0 生涯学習とは 本計画では、生涯学習を「生涯において全ての人が自主的・主体的に取り組む学習」 と捉えています。 改定の背景 国や都の状況 ○平成 20 年に、中央教育審議会が「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について ~知の循環型社会の構築を目指して~」を答申し、 「国民一人一人の生涯を通じた学習 の支援」と「社会全体の教育力の向上」の2つを柱とする政策を提言しました。 答申では、方策として、 「子どもの学校教育外の学習等の在り方の検討」、 「社会教育施 設等を活用した多様な学習の場や学習成果を生かす機会、相談体制の充実」、「学習成 果の評価の社会的通用性の向上等」が提言されています。 ○東京都では、「東京都生涯学習審議会」の答申や建議を受け、学校教育と社会教育の 協力・連携をより一層拡大しつつ、それを軸に様々な世代の住民、団体、事業主体の ネットワークを構築して、地域から生涯学習社会を形成するための施策に力を入れて います。 港区の状況 ○平成 11 年度に「港区生涯学習推進計画」を策定し、生涯学習に関する様々な分野の 施策を展開してきました。 ○平成 15 年の地方自治法の改正を受けて、平成 18 年度から生涯学習センター及び青山 生涯学習館において指定管理者による管理運営を行い、利用者ニーズに対する迅速 かつ柔軟なサービスの提供や、施設管理の効率化に取り組みました。 ○平成 18 年度に地域の課題を地域で解決することを目的に行われた「区役所・支所改革」 の柱である区民参画・区民協働の取り組みに沿い、 「チャレンジコミュニティ大学」や 「ベイエリアカレッジプロジェクト」等の事業が展開され、地域の活性化や地域コミ ュニティ形成の取り組みが行われました。 ○生涯学習に関する地域人材の活用と多様な学習機会の提供を図り、「教えたい人」と 「学びたい人」をつなぐ生涯学習講座提供事業「まなび屋」や、区民等が自主的に 行う学習会に区の職員を講師として派遣し、区政参加への契機づくりを図る「生涯 学習出前講座」等を実施し、生涯学習の推進体制の整備に取り組みました。 ○平成 26 年 10 月には、教育委員会だけではなく、区の関係部署、学校、家庭、地域等 が教育の担い手となり、先進的・発展的な教育施策を推進するために、学校教育と 生涯学習を貫く港区の教育の方向性を一層明確にすることを目的とした、港区教育 ビジョンを策定しました。 1 計画の目的 本計画は、教育行政に限らず、区の生涯学習に関する取組を体系化し、区全体で生涯学習 を推進する体制を整えるとともに、全ての人の学びの意欲に応え、自主的・主体的な学習の 支援に取り組むことで、「港区教育ビジョン」の実現を目指します。 計画改定の方向性 だれでも、いつでも、どこでも学べる環境づくり 学びの成果を⽣かす場や機会の充実 学びの循環の仕組みづくり 学校・家庭・地域のつながりを築くネットワークづくり 計画の位置付け 本計画は、港区教育ビジョンの実現に向けて、港区基本計画・港区実施計画の内容等 と整合を図りながら、生涯学習の推進における基本的な考え方や施策を示すものです。 計画の期間 平成 27 年度から平成 32 年度までの6年間の計画とし、中間年となる平成 29 年度に 見直しを行います。 港区立生涯学習センター 港区立青山生涯学習館 港区立生涯学習センター(愛称:ばるーん) マスコットキャラクター 「ばるるん」 2 港区の生涯学習に関する現状と課題 (1)学びの環境 ①⽣涯学習に関する拠点機能の強化 【現状】 ア)生涯学習に関する事業は、多様な主体が 様々な施設で展開しています。 イ)生涯学習に関する相談は、生涯学習セン ターの窓口と電話で受付けています。 【課題】 ア)生涯学習に関する情報を収集し、積極的 に発信することが必要です。 イ)生涯学習の相談方法に、場所や時間の 制約があります。 ②⽣涯学習センターの施設整備 【現状】統廃合された小学校を改修しており、 基本的な仕様は小学校です。 【課題】防音設備や部屋の仕様等、生涯学習 施設として不便な箇所があります。 ③⻘⼭⽣涯学習館の施設整備 【現状】併設の青南幼稚園の保育室拡大を 受け、近隣の学校用地に移転します。 【課題】学校用地の本格活用までに、今後の 施設の方向性を示す必要があります。 ④だれでも学べる機会の充実 【現状】時間や場所の制約等、学習活動が 困難な人がいます。 【課題】だれでも学べる環境を整備する必要 があります。 ⑤ライフステージに応じた学びの機会の充実 【課題】ステージごとに異なる課題をさらに 意識する必要があります。 【現状】ライフステージごとに学びの機会を 提供しています。 (2)学びの成果を⽣かす場や機会 【現状】学びの成果を自分以外のために生か したい人が大勢います。 【課題】学びの成果を生かしたい人が地域活 動や他の人の学習に生かすことができるよう な取組が必要です。 (3)学びの循環の仕組みづくり 【現状】学びの循環を推進し、地域人材を 活用した取組に着手しています。 【課題】地域人材のコーディネートや人材 交流のさらなる取組が求められています。 (4)学びのつながり 【現状】学校・家庭・地域・企業・NPO等、 多様な学習資源が存在します。 3 【課題】多様な学習資源を学びでつなぎ、 積極的に活用する取組の充実が必要です。 目指すべき姿 みんなと学びをつなぐまち 本計画では、あらゆる場所、あらゆる機会において、主体的に学ぶことができる環境 を整え、全ての人の学びの意欲に応えるとともに、学ぶ目的が明確になり、学びの意欲 が一層高まるよう、学びの成果を生かせる機会を充実します。 また、一人ひとりが学びをきっかけに地域に参加し、習得した知識や経験を生かして、 異なる世代と伝えあうことで、人がつながり、地域社会に還元される「学びの循環」を 構築します。 さらに、 「学びの循環」を一層広げていくために、関係機関、学校、家庭、地域、企業、 NPO等が、それぞれの役割を果たしながら協働し、学びをとおしてより多くの人と人、 人と地域がつながり、社会全体で学び支えるまちを目指します。 基本目標 1 ⽣涯学習施設の充実 学びを総合的に支援していく生涯学習センターの拠点機能を一層充実させ、人と情報が集う学び の場として整備します。また、生涯学習施設の施設整備や充実に関する今後の方向性を示します。 2 学習機会の充実 全ての人の学びたい意欲に応えるため、多様な学習の機会を提供します。また、学びの成果を 自分以外のために生かしたいという区民の積極的な意欲に応え、学びの意欲が一層高まるよう、 学びの成果を生かす機会の充実を図ります。 3 多様な学習資源を活⽤した循環する学びの構築 学びの成果を生かしたい意欲を持つ人や、学びをとおして社会に参加したい意欲を持つ人が集う よう、 「学びの循環」の仕組みづくりに取り組みます。また、 「学びの循環」の充実に向け、多様な 学習資源を活用した取り組みを推進します。 施策の体系 基本目標1 みんなと学びをつなぐまち 施策 生涯学習施設の充実 (1)生涯学習情報・相談機能の充実 (2)生涯学習施設の整備・充実 基本目標2 施策 学習機会の充実 (1)だれでも学べる機会の充実 (3)学びの成果を生かす機会の充実 (2)ライフステージに応じた学びの機会の充実 基本目標3 施策 多様な学習資源を活用した循環する学びの構築 (1)学びの循環の仕組みづくり (2)多様な学習資源の活用 4 施策の展開と重点及び新規事業 1 生涯学習施設の充実 新規事業① (1)生涯学習情報・相談機能の充実 より多くの人に生涯学習情報が届くよう、 生涯学習情報一覧や学習情報ルームで収集した 生涯学習情報、企業CSR活動や社会教育関係 団体の活動紹介等の紙媒体である情報を電子化 し、ICTを活用した閲覧に取り組みます。 また、生涯学習センターのホームページの 機能向上を図り、企業やNPO等が提供する 生涯学習の情報や、社会教育関係団体等の活動 に関する情報を掲載できるよう整備します。 さらに、SNSを活用した講座や講演会の案内 など、生涯学習情報の積極的な発信強化に取り 組みます。 ① 生涯学習情報の充実 新規 ② 生涯学習情報の発信強化 1 重点 ③ 相談機能の充実 1 (2)生涯学習施設の整備・充実 ① 生涯学習施設の整備・充実 2 学習機会の充実 (1)だれでも学べる機会の充実 新規 ① ICT を活用した生涯学習事業の推進 生涯学習情報の発信強化 2 ② 生涯学習情報の充実(再掲) ③ 相談機能の充実(再掲) 新規 ④ ICT に関する学習活動の推進 重点事業① 3 相談機能の充実 生涯学習センターでは、ICTを活用した、 場所や時間に制限されない相談の受付体制を整 え、適切な学習講座の案内や学習方法等につい て助言を行います。 また、自主的な団体の活動内容や運営に関し て、社会教育関係団体同士が相談及び情報交換 を行える場となる懇談会や掲示板等を活用した グループ相談を実施します。 さらに、施設や区のホームページ等で、相談 内容の事例を紹介できるよう、相談事例集を作 成します。 これらの相談を充実するため、施設職員の専 門知識の習得に努めます。 ⑤ いちょう学級事業 ⑥ 障害者学習活動支援 ⑦ 講習・講演会の充実及び障害者自身の 自己啓発の支援 ⑧ 精神保健福祉事業 (2)ライフステージに応じた学びの機会の充実 ① 自主的な家庭教育学級の支援 ② 子育て講座 ③ 母子保健健康教育 ④ 放課後児童(健全)育成事業 ⑤ PTA との連携 ⑥ 小・中学生の環境に関する自主研究 新規事業② ⑦ みなと区民の森環境学習 ICT を 活 用 し た 生 涯 学 習 事 業 の 推 進 学習機会の充実を図るため、生涯学習に関す る講座に参加できない人々に向けて、いつでも、 どこでも、だれでも視聴できるよう、区や関係 団体が実施する生涯学習に関する講座や講演会 を映像化し、生涯学習センターのホームページ 等で動画として配信します。 また、区内企業や大学と連携して、配信する 講座の充実に努めます。 ⑧ 小中学生海外派遣の充実 ⑨ いじめ防止に関する講演会 ⑩ 青少年対策地区委員会活動支援 ⑪ 平和青年団派遣 ⑫ 港区が有するポテンシャルを活かせる ⑬ 消費者問題推進員の育成・支援 ⑭ 地域防災を担う人材の育成 ⑮ 女性のための防犯講座の実施 新規事業③ ⑯ 区民防犯研修会の開催 ICT に関する学習活動の推進 生涯学習の機会は、情報通信技術の発達に伴 い、新聞等の紙媒体やテレビ、ラジオだけでな くパソコンやスマートフォン・タブレット端末 等、多岐にわたり提供されています。 情報化社会に必要なパソコンやスマートフォ ン・タブレット端末等を気軽に活用できるよう、 操作に関する講座を開催します。 ⑰ チャレンジコミュニティ大学 ⑱ 介護予防事業 ⑲ 歩いて学んで楽しむゆうゆうミュージ アム巡り事業 ⑳ 地域型認知症予防事業 ㉑ いきいきプラザ等の充実 5 ㉒ 生涯学習出前講座 ㉓ 消費者教育の充実 ㉔ 港区緑と生きもの観察会及び調査会 ㉕ エコプラザにおける環境学習などの推進 (3)学びの成果を生かす機会の充実 ① 生涯学習講座提供事業の充実 生涯学習講座提供事業の充実 新規事業④ 自主的な区民大学 学びの成果として身につけた知識や技能を、 他者へ「教えたい」という意欲に応えるため、 教えたい内容を講座として区に登録し、 「学びた い」意欲のある区民団体等の依頼に応じてボラ ンティアで講座を実施します。 生涯学習センターが「教えたい人」と「学び たい人」をつなぎ、登録された講座の利用促進 を図ります。 ㉖ 男女平等参画センターの充実 重点 重点事業② 新規事 ① 2 ② 社会教育関係団体の活動成果の発表 ③ 協働参画体験講座の開催 ④ 芝の語り部養成講座 ⑤ 観光ボランティア育成 ⑥ 介護予防リーダー養成塾 2 学習機会の充実 学びをとおして地域や世代を超えた人のつな がりが生まれるよう、学びの成果を生かしたい 人や、学びをとおして社会に参加したい地域の 人々が集い、自主的・主体的に講座や事業等を 企画し、運営できる仕組みづくりに取り組みま す。 生涯学習センターで参加者を募集し、参加者 からの講座や事業等の提案を受け、開催に係る 準備スペースや会場の提供等の支援を行いま す。 (1)学びの循環の仕組みづくり 新規 ① 自主的な区民大学 4 ② さくらだ学校 ③ ご近所イノベーション学校 ④ あざぶ達人倶楽部 ⑤ チャレンジコミュニティ大学(再掲) (2)多様な学習資源の活用 重点 ① 学校支援地域本部事業 3 ② 青少年の健全育成のための支援 ③ 港ユネスコ協会の支援 重点事業③ ④ 学校施設開放の活用推進 ⑤ 芝・ネイチャー大学校 学校支援地域本部事業 学校と地域が連携し、より多くの地域の人々 が学校教育に関わることによる教育力の向上 や、教員の負担を軽減して児童・生徒と向き合 う時間を増やすことで、教員一人ひとりがより 教育活動に専念できる環境を整備するため、 学校支援地域本部事業に取り組んでいます。 総合的な学習の時間における外部講師等の 派遣依頼に対応する企業やNPO等の情報や、 職場訪問・職場体験に協力を得られる事業所の 情報を提供しています。 今後は、各学校への授業等の支援に加え、 各学校の実情に応じた行事等の支援ができるよ う、各学校での体制の構築を進めます。 ⑥ みんなでエコっとプロジェクト ⑦ 地方交流事業 ⑧ 赤坂・青山シニアファッショニスタ ⑨ 広げよう交流の輪~自治体間交流事業~ ⑩ 赤坂・青山子ども中高生共育(ともいく)事業 ⑪ 防災ボランティア育成事業 ⑫ たかなわ子どもカレッジ ⑬ 知生(ちい)き人養成プロジェクト ⑭ みどりのあるまちづくり事業 ⑮ 自治体間交流促進事業 ⑯ 港区スポーツふれあい文化健康財団の支援 ⑰ エコライフ・フェアの実施 ⑱ みなと環境にやさしい事業者会議 6 計画の推進体制 本計画の推進にあたっては、区民をはじめ、学校、家庭、地域、企業、NPO等の様々 な主体が連携・協働する体制を構築し、生涯学習の取組を進めます。 〈推進のイメージ図〉 計画の進行管理 管理方法 本計画に計上した施策は、計画【Plan】実行【Do】点検・評価【Check】見直し・改善 【Action】のサイクルで着実に推進します。また、計画全体についても中間年となる平成 29 年度及び最終年度となる平成 32 年度に達成状況を点検・評価し、計画の見直し、改 定を行います。 評価方法 本計画の施策・取組に対する評価は、行政による評価、区民等で構成する検討組織で の意見や、区民を対象としたアンケート調査の結果等を踏まえて総合的に行います。 刊行物発行番号 26203―7531 港区生涯学習推進計画【概要版】 平成 27 年(2015 年)2月 発行:港区教育委員会 編集:港区教育委員会事務局 生涯学習推進課 港区芝公園一丁目5番25号 電話 03-3578-2111(代表) 7
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