北 北陸地域に における製 製造業の生 生産動向 ・生産体 体制

2015 年 4 月 13 日
日本銀行
行金沢支店
店
北
北陸地域に
における製
製造業の生
生産動向・生産体
体制
外需要や事業
業環境を踏
踏まえた生産
産動向・先行き見通し
し
1. 内外
(1)当地
地製造業に
に対する需要
要動向
・ 当地製
製造業に対
対する需要は
は、当地の
の主力産業で
である電子
子部品・デバ
バイスや医
医薬品、は
ん用・生
生産用機械
械等を中心に
に増加して
ている。国内
内需要は、富山県で産
産業集積が
が進む医薬
品関係の
のほか、企
企業の収益改
改善や政府
府の補助金政
政策等を背
背景に設備投
投資需要が
が堅調に推
移してい
いるはん用
用・生産用機
機械などで
で増加してい
いる。海外
外需要は、海
海外スマー
ートフォン
メーカー
ー向けや自
自動車関連が
が堅調で、 需要地とし
しては、前
前者はスマー
ートフォン
ンの生産基
地となっ
っている中
中国向け、後
後者は北米
米向けが伸び
びている。なお、海外
外需要の増
増加には、
この2年
年程度の間
間に急速に進
進んだ為替
替円安も寄与
与しており、電子部品
品・デバイ
イスや繊維
関連、眼
眼鏡枠の企
企業からは、
、為替円安
安に伴う価格
格競争力の
の回復が需要
要増加に繋
繋がったと
の声が聞
聞かれてい
いる。
・ 国内需
需要を財別
別にみていく
くと、非耐
耐久消費財、
、生産財、資本財が総
総じて堅調
調な一方、
耐久消費
費財、建設
設財が弱い。
。非耐久消
消費財は医薬
薬品が政府
府の後発医薬
薬品普及策
策を背景に
増加して
ており、生
生産財は海外
外での自動
動車販売が好
好調な国内
内自動車メー
ーカー向け
けが増加し
ている。
。資本財は
は、土木建設
設機械が排
排ガス規制強
強化に伴う駆け込み需
需要の反動
動から減少
している
るものの、産業用ロボ
ボットを含
含むはん用・生産用機
機械が自動車
車関連や食
食品向けを
中心に底
底堅く推移
移している。
。一方、耐
耐久消費財は
はパソコン
ン関連が昨年
年のOS更
更新特需の
反動等か
から弱めの
の動きとなっ
っているほ
ほか、建設財
財は新築住
住宅着工の低
低迷を受け
けて減少し
ている。
・ 海外需
需要を財別
別にみていく
くと、生産
産財、資本財
財が増加し
しているほか
か、為替円
円安の効果
を受けて
て、消費財
財も持ち直し
している。 生産財では
は、電子部
部品・デバイ
イスがスマ
マートフォ
ンやプリ
リンタ向け
けで増加して
ているほか
か、資本財で
でも、土木
木建設機械が
が米国での
の排ガス規
制強化に
に伴う駆け
け込み需要の
の反動等か
から減少傾向
向にあるも
ものの、工作
作機械が北
北米向けで
増加して
ている。消
消費財は、為
為替円安効
効果もあって
て、欧米や
や中近東向け
けでパソコ
コン関連部
材の需要
要が増加し
しているほか
か、眼鏡枠
枠も欧州向け
けを中心に回復傾向に
にある。
1
(2)当面の生産動向と先行き見通し
・
上記需要動向を受けて、当地製造業の生産は増加している。特に当地主力の電子部
品・デバイスと医薬品を中心とする化学(両業種の当地生産ウェイトに占めるシェア:
計 34%)の生産は好調で、両業種に牽引された当地の鉱工業生産指数は過去最高の水準
で推移している(図表1)
。
・ 先行きについては、化学は政府の後発医薬品普及政策を受けて増加基調が続くものの、
電子部品・デバイスは主用途であるスマートフォン向けで次の新製品投入までの端境期
に入ることから、一旦高水準横ばい圏内で推移すると見込まれる。その他の業種におい
ても、設備投資需要増加(工作機械)
、航空機向け等の需要増に伴う新素材生産増(繊維)
などの一方で、排ガス規制特需剥落(土木建設機械)
、住宅向け需要の低迷持続(金属製
品)などもあり、全体では増加基調が幾分鈍化し、高水準横ばいで推移するとみられる。
2. 前記需要動向を踏まえた当地製造業の生産体制、設備投資計画等
・ 当地製造業では、好調な需要動向や生産動向を受けて、老朽化した設備の更新だけで
なく、生産能力を拡充する動きがみられている。こうした動きを反映して、短観調査や
日本政策投資銀行調査でみた当地製造業の設備投資は増加している(図表2)
。具体的に
は、電子部品・デバイス、高機能素材、医薬品等の需要好調な産業では、先行きの需要
増加を見越して国内での生産能力増強に取り組んでいるほか、部材や生産工程で高品質
が求められる生産用機械等では、国内での生産に拘る先が多い。
・ もっとも、昨年後半以降の一段の円安進行を受けても、グローバルな事業展開を進め
ている先では、国内外の生産拠点の役割をより明確にした上で、引き続き海外展開を進
める方針に大きな変化はない。実際、為替円安に対して、
「一部製品の海外生産移管を取
り止める」先(自動車部品、化学)もみられるが、多くの先では、
「新興国の需要拡大を
見越した現地拠点拡充の必要性は変わらない」
(電子部品・デバイス)
、
「海外の拠点毎に
サプライチェーンを確立済み」
(生産用機械)
、
「納入先の要請で海外拠点の拡充を進める」
(はん用機械)としている。
・ 因みに、当地では北陸新幹線が金沢まで開業し、首都圏や北関東との時間距離が大幅
に短縮されたほか、水力発電の比率が高く電力料金が安い北陸電力管下であること、地
震・台風などの自然災害が相対的に少ない地域であることなどから、当地に集積が進ん
でいる産業(医薬品や電子部品・デバイス)を中心に、太平洋側から生産拠点を移す動
きもみられている。
2
3. 雇用
用・賃金への
の波及状況
況
・ 前述の
の生産増や
や先行きの生
生産能力増強
強を見据え
えて、中途採
採用を含め
めて採用を強
強化する動
動
きが広が
がっており(自動車部
部品、生産用
用機械、繊維
維)
、当面の
の人材確保
保のため派遣
遣社員の採
採
用を久方
方振りに再開した先(生産用機械
械)もある
る。賃金につ
ついても、 生産増で時
時間外給与
与
が増加し
している中で、社員の
の流出防止の
の観点も含
含めて、ボー
ーナスの増
増額や特別ボ
ボーナスの
の
支給に踏
踏み切る先が増えてい
いる。ただし、ベース
スアップにつ
ついては、 実施に踏み
み切る先も
増加して
ているが、全
全体として
てみるとなお
お限定的な
な範囲にとど
どまってい
いる。
以
本
本件に関するお
お問い合わせは
は、日本銀行金
金沢支店営業課
課・広報担当(電話 076-2223-9522)まで
でお願い
いた
たします。なお
お、本ペーパーは日本銀行金
金沢支店のホー
ームページ(http://www3.booj.or.jp/kana
azawa/)
でもご覧いただけ
けます。
本
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ついて、商用目的で転載・複製
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は、予め日本銀
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ださい。
転載
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3
上
(参考図表)
図表1 北陸地域の生産動向
▽ 鉱工業生産指数(季調済)<製造業>の推移
▽ 鉱工業生産指数<製造業>の業種別ウェイト
130
120
電子部品・
デバイス
その他
110
21%
33%
100
化学
90
13%
北陸
80
全国
はん用
機械等
電気機械
6%
70
繊維
13%
8%
金属製品
6%
60
0 8年
09
10
11
12
13
14
(資料) 経済産業省、中部経済産業局
(資料) 中部経済産業局
図表2 北陸地域の設備投資動向
▽ 短観調査:設備投資水準<製造業>の指数化
▽ 設備投資計画調査:名目設備投資指数<製造業>の推移
(91年度を100とした指数)
(91年度を100とした指数)
120
120
北陸
100
北陸
100
全国
全国
80
80
60
60
40
40
20
20
0
0
91 年度
96
01
06
11
15
91 年度
(注) 2014 年度の設備投資額をベースに、各年度の前年度比を用い
て逆算で過去の設備投資額を試算。その上で 1991 年度を 100 と
して指数化。
96
01
(資料) 日本政策投資銀行
(資料) 日本銀行、日本銀行金沢支店
4
06
11
14