3 2 1 第二次納税義務 理由は後に述べる通りだ。 国税徴収法 これは税理士試験で選択した人達 を除き、税理士でも身近とはいえな い税法だ。 3 6 条(実質課税額等の第二次納 税義務)は実質所得者課税(所得税 法1 2 条)の執行場面での保証だ。 3 8 条(事業を譲り受けた特殊関係 者の第二次納税義務)は第2 次会社 の設立をによる執行回避を防止して いる。私も、実務で、何度か経験し た事案だ。肝は「同一とみられる場 所において同一又は類似の事業を営 んでいる」という要件だ。 しかし、この税法は簡単なのだ。 税理士が実務を実践する場合には、 第二次納税義務を理解すれば十分だ ろう。私自身、長い弁護士と税理士 生活で国税徴収法について必要とし たのは、この知識のみだった。 3 9 条(無償又は著しい低額の譲 受人等の第二次納税義務)は、まさ に、詐害行為の事例だ。財産の低額 譲渡や贈与を対象にしている。4 1 条(人格のない社団等に係る第二次 納税義務)は天下一家の会事件など を想定した規定だろうか。第二次納 税義務として一般的に登場するとは 思えない。 では、第二次納税義務とは何だろ う。第二次納税義務の条文は、たっ た9 条しか存在しない。この9 条の 条文の理解を怠り、国税徴収法につ いて、一生、苦手意識を持ち続ける のは人生の無駄だ。 第二次納税義務は、民法4 2 4 条 に定める詐害行為取消権の特例と位 置付ければ良いと思う。だから、第 二次納税義務でカバーできない場合 は、一般法である民法4 2 4 条が登 場する。 これが第二次納税義務の全てだが、 一点だけ、第二次納税義務について 特有の理屈が採用されている。事実 でも、法律でも、後の事実が、前の 事実に影響を与えることはない。そ れは自然の摂理で、法律解釈だと思 うのだが、第二次納税義務は、1 年 に限り、この因果律を逆転させてい る。 国税通則法3 2 条(第二次納税義 務の通則)は手続規定なので理解す る必要はない。3 3 条(無限責任社 員の第二次納税義務)は、合名会社 と合資会社の無限責任社員の責任で あって、会社法で定める責任範囲を 超えることはない。3 4 条(清算人 等の第二次納税義務)は、国税を納 付せず、残余財産を分配してしまっ た清算人の責任だ。仮に、解散前に 財産を処分してしまった場合は、こ の条文ではなく、民法4 2 4 条の詐 欺行為取消権が登場する。 法定納期限の1 年前の日以後に納 税者が行った財産処分が第二次納税 義務の対象になってしまうのだ。そ れは3 5 条であり、3 8 条であり、 3 9 条で、次のような脱法手段を禁 止しているのだ。 仮に、今後、大きな所得を得て、 多額の納税額が出現することが予定 される。そのような場合に、先に、 財産を処分し、会社を無資力にして しまう。そうすれば後に納税額が算 出されても、会社は無資力であり、 税金を踏み倒すことができる。 3 5 条(同族会社の第二次納税義 務)は、滞納者が同族会社の株式を 所有する場合は、その株式の価額の 限度で、同族会社が滞納税額の納税 義務を負うという規定だ。ただし、 法定納期限の1 年前の日以後に納税 者が取得した株式に限られる。その 民法4 2 4 条の詐害行為取消権に - 1 - は遡及的な理屈は採用されていない。 今現在、存在する債権を害するのが 詐害行為取消権だ。しかし、第二次 納税義務は、将来1 年以内に発生す る租税債務も保護対象に取り込んで いる。そのことを理解してしまえば、 第二次納税義務は簡単な制度だ。 1 4 3 2 字 - 2 -
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