総長 祝辞(PDFファイル 165KB)

学校法人駒澤大学総長祝辞
本日ここに、平成27年度駒澤大学入学式にあたり、晴れて入学された新入
生の皆さん、ご入学おめでとうございます。重ねて、ご列席の保護者ご親族の
皆様、関係者各位ご来賓各位に対し、心からお祝い申し上げます。
ご案内の通り、本学は「仏教の教義並びに曹洞宗立宗の精神に則り学校教育
を行うことを目的」とし、仏教の教え、なかんずく曹洞宗の禅の心を建学の理
念として開校いたしました。淵源を遡れば、420余年前の戦国時代末期のこ
と、江戸駿河台にあった曹洞宗の名刹吉祥寺に開設された学寮から始まります。
この学寮は旃檀林と呼ばれ、幕府の学問所であった昌平黌と並び称されるほど
高名であったといいます。旃檀林の名は、校歌の中で「旃檀林旃檀林」とリフ
レインされますように、本学の学統を象徴しています。旃檀は「双葉より香ば
し」といわれる香木ですが、禅籍に「香ぐわしい旃檀の林には百獣の王の獅子
だけが住んでいる」とある名句にもとづいています。駒澤大学に入学された皆
さんは、輝かしい本学の伝統に恥じぬよう、専攻する学術の最新の知見を学び
尽くさんと、高いモチベーションを持続させて、日日の大学生活を充実させる
工夫、努力を怠らないようにしていただきたい、と願います。
本学の校歌は今からちょうど90年前の大正14年、新制駒澤大学初代学長
忽滑谷快天(ぬかりや かいてん)先生の発願で作られました。北原白秋作詞、
山田耕筰作曲の誉らしくも美しい校歌です。3番の歌詞に「信誠敬愛」という
4字句が入っています。皆さんはこの4文字を合わせ鏡として日々の大学生活
を送ってください。
信とは、自分を信じることです。そして、いつでもどこでも自分のことを見
守っている人がいることを信じることです。
誠とは、自分に素直であることです。そして、人に真心を込めて接すること
です。
敬とは、自分を敬い、人を敬うことです。優れた先人を仰ぎ慕い、どんな小
さないのちもいたわりいとおしむことです。
愛とは、いうまでもなく自分を大切にし、思いやりの心をもって人を大切に
することです。
永平寺を開創された道元禅師は「仏道をならうというは、自己をならうなり」
と明言されます。大学で学ぶ学問技術も最終的には、
「何のために生まれ、何を
して生きるのか」その答えを見つけることに尽きるのだといえましょう。
幸い駒澤大学は、こういう人生の一大事の問題を解明しようとするのに最も
適した教育環境であろうと自負しています。その気にさえなれば、いつでもど
こでも本当の自分と出会える機会はいくらでもあると信じます。
ところで、昨年のノーベル平和賞は、子供たちを児童労働や人身売買から救
出し保護する活動を続けているインド人のカイラシュ・サティヤルティ氏と、
女子・女性が教育を受ける権利を訴えているパキスタン人のマララ・ユスフザ
イ氏のお二人が受賞しました。殊に私は、多くの皆さんと同年代である、17
歳のマララさんが命懸けで、現在6200万人もの少女が教育の機会を奪われ、
小学校にすら通えていない現実を訴えている姿に強い衝撃を受けました。マラ
ラさんは「私は学びたかった。私は学び将来の夢をかなえたかった」と訴えて
います。
私たちは大学でこうして自由に学ぶことができるのです。正に僥幸ともいえ
る幸せと感謝せずにおれません。どうか皆さんも、大学で学ぶことができる恵
まれた人生に心から感謝し、専攻の学部学科の学術を精一杯修得されますよう、
願ってやみません。
またとない本学での大学生活を充実した実り豊かなものにしていただきます
よう、皆さんが身心堅固で無事に学業を成就されますよう、心から祈り願い祝
辞といたします。
平成27年4月8日
学校法人駒澤大学
総長
池田魯参