リニア品川-名古屋間工事、2015 年内着工へ;pdf

リ ニ ア 品 川 -名 古 屋 間 工 事 、2015 年 内 着 工 へ
3 月 20 日
リ ニ ア 中 央 新 幹 線 の 工 事 (品 川 ・名 古 屋 間 )が い よ い よ 動 き 出 す 。
J R 東 海 は 、リ ニ ア 中 央 新 幹 線 建 設 工 事 の う ち 、 南 ア ル プ ス ・ト ン
ネ ル (全 長 約 25 キ ロ )の 山 梨 工 区 (7.7 キ ロ 、 工 事 場 所 ・ 山 梨 県 南 巨 摩
郡 早 川 町 )に つ い て 、 公 募 競 争 見 積 方 式 に よ る 建 設 工 事 契 約 手 続 き を
3 月 13 日 に 公 表 。 見 積 書 の 提 出 期 限 は 2015 年 8 月 12 日 で 、 今 秋 に
も正式発注、年内着工となりそうだ。
す で に リ ニ ア 中 央 新 幹 線 の 品 川 駅 工 事 は 、指 名 競 争 見 積 方 式 で 手 続
き が 開 始 さ れ て い る が 、主 要 工 区 (品 川 、名 古 屋 、南 ア ル プ ス )で の 公
募 に よ る 発 注 手 続 き の 公 表 は 今 回 が 初 め て 。今 後 、順 次 、ほ か の 工 区
についても発注手続きが行なわれる。
リ ニ ア 中 央 新 幹 線 は 全 長 約 286 キ ロ の う ち 、 約 246 キ ロ (全 体 の 約
8 6 % ) が ト ン ネ ル 。山 岳 ト ン ネ ル で は 最 長 の 南 ア ル プ ス ト ン ネ ル は 全 長
約 25 キ ロ だ 。 今 回 発 注 さ れ る 工 事 は 、 こ の 南 ア ル プ ス ト ン ネ ル 工 事
の う ち 、山 梨 側 の 7.7 キ ロ を 工 区 と し て お り 、最 も 長 い ト ン ネ ル の 最
大 土 被 り (ト ン ネ ル 掘 削 面 上 部 か ら 地 上 ま で の 高 さ )が 1000 メ ー ト ル
以上の区間を含む。
「 四 万 十 層 群 の 地 層 に お け る ト ン ネ ル 工 事 で 、高 度 な 技 術 を 必 要 と
す る 」 (J R 東 海 )と し て お り 、難 工 事 が 予 想 さ れ る 工 区 の 一 つ だ 。 本
線 ト ン ネ ル だ け で な く 、ト ン ネ ル 工 事 を 進 め る 際 に 先 行 で 掘 る 先 進 抗
や約 5 キロ前後ごとに設置する計画の非常口 2 カ所も含む工事となる。
今回、競争参加資格の条件として山岳工法の主流であるNATM
(ニ ュ ー ・オ ー ス ト リ ア ン ・ ト ン ネ リ ン グ ・メ ソ ッ ト )に よ る 土 被 り 400
メ ー ト ル 以 上 の ト ン ネ ル 掘 削 工 事 、あ る い は N A T M に よ る 内 空 断 面
積 50 立 方 メ ー ト ル か つ 延 長 1000 メ ー ト ル 以 上 の ト ン ネ ル 掘 削 工 事 の
実 績 を 持 つ 企 業 ま た は 共 同 企 業 体 な ど に 限 定 。建 設 業 法 に 基 づ く 総 合
評定値なども参加資格条件に挙げられている。
土 木 に 強 い 大 手 ゼ ネ コ ン は ほ ぼ こ の 資 格 を 満 た す が 、す で に 内 々 で
は 技 術 提 案 や 残 土 処 理 な ど に つ い て 検 討 さ れ て い る も の と み ら れ 、競
争参加企業はある程度限られているというのが業界の見方だ。
工 期 は 契 約 日 の 翌 日 か ら 2 0 2 5 年 1 0 月 3 1 日 ま で 、と い う 約 1 0 年 に
わ た る 長 期 工 事 と な る 。 そ れ だ け に 、工 事 期 間 中 に 想 定 外 の 自 然 現 象
などによる事故の発生や人手不足による人件費の高騰などがあった
場 合 、工 期 や 金 額 な ど の 追 加 変 更 が ど の 程 度 可 能 な の か 、工 事 を 請 け
負うゼネコン側はその契約条件を気にするところだ。
と は い え 、 品 川 ・名 古 屋 間 の 総 工 費 は 、 5.5 兆 円 (車 両 含 む 。 山 梨 実
験 線 4 2 . 8 キ ロ 、既 設 分 は 除 く ) と い う 今 世 紀 最 大 級 の 民 間 プ ロ ジ ェ ク
ト で あ る 。 全 線 の 完 成 予 定 は 12 年 後 の 2027 年 だ 。
大 手 ゼ ネ コ ン は 目 下 の と こ ろ 、東 北 震 災 復 興 関 連 、東 京 オ リ ン ピ ッ
ク 関 連 、さ ら に 都 内 を 中 心 に 再 開 発 案 件 や 首 都 直 下 型 地 震 対 応 の 耐 震
工 事 な ど 案 件 が 数 多 く あ る 。こ れ に 人 手 不 足 も 重 な り 、超 繁 忙 状 態 に
あ る が 、「 リ ニ ア 新 幹 線 は 以 前 か ら 計 画 が あ っ た ビ ッ グ プ ロ ジ ェ ク ト
だ け に 、受 注 予 定 の 案 件 の 一 つ 」 (大 手 ゼ ネ コ ン 幹 部 )と し て お り 、 ま
だ 余 力 を 残 し て い る 。東 京 オ リ ン ピ ッ ク を 挟 ん で 、 そ の 後 も 工 事 が 続
く だ け に 、ポ ス ト 東 京 五 輪 を に ら み 、ト ン ネ ル に 強 い 大 手 ゼ ネ コ ン は
受注しておきたいプロジェクトだ。
大 都 市 部 の 大 深 度 ト ン ネ ル と 南 ア ル プ ス ト ン ネ ル 工 事 は 、高 い 技 術
が 求 め ら れ る だ け に 、大 成 建 設 、鹿 島 、大 林 組 、清 水 建 設 の 上 場 ス ー
パ ー ゼ ネ コ ン 4 社 に 加 え 、 山 梨 実 験 線 工 事 で も 実 績 の あ る 熊 谷 組 、前
田 建 設 工 業 、飛 島 建 設 、安 藤 ハ ザ マ 、西 松 建 設 な ど が 参 画 す る も の と
見られる。
特 に 、ス ー パ ー ゼ ネ コ ン 4 社 の う ち 主 要 工 区 を ど こ が 受 注 す る の か 、
注 目 さ れ る 。 す で に 名 古 屋 駅 で 建 設 中 の 新 し い 高 層 ビ ル 「 JR ゲ ー ト
タ ワ ー 」 (地 上 46 階 、 地 下 6 階 )は 大 成 と 鹿 島 が 施 工 。 大 成 は 設 計 段
階 か ら 参 画 し て い る 。 JR ゲ ー ト タ ワ ー の 地 下 は リ ニ ア の 「 名 古 屋 タ
ー ミ ナ ル 駅 」と 連 結 す る 設 計 に な っ て お り 、リ ニ ア 中 央 新 幹 線 の ト ン
ネル部がこれにつながる。
そ れ だ け に「 事 実 上 、設 計 ま で 担 当 し て い る 大 成 建 設 は ト ン ネ ル の
受 注 も ほ ぼ 決 定 」 (地 元 業 者 )と 見 方 が あ る 。 ま た 、 品 川 駅 か ら の 大 深
度 ト ン ネ ル は 大 林 組 、鹿 島 、南 ア ル プ ス ト ン ネ ル は 大 成 、鹿 島 、清 水
などが有力と見られている。
ま た 、東 京 都 心 部 の 大 深 度 は シ ー ル ド 工 法 に よ る ト ン ネ ル 工 事 と な
る が 、「 最 近 は シ ー ル ド マ シ ン の 性 能 が 向 上 し て お り 、 掘 り 進 む こ と
よ り も 、 100 メ ー ト ル 以 上 の 大 深 度 か ら 掘 っ た 残 土 を ス ピ ー デ ィ ー に
ど う や っ て 地 上 に 運 び 出 す の か 、 と い う 技 術 も 求 め ら れ て い る 」 (ス
ー パ ー ゼ ネ コ ン 技 術 担 当 幹 部 )。
さ ら に 、 南 ア ル プ ス ト ン ネ ル で は 「 最 大 土 被 り 1400 メ ー ト ル 以 上
という山岳工法でのトンネル工事は掘ってみなければわからない」
( 同 ) と い う 難 工 事 に 加 え 、さ ら に ヒ 素 な ど 重 金 属 で 汚 染 さ れ た 建 設 発
生 土 ( 残 土 ) が 出 た 場 合 の 処 理 も 含 め 、大 量 の 残 土 処 理 に つ い て も 不 透
明 な 部 分 が あ る 。今 回 は 南 ア ル プ ス ト ン ネ ル の 一 部 工 区 が 先 行 発 注 さ
れ る が 、同 じ ト ン ネ ル の ほ か の 工 区 も 含 め 、全 体 と し て ど の よ う な 残
土処理が行なわれるのかも注目される。