Taro-270330 3か月対策(第1報

新潟地方気象台の3か月予報に基づく農作物等の管理対策(第1報)
平成27年3月30日
新潟県農林水産部
新潟地方気象台が3月25日に発表した「北陸地方 3か月予報」によると、4月の
気温は高い確率が40%で、降水量は少ない確率が40%となっています。また、平年と
同様に天気は数日の周期で変わる見込みです。今後の気象変動に十分留意し、下記管
理対策の徹底をお願いします。
1
消雪促進対策
新潟地方気象台が3月10日に発表した「今春の雪消えの見通しについて(第2回)」によ
ると、中越の山沿い地域では消雪が平年より5~20日遅れ、その他地域では平年並みと予
想されている。
消雪の遅れが予想される地域においては、育苗用地等の機械除雪や農用地の融雪促進資
材等の散布を実施し消雪を促進する。
また、除雪時等の事故防止に十分留意し、作業を行う。
2
水稲
(1)育苗管理
ア 消雪が遅れる地域では、地域の消雪予想を踏まえた育苗計画を作成し、作業にあた
る。
イ 浸種はできるだけ屋内で行い、水温が10℃未満に低下しないよう、断熱材等を用い
た保温や浸種に兼用可能な催芽機等を活用し、積算水温100℃をめどに浸種する。
ウ 4月中旬以降に浸種する場合は気温が上昇しやすいことから、水温が15℃を超えな
いよう留意する。浸種水温が高くなる場合は、酸素不足にならないようこまめに水を
更新する。
エ 種子を薬剤消毒した場合は、消毒効果を高めるため、最初の4日間は水の更新をし
ない。その後は、2~3日おきに水の更新を必ず行う。なお、温湯消毒の場合は、雑
菌が繁殖しやすいので早めに水の更新を行う。
オ は種期は田植時期に合わせて決定する。コシヒカリで田植期が5月10日以降の場
合、は種は4月20日以降とする。消雪の遅れにともなって5月には種した場合、4月
は種に比べ育苗の日数が短縮するので、田植に合わせて、は種時期を決定する。
カ 育苗前半は適切な温度管理及び水管理を行って苗の徒長防止に努め、後半は外気温
に慣らして苗の硬化を十分に行う。緑化期の温度管理では、最低温度が10℃以下にな
らないように注意し、昼間の温度は20~25℃をめやすとする。硬化期の昼間の温度は
15~20℃をめやすにハウスの換気を行い、温度管理を徹底する。
キ 育苗中に霜注意報が発表された場合は、ハウス育苗およびトンネル育苗ではビニー
ルを閉め、育苗箱の上に保温資材をかけて保温に努める。気温が著しく低下する場合、
ハウス育苗ではヒーターやストーブ等の暖房器具を用いてハウス内を加温する。出芽
を終了した折衷床の中苗では、水位を上げて一時的に箱上まで湛水する。
(2)本田管理
ア 本田の耕起は、なるべくほ場が乾いた状態で行う。過湿状態で耕起すると、稲わら
の腐熟が進まないうえ、初期から還元状態となり稲の生育に悪影響を及ぼすので避け
る。消雪が遅れる地域においても、可能な限りほ場を乾かしてから耕起を行う。
イ 耕起作業は、作業速度を上げ過ぎないよう留意し、耕深を必ず確認する。根の分布
を広げ健全な発達を促すため、作土深は15㎝を最終目標値とする。作土深が浅い場合、
耕深を一度に深くし過ぎると、初期生育不良を起こすことがあるので、毎年1~2㎝
ずつ耕深を深めながら最終目標値に近づける。
ウ 全層施肥の場合、基肥施用から代かきまで、畑状態の期間が長くなると肥料成分の
流亡等が懸念されるので、基肥施用・耕起後は早めにかん水する。
エ 代かきから田植えまでの期間が長くなると雑草の発生が多くなるので、代かき時期
はなるべく田植え2~3日前とする。
オ 代かき水には肥料成分等が溶けているので、水質汚染とならないように代かき直後
は絶対に排水しない。
カ 水田の除草剤および水田で使用する粒剤については、散布後7日間は落水やかけ流
しをせず、水田水を外に出さない管理を徹底する。
3
大麦
(1)下越平野部では、茎立期は3月第6半旬~4月第1半旬頃、止葉抽出期は4月第2半
旬~第3半旬頃、中越山沿いでは茎立期は4月第2半旬頃、止葉抽出期は4月第4半旬~
第5半旬頃と予想され、平年に比べて5~10日程度早い見込みである。
(2)茎立期並びに止葉抽出期の追肥は、生育診断に基づき適期に適正量を施用する。ただ
し、茎立期追肥と消雪直後追肥が接近する場合、一時的な窒素過剰を招く恐れがあるため
茎立期追肥は行わない。
(3)雨水がほ場内に停滞することなく確実に排水路まで流れるよう、適宜周囲明きょや排
水溝の点検・整備を行い、湿害防止に努める。
(4)赤かび病防除は、1回目を出穂期の3日後頃の穂揃い期、2回目をその7~10日後に
実施する。薬剤防除効果を高める上で適期散布は極めて重要である。なお、予め出穂期予
測により防除計画を策定し広域に一斉防除する場合は、可能な限り、団地毎の防除適期に
散布する。
4
大豆
(1)栽培ほ場は団地化(ブロックローテーション)し、団地の入水口を閉める。停滞水が
生じやすいほ場は、湿害により安定的な生産が困難なので避ける。
(2)ほ場内の排水対策(周囲明きょ、弾丸暗きょ、心土破砕、排水口の掘り下げ等)は、
周囲の水田に水が入る前に実施する。
5
園芸全般
(1)越冬作物は、気温が高くなってから融雪水が滞水すると、根の腐敗や病害発生を助長
するので、排水路を点検してできるだけ早く排水対策を実施する。
(2)消雪遅れ等による地温不足が初期生育の遅れや生育不足の原因となるため、透明マル
チなどであらかじめ地温を上げておき、定植後はべたがけ資材で保温に努める。
(3)寒暖の差が激しいので、ハウスやトンネルでは換気管理に注意し昼間は急激な温度変
化を行わないように注意し、夜間は温度確保に努める。
6
野菜
(1)育苗
ア 育苗時は苗の徒長を防ぐため、育苗ハウス内が高温にならないよう換気するととも
に、かん水をやや控えめとして、苗(鉢)間隔を広げる。
イ 定植が遅れる場合は、苗(鉢)間隔を確保しつつ、十分ハードニングを行うととも
に、かん水に注意し徒長を防止する。あわせて、老化苗とならないよう必要により液
肥を施用する。
(2)施設野菜(トマト、きゅうり、いちごなど)
ア 今後の果実肥大に備えるため、生育に応じた整枝や肥培管理を実施する。
イ 着果負担時の急な日射等による落花やガク枯れなどの発生が心配されるため、細か
な換気やかん水を行う。
ウ 収穫中のいちごは、果実品質を確保するため、①換気を強め、②葉かき等により株
間の通風を促進し、③かん水は少量で多回数実施する。
(3)露地野菜
ア マルチやトンネル被覆は、定植時の地温を確保して活着を促進するため、定植の1
週間前頃までに行う。消雪の遅い地域では、地温の上がりやすい透明マルチがよい。
イ 定植後の活着を促進するため、土壌が乾燥している場合は、定植時にかん水する。
なお、かん水設備がない場合は、ほ場の土壌水分が適度な時期に定植する。
ウ すいかやえだまめなどの霜害を防止するため、トンネルやべたがけ資材等の被覆資
材を活用する。すいかやメロンでキャップを使用している場合は、被覆期間は活着ま
でを基本とし、1週間以内で除去する。また、砂丘地で降霜の危険がある場合は、そ
の時期にスプリンクラーかん水をおこなう。
エ すいか、メロン等の秋施肥マルチほ場は、消雪後のトンネル設置を早めに行い、地
温の上昇を促進させる。定植は地温が十分確保されたことを確認してから行い、活着
を促す。
オ アスパラガスで消雪が遅れた場合、収穫開始までの期間が短くなるため、萌芽開始
までに追肥等の作業が遅れないようにする。病害等による早期枯れ上がりで前年の株
養成が不足している場合は、株の負担を軽減させるため、立茎開始時期を早め過収穫
を防止する。
カ ねぎは、根付け肥を定植1週間以内に施用し、初期生育を促す。また、砂丘地で飛
砂の危険がある場合は、あらかじめスプリンクラーかん水をおこなう。
キ そらまめは、追肥及び主茎切除をおこない、トンネル内に十分草体を確保してから
除覆する。穴あきトンネルでは換気穴を増やしながらトンネル内が高温にならないよ
うにし、また露をもたないように馴化していく。
ク さといもは、定植予定日から逆算し催芽処理を開始する。ほ場の準備にあたっては
排水路を点検し早く排水対策を実施するとともに適正な土壌水分を確保してマルチを
する。
(4)病害虫防除
ア 施設野菜では、灰色かび病や葉かび病などの病害が発生しやすくなるため、換気に
より温度・湿度を適切に保つ。病害が発生した場合は、葉かきや花びら取り及び罹病
葉を除去し、その後防除する。たまねぎでは、前年べと病に罹病した苗は生育せず、
感染源にもなるため除去するとともに防除をおこなう。
イ 気温の上昇に伴い、施設野菜ではアザミウマ類、コナジラミ類、ハダニ類などが増
加する恐れがあり、また、露地野菜でもアブラムシ類などの害虫が発生する恐れがあ
るので、発生状況に応じて適期に防除する。
7
果樹
(1)生育状況
現在、
「催芽期」を迎えている樹種(もも、日本なし、西洋なし、かき等)においては、
生育は平年より1~2日程度早まっている。
(2)雪害対策
ア 中山間地域等で雪害を受け、主幹や主枝が裂開した場合は、程度に応じてボルトで
締めて傷口を固定し、傷害部を乾かさないよう速やかにビニール資材を巻いたり、保
護剤を塗布するなどの処置を講ずるとともに、支柱等により枝を固定する。
イ 裂開が深く、生育の回復が数年にわたると見込まれる損傷の場合は、片方を切断し
保護剤を塗布するとともに、補植の準備を行う。
ウ 主幹部が傾いた樹では根部が切断している場合があるので、被害程度に対応した地
上部の切りつめを行う。
エ 野そ、野兎等による被害を受けた場合には早急に保護剤を塗布する。まだ積雪が残
っている地域においては、主幹地際部などを点検し、樹の周りの雪踏み等をこまめに
行い食害防止に努める。
(3)凍霜害対策
催芽期以降は、各樹種とも凍霜害を受けやすくなるので、気象情報に留意し、軽減対策
(燃焼法、表土管理等)を確実に実施する。
特に、いちじくの一文字仕立て栽培では晩霜の被害を受けやすいので、保温資材(不織
布、アルミ蒸着シート等)で覆う。冬季の凍害対策を実施したところについては、晩霜害
のおそれが無くなる4月いっぱいまでは、被覆を外さないようにする。
表
果樹の凍霜害危険温度(30分以上続くと凍霜害の危険がある温度、℃)
生育ステージ
樹種
催萌芽期
色づいたつぼみ
開 花 中
小さい幼果
かき
-1.5~-2.0℃
℃
℃
℃
日本なし
-3.9
-2.2
-1.1
もも
-3.9
-2.7
-1.1
うめ
-3.9
-2.2
-1.1
ぶどう
-3.0
-1.1
-0.5
-0.5
りんご
-3.9
-2.2
-1.7
おうとう
-2.2
-2.2
-1.1
くり
-4.0
(4)休眠期防除
越冬病害虫対策として、せん定、粗皮削り等による耕種的防除に加え、休眠期におけ
る薬剤散布により、効果的に密度低減を図る。
ア 各樹種の生育状況を確認しながら、散布むらのないように十分散布する。生育期防
除と異なり薬剤で樹の肌を洗浄するように散布する。
イ 消雪の遅れている地域や園地においては消雪対策を急ぎ、休眠期防除を可能な限り
実施する。
休眠期防除が遅れた場合や、できなかった場合には、必要に応じてその後の防除計
画を見直す。
(5)その他
寒風による生育遅延や発芽後の強風や突風等による新梢の欠損や葉傷みが発生しない
よう、防風施設の点検を早めに実施し整備しておく。
8
花き
(1)球根養成(チューリップ等)
チューリップ等の球根養成では、降雨が続いた場合は、ほ場に滞水しないよう排水し、
土壌が極端に乾燥した場合は、かん水を実施する。特に、砂丘畑など乾燥するほ場では、
スプリンクラーで定期的にかん水する。
(2)施設栽培(切り花、鉢物)
ア 急激な温度変化や高温による生育障害を招きやすいので、換気等による適切な温度
・湿度管理を実施する。
イ 強日射による葉焼けの発生や日照不足による軟弱徒長に注意し、日射量に応じてこ
まめに遮光資材を掛け外すなど、適切に管理する。
(3)露地切り花(ユリ等)
ア 季咲き作型では出荷期が集中しやすいので、ほ場ごとに除雪や融雪促進資材散布等
の計画を立てて、消雪を促進する。
イ 秋植えの球根類等では、融雪水でほ場が過湿となり生育の阻害が懸念されるので、
消雪時には明きょなどによる地表面の排水を中心とした対策を講じる。
ウ 積雪の加重による固化など土壌物理性の悪化が懸念されるため、作付け前の土壌調
査などにより確認し、深耕や有機物の投入など土づくり対策を講じる。
エ 作付けが大幅に遅れて強光・高温期の定植となる場合は、遮光などにより高温障害
の発生を防止する。
(4)病害虫防除
降雨や気温の上昇に伴って病害虫が発生しやすくなるので、発生状況に応じて適切に
防除する。
9
畜産
(1)畜舎の管理
寒暖差の大きいことが予想されるので、畜舎環境の維持に努める。
ア 畜舎内の乾燥と適正な温度管理を図るため、適宜換気と保温(幼畜)を行う。
イ 敷料の交換や飼槽の掃除、畜舎内の消毒等を十分に行い、衛生的な管理に努める。
(2)飼料の管理
冬期間、屋外で保管していた稲発酵粗飼料や牧草等のラップサイレージは、雪の影響
などにより品質の悪化も考えられることから、給与前に品質を確認し、カビの発生や腐
敗などが見られる飼料については、給与しない。
(3)飼料作物の管理
ア 昨秋は種した牧草地やイタリアンライグラスの採草地などでは、消雪後の速やかな
溝きりなどにより排水に努め、雪腐病の発生防止を図る。
イ 採草地では、一番草の収量確保を図るため、消雪後、できるだけ早く追肥を行う。