ベトナム即席めん市場トップシェア;pdf

変化する華東経済圏ビジネス:特集
vol.
52
ベトナム即席めん市場トップシェア
エースコック株式会社 代表取締役社長 村岡 寛氏
お湯をそそぐだ
進出当初は、現地原材料の質が悪く、輸
けで手軽におい
入原材料に頼らざるを得なかったため、
商品
ジェー カウソエ)
」
しく食べられる即
の高額設定を余儀なくされたり、
従業員の品
を発売した。
まだ売
席めん。その即
質管理の意識も低く、一からの指導が必要
価が高いため、爆
席めんの製 造・
だったりと数多くの苦労を経験した。数年間
発的なヒットには
販売を手掛ける
は赤字が続いたが、
取引先企業の協力も得
至っていないが、
エースコック株式
ながら地場企業への技術指導を実施したとこ
評価は着実に得
会社
(本社:大阪
ろ、
レベルは徐々に向上し始め、
進出から5年
始めているという。
府 吹 田 市)
。独
経過した頃には高品質な原材料の国内調達
代表取締役社
自性の高い商品開発に定評があり「
、ワンタ
が可能となった。
長の村岡寛氏は
ンメン」
や
「スーパーカップ」
「
、わかめラーメン」
、
2000年にはベトナム産原材料を使用した
村岡代表取締役社長
「スープはるさめ」
など、数多くのヒット商品を
(ハナ チキン シー
「当 社の目的は、
ベトナムで国民的人気商品の
「HaoHao」
ミャンマー向け即席めん
HANA Chicken Sikyet Kaukswe
現地ブランドの
「HaoHao
(ハオハオ)
」
を発
現地でスタンダードになりうる即席めんを独自
生み出してきた。
売。高品質で手頃な価格の同商品は、瞬く
に開発し、
現地に根付かせ、
その国の即席め
即席めんは小麦粉と油を主原料とし、
ロス
間に国民的人気商品となり、
ナショナルブラ
んのレベルを上げることである。
ミャンマーは、
なく安定的に生産できることが特徴で、
常温
ンドの確立に成功した。
この取り組みはベト
人口が5,141万人に対し即席めんの年間消
保存もできるため、世界中の国に展開可能
ナムの即席めん市場拡大にも大きく寄与し、
費量は約4億5,000万食と少なく、
開拓の余
である。
また、
麺質やスープの味付けを自由自
ベトナムにおける即席めんの年間消費量は、
地が大いにある。2016年中頃にはティラワ
在に変えられるため、
その国のニーズに合致し
2013年現在世界第4位の52億食にまで成
の工業団地に工場を建設し、
現地生産の開
た味を実現できる。
その特徴を生かし、
海外で
長している。2004年にはVIFON社の出資分
始を予定している。
ミャンマー人が本当に望む
はベトナムおよびミャンマーにて事業を展開
を買い取り、
名称を
「エースコックベトナム」
へ
商品を続々と開発し、
投入していきたい」
とミャ
中である。ベトナムにおける年間販売量は29
変更した。
ンマー事業の展望を語る。
億食と
トップシェアを獲得しており、
同国には7
即席めん市場がある程度成熟したベトナ
拠点、
11の工場を有し、
国内販売のみならず
ミャンマー人の求める味を追求
ムにおいては、
ノンフライめんの
「ミコチ」
や和
46ヵ国へ輸出も行っている。2013年度の海
同社はベトナム周辺国へのマーケティング
風めん
「ウドン スキスキ」
、
タテ型カップめんの
外事業売上高は連結売上高全体の約5割を
活動も積極的に行っており、
特に有望な新興
「ENJOY」
などの新商品を展開し始め、
バリ
占めた。
国として注目を集めるミャンマーは、
ベトナムに
エーション拡大および大きく成長が期待でき
次ぐ重要市場と位置付けて、
市場開拓に乗
るカップめんマーケット育成に注力している。
ベトナム即席めん市場を急成長に導く
り出している。
今後は、
日本市場においては素材力と技術力
1990年代初頭から東南アジア諸国にお
ミャンマーには伝統的なめん食が多数存
を二大成長エンジンとし、
時代のニーズをくみ
いてビジネスチャンスを探っていた同社は、
在するにもかかわらず、
軍事政権が長く続い
取った付加価値の高い商品を提案していき、
若年層が多く、
ドイモイ政策により市場経済
た影響で、
加工食品市場が未発達の状態に
海外市場においては、
未開拓の国々に拠点
化に舵を切ったばかりのベトナムに着眼し、
あり、
即席めんの大半はタイより輸入されてい
を設けながらエースコックの技術を届け、
安全
1993年に進出した。当時のベトナム即席
る。
「ミャンマーの人々が求める味を開発し、
性の高い技術を導入し、
即席めんの信頼性を
めんは、味も素朴で品質も低かったため、加
現地の人へ届けたい」
との考えのもと、
ミャン
高めていくことを目標に取り組んでいく予定で
工食品市場の発展に貢献したい思いから、
マー人向け商品開発に取り組み、
2014年4
ある。長年培った技術力と独自性を駆使し、
引
国 営 企 業 のVIFON社と合 弁で
「VIFON-
月にはヤンゴン支店を開設。同年9月に現地
き続き世界の食生活へ貢献していく。
ACECOOK」
を設立し、
事業を開始した。
ブランドの
「HANA Chicken Sikyet Kaukswe
(取材・作成)
みずほ銀行 直投支援部 金久 実央
mizuho global news | 2015 MAR&APR vol.78 1 5