2015.4.10 今週の日米株式ストラテジー ∼日本やユーロの景気回復期待が高まる可能性∼ 図表① 日経平均とNYダウ 先週月曜日(4/6)の東京市場では日経平均が 37 ∼4/9 の NY ダウは 56 ドル高と続伸した∼ 4/9 の日経平均は連日で年初来高値を更新 20700 円安と 3 日ぶりに小反落した。前週末(4/3)に発 20000 (左軸) (ドル) (円) 日経平均と200日移動平均 表された 3 月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の ↓ 19700 18200 4/9まで 増加幅が市場予想を大幅に下回ったことに加えて、 為替市場でドル安・円高が進んだことが嫌気された。 16400 18700 しかし、月曜日の米国市場で FRB の利上げ開始が 17700 年後半に先延ばしされるとの見方から買いが優勢 14600 となり、NY ダウが 117 ドル高と続伸すると、翌火 16700 ↑ 曜日(4/7)の東京市場でも買いが先行し、日経平均 12800 NYダウと200日移動平均 (右軸) は 242 円高と反発した。その後、火曜日の米国市場 15700 11000 では米企業の 1-3 月期決算に対する警戒感が強まり、 14/4/10 6/9 8/5 10/1 11/26 15/1/27 3/25 NY ダウが 5 ドル安と小反落したが、翌水曜日(4/8) 出所 大和証券投資戦略部で取りまとめ の東京市場では企業業績に対する期待から買いが 続き、日経平均は 149 円高と続伸し、3/23 につけた 図表② FF 金利先物市場が織り込む利上げ確率 年初来高値を更新した。さらに、水曜日の米国市場 ∼先週の米国市場ではFRBの利上げ開始が年 で売り買いが交錯しながらも NY ダウが 27 ドル高 後半に先延ばしされるとの見方が広がった∼ と小反発すると、翌木曜日(4/9)の東京市場では翌 90% 84% 4/9時点 79% 日に株価指数オプションとミニ日経平均先物 4 月物 80% の特別清算指数(SQ)算出を控えて株価指数先物に 70% 65% 買いが入ったこともあり、日経平均は 147 円高と 3 60% 53% 50% 日続伸し、連日で年初来高値を更新した。 40% 目先のNYダウは上値の重い展開と想定する 30% 今週の米国市場では主要企業の 1-3 月期の決算発 表が本格化する。調査会社トムソン・ロイターによ ると、主要 500 社の 1 株利益は 4/2 時点で 2.8%減 と、金融危機後の 2009 年 7-9 月期以来、約 5 年半 ぶりの減益に転じると予想されている。原油安でエ ネルギー関連企業が大幅な減益と予想されている ことに加えて、ドル高でグローバル企業の利益が押 し下げられるためである。 FRB の総資産と NY ダウの水準を比較すると、 2012 年にスタートした QE3(量的金融緩和第 3 弾) が株高の原動力だったことは明らかである。QE3 が 昨年 10 月末に終了したことによって、それまでの 金融相場(金融緩和やカネ余りを背景に株価が上昇 する相場)は終了し、今後は業績相場(企業業績の 好転や向上に伴って株価が上昇する相場)に移行し ない限り、持続的な株高は期待できないと考えられ る。主要企業の 1-3 月期決算に全体として増益が期 待できないとすれば、目先の NY ダウは上値の重い 展開と想定するべきだろう。 20% 35% 16% 6% 10% 0% 15/4/29 出所 (日付はFOMC声明文の発表予定日) 0% 6/17 7/29 9/17 10/28 12/16 16/1/27 3/16 CMEグループ 図表③ 米 S&P500 社の増益率と決算発表サプライズ ∼1−3月期のEPSは約5年半ぶりの減益に 転じると予想されている∼ 12 76 米S&P500社のEPS前年同期比(左軸) ポジティブ・サプライズ比率(右軸) (%) (%) 8 73 4 70 0 67 ポジティブ・サプライズ比率とは EPSがアナリスト予想を上回った社数の比率 ▲4 64 2012 出所 13 14 15 トムソン・ロイター、ブルームバーグ 本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼 できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されていますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や予 測等は、資料作成時点の当社の判断で、今後、予告なしに変更されることがあります。なお、本資料のご利用に際しては、最終ページの記載もご覧ください。 -1/3- 図表④ FRBの総資産とNYダウ 今週の米国市場では火曜日(4/14)に発表される ∼米国株式相場は「金融相場」から「業績相場」 3 月の小売売上高が前月比で 4 カ月ぶりに増加する に移行できるか?∼ と予想されており、株式市場で好感されよう。一方、 495 18500 (100億ドル) (ドル) FRBの総資産(左軸) 水曜日(4/15)に発表される 3 月の鉱工業生産指数 NYダウ(右軸) は 2 カ月ぶりに低下し、同日発表される 4 月の NY 410 16000 15/4/9まで 連銀製造業景気指数や木曜日(4/16)に発表される 13500 325 (同)フィラデルフィア連銀製造業景気指数は前月 比で小幅な上昇または横ばいと予想されており、い 240 11000 ずれにも多くを期待できない。また、水曜日に発表 される中国の 1-3 月期の GDP が前年比 7.0%増と、 8500 155 10-12 月期の 7.3%増から減速すると予想されてい ることにも注意が必要と見ている。 70 6000 2008/1 日本やユーロの景気回復期待が高まる可能性 先週木曜日(4/9)の欧州市場では主要 600 社で 構成する株価指数のストックス 600 が、2000 年 3 月につけた過去最高値を約 15 年ぶりに更新した。 また、翌金曜日(4/10)午前の東京市場では日経平 均が、取引時間中としては 2000 年 4 月以来、約 15 年ぶりに 20000 円台を回復した。欧州市場と東京市 場に共通するのは、景気や企業業績の回復期待を背 景とした活発な投資資金の流入である。世界の投資 信託の資金流出入を集計する EPFR グローバルに よると、1-3 月の欧州株への純流入額は 517 億ドル と、年間で過去最高だった 2013 年の 9 割以上に達 したという。また、東京証券取引所が発表した 4 月 第 1 週(3/30∼4/3)の海外投資家による日本株の買 越額は 4453 億円と今年最大となった。 IMF は今週火曜日(4/14)に世界経済見通しを公 表する。IMF は前回 1/20 に公表した世界経済見通 しで、2015 年の米国の成長率見通しを上方修正し たものの、米国以外の国や地域の成長率見通しを軒 並み下方修正した。一方、OECD は 3/18 に公表し た主要国の経済見通しで、2015 年の米国の成長率 見通しを据え置いたものの、日本やユーロ圏の成長 率見通しは上方修正した。日本については原油安の 効果に加えて、政府の財政刺激策や日銀の金融緩和 策の効果で成長率が押し上げられると分析し、ユー ロ圏については金融緩和と原油安の効果に加えて、 対ドルでのユーロ安の効果で輸出が増加すると分 析した。IMF も今週発表する世界経済見通しで日本 やユーロ圏の成長率見通しを上方修正し、日欧の株 式市場で好感される可能性があろう。(野間口毅) 出所 09/12 11/12 13/12 FRB、ダウ・ジョーンズ 図表⑤ 欧州ストックス600と日経平均 ∼4/9 の欧州ストックス 600 は過去最高値を更新した∼ 440 欧州ストックス600(左軸) 日経平均(右軸) 22000 (円) 20000 400 15/4/9まで 360 18000 320 16000 280 14000 240 12000 200 10000 8000 160 1991/12/31=100 120 2000/1 02/1 出所 6000 04/1 06/1 08/1 10/1 12/2 14/2 ストックス社、日本経済新聞社 図表⑥ OECD の実質 GDP 成長率見通し(3/18 改定) ∼IMF は今週火曜日(4/14)に発表する世界経済見通し で日本やユーロの成長率見通しを上方修正する可能性∼ 見通し 実績 2014年 2015年 (改定幅) 2016年 (改定幅) ア メ リ カ 2.4 3.1 (0.0) 3.0 (0.0) ユ ー ロ 0.9 1.4 (+0.3) 2.0 (+0.3) 日 本 0.0 1.0 (+0.2) 1.4 (+0.4) ド イ ツ 1.6 1.7 (+0.6) 2.2 (+0.4) フ ラ ン ス 0.4 1.1 (+0.3) 1.7 (+0.2) イ タ リ ア ▲0.4 0.6 (+0.4) 1.3 (+0.3) イ ギ リ ス 2.6 2.6 (-0.1) 2.5 (0.0) カ ナ ダ 2.5 2.2 (-0.4) 2.1 (-0.3) 中 国 7.4 7.0 (-0.1) 6.9 (0.0) イ ン ド 7.3 7.7 (+1.3) 8.0 (+1.4) ブ ラ ジ ル 0.0 ▲0.5 (-2.0) 1.2 (-0.8) 合 計 3.7 4.0 (+0.1) 4.3 (+0.2) 単位は%、改定幅(単位はポイント)は2014年11月予想との比較 出所 OECD 本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼 できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されていますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や予 測等は、資料作成時点の当社の判断で、今後、予告なしに変更されることがあります。なお、本資料のご利用に際しては、最終ページの記載もご覧ください。 -2/3- お取引にあたっての手数料等およびリスクについて 手数料等およびリスクについて z 株式等の売買等にあたっては、 「ダイワ・コンサルティング」コースの店舗(支店担当者)経由で 国内委託取引を行う場合、約定代金に対して最大 1.24200%(但し、最低 2,700 円)の委託手数料 (税込)が必要となります。また、外国株式等の外国取引にあたっては、現地諸費用等を別途い ただくことがあります。 z 株式等の売買等にあたっては、価格等の変動による損失が生じるおそれがあります。また、外国 株式等の売買等にあたっては価格変動のほかに為替相場の変動等による損失が生じるおそれがあ ります。 z 信用取引を行うにあたっては、売買代金の 30%以上で、かつ 30 万円以上の委託保証金が事前に必 要です。信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うことができることから、損失の額が 差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。 z 債券を募集・売出し等により、又は当社との相対取引により売買する場合は、その対価(購入対 価・売却対価)のみを受払いいただきます。円貨建て債券は、金利水準の変動等により価格が上 下し、損失を生じるおそれがあります。外貨建て債券は、金利水準の変動に加え、為替相場の変 動等により損失が生じるおそれがあります。また、債券の発行者または元利金の支払いを保証す る者の財務状況等の変化、およびそれらに関する外部評価の変化等により、損失を生じるおそれ があります。 z 投資信託をお取引していただく際に、銘柄ごとに設定された販売手数料および信託報酬等の諸経 費、等をご負担いただきます。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあ ります。 ご投資にあたっての留意点 z 取引コースや商品毎に手数料等およびリスクは異なりますので、上場有価証券等書面、契約締結 前交付書面、目論見書、等をよくお読みください。 z 外国株式、外国債券の銘柄には、我が国の金融商品取引法に基づく企業内容の開示が行われてい ないものもあります。 商号等 :大和証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第108号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、 一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会 【保有株式等について】 大和証券は、このレポートに記載された会社が発行する株券等を保有し、売買し、または今後売買することがあります。大和証券グループ が、株式等を合計 5%超保有しているとして大量保有報告を行っている会社は以下の通りです。(平成 27 年 3 月 31 日現在) 第一カッター興業(1716) 北弘電社(1734) テノックス(1905) アコーディア・ゴルフ(2131) フルスピード(2159) エイジア(2352) ア ルコニックス(3036) ソリトンシステムズ(3040) サムティ(3244) サンセイランディック(3277) 星野リゾート・リート投資法人(3287) 日本ヘルスケア投資(3308) クリヤマホールディングス(3355) ケー・エフ・シー(3420) サンコーテクノ(3435) トーセイ・リート投資 法人(3451) テックファーム(3625) エムアップ(3661) モブキャスト(3664) アバント(3836) 関東電化工業(4047) 第一稀元素化学 工業(4082) ソースネクスト(4344) ラクオリア創薬(4579) 中国塗料(4617) 相模ゴム工業(5194) 有沢製作所(5208) ノザワ(5237) 中山製鋼所(5408) 新報国製鉄(5542) 日本精鉱(5729) ライドオン・エクスプレス(6082) 日進工具(6157) レオン自動機(6272) 日精 エー・エス・ビー機械(6284) 日精樹脂工業(6293) オカダアイヨン(6294) 加藤製作所(6390) 兼松エンジニアリング(6402) JUKI(6440) 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