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おたいね浦の岩脈と筆島
【おたいねうらのがんみゃくとふでしま】
所在地:波浮港
波浮港から北へ 2km ほどの「おたいね浦」に安山岩と玄武岩でできた高さ約 30mの岩が
そそり立っている。筆の穂先に似ていることから「筆島」と呼ばれており、海面から 30m
に達する角礫岩(1)から成る。この筆島は「御躰根 (おたいね)」とも呼ばれ、神の宿る所とし
て信仰の対象になった。海岸の上には、寛延 2(1749)年の「伊豆國大嶋差出張」に「御躰明
神」の名で載っている祠がある。この通称「オタイ様」は、岡田港と泉津(大島公園内)にも
ある。
今から 100 万年位前、海底の 3 箇所から噴火が起こり、北西から南東に並ぶ 3 つの富士
山のような形の火山島が造られた。北の方から、岡田火山、行者のいわや火山、筆島火山と
言われ、長い火山活動後、これらの火山島は風や雨水、波に浸食され、次第に削られ残骸だ
けが海上に現れているようになった。今では島の北、乳が崎から東側を回り、波浮港の数百
m 北のところまで続く古い海食崖が見られる。
筆島を見下ろす海岸一帯を「おたいね浦」といい、高さ約 300m 程の絶壁で、赤い壁に
縦に伸びる灰色の岩石でできた岩脈が露出している。これは、マグマが地下の岩石にある割
れ目に貫入し固まったものである。この海岸は「おたいね浦の岩脈と筆島」として昭和
15(1940)年に東京都の天然記念物に指定された。
(1) 礫岩とは堆積石の一種。直径 2 ㎜以上の岩石の破片(礫)が堆積して出来た岩石。角礫岩
とは礫岩に似た粗粒の岩石で破片が角ばっているもの。