第6章 介護保険料

第6章
介護保険料
この章では、第5章の介護保険サービスの見込みから、第6期計
画および 2025 年を見据えた長期的な保険料を示します。
107
第6章 介護保険料
1
介護保険料決定の流れ
平成 27 年度から 29 年度および平成 32 年度、平成 37 年度における各サービス量や
給付費については、国の示した推計手順に従い、千代田区の要介護(要支援)認定者数の
実績や給付実績をもとに推計します。保険料算定の考え方は次のようになっています。
■介護保険料決定までの流れ
1
被保険者数の推計
2
要介護(要支援)認定者数の推計
3
サービス利用者数の推計
4
サービス量・給付費の推計
5
介護給付費の推計
6
介護保険運営基金の取り崩し
(介護保険給付費準備基金該当部分)
7
保険料の段階設定
8
介護保険料基準額の決定
108
第6章 介護保険料
2
介護給付費等の負担割合
介護給付費および地域支援事業における負担割合を以下に示します。
(1)介護給付費
居宅サービス費等給付費
施設サービス費等給付費
区負担
(一般財
源繰入)
12.5%
第1号
被保険者
保険料
22.0%
区負担
(一般財
源繰入)
12.5%
第1号
被保険者
保険料
22.0%
都負担
12.5%
国負担
20.0%
第2号
被保険者
保険料
28.0%
都負担
17.5%
第2号
被保険者
保険料
28.0%
財政調整
交付金,
5.0%
国負担
15.0%
財政調整
交付金,
5.0%
(2)地域支援事業
介護予防・日常生活支援総合事業
第1号
被保険者
保険料
22.0%
包括的支援事業等
第1号
被保険者
保険料
22.0%
区負担
(一般財
源繰入)
12.5%
区負担
(一般財
源繰入)
19.5%
都負担
12.5%
第2号
被保険者
保険料
28.0%
都負担
19.5%
国負担
25.0%
国負担
39.0%
109
第6章 介護保険料
3
第6期計画期間における介護保険料
(1)第6期計画期間における保険料設定の考え方
第5期計画の実績と第6期計画の見込みを比較すると、保険料を負担する第 1 号被保険
者数が 4.3%増、介護が必要な方が 12.3%増、介護サービス費用は 16.5%の伸びを見せ
ています。このように保険料を負担する人の増加率よりも、介護サービス費用の増加率が
高い場合、被保険者1人あたりの介護サービス費用が大きくなり、保険料も上昇すること
になります。
また、千代田区では一般施策として充実した在宅支援サービスを行っており、これを市
町村特別給付として介護保険制度内で実施すると、保険料の基準月額(第5段階)は 7,420
円になると見込まれます。
こうした中、第6期計画においては、高齢者総合サポートセンターの開設により地域包
括ケアシステムや介護保険サービスの充実を図るとともに、次のとおり保険料上昇抑制策
を講じることにより基準月額を5,700円とします。
(2)保険料の上昇抑制策
①市町村特別給付・保健福祉事業等
区市町村が介護に必要なサービスと判断した場合、法定の介護給付・介護予防給付以
外のサービスを条例に規定することにより、市町村特別給付・保健福祉事業として区独
自に保険給付することができます。
しかし、市町村特別給付・保健福祉事業を行う場合は、その事業に係る費用(利用者
負担分は除く)の全額を第 1 号被保険者が負担する保険料で賄うことになり、結果とし
て保険料が増額されるため、千代田区では一般施策としてサービスを行っています。
このため、第6期計画における第 1 号被保険者保険料の急激な上昇を抑制するため、
市町村特別給付・保健福祉事業および介護予防・日常生活支援総合事業に相当するサー
ビスの一部を、介護保険事業ではなく一般施策として実施することで、基準月額を
1,000 円抑制します。
②保険料段階の見直し
保険料の段階は、国が標準とする9段階から各保険者が一定の条件のもとで段階を増
やす多段階の設定が可能です。
第5期計画は 12 段階で設定していましたが、第 6 期計画では負担能力に応じた保険
料段階の見直しを行い、15 段階にすることにより、基準月額を 660 円抑制します。
110
第6章 介護保険料
③千代田区介護保険運営基金(介護保険給付費準備基金該当分)の取り崩し
介護保険事業のこれまでの保険料剰余金は、預金利子を含め介護保険給付費準備基金
相当分(以下「保険料剰余金等」という。)として介護保険運営基金で管理しており、第
5期終了時点で残高が約 5,000 万円となる見込みです。
介護保険制度では、計画期間内に必要となる保険料は、その計画期間内に徴収するこ
とが原則ですが、保険料剰余金等は活用することができます。
第6期計画期間では、第5期終了時点の残高見込み額のうち 4,800 万円を取り崩す
ことで、基準月額を 60 円軽減します。
■保険料段階の上昇抑制の取り組みイメージ
(3)低所得者の保険料軽減
区では所得の低い方の負担を軽減するため、国の標準料率を区独自に緩和し、第1段階
を「0.5 から 0.35」に、第2段階を「0.75 から 0.5」に、第3段階を「0.75 から 0.7」
に引き下げます。
また、国では、保険料の軽減強化策として、国が 1/2、都が 1/4、区が 1/4 を負担す
る新たな仕組みを導入します。これにより、区独自の保険料率は更に引き下げられ、平成
27・28 年度においては、第1段階が「0.35 から 0.3」になります。
平成 29 年度においては、国の法改正により軽減強化策が拡大される見込みとなってお
り、第1段階を最大で「0.2(平成 27・28 年度実施の軽減割合 0.05 を含む)」、第2段
階を「0.25」、第3段階を「0.05」引き下げることが可能となる予定です。
保険料率
保険料段階
第1段階
第2段階
第3段階
第6期計画
平成27・28年度
国(当初予定)
国
千代田区
0.5→0.3
0.5→0.45
0.35→0.3
(軽減率0.2)
(軽減率0.05)
(区独自軽減+軽減率0.05)
0.75→0.5
0.75
0.5
(軽減率0.25)
(軽減なし)
(区独自軽減)
0.75→0.7
0.75
0.7
(軽減率0.05)
(軽減なし)
(区独自軽減)
111
第6章 介護保険料
(4)第1号被保険者保険料の段階設定
負担能力に応じた段階を見直し
千代田区独自に新たに設定
《第6期計画の段階》
3.50
3.20
2.90
基準段階に対する割合を国の標準割合より千代田区独自に緩和
平成27・28年度:低所得者対策に係る公費負担分
2.60
2.30
2.00
1.75
×3.5
×3.2
1.50
×2.9
1.25
×2.6
×2.3
1.00
×2.0
×1.75
0.75
0.70
×1.5
0.50
0.35
0.30
×0.5
×0.3
第
1
段
階
×0.7
第
2
段
階
第
3
段
階
×0.8
第
4
段
階
×1.0
第
5
段
階
×1.15
×1.25
第
6
段
階
第
7
段
階
120
万円
第
8
段
階
190
万円
第
9
段
階
290
万円
第
10
段
階
500
万円
第
11
段
階
第
12
段
階
750
万円
1,000
万円
第
13
段
階
1,250
万円
負担能力に応じた段階を見直し
千代田区独自に新たに設定
《第5期計画の段階》
2.75
2.50
基準段階に対する割合を国の標準割合より千代田区独自に緩和
2.25
2.00
1.75
1.50
×2.75
×2.5
1.25
×2.25
×2.0
1.00
×1.75
×1.5
0.75
0.50
×0.4 ×0.4
第
1
段
階
第
2
段
階
×0.6
第
3
段
階
特
例
×0.7
第
3
段
階
×0.8
第
4
段
階
特
例
×1.0
第
4
段
階
×1.1
第
5
段
階
×1.25
第
6
段
階
第
7
段
階
125
万円
200
万円
112
第
8
段
階
400
万円
第
9
段
階
700
万円
第
10
段
階
900
万円
第
11
段
階
1,200
万円
第
12
段
階
1,500
万円
第
14
段
階
1,500
万円
第
15
段
階
2,000
万円
第6章 介護保険料
(5)第6期計画の介護保険料
千代田区では、市町村特別給付に相当する事業を一般会計で実施するほか、介護保険運
営基金の取り崩しによる介護保険料の上昇抑制、負担能力に応じた区独自の保険料段階の
設定などにより、第6期計画期間における第1号被保険者の保険料基準月額(第5段階)
を 5,700 円に定めます。なお、各段階の保険料は次のとおり定めます。
■第1号被保険者保険料段階別保険料
段 階
第1段階
第2段階
第3段階
第4段階
第5段階
対 象 者
・老齢福祉年金を受給されて、世帯全員が住民税非課税
・生活保護受給
・世帯全員が住民税非課税かつ
本人の合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円以下
世帯全員が住民税非課税かつ
第1段階以外で、本人の合計所得金額と課税年金
収入額の合計が120万円以下
世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額と
課税年金収入額の合計が120万円超
本人の住民税が非課税かつ
合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円以下
(世帯の中に課税の方がいる)
本人の住民税が非課税かつ
合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円超
(世帯の中に課税の方がいる)
年額保険料
(月額の目安)
割 合
20,500円
(1,710円)
基準額
×0.3
34,200円
(2,850円)
基準額
×0.5
47,800円
(3,990円)
基準額
×0.7
54,700円
(4,560円)
基準額
×0.8
68,400円
(5,700円)
基準額
第6段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が120万円未満
78,600円
(6,555円)
基準額
×1.15
第7段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が120万円以上190万円未満
85,500円
(7,125円)
基準額
×1.25
第8段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が190万円以上290万円未満
102,600円
(8,550円)
基準額
×1.5
第9段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が290万円以上500万円未満
119,700円
(9,975円)
基準額
×1.75
第10段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が500万円以上750万円未満
136,800円
(11,400円)
基準額
×2.0
第11段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が750万円以上1,000万円未満
157,300円
(13,110円)
基準額
×2.3
第12段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が1,000万円以上1,250万円未満
177,800円
(14,820円)
基準額
×2.6
第13段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が1,250万円以上1,500万円未満
198,300円
(16,530円)
基準額
×2.9
第14段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が1,500万円以上2,000万円未満
218,800円
(18,240円)
基準額
×3.2
第15段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が2,000万円以上
239,400円
(19,950円)
基準額
×3.5
113
第6章 介護保険料
<参考>第5期計画の介護保険料
■第1号被保険者保険料段階別保険料
段 階
第1段階
第2段階
特例
第3段階
対 象 者
・老齢福祉年金を受給されて、世帯全員が住民税非課税
・生活保護受給
世帯全員が住民税非課税かつ
本人の合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円以下
世帯全員が住民税非課税かつ
第1、第2段階以外で、本人の合計所得金額と課税年金
(月額の目安)
割 合
24,900円
(2,080円)
基準額
×0.4
24,900円
(2,080円)
基準額
×0.4
37,400円
(3,120円)
基準額
×0.6
43,600円
(3,640円)
基準額
×0.7
49,900円
(4,160円)
基準額
×0.8
62,400円
(5,200円)
基準額
68,600円
(5,720円)
基準額
×1.1
78,000円
(6,500円)
基準額
×1.25
93,600円
(7,800円)
基準額
×1.5
109,200円
(9,100円)
基準額
×1.75
124,800円
(10,400円)
基準額
×2.0
140,400円
(11,700円)
基準額
×2.25
156,000円
(13,000円)
基準額
×2.5
171,600円
(14,300円)
基準額
×2.75
収入額の合計が120万円以下
世帯全員が住民税非課税かつ
第3段階
年額保険料
第1、第2段階以外で、本人の合計所得金額と課税年金
収入額の合計が120万円超
特例
第4段階
本人の住民税が非課税かつ
合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円以下
(世帯の中に課税の方がいる)
本人の住民税が非課税かつ
第4段階
合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円超
(世帯の中に課税の方がいる)
第5段階
第6段階
第7段階
第8段階
第9段階
第10段階
第11段階
第12段階
本人の住民税が課税で合計所得金額が
125万円未満
本人の住民税が課税で合計所得金額が
125万円以上200万円未満
本人の住民税が課税で合計所得金額が
200万円以上400万円未満
本人の住民税が課税で合計所得金額が
400万円以上700万円未満
本人の住民税が課税で合計所得金額が
700万円以上900万円未満
本人の住民税が課税で合計所得金額が
900万円以上1,200万円未満
本人の住民税が課税で合計所得金額が
1,200万円以上1,500万円未満
本人の住民税が課税で合計所得金額が
1,500万円以上
114
第6章 介護保険料
4
第7期以降の介護保険料の見通し
介護給付費は今後も増加し、平成 29 年度には 41.2 億円になると見込まれています。
また、平成 37 年度は、平成 29 年度と比較すると 19.7 億円の増加となり、60.9 億円に
達すると見込まれています。
介護保険料の基準月額については、平成 32 年度には 7,380 円になると見込まれてい
ます。また、平成 37 年度には、第6期計画と比較すると 3,000 円以上の増加となり、
8,900 円に達すると見込まれ、介護給付費および介護保険料は今後も増加していくことが
予測されます。
こうしたことから、介護サービスを使わずに、自立した生活を送ることができる高齢者
を増やすため、介護予防に効果のあるさまざまな取り組みを推進し、給付費の増額を抑え
ることで、保険料上昇の抑制につなげていきます。
■介護給付費および介護保険料の推計値
介護保険料(円)
介護給付費(百万円)
10,000
10,000
10,000
8,900円
9,000
8,000
8,000
8,000
7,380円
7,000
6,000
7,000
7,000
5,700円
5,000
4,000
3,000
41.2億円
134
69
812
49.3億円
93 159
822
60.9億円
189
124
6,000
6,000
1,274
5,000
5,000
874
4,000
4,000
690
3,000
3,000
481
2,000
1,000
9,000
9,000
2,621
3,165
3,625
2,000
2,000
1,000
1,000
0
0
平成29年度
平成32年度
平成37年度
居宅サービス
地域密着型サービス
施設サービス
特定入所者介護サービス
高額介護サービス
介護保険料
115
116