家で看取る

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家で看取る
四例目
スガヤ チハル ︵仮名︶さん
卵巣がん。
歳
夫と二人暮らし。
娘さんが近隣に在住。
76
家で 看取る[四例目]……スガヤ チハルさん/76歳
スガヤさんはがん治療後の体調悪化のため入院していたが、一週間前に退院。退院後
も体調は改善せず、入院していた病院からは再入院が勧められたが、彼女は、
﹁自宅に居たい﹂とのことで、訪問開始となる。
訪問初日︵医師同席︶
訪問すると、スガヤさんはベッドで休んでおられた。介護用ではないベッドだった。
マットはへたっており、腰痛や床ずれの原因になりかねない。
往診医師が辛いところはどこかを尋ねると、第一に腹部膨満、第二に下肢の浮腫によ
る不快感を挙げられた。両者とも、外観からもその辛さが容易に想像される。医師から
その場で鎮痛薬をわたされ使用した。また、麻薬性鎮痛貼付薬の使用が開始された。看
護師よりご主人と娘さんに指導を行った三〇分後に、
﹁足が楽になったわ。これなら、坐ってみるわよ﹂とスガヤさんは言った。
しかし、しばらく安 静 を保つよう看 護 師から説 得して起き上がるのはやめてもらっ
た。
スガヤさんは最期まで自宅に居たい意向がはっきりしてた。ただ、これまで面倒を見
てきた夫はここまでの介 護で疲 労 気 味で、一刻 も 早 く入院してほしいような口ぶりで
あった。医師から在宅療養を続けるのであれば、医療と介護サービスを組み合わせ、少
しでも夫が楽になるように支援すると説明した。とりあえず、介護保険が未申請なので
ケアマネージャーに依頼し、明日、今後の話を詰めることにした。最終的に緩和ケア病
棟か在宅かは決められず、当面の課題となった。
訪問開始から二日目
スガヤさんはベッドに臥床中であった。昨日は、夜から動くとめまいがあり、トイレ
移動が大変だったという。イライラするといって、不穏時頓用薬を飲んだが、あまり効
かなかった。娘さんは、
﹁苦かったみたいなので今度は座薬にしてみます﹂と言った。
夜間、
家で 看取る[四例目]……スガヤ チハルさん/76歳
﹁背中が痛い、おなかが苦しい﹂と訴えたので疼痛時頓用薬を使用したそうだ。
その後の苦痛の訴えはなかった。
2 3
便は毎日下剤服用し、形のある便が ∼ 回出ている。今日はまだ出そうで出ない。
ガスは出ている。腹部緊満があり、硬い。吐き気はないが、なんとなくもやもやしてい
る。
抗がん剤の副作用で両手足がずっとしびれていてつらい。冷えると指がつる。右下肢
に浮腫あり。左足から足指に循環不全あり皮膚色不良。冷感あり、湯たんぽで温めてい
る。背部から臀部は皮膚トラブルなし。全身に乾燥傾向がある。
ケアマネージャーも加ってご家族と話し合いを行った。週末なので、介護保険手続き
は週明けの月曜日にすることになった。本日中に介護用ベッドに交換する。まだ自力で
身体を動かせるのでマットはエアマットではなく低反発のマットを入れる。これも本日
中にやる。ヘルパーや入浴サービスについてはまだ早急には必要ないということになっ
た。娘さんは、
﹁なるべく休みをもらって介護にあたる予定です﹂と言った。
娘 婿さんも介 護 協 力してくださり、スガヤさんも実の息子のように頼っているそう
だ。ご主人は夜も妻の隣で布団を敷いて寝て、夜のトイレ介助をされている。
﹁できるだけ家で﹂とは思っていたが、やはり不安はあり、娘さんはご主人の介護疲労
が心配とのこと。家族で相談した結果、
﹁緩和ケア病棟のある病院への入院を考えたい﹂という結論が出た。
訪問開始から四日目
娘さんは今日午前中休みをとったそうだ。昨日は不眠時頓用薬飲んで眠れた。お腹や
背中の痛みはなし。左足趾の痛みが時々あり。一日一回、夜中に疼痛時頓用薬を使って
いるとのこと。トイレ歩行は、行きはふらつきあり、少し介助が必要だが、帰りは見守
りで移動可能だった。
スガヤさんは、
﹁食べ物の通りが少しよくなった気がする。昨日は野菜スープを飲みました。今朝はご
家で 看取る[四例目]……スガヤ チハルさん/76歳
はん少し、味噌汁も飲めた。たまに嘔吐することがある。口の渇きがまだあるので、氷
やアイスを舐めています﹂と言った。
腹部が硬い。排便はこの三日なかった。下剤は毎日飲んでいる。直腸診にてわずかに
便に触れる。浣腸施行、反応便は小指大の便二個あり。
ケア時 、ベッド端 座位にて過 ごしているが、三〇分ほど座っていても苦 痛はなかっ
た。左足指は皮膚色不良。足背動脈触知は浮腫のためか不明瞭。両下肢、下腿から足背
に浮腫あり。足浴後、下肢マッサージを実施した。
訪問開始から五日目︵医師同席︶
痛みについては麻薬性鎮痛貼付薬の効果があったそうだ。ただ、今日は朝から腹部や
下肢に不快症状があり、調子が悪かったようだ。病院への入院に関しては、患者本人は
したくないが、自分の夫がもう限界なのはわかっているので、前向きに検討する旨を医
師に告げていた。
訪問開始から六日目
夜、娘さんから入電があった。
﹁昨日から調子が悪く、今日も一日中、吐き気が強いんです。今、薬を飲ませようとし
たら、かなりの量 を 嘔 吐しました。朝口にした食べ物やお茶 など。どうしたらよいで
しょう?﹂
嘔吐後の誤嚥はない様子だ。またスガヤさん本人の意識もはっきりしているという。
薬は無理に飲まなくてよいことを伝えた。
訪問開始から七日目
娘さんは入院予定の病院に代理受診中で留守だった。患者は傾眠状態だった。声かけ
に覚醒し、
家で 看取る[四例目]……スガヤ チハルさん/76歳
﹁昨日は足が痛くて、ぜんぜん眠れなくて﹂と答えた。
で
努力呼吸︵ は不使足用したさ呼れ吸ない量呼を吸補筋おがう動とす員るさ呼れ吸胸。郭こやの肩際が、安大静き時く呼動吸く︶
だが、息苦しさはないと言う。腹部緊満が強
。
く、腸蠕動音は弱い。二日前に便少量あったが、その後は無し。ベッド上で浣腸、摘便
を実施した。泥状便に小指大の硬便混じりの便を中量排出した。
ケア中、体動にて嘔吐あり。
﹁時々ね、こうやってあがってくるのよ﹂と彼女は言った。
嘔吐による誤嚥・窒息の危険についてご主人に説明した。ご自宅で最期を迎えること
もありうること、夜間でもこちらで対応できる旨を伝えたが、ご主人は、
﹁その前に入院してほしい﹂と言った。
それから医師の診察および病状についての説明を希望された。ただ、今日は娘さんが
不在のため、ご主人ひとりでは、
﹁どうしていいかわからない﹂という。
患者は、
﹁診てもらったほうが安心。明日でもいいわよ﹂と言った。
娘さんに説明し、往診の希望について確認することにした。
娘 さんに電 話 連 絡 を す ると、ちょう ど 病 院の受 診 が 終 わったところだった。﹁ 個 室
だったらすぐに入れる﹂と言われ、とりあえず明日の朝に入院の予約をしたそうだ。で
も、
﹁きょう往診医師に診察してもらい、そのうえで入院を決めたい﹂と話していた。
往診依頼の旨を医師に連絡した。
意 識 障 害 によ る 呼 吸 困 難 の 症 状
の状態であった。今晩亡く
。
その後、医師が診察。傾眠、下顎呼吸︵ で、死 期が迫っている徴 候のひとつ︶
なる可能性があることを家族に告げた旨、医師から看護師に連絡があった。
夜、娘さんから、電話があった。
﹁息と息との間が空いているんです。なんか、空いている時間がだんだん長くなってる
ように感じます﹂と、切迫感のある様子が伺えた。そのうち、﹁あれっ⋮⋮。次の息が
始まりません。えー、なんで⋮⋮﹂
家で 看取る[四例目]……スガヤ チハルさん/76歳
医師に連絡し、死亡確認となった。
医師確認後、エンゼルケアを行う。息を引き取るとき家族で食事をしており、スガヤ
さんは背中を向けて横向きになっていた。
﹁最期の顏をみせたくなかったのかな﹂
﹁本人の希望通り、家で最期を迎えられてよかった。病院に行くのが嫌だったのかも﹂
と娘さんは言った。
ご主人は、
﹁昼間に言われていたから、ある程度覚悟していた。みんながいるときでよかった﹂と
言った。
スガヤさんは生前、
﹁ 自 分の最 期のときは、クラシックをかけて笑って送ってほしい﹂と 希 望していたの
で、ケア中はクラシックをかけて、ご家族皆さまで清拭をされた。