説明書(PDF)

所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための
日本国政府とカタール国政府との間の協定の説明書
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効力発生及び適用………………………………………………………………………………………………………………………………
税務 当局間の協力………………………………………………………………………………………………………………………………
二重課税の除去 の 方式に関する 規定……………………………………………… …… …… ………………………………………………
二重課税の回避等のための規定………………………………………………………………………………………………………………
適用対象 及び 定義に関する規定………………………………………… …… …… …… ……………………………………………………
協定の主要な内容…………………………………………………………………………………………………………………………………
締結 の意 義… …………………………………………………… …… …… …… …………………………………………………… …… ……
協定の成立経緯…………………………………………………………………………………………………………………………………
概説…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
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その他……………………………………………………………………………………………………………………………………………
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議定書……………………………………………………………………………………………………………………………………………
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協定の実施のための国内 措置 …… …… …………………………………………………… …… …… …………………………………………
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概説
協定の成立経緯
政府は、 カタール国との間の所得に対する租税に関す る二 重課税の 回避及び脱税の防止のための協定を 締結する ため、平 成二十六
年 ( 二 千 十 四 年 )十 二月 から 政 府 間 交 渉を 行 って き た。 そ の結 果 、 協 定 の 案文 に つ いて 最終 的合 意に 達 し 、 平 成二 十 七 年 ( 二 千 十 五
年)二月二十日に東京において、日本側在カタール津田大使 とカタール側ビラ ール駐日大使と の間でこ の 協定 の署 名が 行われた。
締結の意義
こ の協定は、 OECDモデル租税条約の内容を基本としつつ、これまでに我が国が諸外国との間で 締結してき た租税条約と同様
に 、 人 的交 流 及 び経 済 的交 流 等 に 伴っ て 発 生す る 国 際 的な 二 重 課 税 の 回 避を 目 的と して 、 カ ター ル国 と の間で 課 税 権を 調 整 す る も の
で ある。こ の協 定の 締結により、国際標準に沿っ た情報交 換の実 施に より国際 的な脱税及び租税回避行為を防止するととも に、 我が
国 と カ タ ー ル国 と の間で 課 税 権 の 調整 が 図 ら れ るこ とと な り、 相 互の 人 的 交 流 及 び 経 済 的 交 流 が 一 層 促 進 され るこ と が 期 待 さ れ る 。
協定の主要な内容
こ の協 定 は 、 前 文 、 本 文 二 十 九 箇 条 及 び 末 文 並 び に 協 定 の 不 可 分 の一 部 を 成 す 議 定 書 か ら 成 り 、 そ の 主 要 な 内 容は 、 次 の と お りで あ
適用対象及び定義に関する規定
こ の協定は、一 方又は双方の締約国の居住者に対し、所得に対す る租税について適用するこ とを規定している(第一条及び第二
二重課税の回避等のための規定
まで )。
条)。ま た、「 権限 のあ る当 局」、「一 方の締約国 の居住者 」、「恒 久的施設 」等の用語の意義を 定義して いる(第三条から第五条
る。
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不 動 産 所 得に つい て は 、 不 動 産 所 在 地 国 に お いて 課 税 す るこ と がで き る こ と ( 第 六 条 ) 、 一 方 の 締 約 国 の 企 業 の 事 業 利 得 に つ いて
は、当該企業が他方の締約国 内に 恒久 的施設を 有する場合には、当該恒 久的施設に帰 せられ る利 得に ついて のみ当該他 方の締約国に
お いて 課税 する こ と がで き るこ と ( 第 七 条 ) 、 船 舶 又 は 航 空 機を 国 際 運 輸 に 運 用 す るこ と に よ って 取 得 す る 利 得 に つ い て は 、 企 業 の
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居住地国において のみ課税するこ とができ るこ と( 第八条)を 規定するとともに、配 当、 利 子及 び使 用料に ついて は、 源泉地国で の
限 度税 率又 は免 税( 第十 条 から 第十二 条 まで )を 規 定 して い る 。
また 、不 動 産等 の譲 渡 収 益に ついて は 、 当 該 不動 産等 の所 在地 国に お いて 課 税 す るこ と がで き るこ と ( 第十 三 条 )、 一方 の 締約国
の居住者が独立 の人的役 務の提供によって 取得する所得について は 、 当 該 個 人 が他 方の 締約国 内に固 定 的施設を 有する 場合 に は 、 当
該 固定的施設に帰せら れる所得について のみ当該他 方の 締約 国において 課税するこ とができ るこ と(第十 四条)、 給与所得について
は、役務提供地国における滞 在期 間が 百八十三日を 超えないこ と等の一 定の要件を 満たす場合を除くほか、役務提供地国において 課
税 する こ と がで き るこ と ( 第 十 五 条 ) 、 法 人 の役 員 報 酬 に つ いて は、 当 該 法 人 の居 住 地 国 に お いて 課 税 す るこ と が で き るこ と ( 第 十
六 条 ) 、 個 人が 芸 能 人 等 と して 取 得す る所 得等 に つ いて は 、 役 務 提 供地 国 に お いて 課 税 す る こ と がで き るこ と ( 第 十 七 条 ) 、 退 職 年
金等については 、居 住地国において のみ課税するこ とができるこ と( 第十 八条 )、政府職員の報酬等について は、派遣元の国に おい
て のみ 課 税 す るこ と がで き るこ と ( 第 十 九 条) 、学 生等 が 受 け 取 る 一 定 の 給 付 に つ いて は 、 滞 在 地 国 にお いて 免 税 と す るこ と ( 第 二
十条)を 規定して いる。
さら に、これらの条に規定がないその他 の所得について は、居 住地 国課 税を 原則とするこ と(第二十一条)を 規定して い る。
二重課税の除去の方式に関する規定
我が国 及 びカター ル国 にお いて は、いずれも 外国税 額控除 方式に よ り二 重課 税を 除去 す るこ とを 規 定して い る ( 第二 十 二 条) 。
税務当局間の協力
こ の 協定の規定に適合 しな い課 税に ついて 、 権限 のある 当 局に対して 申 立て を 行 うこ とができ るこ と 及 び権限 のある 当 局が相 手国
の権限 のあ る 当 局と 協 議を 行 って 解 決を 図 るこ とが でき るこ とを 規 定して い る ( 第二 十 四 条) 。 ま た 、両 締約 国 の 権限 のあ る 当 局間
で 租税に関する情報を交 換す るこ とについて 規定して いる(第二十五条)。
効力発生 及び適用
こ の協定は、両締約国のそれぞれの国内法上 の手 続に 従って 承 認されなければならず、その承認を 通知する 外交 上の公文の交換の
日 の後 三十 日 目 の日 に 効 力を 生 ず るこ とを 規定 して いる 。 ま た、 こ の 協定 の適 用 に つ いて は 、 各 締 約 国 に お け る 税 制を 反映 した 規 定
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として いる。(第二十八条)
その他
両締約国 の企業の間に商業上又は資金上の特別な関係がある場合における所得の計算方法及びその場合の課税上の調整方法(第九
条)、租税に関する無差別待遇(第二十三条)、外交使節団及び領事機関の構成員の租税上の特権とこ の協定との関係(第二十六
条 ) 並 び にこ の 協 定 の 終 了 ( 第 二 十 九 条 ) に つ いて 規定 して い る 。
議定書
「カタールの租税」の範囲(議定書1)、「一方の締約国の居住者」の範囲(議定書2)、恒久的施設の課税所得の計算におい
て 、費 用の控除 の条件は当該恒 久 的施 設が 存在する 締約国 の法令に より決定されるこ と(議 定書 3) 、船舶又は 航空機を国際運 輸に
運 用 す る こ と に よっ て 取 得 す る 利 得 の 範 囲 ( 議 定 書 4 ) 、 カ タ ー ル国 政 府 に よ り 全 面 的 に 所 有 さ れ る 機 関 が 我 が 国 の 居 住 者 で あ る 法
人 の 株 式を 我 が 国 の他 の 法 人で 一 定 の要 件 を 満 たす も の を 通 じて 間接 に 所 有 す る 場 合 に お け る 当 該 他 の法 人か ら 支 払 わ れ る 配 当 に つ
いて の限 度税 率 の適 用( 議定 書5)、 「政府に より 全面 的に所 有 される 機 関」 の範 囲( 議定書6)、 「公 認の有 価証 券市 場」 の範 囲
( 議定 書 7 ) 、 匿 名組合 契約又 はこ れに 類 す る 契約 に基 づく 所 得 及び 収 益 に 対 して 我が 国 が 源 泉 課 税 す る こ と を 妨 げる も ので は な い
こ と(議定書8)、カタール の租税に 関する法令に基づくカタール国 民に対する 租税の免除 が差 別に該当しないこ と(議定書9)、
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)並びに取引 の主要な目的がこ の協定の特典を 受けるこ とで ある場合に おけ る協
) に つ いて 規定 して い る 。
情 報の提供を拒 否するこ とができ る場合(議定書
定の特典の制限(議定書
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こ の協定の実施のためには、新たな立法措置及び予 算措置を 必要としない。
協定の実施のための国内措置
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