心の「ものさし」

朝会の話
心の「ものさし」
副校長
浅野
みなさんが今の学年でいられるのは、今日を含めると残り7日となりました。5・6年
生は卒業式がありますので、残りは8日ですね。それぞれの学年・学級で、この一年間を
振り返っていることと思います。たくさんの楽しい思い出。そして、自分の成長。身長が
伸びた、身体が大きくなったということだけでなく、一年間学習してきたノートやワーク
シート、作品を見返してみると、
「一年間でこんなにいろいろなことができるようになった
な」と感じられると思います。
4月からは、新しい学年、新しいクラスですね。6年生は中学校に進学します。十四小
のみなさんの中には、クラス替えで仲良くなった友達と離ればなれになるのはいやだな、
新しいクラス、新しい学校でうまくやっていけるかなと心配な人がいるかもしれません。
それは、ごく自然なことです。実は先生も、小学生の頃、クラス替えがとても嫌でした。
その頃の話をしますね。
5年生になる始業式の前の日のことでした。当時一緒に住んでいた先生のおばあちゃん
に、こんな話をしたのです。
「新しい先生は誰なんだろう。誰と同じクラスになるのかなあ。」
不安な気持ちを話したんですね。
先生のおばあちゃんはお裁縫がとても上手で、よく洋服を作ってくれました。いつも始
業式には、おばあちゃんが作ってくれた少しよそゆきの洋服を着て登校していたものです。
そのおばあちゃんが、裁縫道具からあるものをとりだして「あいちゃん、これをごらん。」
と見せてくれました。何だかわかりますか。そう、ものさしです。長さを測る道具ですね。
おばあちゃんはこう続けました。
「大事なのは心の『ものさし』なの。新しいお友達や先生
と仲良くなりたかったら、自分がこうしたいという『ものさし』で全てを決めつけたり不
満に思ったりしてはだめなのよ。相手のことを考えられる『ものさし』をもつことが大事
なの。」そして、こんな言葉を教えてくれました。「自分のものさしで問うのではなく、自
分のものさしを問いなさい。」
「問う」というのは、「なぜだろう」「これでいいのかな」と考えることです。
例えば、友達とけんかになったり、うまくいかなくなったりしたとき、自分の言い分を
一方的にぶつけてしまう。これは自分の「ものさし」で問う、つまり自分の考えが正しい
と思い込んでいるということです。
そうではなくて、友達や周りの人たちの気持ちを考えられているかな、自分の「ものさ
し」は、ちゃんとはたらいているかなとチェックする。つまり自分の「ものさし」を問う、
これが大事なのだということです。
先生のおばあちゃんは、自分の気持ちだけでなく、相手の気持ちを考えることを忘れな
ければ、いろいろな人とうまくやっていけるようになるということを教えてくれたのだと
思います。友達は、周りの人は、家族は、先生は、どう感じるかな。そういう豊かな「心
の『ものさし』」をもつことが大切だと教えてくれたのだと思います。
4月、みなさんが豊かな「心の『ものさし』」で、新しいクラス、新しい友達、新しい先
生と一緒にすてきなスタートをきれますように。楽しみにしています。
今日は、心の「ものさし」のお話でした。