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別紙3(様式2)
「本場の本物」地域食品ブランド表示基準(Ⅰ種・Ⅱ種共通)
1.名 称
薩摩菓子
軽羹(名称:さつまがし
かるかん)
(1)名称の由来
「軽羹」の名前の由来は諸説ありますが、その中に「軽い羹(羊羹)」という意味からきたという
説があり、羹という語は、中国では汁物のことをさすため、おそらく、大陸(中国)から伝わってき
たと考えられる。
そして、江戸時代に摩藩主島津斉彬公が、江戸で製菓を業としていた播州明石の人、八島(
明石)六兵衛翁を国元の鹿児島に招きいれ、その六兵衛翁が薩摩の山芋の良質なことに着目
し、これに薩摩の良米を配して研究を続け、類い稀なる美味「軽羹」の創製したことから、このよ
うな名称が広く周知されることとなった。
2.産 地
(1)範 囲
製造地は、鹿児島県鹿児島市内とする。
(2)範囲の設定根拠
主原料の1つである山芋の調達地域は、旧薩摩藩時代の地域であり、軽羹の適性にあ
った山芋が入手できる、鹿児島県(輝北地区、菱刈地区、湧水地区、日置地区)、宮崎
県(高原地区、都城地区、えびの地区)であり、それぞれの地域が掘り子と呼ばれる山
芋掘り職人を抱えており、掘り子が収穫した山芋を使用している。
なお、もう1つの主原料である米は、米粉にしたものを使用するのではなく、その年
の米の食味等が軽羹に適しているものを使用し、自社で製粉したものを使用している。
なお、軽羹の製造地域は、八島六兵衛翁より技を伝承している者が所属する、鹿児島
県鹿児島市を範囲とする。
3.歴史的伝統性
薩摩藩主島津斉彬公は、江戸で製菓を業としていた播州明石の人、八島(明石)六兵衛翁
を国元の鹿児島に招きいれたが、それは、江戸の風月堂主人の推挙を受け、その菓子づくり
の技術と工夫に熱心なところを評価してのことであったとされている。
鹿児島におけるもっとも古い記録は、1699年の20代島津綱貴公の50歳の祝宴に出されたと
され、また、江戸時代の文献には日本各地の雄藩で、おめでたい席で軽羹が使用されたとの
記録されている。
このような中、なぜ「軽羹」が薩摩菓子として独自の地位を築いたかを紐解くと、1851年、薩
摩藩主となれらた島津斉彬公は、鹿児島磯のちに日本の他地域に先駆け、日本近代化の礎
となる「集成館」といわれる工場群を築き製鉄・造砲・造船・紡績・ガラス・通信・印刷・科学・食
品等、多岐にわたる事業を行った。
この集成館事業の一環として斉彬公は、蒸餅、玉味噌、糒など保存食の研修、開発を進め
、そして安政2年郡元の新川沿いに水車館を設立、ここで水車を白砂糖の製法改良も行って
おり、それは、斉彬公が保存食もおいしくて栄養がなくてはならないと考え、その研究のためと
考えられる。
当時、郡元水車館の責任者、池田正蔵氏は、それまで田舎風の菓子ばかりであったが、八
島六兵衛が江戸風の菓子を作るようになって評判となり、明石屋菓子といって珍重されたと記
されている。「軽羹」は山芋・米の粉・白砂糖をまぜて、これを蒸しあげた菓子であるが、このう
ち米の粉・白砂糖が集成館事業によって改良、製造され、そこに菓子技術が加わり、より洗練
されたものに進化し薩摩を代表する銘菓となった。
1
そして、六兵衛翁は、「明石屋」と号して、藩公の知遇を得、やがて薩摩の山芋の良質なこと
に着目し、これに薩摩の良米を配して研究を続け、類い稀なる美味「軽羹」の創製を成し遂げ
た。
明石屋の軽羹(かるかん)の記録は、弘化4年(1847年)島津家二十七代斉興の時代、少将(長
男斉彬)が鹿児島において鷹狩りへ出かけたときの記録にみられ、島津家の御用菓子司であ
ったことがわかるそして、明治初年、六兵衛翁は木原政吉に2代目を譲り帰京、3代目木原末
吉、4代目岩田喜藤次、5代目太一、6代目泰一と続き現在7代目に至っており、限られた職人
にのみ、かるかんの製法を伝承しております。
【参考文献】
『御賀御祝之次第』/石原次郎右衛門家周/1699/尚古集成館蔵
『江戸中奥日記』/作者不詳/1754~1470/東京大学史料編纂所蔵
4.食品の独自性
(1)食品特性
「軽羹」は原材料に自然薯(じねんじょ=山芋)をふんだんに使った羊羹(棒羊羹)のかたちをし
た和菓子であり、空気をたっぷり含んで蒸されるため、ふんわりと柔らかく、饅頭などの他の和
菓子に比べても際立って白いのが特徴である。
また、その優しい姿からは想像つかないほどのしっかりとしたコクのある旨味が口中に広がる
のも特徴の1つとしてあげられる。
(2)原材料の特徴
明石屋初代・八島六兵衛翁により創製された明石屋の「軽羹」は、今日までその伝統
の美味しさを伝えており、選び抜いた「自然薯」「米粉」「砂糖」だけの自然な原料だ
けを用いて作り上げる。自然薯を生地に加えることで味に広がりが出るように、米粉、
砂糖と自然薯との相性は素晴らしいものである。
明石屋の「軽羹」は自然薯の持つ豊かな風味を、米粉が十二分に引き出してくれるよ
うに工夫されたものであり、米粉だけでは表現できないあのふっくらと軽い口当たり。
良質な自然薯の特長を活かし続けてきた明石屋の歴史に支えられた味だといえる。薩摩
の風土と自然薯に愛でられた明石屋の「軽羹」は、まるで純白無垢なお披露目の姿のよ
うである。
また、味と栄養、自然薯パワーも特徴の1つであり、ヤマノイモ科のヤマノイモ属の
、天然モノの別名がじねんじょ(自然薯もしくは自然生)と呼ばれるものに依る。その自
然薯は、山野に生育する植物で、7月~8月に小さな花をつけ、冬の寒い時期のものが一
番美味しいとされるが、その時期の自然薯を手に入れるのは容易ではない。その時期は
自然薯の蔓はもとより周りの木々の緑も冬枯れてしまうため、見分けるのが困難であり
、仮に自然薯の蔓を見つけても、掘る作業は決して生易しくはない。
自然薯は美味しいだけでなく、たんぱく質・ビタミン・ミネラルはもちろん消化酵素
のアミラーゼも豊富であるとともに、アルギニン等の強壮作用のある酵素も多分に含ま
れており、スタミナ増進にも期待がもてる。このようなことから、白くてふんわりとや
わらかい「軽羹」を、口当たりが良いだけのお菓子と決めつけるのは、もったいない話
であるとも思われる。
(3)原材料の使用理由
「軽羹」の美味しさの源は、その原料となる自然薯(天然の山芋)のものであるといえることから
、「軽羹」を製造する際には、良質な自然薯がたっぷりと使用されている。薩摩(鹿児島)では、
昔から地元で良質な自然薯が育つことから、このような商品が生まれた。
自然薯といえば、一般的に「麦とろご飯」や「とろろ蕎麦」に使われ、すり鉢やおろし金ですっ
た「とろろいも」としてイメージされることが多いのが、そんな自然薯はやはり昔から「とろろいも」
としてだけでなく、和菓子の材料としても重宝されてきた。明石屋の「軽羹」は自然薯と米粉と
砂糖で丁寧に作られるが、良質な自然薯があってこそのお菓子であるといえる。
良質な自然薯が薩摩(鹿児島)で取れるという、良いご縁。「軽羹」は薩摩の風土と自然薯に
愛でられて、その真っ白な姿を皆様の前にお披露目することができているように思える。
(4)製法の特徴
2
工
程
内
容
製粉
入荷した米を製粉する。
米は毎年選定し、季節によって製粉の目の粗さを調整する。
山芋入荷
入荷した山芋の重量を計量。水にさらす。
山芋擂り
山芋を選別しながら擂り機で擂りおろす。
山芋の裏ごし
擂りおろして山芋を裏ごしする。
生地作り
山芋を撹拌機に入れ撹拌する。こしを確認しながら加水する。砂糖を加
え、砂糖が混ざりきったら、生地のこし、固さを微調整するために加水
する。生地の固さが決まったら米粉を加え、撹拌する。
山芋のこしは季節、産地により異なるため加水は職人の長年の勘で最終
調整する。
充填
蒸籠に定量充填し、表面を木べらでならす。
蒸す
蒸気で蒸す。
冷却
乾燥しないように保湿庫で冷却する。
カット
店舗・お客様の注文に応じてそれぞれの大きさに切り分ける。
検査・包装
重量検査、形状検査、食味検査を行い、フィルム包装、袋に入れる。そ
の後それぞれの大きさにあった脱酸素剤を入れて、密封包装する。その
際に賞味期限印字を刻印する。
脱酸素剤が入っているか、賞味期限印字が刻印されているかを検査し、
合格品を番重にいれる。
出荷前検査
集荷検査
各店からの発注に応じた数量を集荷し、各店に出荷する。
販売時検査
工場から各店への納品時、販売前に、形状、規格、賞味期限印字等を目
視にて検査する。
(5)品質・衛生管理基準
工
程
内
容
入室時
既定の制服、ネット、帽子、マスクを着用する。着用後、1分間粘着シ
ールローラーを全身にかけ、手洗い、消毒後、入室する。
カット・包装
蒸しあがり後、製品に直接触れる作業担当者は手袋を着用する。
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設備等
製造終了後、分解洗浄する。包装機など蒸しあがった製品が直接触れる
ものについては、アルコールにて拭き上げする。
従業員の健康
管理
健康管理と衛生管理のため、年9回(4~9月:1回/月、10~3月:
1回/2か月)腸内細菌検査(検便)を実施しており、毎朝、衛生管理
記録表にて管理している。
5.生産量
(1)全体の生産量(弊社の期:前年12月~11月)
平成21年
生産量
(全体)
資料:
1,959.8
平成22年
平成23年
1,830.7
平成24年
1,928.9
単位:百万円
平成25年
1,903.7
1,889.6
(2)該当商品の生産量(全体の生産量のなかで、「本場の本物」に該当する商品)
単位:百円
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
生産量
380.2
362.1
405.8
403.3
385.9
(軽羹)
資料:
6.製造者(「本場の本物」に該当する商品を製造できる者)
製造者名
合名会社 明石屋菓子店
従業員数
住
所
182名 鹿児島市南栄3丁目15番5号
*必要に応じて枠を増やして記入してください
7.該当商品名・製造者名・小売価格(「本場の本物」に該当する商品名)
商品名
軽羹2号
重量:1,260g
軽羹3号
重量:840g
軽羹4号
重量:630g
軽羹8号
重量:315g
軽羹階段
内容量:5枚
軽羹5P
内容量:5枚
軽羹4P
内容量:4枚
軽羹小切
重量:65g
製造者名
合名会社
明石屋菓子店
合名会社
明石屋菓子店
合名会社
明石屋菓子店
合名会社
明石屋菓子店
合名会社
明石屋菓子店
合名会社
明石屋菓子店
合名会社
明石屋菓子店
合名会社
明石屋菓子店
*必要に応じて枠を増やして記入してください
4
小売希望価格(税込)
4,320円
2,880円
2,160円
1,124円
972円
972円
778円
195円
8.取りまとめ団体もしくは特認者
団体もしくは特認者名
(代表者役職名 氏名)
合名会社 明石屋菓子店
住
所
鹿児島市金生町4番16号
9.識別マークの貼付と管理
認定を受けた場合は、識別マークの使用を当該商品のみとし、当社において適切に管理
する。
10.第三者認証
認定を受けた場合は、基準通りに製造(仕入れから販売)しているかどうか、鹿児島市
並びに鹿児島県菓子工業組合、地元JAに第三者認証を依頼する予定である。
11.認定後の業界活性化の展開方法
認定後は、これまで以上に「軽羹」の認知度を高めるとともに、原材料の保全と確保、
加工など、安心安全な商品を提供できるよう努め、鹿児島の食文化を創造し続けます。
12.認定後の地域振興への貢献方法
「軽羹」づくり見学や体験などを通じて、国内外から観光客を呼び寄せる取組をする。
13.認定後、当該地域に同様の基準で製造する新たな製造者が出現した場合の連携およ
び展開方法(特認者のみ記載)
伝統製法および厳選原料を使用した「軽羹」の製造を希望する者が出現した際は、鹿児島
県菓子工業組合と協議し、どのような連携が図れるか検討する。
14.参考(社会的評価)
収穫の時期(秋)には新薯軽羹として新聞広告、五穀豊穣祭のリーフレットに掲載して
いる。
昭和24年 昭和天皇来鹿の際に献上
平成12年 ISO9002認証取得
平成13年 ISO14001認証取得
平成14年 ISO9001認証取得
平成15年 統合マネジメントシステム認証取得
平成25年 高円宮妃来鹿の際に献上
15.参考資料
(1)生産が行われている場所(施設)の所在地を示す資料を添付すること。
(2)商品に冠された地名が旧地名であり、現在、当該地名が住居表示に使用されていな
い場合は、現在の地名との関係が分かる資料を添付すること。
(3)製品概要、生産範囲、製品特性、製法(工程図・管理図を含む)、社会的評価、生
産量等に関する記載内容の妥当性を示す資料(含写真)を添付すること。
(4)製品特性や製法に関して記載された内容で実際に生産が行われていることを示す資
料を添付すること。
5
(5)取りまとめ団体および特認者に係る登記簿謄本、定款又は寄附行為の写し、規約、
直近の総会資料を添付すること。なお、該当するものがない場合は、それに準ずる
資料を添付すること。
(6)取りまとめ団体および特認者以外による同一食品の生産がなされていない資料を添
付すること。
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