今週の日米株式ストラテジー

2015.2.20
今週の日米株式ストラテジー
∼ギリシャ問題よりもFRB議長の議会証言や日米の経済指標に要注目∼
図表① 日経平均と東証1部の騰落レシオ
先週月曜日(2/16)の東京市場では日経平均が 91 ∼2/19 の騰落レシオは「買われすぎ」の水準に∼
2/19 の日経平均は 2000 年 5 月以来の高値に
円高と反発し、2007 年 7 月以来となる 18000 円台
を回復した。前週末(2/13)に発表された 14 年 10-12
月期のユーロ圏の GDP 成長率が改善したことが好
感され、同日の米国市場で NY ダウが 46 ドル高と
続伸し、S&P500 が昨年 12/29 につけた過去最高値
を更新したことなどから、週明けの東京市場では買
いが優勢となった。その後、ギリシャの債務問題の
先行き不透明感を背景に月曜日の欧州株式相場が
軒並み下落すると、(同日の米国市場は休場だった
が)翌火曜日(2/17)の日経平均は 17 円安と小幅
ながら反落した。しかし、火曜日の米国市場でギリ
シャの債務問題の進展期待が高まり、NY ダウが 28
ドル高と 3 日続伸し、S&P500 が連日で過去最高値
を更新すると、翌水曜日(2/18)の日経平均は 212
円高と大幅に反発した。一方、水曜日の米国市場で
は利益確定売りが優勢となり、NY ダウが 17 ドル安
と小幅ながら反落したが、翌木曜日(2/19)の東京
市場では国内景気の回復期待などを背景に買いが
続き、日経平均は 65 円高と続伸し、2000 年 5 月以
来およそ 14 年 9 カ月ぶりの高値を付けた。
ギリシャ問題の影響は限定的と考えられる
今週末(2 月末)に期限を迎えるギリシャへの金
融支援を巡る協議は、先週月曜日(2/16)のユーロ
圏財務相会合でもギリシャ側と EU 側の交渉が物別
れに終わった。ギリシャ側は財政緊縮策を緩めた新
たな支援の枠組みを決めるため、6 カ月程度の「つ
なぎ措置」を求めたが、EU 側は現行の金融支援の
延長を申請する以外に交渉の余地はないと突き放
し、金曜日(2/20)までに申請するように事実上通
告した。その後、ギリシャ政府は木曜日(2/19)に、
EU による金融支援について 6 カ月の融資延長を申
請したが、金融支援の条件となっている財政緊縮策
の継続を約束しておらず、ドイツは不十分との認識
を示した。ユーロ圏は金曜日(2/20)に改めて財務
相会合を開いてギリシャからの申請内容を受け入
れるか判断するが、その結果は本稿執筆時点では明
らかになっていない。
ギリシャの債務問題が決着しないなか、先週火曜
日(2/17)の米国市場では S&P500 が連日で過去最
高値を更新し、木曜日(2/19)の日経平均はおよそ
350
18500
騰落レシオ(%)
=値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数X100
(円)
300
17500
(左軸)日経平均及び25日移動平均→
2/19まで
250
16500
15500
東証1部の騰落レシオ
(25日移動平均:右軸)
↓
200
(%)
14500
150
13500
100
12500
14/2/20 4/18
出所
50
6/18
8/14
10/14
12/11 15/2/13
大和証券投資戦略部で取りまとめ
図表② 米ナスダック指数とNYダウ
∼2/19 のナスダック指数は 7 日続伸し、2000 年 3
月以来およそ 14 年 11 カ月ぶりの高値を付けた∼
19500
5000
(ポイント)
(ドル)
(左軸)
ナスダック指数と
200日移動平均
↓
4500
2/19まで
18500
4000
17500
3500
3000
14/2/20 4/17
出所
16500
↑
NYダウと
200日移動平均
(右軸)
15500
6/16
8/12
10/8
12/4
15/2/3
大和証券投資戦略部で取りまとめ
図表③ ギリシャ・イタリア・ドイツの 10 年国債利回り
∼ギリシャのデフォルトやユーロ離脱の可能性が高まっても、
金融市場や実体経済への影響は限定的だろう∼
40
(%)
15/2/19まで
35
30
25
20
15
10
←ギリシャ
イタリア
5
0
2009/1
出所
←ドイツ
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
大和証券投資戦略部で取りまとめ
本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼
できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されていますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や予
測等は、資料作成時点の当社の判断で、今後、予告なしに変更されることがあります。なお、本資料のご利用に際しては、最終ページの記載もご覧ください。
-1/3-
図表④
日米欧のエコノミック・サプライズ・インデックス
14 年 9 カ月ぶりの高値を付けた。また、木曜日の
∼今週発表される米国の経済指標にも多くを期
欧州市場ではストックス欧州 600 指数が 7 年ぶりの
待できない可能性∼
高値を更新し、同日の米国市場ではナスダック指数
75
過去3カ月間に発表された経済指標がエコノミスト予想を上(下)回
がおよそ 14 年 11 カ月ぶりの高値を付けた。日米欧
れば、エコノミック・サプライズ・インデックスが上昇(低下)する。
50
←ユーロ
の株式市場では、ギリシャの債務問題は最終的に決
25
着するとの楽観論が大勢と考えられる。一方、米格
付け会社の格付け責任者は先週木曜日に報告書で、
0
←日本
ギリシャと金融市場との関連性は大幅に低下して
▲25
おり、ギリシャがユーロを離脱したとしても、他の
←米国
▲50
2/19まで
ユーロ加盟国に対する金融面での負担は大きくな
▲75
いとの見方を示した。仮にギリシャの債務問題が決
着せず、ギリシャのデフォルト(債務不履行)やユ ▲100
14/2/19 4/16
6/13
8/8
10/3 11/28 15/1/27
ーロ離脱の可能性が高まっても、金融市場や実体経
出所
大和証券投資戦略部で取りまとめ
済への影響は限定的と考えて良いだろう。
図表⑤ 日本の消費者物価と現金給与総額
∼消費者物価上昇率が鈍化すれば、実質賃金の回
先週発表された米国の経済指標(1 月の住宅着工
復期待が高まる可能性∼
FRB議長の議会証言や日米経済指標に注目
件数及び鉱工業生産指数、2 月の NY 連銀及びフィ
日本の消費者物価
4
(前年比:%)
〃 (消費税除く)
ラデルフィア連銀景気指数、2 月の NAHB 住宅市場
〃 現金給与総額
←15/1予想
2
指数など)は軒並みエコノミスト予想を下回った。
←14/12
←15/1予想
この結果、米国の経済指標がエコノミスト予想を上
0
回ったか下回ったかを数値化したエコノミック・サ
▲2
プライズ・インデックスは先週、2012 年 7 月末以
15/1の消費者物価は
2/27(金)発表
来の大幅なマイナスとなった。足下の米国経済はエ
▲4
消費者物価は生鮮食品を除く
コノミストの見方ほど強くないとも言える。今週の
現金給与総額は全産業平均
▲6
米国市場では月曜日(2/23)に発表される 1 月の中
古住宅販売件数、火曜日(2/24)に発表される 2 月
▲8
2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
のコンファレンスボード消費者信頼感指数、水曜日
出所
総務省、日本銀行、厚生労働省
(2/25)に発表される 1 月の新築住宅販売件数、木
曜日(2/26)に発表される 1 月の耐久財受注などが
注目される。それらの多くが前月比で減少または低 図表⑥ 日本の輸出金額と鉱工業生産指数
下すると予想されており、株式市場で嫌気されよう。∼1 月の貿易統計では輸出の好調さが確認された∼
8.0
124
一方、イエレン FRB 議長が火曜日と水曜日に予定
日本の輸出金額(左軸)
日本の鉱工業生産指数(右軸)
(兆円)
いずれも季節調整値
(2010年=100)
されている議会証言で利上げに慎重なスタンスを
7.0
114
←15/1
←リーマン・ショック
示せば、こちらは株式市場で好感されよう。
今週の東京市場では金曜日(2/27)に 1 月の消費
6.0
104
←14/12
者物価指数や鉱工業生産指数などが発表される。消
5.0
94
費者物価上昇率が鈍化すれば、今春の労使交渉で昨
15/1の鉱工業生産指数は
2/27(金)発表
年実績を上回るベースアップが実現する可能性と
4.0
84
合わせて、実質賃金の回復期待が高まろう。また、
鉱工業生産指数が上昇すれば、先週発表された 1 月
3.0
74
2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
の貿易統計で輸出の好調さが確認されたことと合
わせて、企業活動の回復期待が高まろう。(野間口) 出所 財務省、経済産業省
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お取引にあたっての手数料等およびリスクについて
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-3/3-