仙沼市 情報システム最適化 指

気仙沼市 情報システム最適化 指針
平成 27 年 4 月
総務省より公表された平成 26 年 3 月 24 日付「電子自治体の取り組みを加速
させるための 10 の指針」では,電子自治体の取組みは,情報システムに係る調
達・運用のみならず人的資源も含めた業務全体での効率化と経費の削減が期待
され,行政改革の中でも重要な位置を占めていると考えられており,各地方公
共団体は自らの情報化施策のあり方について考察し,その実現に着実に取り組
むことが期待されている。
本市においては今後,普通交付税の合併特例措置が削減される厳しい財政見
通しの中,徹底した行財政改革を進め,これまでよりも少ない人員・コストで,
これまで以上の業務・住民サービスの実施が可能となる簡素で効率的な品質の
高い行政を実現することが不可欠になる。
電子自治体の実現に向けて取り組むべき課題は多く挙げられるが,本市が特
に取り組まなければならない重要課題は「行政の簡素化・効率化」と「財政の
健全化(経費削減)」である。
これまで本市では,施策の推進と作業の効率化に重点を置き,担当部署単位
で情報システムの企画立案,導入,運営を推進してきた。しかし,このような
取り組みは,即効性はあったものの全体統制が困難となり,市全体として俯瞰
してみると重複投資や無駄,業務間の連携がとれていないなどの弊害を生み,
運用段階で問題が生じることが多かった。
また,度重なる法改正や多様な住民ニーズに対応するために行政事務は,複
雑化・多様化が進んでおり,この変化に応じて自治体向けの業務システムも,
運用や手順,規定の一部をその機能に包含する形でパッケージ化が進んでいる。
これに対し,本市では従来の規定や運用の見直し作業が不十分なままで情報シ
ステムに係る調達を進めてきたため,パッケージシステムの提供機能に合致し
ない業務運用のための改修対応や、導入段階になっての要件発生への対応など
により費用負担が高止まりとなっている。
これらの課題解決には,既存のコンピュータシステム(ハードウェアやソフ
トウェア,通信機器など)の単なる更改だけでは困難であり,ICTにおける
全体統制の強化,規定や運用の棚卸しと再定義,業務の変化に応じた適切な体
制構築などの抜本的な対策が必要である。
本指針は,情報システム最適化の取り組みを通じ,
「行政の簡素化・効率化」,
及び「財政の健全化(経費削減)」へつながる抜本的な行政改革を実施し,電子
自治体の実現を目指すための方向性を示すものである。
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情報システム最適化
推進イメージ
本市では情報システムを,組織体の活動に必要な情報の収集・蓄積・処理・
伝達に係る仕組みであると考える。ここでの仕組みとは,コンピュータシステ
ムだけでなく,それらを利用する組織と構成員(体制),実施手順や規則などが
含まれる。
このことから情報システム最適化では,コンピュータシステムの改善や刷新
だけではなく,業務を運用する際の実施手順や規定,及びそれらに携わる組織
体についても見直すべきと考える。本市では,情報システムを「コンピュータ
システム」,「手順・運用」,「規定」,「体制」の4つ要素から成り立つものと定
義し,各要素についての最適化を推進する。
コンピュータシステムを用いる業務では,業務の進め方を定める「手順・運
用」,業務における判断基準を定める「規定」に則り,
「コンピュータシステム」
の導入・運用を行うのが適切であり,業務遂行のために「コンピュータシステ
ム」の活用・維持を行う「体制」とそれぞれが相互に作用していると考える。
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さらに,情報システムの導入・運用における全体統制のためには,情報シス
テム個別の視点のみならず,下記の市全体としての視点も必要となる。
・ 情報漏洩防止対策なども含む「情報セキュリティ」の標準化と適用
・ 適切な業務運用に向けて「コンプライアンス」の評価・是正
・ 情報化のみならず,業務改善を担う「人材育成」の促進
・ 各取り組みをバランスよく着実に推進する「IT ガバナンス」の実現。
このような観点からも本市における最適化の取り組みは,業務遂行に用いる
「コンピュータシステム」だけでなく業務自体やその運用に関わる体制も対象
に行うものである。
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本市における情報システム最適化にあたり,下記の15の指針を定める。
指針1. 情報システムに係る調達・運用を効率的な行政運営及び徹底した
コストカットを実現するための手段の一つとして位置づけ,市全
体で統一された考え方と手法を用いて実施する。
指針2. CIO(最高情報統括責任者)を中心とした,合理的な情報化推
進体制を確立し,より中長期的な視点で情報システムに係る調
達・運用を実施する。
指針3. 市民の視点に立った行政サービスの向上と効率的な行財政運営を
目指し,業務の制度面・運用面からの見直し,情報システムの共
通化・一元化などにより簡素化・効率化・合理化を推進する。
指針4. 情報システムの企画や見直しに際しては,業務分析による可視化
を実施し,業務そのものの改善検討を予め行う。
指針5. 本市における情報化計画は,特定の業者に依存しない適切なハー
ドウェアやソフトウェア,ネットワークおよびサポートサービス
により実現し,重複投資や無駄,業者への依存を排除する。
指針6. 情報システムの統合・集約を進め,品質,保守性の向上のみなら
ず,今後想定される法制度改正への迅速かつ低コストでの対応を
可能とする。
指針7. 住民の利便性向上と事務作業の効率化を目指す業務改革と,導入
から運用,次期システム更改までの全体的な費用削減が両立する
情報システムに係る調達・運用を行う。
指針8. 情報システムに係る調達について,企画立案から課題整理,合意
形成,業者選定までの一連の工程にて実施すべき手続きを定め,
関連する体制を明瞭にし,これを職員へ浸透させる。
指針9. 情報システムに係る調達の設計・開発段階において,品質・コス
ト・納期の視点で,最適なシステムを構築するための,プロジェ
クト管理手法を取り入れる。
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指針10.情報システムに係る調達の構築,業務運営に際し,プロジェクト
責任者や意思決定者,支援体制など市全体として実施体制を整え,
発注者としての実施責任を負う。
指針11.市民の個人情報のみならず,行政運営上重要な情報などを安全・
安心に使用することができる,高度な情報セキュリティ対策環境
の整備・維持を続ける。
指針12.本市が所掌する情報資産の取扱いについて,職員に対し,情報セ
キュリティポリシーを周知徹底するために,十分な教育及び啓発
等の取り組みを定期的に実施するとともに,業務に携わる外部委
託事業者に対し,発注者として同様の内容を指導する職員の育成
に取り組む。
指針13.情報システムを利用した業務遂行を,特定の職員の能力や努力に
依存しないよう,情報化推進体制における各役割に適したプロジ
ェクト管理や,業務最適化に関する教育を計画的且つ継続的に実
施する。
指針14.情報システム導入に関する企画立案,調達,構築・運用管理など
全ての活動に関する知識や教訓を蓄積・継承し,職員のスキルを
底上げすることにより,特定個人や業者に依存することの無い,
組織による情報化を推進する。
指針15.地域の模範となるべく関係法令,規則,ガイドラインを遵守し,
公平・公正且つ透明性の高い情報システム調達及び運用を,継続
的に実現する。
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