血液疾患患者にみられた緑膿菌菌血症 〔III〕予後を左右する要因の検討

880
血 液 疾 患患 者 にみ られ た緑 膿 菌 菌血 症
〔III〕
予 後 を左 右 す る要 因 の検 討
金沢大学医学部付属病院高密度無菌治療部 ・第3内 科
舟田
Key words:
久
真智
松 田
(平成1年2月7日
受付)
(平成1年2月20日
受理)
保
Pseudomonas aeruginosa bacteremia, hematologic disorders,
prognostic factors, survival rate, antibiotic therapy
要
過 去16年 間 に,急
俊彦
旨
性 白血 病 を 中 心 と し た 血 液 疾 患 の55例 に57回 の 緑 膿 菌 菌 血 症 が 経 験 さ れ た .菌 血 症
発 症 後 の 生 存 期 間 の 分 布 か ら,菌 血 症 症 例 は,発 症 後1週
の 生 存 例(39%)の2群
に 大 別 され た.こ
以 内 の 早 期 死 亡 例(61%)と
の 予 後 を 左 右 し た 有 意 の 要 因 と し て,多
性 シ ョ ッ ク,発 症 時 穎 粒 球 数 と そ の 推 移,さ
発 症 後1週
らに 発 症 時 血 清 蛋 白 量 が 挙 げ られ た.尿
予 後 が 最 も よ く,呼 吸 器 原 発 の 菌 血 症 の 予 後 が 最 も悪 か った.単
以上
菌 性 菌 血 症 ,菌 血 症
路 原発 の菌 血症 の
菌 性 菌 血 症 の 治 療 効 果 を1週
生 存率 で
み る と,原 因 菌 に 有 効 な β-ラ ク タ ム薬 の1∼2剤
の ほ うが,有
と ア ミノ配 糖 体 薬 を 併 用 した 場 合(20例 中14例 ,70%)
効 薬 剤 の 単 独 投 与 や 無 効 薬 剤 だ け の 投 与 を 行 っ た 場 合(22例 中7例 ,32%)よ
りも 有 意 に
高 か った.そ
れ で,血
に 加 え て,感
染 に 対 す る 抵 抗 力 の賦 活 に 努 め る こ と が 重 要 で あ る と考 え ら れ た .
液 疾 患 に 合 併 す る緑 膿 菌 菌 血 症 の 予 後 の 改 善 に は,早
は じめ に
期 診 断 と適 切 な抗 菌 薬 療 法
て み た.
近 年,抗 緑 膿 菌 作 用 の 強 い β-ラク タ ム薬 の臨 床
応 用 が 相 次 い で試 み られ て きた が1)2),急 性 白血 病
対 象 お よ び方 法
患 者: 1972年 か ら1987年 ま で の16年 間 に,金 沢
を 中 心 とした 難 治 性 血 液 疾 患 に 合 併 す る緑膿 菌 菌
大 学 第3内
血 症 の 予 後 は さ ほ ど改 善 さ れ た わ けで は な い1)-3).
緑 膿 菌 菌 血 症 が み られ た.菌 血 症 患 者 の概 要 は既
骨 髄 移 植 も含 め て,造 血 器 腫 瘍 に 対 す る 治 療 の 強
報5)で述 べ た.
化 は,治 療 成 績 の 飛 躍 的 な 向 上 を もた ら した 反 面,
科 へ 入 院 した 血 液 疾 患 の55例 に57回 の
菌 血 症4)6):少 な く と も1回
の血 液 培 養 が陽 性
感 染 に対 す る抵 抗 力 の 低 下 した 患 者 を 増 加 させ た
で,臨 床 病 像 が 血 中 分 離菌 に よ って 引 き起 こ され
こ と も否 定 し え な い.一 般 に,他 の 基 礎 疾 患 の 患
た と考 え られ る症 例 を 菌 血 症 症 例 と した.陽
者 で も,緑 膿 菌 菌血 症 が 合 併 す れ ば,そ
な った 血 液 培 養 が 行 わ れ た とき を も って 菌 血 症 の
の予 後 は
他 の グ ラ ム陰 性 桿 菌 菌 血 症 の も の よ り悪 い こ とが
発 症 と考 え た.菌 血 症 は,単 菌 性(1菌
多 い2)4).
分 離)と 多 菌 性(2菌
わ れ わ れ は,こ
う した 点 を 考 慮 しな が ら,過 去
16年 間 に経 験 した55例 の血 液 疾 患 患 者 に み られ た
57回 の 緑 膿 菌 菌 血 症 を対 象 に,そ
別 刷 請 求先(〒920)金
の予後を検討 し
種 のみの
種 以 上 の 同 時 分 離 な い し1
週 以 内 の 相 次 ぐ分 離)に
血 液 培 養,分
性と
分 類 した.
離 菌 の 同定,緑
膿菌 の血清群別 や
薬 剤 感 受 性 試 験 の 方 法 は既 報7)に述 べ た.
菌 血 症 性 シ ョ ック:診 断 は,収 縮 期 血 圧 の低 下,
沢 市 宝 町13番1号
金 沢 大学 医 学 部 付属 病 院 高 密度 無 菌 治 療部
舟田
久
昇 圧 薬 の 必 要 性,時 間 尿 量 の減 少 を参 考 に,Weinsteinら8)の 判 断 基 準 に 従 っ た.
感染症学雑誌
第63巻 第8号
血 液疾 患 の緑膿 菌 菌 血 症 〔III〕
推 計 学 的 処 理:推
計 学 的 有 意 差 は,Yates補
正
を 用 い た カ イ 自乗 検 定 に よ り求 め られ た.
結
果
に大
2. 抗 菌 薬 治 療
単 菌 性 菌 血 症 の42例 に つ い て,抗 菌 薬 併 用 の1
57例 は,菌 血 症 発 症 後 の 生 存 期 間 の 分 布 か ら,
Fig.1
以 上 の 生 存 例(22例,39%)の2群
別 され た(Fig.1).
1. 生 存 期 間
発 症 後1週
症 後1週
881
以 内 の 早 期 死 亡 例(35例,61%)と
Survival
after
onset
週 生 存 に及 ぼ す 影 響 が検 討 さた(Table
発
of P. aeruginosa
bacteremia
No.of
episodes
1).薬 剤
感 受 性 試 験 で原 因 菌 に有 効 と判 定 され た2∼3剤
が併 用 され た場 合(β-ラ ク タ ム薬 の1∼2剤
とア
ミノ配糖 体 薬 の 併 用),1週
中14
生 存 が70%(20例
例)に
み られ,そ
例)と
比 べ て 有 意 に 高 か っ た (x2=4.677,
0.05).ち
うで な い場 合 の32%(22例
中7
p<
な み に,こ れ らの 薬 剤 の1日 使 用 量 は,
ア ミ ノ配 糖 体 薬 に 関 して は 少 な く と も最 大 常 用
量,β-ラ ク タ ム薬 に 関 し て は 最 大 常 用 量 の 少 な く
と も2倍 で,分3な
い し分4の
分 割 投 与 が な され
て いた.
3. 宿 主 側 要 因
1週 生 存 に有 意 の好 影 響 を及 ぼ した 宿 主 側 要 因
に は(Table
2),発
症 時顆 粒 球 数(≧100/mm3),
発 症 後 顆 粒 球 数 の上 昇(発 症 後2週
で ≧100/mm3),発
以 内 の増 加 分
症 時 血 清 蛋 白量(≧6.09/dl)
が み られ た.発 症 時血 清 蛋 白量 で は,ア
量(≧3.0g/dl)と
Survival
Table
1
Outcome
Abbreviations
sulbenicillin,
after
onset,
of antibiotic
of antibiotics
15-20g/day;
が と もに有 意 の 要 因 で あ った.
days
therapy
for P. aeruginosa
bacteremia
and their daily doses used: CBPC, carbenicillin,
TIPC, ticarcillin,
15-20g/day;
of unimicrobial
15-20g/day;
PIPC, piperacillin,
8-12g/day;
type
SBPC,
GM,
gentamicin, 160-180mg/day;
TOB, tobramycin, 180mg/day;
NTL, netilmicin, 200-300mg/day;
AMK, amikacin, 400-600mg/day;
CFS, cefsulodin, 2-3g/day;
CAZ, ceftazidime, 3-4g/day;
CPZ, cefoperazone, 4-6g/day;
IPM, imipenem, 2-3g/day;
and CL, colistin, 2 million units/day.
平 成 元年8月20日
ル ブ ミン
γ-グロ ブ リン量(≧0.7g/dl)
舟田
882
久他
有 効 薬 剤 に よ る 治療 が 行 わ れ な か った もの の,
発 症 後1週
以 上 生 存 した3例(Table
に発 症 時 顆 粒 球 数 が100/mm3以
1例 に は,さ
1)は,と
Table
2
Prognostic
factors
も
上 で,こ の うち の
らに 発 症 後 顆 粒 球 数 の増 加 が み られ
た.
4. 菌 側 要 因
菌 血 症 の病 型 か ら1週 生 存 を 検 討 す る と,単 菌
性 菌 血 症 は多 菌 性 菌血 症 よ りも有 意 に 良 好 な予 後
を示 した(Table
2).
緑 膿 菌 の血 清 群 と薬 剤 感 受 性 の違 い が 予 後 に及
ぼ す 影 響 も検 討 され た(Table
3).最
も高 頻 度 に
分離 され,常 用 抗 菌 薬 に対 して 異 な った 感 受 性 パ
タ ー ン を 示 した 血 清 群BとEに
よる菌血 症 の予
後 を1週 生 存 で 比 較 す る と,そ れ ぞ れ5例(42%)
と6例(38%)で,ほ
ぼ 同 じで あ っ た.さ
らに,
単 菌 性 と多 菌 性 の 病 型 別 に み て も,両 者 に 差 は な
か った.
5. 菌 血 症 性 シ ョ ック
シ ョ ック の 合 併 は,1週
ぼ した(Table
2).シ
生 存 に大 きな 影 響 を及
ョ ック は,多 菌 性 菌 血 症,
*1
発 症 時 低 蛋 白血 症 や 高 齢 の 症 例 に発 現 す る傾 向 に
Complete
data
ing at least
あ った が,い ず れ も有 意 の 要 因 で は な か った.
*2
6. 感 染 部 位
were
3 days
available
after
for 31 patients
surviv-
onset.
Rise of at least 100/mm3 in granulocyte count at 14
days after onset or at the time of death which occurred earlier.
原 発 巣 と予 後 の 関 係 が,高 頻 度 に み られ た4つ
の原 発 巣5)(歯周 囲感 染,肛 門 直 腸 感 染,肺 炎,尿
Table
3
Influence
the infecting
*
Abbreviations
gentamicin;
With regard
of serogroups
P. aeruginosa
of
antibiotics:
and antibiotic
organisms
CBPC,
susceptibility
on prognosis
carbenicillin;
patterns
PIPC,
piperacillin;
GM,
CFS, cefsulodin;
CAZ, ceftazidime;
and IPM, imipenem.
to clinical
use of CAZ or IPM, only one patient with bacteremia
to P. aeruginosa
serogroup
B was
successfully
treated
with
of
of bacteremia
CAZ, IPM
due
and GM
in combination.
感 染 症 学雑 誌
第63巻
第8号
血 液疾 患 の 緑膿 菌 菌 血症 〔III〕
生 殖 器 感 染)に つ い て 検 討 さ れ た.1週
尿 生 殖 器 感 染(8例
中4例,50%)で
生 存 率 は,
最 も高 く,
次 い で 歯 周 囲感 染(16例 中7例,44%),肛
感 染(11例
中4例,36%)と
2例,22%)で
門直腸
続 き,肺 炎(9例
中
最 も低 か っ た.
考
883
治 療 に 用 い られ た こ とが 多 少 と も関 係 し て い る と
考 え られ る.
一方
,抗 緑 膿 菌 性 抗 菌 薬 の開 発 や そ の使 用 法 の
工 夫 も大 切 で あ る が,抗 菌 薬 治 療 だ け で,血 液 疾
患 に合 併 す る緑 膿 菌 菌血 症 の 予 後 が著 明 に改 善 さ
察
れ る と は思 え な い.こ れ は,有 効 薬 剤 に よ る治 療
グ ラ ム 陰 性 桿 菌 に よ る菌 血 症 の 予 後 が 抗 菌 薬 治
が 全 く行 わ れ て い な く て も,1週
生存 が 可能 で
療 の適 否 に左 右 され る こ と は い うま で も な い1)4).
あ った 症 例 が と き に認 め られ る事 実 や 多 剤 に 耐 性
しか も,発 症 後 早 期 に適 切 な 治 療 が 開 始 され ね ば,
を示 す 菌 に よ る 菌 血 症 に対 して も,多 剤 に感 性 を
菌 血 症 性 シ ョ ック の合 併 な ど に よ り予 後 不 良 とな
示 す 菌 に よ る菌 血 症 に 対 して も,と も に ほ ぼ 同 じ
りや す い9).こ の 意 味 で,早 期 診 断 が 最 も重 要 で あ
治 療 成 績 が え られ た 事 実 か ら示 唆 され る.さ らに,
る.陰 圧 の血 液 培 養 瓶 は,使 用 に あ た って 通 気 の
血 清 群 の 違 い に よ る緑 膿 菌 の病 原 性 の 違 い も考 え
i操作 を 加 え な い と緑 膿 菌 の検 出が 遅 れ る こ とに注
られ て い な い うえ に,今 回 の調 査 で も,血 清 群 の
意 を要 す る4).
違 い に よ る菌 血 症 の 予 後 に差 は 認 め られ な か っ
単 菌 性 の緑 膿 菌 菌 血 症 の 治療 成 績 は,全 体 と し
て50%の1週
生 存 が み られ た に す ぎ な か った.し
た.そ
れ で,宿 主 側 要 因 が 緑 膿 菌 菌 血 症 の 治 療 成
績 を大 き く左 右 して い る こ とが 窺 わ れ た.
か し,原 因 菌 に有 効 な 抗 緑 膿 菌 作 用 を もつ β-ラク
菌 血 症 の 発 症 時 の顆 粒 球 減 少 とそ の 推 移 は,予
タ ム薬 の1∼2剤
と ア ミノ配 糖 体 薬 の併 用 は,67
∼75%の 治 療 効 果 を 示 し,そ うで な い 場 合 の30
後 に大 き な影 響 を 及 ぼ す 要 因 で あ っ た1)3)4)12).し
∼33%と
な顆 粒 球 減 少 に 合 併 す る傾 向 に あ っ た3)13)14).そ
れ
比 べ て,際 立 った 違 い を み せ た.し か し,
か も,予 後 の 悪 い多 菌 性 菌 血 症 は高 度 か つ 持 続 的
今 回 の調 査 で み られ た 抗 菌 薬 の投 与 量 の条 件 な い
で,顆 粒 球 数 の 回 復 が遷 延 す る場 合 の発 症,つ
し制 約 で は,原
り寛 解 導 入 療 法 の 開 始 直 後 で顆 粒 球 数 が まだ 最 低
因菌 に 有 効 な薬 剤 の2剤 併 用 を 予
め 行 っ て い た に もか か わ らず,血
ま
液培養 が陽性 と
値 に 達 す る ま え の 発 症 で は,当 然 な が ら予 後 不 良
な った 症 例 が 少 な か らず 認 め られ た7).投 与 さ れ
で あ る と予 想 され る.こ れ に 対 して,従 来 顆 粒 球
た 抗 菌 薬 に感 性 の 菌 が 血 中 か ら 分 離 さ れ た 場 合
輸 血 が 適 応 と され て きた が,最 近 で はgranulocyte
("breakthrough"
colony-stimulating
bacteremia10))に
は,抗 菌 薬 の
投 与 量 の過 少 が 関 与 して い た 可 能 性 を 否 定 しえ な
factor の投 与 も検 討 され て お
り,そ の 強 力 な顆 粒 球 増 加 作 用 が 確 か め られ て き
い10).ア ミノ配 糖 体 薬 の 増 量 は 副 作 用 の 点 か ら困
て い る15).また,今 回 の 調 査 で認 め な か った が,高
難 な ので,抗 緑膿 菌 活 性 の 強 い β-ラク ラ ム薬 の投
齢 者 の 菌 血 症 で は,低 蛋 白血 症 と菌 血 症 性 シ ョ ッ
与 量 の 増 大 が と りあ えず 必 要 に な る.こ
ク の発 現,さ
ラ ク タ ム薬 の1剤
の際,β-
で の十 分 な増 量 が制 約 を 受 け る
よ うな ら,理 論 的 な根 拠 が あ るわ け で も な い が,
らに は 発 症 時 低 体 温 との 関 係 が知 ら
れ て い る16).こ の こ とは,高
カ ロ リー輸 液 な どに
よ っ て,基 礎 疾 患 治療 中 の 栄 養 状 態 を 悪 化 させ な
拮 抗 関 係 が証 明 され な い か ぎ り,現 状 で は,β-ラ
い努 力 の 必 要 性 を示 唆 して い る4)12).他方,今 回 認
ク タ ム薬 の2剤
め られ た 低 γ-ダロ ブ リン血 症 と予 後 の 関 係 に つ
と ア ミノ配 糖 体 薬 に よ る3剤 併 用
も止 む を 得 な い こ とか も知 れ な い.も ち ろ ん,む
い て,そ の 意 義 は は っ き りし な い もの の,Tapper
や み な3剤 併 用 は 避 け る べ きで あ り,こ れ は十 分
ら17)も,血 清 免 疫 グ ロ ブ リン量 の低 下 が 予 後 に悪
量 の有 効 な2剤 併 用 中 に み られ た 血 液 培 養 の 陽 性
い 影 響 を及 ぼ す と述 べ て い る.最 近,緑
例 に 限 るべ きで あ ろ う.
に 対 す る 予 防 や 治 療 に お け る ワク チ ンや 高 度 免 疫
原 発 巣 か らみ た 予 後 は,諸 家 の 成 績2)11)と同 様
に,尿 路 原 発 の ほ うが 呼 吸器 原 発 よ り も良 好 な傾
向 に あ った.こ
平 成 元 年8月20日
れ に は,主 に 腎 排 泄 型 の 抗 生 剤 が
膿菌感染
グ ロブ リンの 有 用 性 や 限 界 が 次 第 に 明 らか に さ れ
て き て い る3).
こ の よ うに 考 え る と,予 後 を 左 右 す る宿 主 側 要
舟田
884
因 は,発 症 時 に お け る宿 主 の感 染 に対 す る抵 抗 力
な い し予 備 力 の尺 度 に 他 な らな い.そ
れ で,宿 主
側 要 因 の 改 善 が な け れ ば,抗 菌 薬 治 療 の 奏 効 を 期
待 で きな い とい って も過 言 で は な い.
謝辞:稿 を終えるにあた り,御 校 閲を賜 った順天堂大学
名誉教授,順 天堂大学医学部付属浦安病院病院長
小酒井
望先生に感謝いたします.
文
献
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第8号
血 液 疾 患 の緑 膿 菌 菌血 症 〔III〕
885
Pseudomonas aeruginosa Bacteremia Associated with Hematologic Disorders
[III] Prognostic Factors
Hisashi FUNADA, Toshihiko MACHI & Tamotsu MATSUDA
ProtectedEnvironmentUnit and The Third Departmentof Medicine,Kanazawa
UniversitySchoolof Medicine
We
reviewed
57
disorders
such
Survival
at one
better
in
vs
their
infection
with
total
4/25,
p<0.01).
serum
Patients
survival
or
two
least
without
any
at onset
in
vitro
therapy
It was
against
with
thus
in prognosis
effective
平 成 元 年8月20日
antibiotic
in
subsequent
to
pneumonia
bacteremia,
antibiotics
the
infecting
either
one
suggested
if only
that
efforts
treatment.
in
vitro
are
made
in those
infection
an
by
(4/8,
to
50%
or
bacteremia
did
in
resistance,
100/mm3
and
during
in patients
a
higher
22%).
(32%)
or
addition
regard
to
with
that
of 22
one
were
patients
inadequate
drugs
disorders
to early
vs
one-week
With
therapy
hematologic
in
(18/32
combination
seven
aminoglycoside
complicating
host
have
receiving
only
vs
patients
granulocytopenia
at least
vs 2/9,
aminoglycoside
so
(21/42
in
hypoproteinemia
of 20 patients
and
prognosis.
significantly
p<0.02),
p<0.001),
with
tended
bacteremia
was
marked
vs 4/13,
than
9/36,
more
(18/18
effective ƒÀ-lactam
to augment
with
hematologic
the
bacteremia
vs
increase
survived,
P. aeruginosa
(13/21
in those
with
on
Prognosis
polymicrobial
shock
14 (70%)
and
organism
episodes.
with
patients
especially
count
6.0 g/dl
by
55
in granulocyte
urogenital
followed
of the
with
than
increase
in
focusing
in those
those
100/mm3
of at least
of unimicrobial
39%
than
an
secondary
with
period,
in only
than
with
bacteremia
those
of at
anti-pseudomonal ƒÀ-lactam
(p<0.05).
and
shock
bacteremia
16-year
observed
patients
level
treatment
receiving
improve
protein
than
antibiotic
effective
in those
with
rate
in
a
bacteremia
without
at onset
p<0.01),
than
was
unimicrobial
count
12/44,
aeruginosa
during
onset
patients
granulocyte
(10/13
of Pseudomonas
leukemia
after
with
p<0.01),
with
episodes
acute
week
in patients
1/15,
the
as
may
diagnosis