投資の促進及び保護に関する日本国とカザフスタン共和国との 間の協定の説明書 外 務 省 一 二 6 5 4 3 2 1 2 1 収用及び補償…………………………………………………………………………………………………………………………………… 投 資 家 の 入国 、 滞 在 、 居 住 及 び 就 労 許 可 … … … … … … … … …… …… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …… …… 腐敗行為の防止に関する措置………………………………………………………………………………………………………………… 公衆による意見提出の手続…………………………………………………………………………………………………………………… 透明性…………………………………………………………………………………………………………………………………………… 特定措置の履行要求の禁止…………………………………………………………………………………………………………………… 裁判所の裁判を 受ける権利…………………………………………………………………………………………………………………… 一般的待遇……………………………………………………………………………………………………………………………………… 最恵 国待遇………………………………………………… …… …… …………………………………………………… …… …… …… …… 内国民待遇……………………………………………………………………………………………………………………………………… 投資の許可……………………………………………………………………………………………………………………………………… 定義……………………………………………………………………………………………………………………………………………… 協定の内容………………………………………………………………………………………………………………………………………… 協定 締結 の意 義………………………………………………… …… …… …… …………………………………………………… …… …… 協定の成立経緯………………………………………………………………………………………………………………………………… 概説………………………………………………………………………………………………………………………………………………… 三 三 二 二 二 二 二 二 二 一 一 一 一 一 一 一 一 次 7 争乱から の保 護… …… …………………………………………………… …… …… …………………………………………………… …… 三 目 8 代位……………………………………………………………………………………………………………………………………………… 三 ページ 9 資金の移転……………………………………………………………………………………………………………………………………… 10 11 12 13 14 15 三 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 利益 の否 認……………………………………………………… …… …… …………………………………………………… …… …… …… 健康、安全及び環境に 関す る措 置並 びに労働基準…………………………………… …… …… ………………………………………… 合同委員会……………………………………………………………………………………………………………………………………… 租税に係る課税措置…………………………………………………………………………………………………………………………… 知的財産権……………………………………………………………………………………………………………………………………… 信用秩序 の維持の ための措置……………………………………… …… …… …… …………………………………………………… …… 一時的なセーフガード措置…………………………………………………………………………………………………………………… 安全保障 のための例外………………………………………………………………………………………………………………………… 一方の締約国と他方の 締約国の投資家との間の投資紛争の解決…………………… …… …… ………………………………………… 両締約国間の紛争の解決……………………………………………………………………………………………………………………… 五 五 五 五 四 四 四 四 四 三 三 五 最終規定………………………………………………………………………………………………………………………………………… 協定の実施のた めの国内 措置 …………………………………………………… …… …… …………………………………………………… 26 一 二 1 2 1 2 3 4 概説 協定の成立経緯 平成 二十 年(二 千八年) 六月に日 本国 とカザ フスタン 共和 国と の間で 投 資協定の交 渉を 開始す るこ とに ついて 意 見が 一致 し たこ と を 受け 、 平 成二 十二 年( 二千 十 年) 三 月 から 両国 間で 交 渉を 行 っ た結 果、 協定 案文 につ いて 最終 的合 意を み る に 至 っ た ので 、 平 成二 十 六 年 ( 二 千 十 四 年 ) 十 月 二 十 三 日 に ア ス タ ナ に お いて 、 我 が 方 在カ ザ フ ス タ ン 蒲 原 大 使 と 先 方 イ セ ケ シ ェ フ 投 資 発展 大 臣 と の 間で こ の協定の署名が行われ た。 協定締結 の意義 こ の 協 定は 、 投 資 財 産 設 立 後 の投 資活 動 の保 護 等 に つ いて 包括 的 か つ 詳 細 な 事 項を 規 定 して い る 。こ の 協定 の締 結は 、 投 資 環 境 の 整備を促す とと もに 、 両国間の投 資 及び経済関係の更なる緊 密化に大 いに 資す るも のと期 待される。 協定の 内容 こ の 協 定 は 、 前 文 、 本 文 二 十 六 箇 条 及 び 末 文 から 成 り 、 そ の 概 要 は 、 次 の とお りで ある 。 定義 こ の協定における「投 資財産」、「締約 国の投資 家」、「締約国 の企 業」、「投資活動」、「区域」等について 定義して いる(第 一 条) 。 投資の許可 一 方の締約国は、 自国 の関 係法 令に 従って 権限を 行使する自国 の権 利を 留保 の上 、他 方の 締約 国 の投 資家に よる投 資を 許 可するこ と等について 規定して いる(第二条)。 内国民待遇 一方の締 約国 は、 自国 の区 域内において、投資活動に関し、他方の締約国の投資家 及びその投資財産に対し、 内国 民待遇を与える 旨規定している(第三条)。 最恵国待遇 一 5 6 7 8 9 二 一 方 の締約国は、自国 の区 域内において 、投 資活 動並 びに 投 資の許可及び投 資 の許可に関連する 事項に 関し 、他 方の 締約国 の投 資 家 及 び その 投 資 財 産 に 対 し 、 最 恵 国 待 遇 を 与え るこ と 等 に つ いて 規定 して いる ( 第 四 条 ) 。 一般的待遇 一 方 の 締 約 国 は 、 自 国 の 区 域 内 に お いて 、 他 方 の 締 約 国 の 投 資 家 の 投 資 財 産 に 対 し 、 公 正 か つ 衡平 な 待 遇 並 び に 十 分 な 保 護 及 び保 障を与え るとともに、当該投資財産に関して 義務を 負うこととなった場合には、当該義務を遵守する旨規 定している( 第五条)。 裁判所の裁判を受ける権利 一 方の締約国 は、 自国 の区 域内において 、裁判所 の裁判を 受ける権利等 に関 し、 他方 の締約国 の投 資家に対し、 内国 民待遇又は 最 恵国 待遇を 与える旨規定して いる (第 六条)。 特定措置の履行要求の禁止 いず れの一方の締約国も、自国 の区域内における他方の締約国 の投 資家の投 資活動に関し、現地 調 達、 技術 移転 等の特定 措置 の履 行 要 求で あ って 当 該 他 方 の締 約 国 の投 資 家 に よる 投 資を 許 可 し た日 に 存 在 しな いも のを 課 し 、 又 は 強 制 して は な ら な い 旨 規 定 して い る(第七条)。 透明性 各締約国は、投 資 活動 に関 連し、又は 影響を 及ぼす 法 令等を 速や かに公 表す るこ と等 に ついて 規定して いる ( 第 八条)。 公衆による意見提出の手続 各 締 約 国 は 、 自 国 の 法 令 に 従い 、こ の 協 定 の 対 象 と な る 事 項 に 影 響 を 及ぼす一 般 に適 用さ れる 規制の設定等をする前に、公 衆に よ る意見提 出のための合 理的な機会を 与え る よう努める旨 規定して いる(第九条)。 腐敗行為の防止に関する措置 各締約国 は、 自国 の法 令に 従い、こ の協定の対 象となる 事項に関す る腐 敗行 為の防 止等 のために 措置を とるこ と等を 確保 する 旨規 投 資家 の 入国、 滞 在、 居住 及び就 労 許 可 定して いる(第十条)。 10 11 一 方の締約国は、投 資活動を 行うこ とを 目的とす る他 方の 締約国 の国 籍を 有する自然 人の入国、滞 在 及 び居 住に 係る 申 請並びに就 労 許 可 の発 給に 対 し 、 自 国 の 関 係 法 令 に 従 い 、 好 意 的 な 考 慮 を 払 う旨 規定 して い る ( 第 十 一 条 ) 。 収用 及び補償 い ず れ の 一 方 の 締 約 国 も、 公 共 の目 的の た めで あ る こ と 、 無 差 別で あるこ と 、 迅速、適 当 かつ 実効 的な補 償 の支払を 伴うこ と 及び に付 託するこ と等について 規 定してい る(第十六条)。 一方の締約国と他 方の 締約国 の投 資家と の間の投 資紛争の解決 三 こ の協定 の解 釈又 は適 用に関する 両締約国間 の紛争で あって 、 外交 交渉によって も満足な 調整に至ら なかっ たも のは、仲 裁委 員会 両締約国間の紛争の解決 いる(第十五条)。 あ る 他 方 の 締約 国 の 投 資 家 の 投 資 財 産 に 関 連 す る も の が 、 遅 滞 な く 、 か つ 、 自 由 に 行 わ れ るこ と を 確 保 す るこ と 等 に つ いて 規定 して 一 方 の 締 約 国 は 、 一 定 の 場 合 を 除 く ほ か 、 自国 の 区 域 に 向 け た又 は 自 国 の 区 域 か ら の 全て の 資 金 の 移 転 で あ って 、 自 国 の区 域 内 に 資金の移転 に ついて 規 定して い る ( 第十 四条 )。 自国の投 資家に対 して 保証契約等に基づいて 支払を行った締約国又はそ の指 定する機関による当該投資家の権利又は請求権の代位 代位 遇を 与え るこ と等に ついて 規定して いる( 第十 三条 )。 等 の解 決 方 法に 関し 、 内国 民 待遇又は 最恵 国 待遇 のうち 当 該他 方 の締 約国 の投 資家にと って い ず れ か 有 利なも の よりも 不 利で な い待 一 方 の締約国は、 武力紛争等に より自国 の区 域内にあ る投 資財産に関して 損失等を 被っ た他 方の締約国 の投 資家 に対 し、 原状回復 争乱からの保護 は 国 有 化 等 に 伴 う 補 償 は 、公 正な 市場 価格 に 相 当 す る も ので なけ れば なら な いこ と 等に つい て 規 定 して い る 。 ( 第 十 二 条 ) 正当な法の手続等に従うこ とという条件を満 たさな い限 り、 収用又は国 有化等を 実施して はなら ない旨 規 定してい る。 ま た、 収用又 12 13 14 15 16 17 四 一方の締約国と他方の締約国 の投資家との間 の紛 争が 協議 等に より解決されない場合には、当該紛争は 、国 家と 他の国家の国民と の間の投資紛争 の解 決に関する条約による調停又は仲裁、投資紛争解 決国 際セ ン ターに 係る追 加 的な 制度に ついて の規則に よる 調停 又は仲裁、国際連合国際商取引法委員会の仲裁規則による仲裁等のいずれかに付託されること等について規定している(第十七 条)。 安全保障 のための例外 こ の 協 定 の他 の 規 定 に か か わ ら ず 、 各 締 約国 は、 自 国 の 安 全 保 障 上 の重大な 利益の保 護 の ために必要で ある と 認 める 措置並びに国 租税に係る課税措置 保護に妥当な考慮を払うこ と等に ついて 規定して いる。(第二十一条) の投資 財産に 与え るこ とを 義務付けるも のと解して はならな い旨 規定して いる。ま た、 両締約国は、知 的財産 権の十分 かつ効果的な は 、 当 該 一 方 の 締約 国が 当該 多 数 国 間 協 定に よ り 第三国 の投 資 家 及び その投 資 財産 に与えて いる 待遇を 他 方 の締約国 の投 資家 及び そ れさせるも のと解してはならない旨並びにいずれか一方の締約国が締結している知的財産権 の保護に関する多数国間協定について こ の協定のいかなる規定も 、両 締約国が締結して いる知的財産権の保護に関する 多数国間 協定に基づく権利を 害し、及び義務を免 知的財産権 締 約 国 は 、 信 用秩 序 の 維持 の た め の 金 融 サ ー ビ ス に 関 連 す る 措 置 を と る こ と を 妨 げら れな い 旨 規 定 して い る ( 第 二 十 条 ) 。 信用秩序の維持のための措置 規 定に 基 づく義務に適合しない措置を 採 用し、又は 維持 するこ とができ る旨規定して いる(第十九条)。 ら す 場 合 に は 、 第 三 条( 内国 民 待 遇 ) の 規 定 に 基 づ く 義 務で あ って 国 境を 越え る 資 本取 引 に 係 る も の 及 び 第 十 五 条 ( 資 金 の 移 転 ) の いず れの締約国も、国際収支及び対外支払に関して 重大な 困難 が生ずる場合又は 資金の移転が経済全般の運営に 重大 な困難を も た 一時的なセーフガード 措置 八条)。 際 の平和及 び安全の維持 のため国際連合憲章に基づく義務に 従ってと る 措置をとるこ とができ るこ と等について 規 定してい る( 第十 18 19 20 21 22 三 こ の 協 定 のい か な る 規 定も 、 租税 条 約 に 基 づ く締 約国 の権 利 及 び 義 務 に 影響を 及ぼ す も ので は な く 、こ の協 定と 当該 租税 条 約 と が 抵 触す る場 合に は、 当 該 租税 条約が 優先す る旨 規 定して いる 。 ま た、 第十 二条 ( 収 用 及び補 償) 等 の規定は 、 租税 に 係る 課 税措 置に 十年の期間引き 続き 効力を有するこ と等について 規定して いる。(第二十六条) 協定の実施のための国内 措置 こ の協定を 実施する ためには 、新 たな 立法措置及び予算措置を 必要としない。 五 の に つ い て も 適 用 す る 旨 規 定 し て い る 。 さ ら に 、こ の協 定 の 終 了 の日 の 前 に 取 得 さ れ た 投 資 財 産 に 関 して は 、 当該 終 了 の 日 から 更 に の 投 資 財 産 で あ って 、こ の 協 定 の 効 力 発 生 の前 に 他 方 の 締 約 国 の 区 域 内に おい て 当 該他 方 の 締 約 国 の関 係 法 令に 従って 取 得 され たも て 行 い 、 遅 い 方 の 通 告 が 受 領 さ れ た日 の後 三 十 日 目 の 日 に 効 力を 生ず る 旨 規 定 して い る 。 ま た、 こ の 協 定 は 、 一 方 の 締 約 国 の 投 資 家 こ の 協 定は 、 各 締 約国 がこ の 協 定 の 効 力 発 生 の た めに 必要 と さ れ る 国 内 手続 が完 了し たこ と を 確 認す る 通 告を 他 方 の 締 約 国 に 対 し 最終規定 こ とができ る旨 規定して いる(第二十五条)。 配され、かつ、一定 の場合に 該当するときは、当該他方の締約国の投資家 及び その投資財産に対し、こ の協定による利益を 否認する 一方 の締 約国は 、 他 方 の締約国 の投 資家で あって 当 該他 方 の締 約国 の企業で あるも のが 第三国 の投 資家に よって 所有 され 、又 は 支 利益の否認 び 第 三 国 の投 資 家 に よ る 投 資を 奨 励す るこ とが 適 当で な いこ とを 認 め る 旨 規 定 して い る ( 第 二 十 四条 ) 。 両締約国は、 一方 の締 約国 が 健康、 安全若しくは環境に関する 措置の緩 和又 は労 働基 準の引下げを 通じて 他 方の締約国 の投 資家 及 健康、安全及び環境に関する措置並びに労働基準 両締約国 は、この協定の目的を 達成するため、合同委員会を設 置す る旨 規定 して いる(第二十三条)。 合同委員会 ついて 適用すること等について 規定して いる。 (第二十二条) 23 24 25 26
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