も実践的に体
-46-
験し,学ぶ。さらに,生命維持等も含める危機管理に関する教師の役割を実践的に体験
し,学ぶ。
※107 条本とは…学校教育法第 107 条の規定により特別支援学校において教科書として使用することができる一般図書をいう。
臨床実習の課題
活動内容等
オリエンテーショ 実習校の学校経営の概要説明と臨床実習の計画・方法の確認
ン
・ 実習校の学校(経営)特性をつかむ。
・ スクールリーダー(教務主任等)の役割の全体をイメージする。
・ 実習校の教務上の課題を知る。
・ 自らの実習課題をイメージする。
学校行事業務
・月行事の連絡・調整・設定
・学校行事(終業式・始業式等)の立案・実施
児童生徒在籍管理 ・出席状況管理(月末統計の処理)
業務
・転入学に関する書類作成等の業務
教科書採択業務
・文部科学省著作本(☆本)の選定
・107 条本の選定
・採択に関する書類作成等の業務
危機管理業務
・危機管理体制の構築(手引き等の検討)
・行方不明者捜索訓練等の企画立案
○
授業開発臨床実習(特別支援学校臨床実習)の内容
特別支援学校特有の指導形態である「教科・領域を合わせた指導」である生活単元学
習,作業学習の「授業開発」についての実習を行う。
臨床実習の課題
オリエンテーション
活動内容等
実習校の教育課程の概要説明と臨床実習の計画・方法の確認
・授業開発臨床実習の目標
・目標達成のための課題の明確化
・メンター教員との教育観交流
・配当学部・学級の学級経営方針・状況の把握
・担当する単元・時期の決定
・臨床実習期間中の計画立案
教育課程の実際
教育課程の検討
・週時程の検討
・年間計画の検討
・指導体制の検討
-47-
生活単元学習又は作業学 単元立案の検討
習の単元計画の実際
・単元設定の検討
・日程計画の検討
授業の設計と評価の実際
単元計画の検討
・活動内容
・場の配置
・補助具
・教師の動き
・評価観点等
授業実施
実地授業
・事前検討
・実地授業(4W~6W)
副授業者としての実施
主授業者としての実施
・研究授業の実施(3回)
・授業研究と省察
○
教育臨床実習(特別支援学校臨床実習)の内容
教育的支援の実際として個別の指導計画の作成とその実際の運用,対象児への支援に
ついての実習を行う。
臨床実習の課題
オリエンテーション
活動内容等
実習校の教育課程の概要説明と臨床実習の計画・方法の確認
・対象児童の決定
・個別の教育支援計画,個別の指導計画の確認
・臨床実習期間中の計画立案
教育的支援の立案
・対象児童生徒の心理アセスメントの実施
・教育的支援の仮説の立案
・支援プログラムの作成
教育的支援の実践
・教育的支援の実施
・記録分析,評価
・支援プログラムの修正
教育的支援の評価
・支援プログラムの省察
・個別の指導計画への反映
・個別の教育支援計画への反映
-48-
① 学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習のコンセプト
教育実践に関わる課題を発見・探究・解決する教師の課題探究能力を学校教育
臨床により形成する。
「学校教育臨床」では「教育現場に根ざす」という立場から,
客観的な観察者ではなく教育の現象の中に入り込んで,自らの関与と責任を伴う
アクションリサーチを重視するものである。
(ア) 教育実践への積極関与と責任
学部段階の教育実習とは異なり,教員免許を所有している自立した教員と
して学校における教育実践場面で思考し,積極的に関与してその結果に責任
を持つ。
(イ) 教員としての実践を通した学習
本専攻開設科目における探究の基本は,教員として思考し行動する実践と
関連させたものであり,長期的な教師発達の基盤となる教育実践における課
題探究能力を育成する。
(ウ) 協働による学習と態度の育成
就職後の日常的な教員の成長を促進するためには,教員集団の中で協働す
る必要があり,現職教員又は大学院生同士との学習活動を通して協働する態
度を育成する。
(エ) 省察による評価と態度の育成
教員自らの不断の成長は,実践を評価,改善し,自らの教育観を見つめな
おしつつ促進されるものであり,現職教員や大学教員,大学院生等との実践
評価やディスカッション等を通して省察する態度を育成する。
② 指導方法の基本
上記のコンセプトに基づき,以下の方法により指導する。
(ア) 教育実践への積極関与と責任
・自立した教員として「副担任」等の立場から教育実践に携わる。
・教育実践場面での指導に対して「説明責任」を持つ。また年間を通して同
一学校で実習する。
・一定期間の指導(小単元の指導,数日間の学級経営,校務分掌等)を担当
する。
(イ) 教員としての実践を通した学習
・教員として思考し行動することを通して教育課題に気づき,析出する力量
を育成する。
・教育課題の分析と解決方略を立案し,実践結果を評価することを重視する。
-49-
・ポートフォリオ型の「学校教育臨床実習等日誌」を義務付ける。
(ウ) 協働による学習と態度の育成
・「協働」の場として,学生のコホートを形成し,コホートミーティングを
実施して学校教育臨床実習等の集団として活動する。
・職員室等に居場所を設定し,教員集団の一員として終日活動する。
(エ) 省察による評価と態度の育成
・毎週,院生,連携協力校実習指導教員,大学教員が参加する「スクールミー
ティング」を実施する。提案及び司会は院生が担当し,実習指導教員や大
学教員は省察を援助する。
・学校教育臨床実習等日誌やミーティングレポートを AIMS-Gifu に蓄積し,
意見交流する。
③ 実習単位,主な内容,実習施設,時期,学生配置等
学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習を表6のように実施する。
表6学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習の実施方法
科目
年次
実施時期
期間中の実習日程
学校改善臨床実習
集中
(学校教育臨床実習) 2 年次 4 月,9 月
(3 単位)
授業開発臨床実習
5 月~7 月,
(学校教育臨床実習) 1 年次
期間中週 1 日(金曜日)
10 月~11 月
(4 単位)
教育臨床実習
(学校教育臨床実習) 1 年次 12 月~3 月
期間中週 1 日(金曜日)
(3 単位)
学校改善臨床実習
9 月~11 月
集中
(特別支援学校臨床実習) 2 年次
(10 週間)
(3 単位)
授業開発臨床実習
9 月~11 月
(特別支援学校臨床実習) 2 年次
集中
(10 週間)
(4 単位)
教育臨床実習
9 月~11 月
(特別支援学校臨床実習) 2 年次
集中
(10 週間)
(3 単位)
連携協力校として本学部附属小学校・中学校に加えて,岐阜市立小学校
4校,岐阜市立中学校5校,さらに高等学校4校,特別支援学校1校で,
合計16校が実習校となる。また,岐阜県教育委員会,岐阜市教育委員会
及び連携協力校との合同連絡会議を開催し,実習の実施にあたって基本的
合意を得ている。
-50-
○
実習単位,実習施設,時期,学生配置等
学校教育臨床実習
学校教育臨床実習
単位(時間数) 配当年次
実施時期
実習校・学生配置数
(連携協力校)
学校臨床実習
3単位
2年次
4月
岐阜大学附属小学校
9月
岐阜市立加納小学校
岐阜市立長良小学校
岐阜市立長良西小学校
岐阜市立長良東小学校
岐阜大学附属中学校
岐阜市立加納中学校
岐阜市立長良中学校
岐阜市立東長良中学校
岐阜市立青山中学校
岐阜市立陽南中学校
岐阜県立岐阜北高等学校
岐阜県立岐山高等学校
岐阜県立長良高等学校
岐阜県立本巣松陽高等学校
以上に学校のその実習生受入
数に応じて配当する
授業開発臨床実習
4単位
1年次
5~9月
岐阜大学附属小学校
10 ~ 11 岐阜市立加納小学校
月
岐阜市立長良小学校
岐阜市立長良西小学校
岐阜市立長良東小学校
岐阜大学附属中学校
岐阜市立加納中学校
岐阜市立長良中学校
岐阜市立東長良中学校
岐阜市立青山中学校
岐阜市立陽南中学校
岐阜県立岐阜北高等学校
岐阜県立岐山高等学校
-51-
岐阜県立長良高等学校
岐阜県立本巣松陽高等学校
以上に学校のその実習生受入
数に応じて配当する
教育臨床実習
3単位
1年次
12~3月 岐阜大学附属小学校
岐阜市立加納小学校
岐阜市立長良小学校
岐阜市立長良西小学校
岐阜市立長良東小学校
岐阜大学附属中学校
岐阜市立加納中学校
岐阜市立長良中学校
岐阜市立東長良中学校
岐阜市立青山中学校
岐阜市立陽南中学校
岐阜県立岐阜北高等学校
岐阜県立岐山高等学校
岐阜県立長良高等学校
岐阜県立本巣松陽高等学校
以上に学校のその実習生受入
数に応じて配当する
特別支援学校臨床実習
学校教育臨床実習 単位(時間数) 配当年次
実施時期
実習校・学生配置数
(連携協力校)
学校経営臨床実習
3単位
授業開発臨床実習
4単位
教育臨床実習
3単位
9月~11 月
2年次
岐阜県立大垣特別支援学校
(総合実習)
実習生全員を配当する
(2) 実習指導体制と方法
・
学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習年間スケジュール,指導方法,実習校との連
携体制
① 巡回指導計画
学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習の指導はチームで行う。このチーム
-52-
は,研究者教員,実務家教員,実習指導教員で編成される。学校教育臨床実習・
特別支援学校臨床実習における3者のそれぞれの役割は,以下のようになる。
(表7)
表7
実習指導担当者
研究者教員
(スーパーバイザー)
実務家教員
(アドバイザー)
実習指導教員
(メンターティーチャー)
実習指導担当者と役割
役割
実習前に実習生の実践に対する問題意識や課題を確認し,
個別な実習計画の作成を指導する「事前指導」を行う。
大学と実習校の間に立ち,実習全体の運営計画を作成し,
実行する。実習校での実際に関して調整業務を行う。
実習生の直接の指導を日常的に担当する。
一人の実習生に対して3者から成る一つのチームが組織的な指導を行い,実務
家教員は2週で1回程度実習校を巡回し,実習指導教員との協議,実習生との面
談を行い,実習の展開状況を把握する。3者による「スクールミーティング」は,
月に1回実施する。
② 実習計画全体の年間スケジュール
学校教育臨床実習3科目の年間スケジュールは,1年次前期から後期11月ま
での間に「授業開発臨床実習」を,1年次後期12月から3月まで「教育臨床実
習」を実施し,継続的に学校での臨床実習を可能とする。さらに,
「学校改善臨床
実習」を,2年次4月及び9月に集中的に臨床実習を実施する。特に,4月当初
の臨床実習は学校,学級の年度当初の経営に関る事項に関する実習内容を盛り込
むこととする。継続的な臨床実習期間は,週1日の臨床実習を基本として,大学
と実習協力校との往復的な学習に配慮し,臨床実習の課題及び成果を大学の授業
において題材として扱うことを可能とする。
また,特別支援学校臨床実習3科目は,2年次9月から11月にかけての,1
0週間,週5日の臨床実習を基本とし,総合実習を行う。
さらに,2年次の学習は,
「開発実践報告」も核として展開する。現職教員学生
は,勤務校を実践フィールドとし,日常の勤務と重ならないよう勤務時間外の平
日又は土曜にゼミを設定し,各院生の実践課題に対応する指導を継続的に行う。
学部新卒院生は,連携協力校での年間の継続的な実践をフィールドとし,平日昼
間にゼミを設定して継続的に指導することで,初任者研修の授業実践に関る内容
の修得を可能とする。これらの実践は年度末の「実践報告会」にて報告する。
(資料14参照)
-53-
その指導は基本的に以下の手続により行う。
(ア) 事前指導
研究者教員と実務家教員が,実習生の実習に対する問題意識や課題を確
認するとともに,個別の実習計画書の作成,自己省察資料の蓄積及び活用
の在り方を指導する。この実習計画書は事前に実習校に送付される。
(イ) 実習校でのオリエンテーション
実習校で,校長及び教頭が実習指導教員とともに,実習生に対して実習
全体の概要の説明と指導を行う。実習の運営計画については,事前に研究
者教員と実務家教員が実習校に出向き,実習校側と協議しておく。
(ウ) 中間指導
実習中,定期的に実務家教員及び研究者教員が実習校を訪問し,実習経
過を把握するとともに,スクールミーティングにより実習生の指導を行う。
(エ) 実習成果の発表
実習後半に,実習生は実習の成果を表す「授業」を公開実施するととも
に,実習終了後,実習校の実習成果発表会で成果を報告し,報告書及び学
校教育臨床実習等日誌を提出する。
(オ) 実習の評価
事前に作成した実習評価票に基づき,授業,実習の意欲・態度,実習成
果等を研究者教員と実務家教員,実習指導教員の3者により評価する。単
位認定は,研究者教員と実務家教員の協議において行う。
③ コホートのスケジュール表
年間スケジュール表及び指導計画に従って学校内でコホートを形成して,実習
指導教員の指導により実習を継続する。実習期間中は定期的に実習指導教員を加
えたコホートミーティングを実施するとともに,実務家教員,研究者教員はその
状況を把握し,中間指導においてスクールミーティングを実施する。
(3)施設との連携体制と方法
本専攻の実習を行う学校(連携協力校)は小学校,中学校,高等学校及び特別支援
学校の4種であり,小・中学校は岐阜市教育委員会が管轄し,高等学校及び特別支援
学校は岐阜県教育委員会が管轄している。そこで,大学と連携協力校を管轄する岐阜
県教育委員会及び岐阜市教育委員会との連絡協議を行うため「連携連絡協議会」を設
置する。また,各連携協力校における実習を円滑に進めるため,研究者教員,実務家
教員,連携協力校実習指導教員の3者で「指導者連絡会議」を構成する。
本研究科の中に「指導者連絡会議」と「連携連絡協議会」を位置づけて,下記に示
す具体的な連携体制を確保する。
-54-
①施設との連携の具体的方法,内容
「指導者連絡会議」において,以下の内容について具体的に検討する。
・学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習の実習計画概要の確認と検討
・実習指導体制(巡回スケジュール・回数,学生コホートの構成,3者の役割分担と
協力,学生へのアドバイス方法)
・学校教育臨床実習・特別支援学校臨床実習に関する事前指導(オリエンテーション),
事後指導(レポート作成指導,評価),実施中の指導と情報交換
②大学と実習施設との緊急連絡体制
大学が中心となり,岐阜県教育委員会及び岐阜市教育委員会との間で設置する「連
携連絡協議会」において緊急連絡体制を構築し,情報交換を密に行う。大学側の直
接の連絡窓口は,本専攻担当の学務係が担当し,ここで得られた情報について大学
内の研究科委員会,教職実践開発専攻運営委員会,カリキュラム委員会において協
議する。
③各施設での指導者の配置状況
各学校には,学校長等の判断のもと,実習指導教員を配置し,学生の実習指導に
あたる。
④実習前,実習中,実習後等における施設との調整・連絡等
「指導者連絡会議」において事前指導(オリエンテーション)
,事後指導(レポー
ト作成,評価),実施中における調整・連絡を行う。特に,実習中はスクールミーティ
ングにおいて学生の実習状況を踏まえて調整を図る。
⑤実習校指導教員相互の連絡会議設置の予定
本専攻の教員及び連携連絡校の指導教育職員相互の連携を図るため,指導者連絡
会議を設置することとしている。
(資料15参照)
(4)単位認定等評価方法
① 各施設での学生の評価方法
実習計画書に基づき,コホートミーティング,学校教育臨床実習等日誌,公開
授業,実習成果発表会などにより実習指導教員が評価する。
② 各施設の指導者と大学側の指導者との評価方法・連携
事前に作成した実習評価票にもとづき,授業,実習の意欲・態度,実習成果等
を研究者教員と実務家教員,実習指導教員の3者により評価について協議する。
③ 大学における単位認定方法
単位認定は,研究者教員と実務家教員の協議において行う。
-55-
Ⅲ
1
教育委員会等との調整内容の確認
養成する人材像について
岐阜県教育委員会では,地域の中核となるリーダー的な力量をもつ教員が少なくな
り,そのような人材を学校内で養成することは困難となりつつある。そのため,リー
ダー的な教員を継続的に養成することが喫緊の課題となっている。
本専攻は,このリーダー的な教員をスクールリーダーとして継続的に養成する研修
の場として有効であると判断された。これを受けて岐阜県教育委員会と大学が幾度と
なく話し合いの場をもち,具体的な養成内容・方法について検討してきた。
これらの検討を経て,下記の対象者についてスクールリーダー養成を行うこととし
た。
(1) 対象とする学生層と規模
主として岐阜県教員の中核となり得る現職教員及び学校づくりの有力な一員とな
る学部新卒者を対象とし,教育学研究科全体及び専攻の入学状況,さらに本専攻設
置により岐阜県教育委員会が増員する現職教員の派遣枠(現在12人を18人に拡
大)を基礎とし20人を設定した。
(2) 教育委員会から推薦を受ける現職教員の派遣要件
学校長が推薦し,スクールリーダーとして活躍が期待できる教員とする。岐阜県
教育委員会は,概ね6年経験者研修を修了した教員であることが適当であると考え
ている。
2
教育課程・教育方法について
(1) 実践的指導力を育成する体系的で効果的なカリキュラム編成
本申請において提示したカリキュラムは岐阜県教育委員会と協働して作成したも
のである。
(2) 実践的で新しい教育方法の開発・導入の方策
従来の大学院の講義中心の授業とは異なり,全授業の7割以上を学校現場におけ
る演習を取り入れた授業構成として協議してきた。
(3) デマンド・サイドの意見・ニーズが反映される教育課程の改善のシステム
岐阜県教育委員会からの要望に基づいて,学校の危機管理,特別支援教育,地域
社会との連携に関する内容を教育課程に反映させた。このような,教育委員会の要
望は今後も継続して教育課程に反映させていくために,連携連絡協議会を設置する。
-56-
3
履修形態について
(1) 現職教員学生が職務に従事しながら履修する場合における昼夜開講制等の配
慮・工夫の方策
岐阜県教育委員会との協議により14条適用が要望され,これまで派遣されてき
た人数以上に受け入れる計画とした。このために,2年次には勤務校を実践フィー
ルドとし,学修するカリキュラムを開発してきた。
4
教員組織について
(1) 設置の趣旨,特色,教育課程等を踏まえた理論と実践の融合が担保される教員組
織の全体構成
研究者教員以外に実務家教員を6人配置した。
(2) 実務家教員に求める教職経験の内容,資質等
実務家教員は,岐阜県の教育に対する知見と高いレベルの教育行政経験を有する
人材を採用する。これは,岐阜県の教育システムに精通し,現職教員の実情につい
ても掌握している即戦力として期待されているためである。
(3) 岐阜県総合教育センターの専門的職員の活用・協力
総合教育センター等を含めた岐阜県教育委員会の専門的職員からは,授業への協
力も期待されており,組織的な対応について検討した。
(4) 実務家教員の質確保に係る継続的な採用の方策
今後,実務家教員に関しては,本専攻への「派遣」
(3名)が措置されることを確
認した。
5
連携協力校の在り方について
(1) 連携協力校設定の考え方
小学校,中学校については,岐阜市教育委員会とこれまでに教育実習の経験豊富
な実習校(小学校4校,中学校5校)を「連携協力校群」として位置づけ,年次交
代で連携協力校として設定している。
高等学校,特別支援学校については,岐阜県教育委員会と協議して連携協力校を
設定している。
(2) 具体的な連携協力内容
連携協力内容については,その内容について協議を行い,岐阜県教育委員会,岐
阜市教育委員会,本学で構成する連携連絡協議会において詳細を検討した。
(3) 毎年度継続して連携協力校等を確保できる方策
「連携協力校群」として連携協力を確認しており,継続的に連携協力校を確保で
きる。
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6
実習の在り方について
(1) 設置の趣旨・特色,教育課程等を踏まえ,実習校の学校種,規模,立地条件に応
じた実習先の考え方
学校における優れた教員あるいはスクールリーダーを育成する本専攻の連携協力
校は,地域のリーダー的な学校とする。特に小・中学校においては,以下の点を重
視した。
・教育実習に関する長年の実績
・教育実践研究における優れた実績
・岐阜県教育界の優れた人材輩出の実績
さらに,実習を効果的に行うために,大学との間の移動時間が30分以内である
こととした。
(2) 学生層に応じた実習校の学校種,実習内容,実施年次の考え方
小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の優れた教員あるいはスクールリーダー
を養成する観点からこれらに対応する連携協力校を配置し,それぞれの学校で年間
を通した実習を可能となるよう配慮している。特に学部新卒者は,責任ある教員と
して同一の連携協力校で2年間継続して実習,教育実践を行う。
7
教職実践開発専攻の管理運営体制
(1) 恒常的に教育委員会等デマンド・サイドと密接に連携する方策
連携連絡協議会において,継続的に教育課程について検討する。
(2) 学校教育の実態や社会の変化等に柔軟に対応し得る機動的な管理運用システム
の確立
連携連絡協議会において,継続的に教育課程について検討し,新しい教育課題に
対して機動的に対応できる体制を整備している。
8
修了者へ配慮
(1)岐阜県教育委員会が,学部新卒入学で修了した者に対して,同県公立学校教員採
用選考において特例措置を適用する。
(2)学部新卒入学で修了した者に対しては,初任者研修事業の指導,補助もしくはリー
ダー的な役をさせる。
(3) 現職教員及び学部新卒入学者の修了後の配属に関しては,開発実践報告のテーマ
を課題とする学校に重点的に行う。
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9
その他
(1) FD活動への教育委員会等の協力内容
学校で実施される授業研究会,研究発表会等に積極的に参加し,学校関係者と協
力しながら FD を行うこととしている。
(2) 自己点検・評価等への取組
自己点検・評価に基づく外部評価委員会を行い,教育委員会は,この委員として
参画して意見を述べる。
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