平成27年度静岡県国民健康保険団体連合会事業計画 第1 基本方針 国民健康保険制度は、国民皆保険体制の基盤として重要な役割を担い、長きにわたり地 域医療の確保や地域住民の健康保持・増進に貢献してきた。 しかしながら、急速な高齢化の進展や医療の高度化などによる医療費の増嵩と社会情勢 の変化による被用者保険に加入できない非正規雇用者の増加など、構造上の問題を多く抱 え、国保の財政運営は一段と厳しさを増している。 このような厳しい状況下、 「プログラム法」の成立や「規制改革実施計画」の閣議決定に 基づき、医療保険制度の所要の整備が図られることとなり、社会保障審議会医療保険部会 や国保基盤強化協議会(国と地方の協議の場)で議論が進められている。 こうした中、社会保障制度改革推進本部が、平成27年度から保険者支援制度の拡充と して約1700億円の実施や、平成30年度から都道府県が国保の運営方針を定め、市町 村ごとの分賦金の決定及び保険給付費の支払いを実施し、市町村は保険料の徴収、資格管 理・保険給付の決定、保健事業などを実施する医療保険制度改革骨子を決定し、関連法案 を27年度通常国会に提出する予定としている。 一方、介護保険制度関係では、平成26年 6 月に介護保険制度と医療提供体制の改革を 一体的に進める「医療・介護総合確保推進法案」が成立し、要支援1・2向けの訪問介護 と通所介護の市町村事業への移行や低所得者の保険料軽減の拡充などの改正が平成27年 4月以降順次施行されることとなった。 また、平成27年度には、保険者におけるKDBシステムなどを活用したデータヘルス 計画の本格実践や対象を全医療費とする保険財政共同安定化事業の拡充が決まっており、 医療・介護改革に向けた様々な取り組みが進められていく。 本会としては、このような社会情勢や国の動向を注視しつつ、こうした変革に迅速かつ 適切に対応し、保険者の共同体としての責務を十分に果たせるよう、診療報酬及び介護給 付費の適正な審査支払はもとより、保険者共同処理事業など各種事業の円滑な運営に努め ていく。 また、手数料などの算定に当たっては、保険者の財政が一段と厳しさを増している状況 を踏まえ、業務の合理化・効率化を積極的に行い、引き続き健全な財政運営に努め、保険 者の付託に応えるものとする。 第2 事業運営の基本目標 1 会務運営の充実 医療保険制度を取り巻く状況の変化を的確に把握し、適切な対応に努めて国民健康保険 事業の安定運営に取り組む。 また、本会の業務運営の基本となる保険者からの負担金及び各種手数料については適正 な価格設定を行うとともに、財務の健全性と透明性を確保するため、複式簿記の更なる有 効活用や監査の充実により、適正な執行を確保する。 さらに、保険者環境の変化、多種・多様化する保険者ニーズを的確に捉え、より質の高 いサービスを提供するため、業務内容の一層の充実、改善に努める。 2 医療費適正化の推進 主要業務である診療報酬審査支払業務について、効率的な審査事務体制のもと電子レセ プトに対応した画面審査システムを活用し、事務共助や重点審査の充実に努める。 また、健保法の改正による審査支払機関の選択の自由化を踏まえ、審査委員会と事務共 助職員の連携強化、高額レセプトの専門的な事務点検、国保総合システムの導入により可 能となった、横覧・縦覧・突合点検のチェック項目の拡大などに積極的に取組み、より一 層の効果的・効率的な審査支払を目指す。 3 国保総合システムの安定運用 審査支払事務の効率化と保険者支援の充実を目的に、保険者事務の利便性の向上と利用 拡大に取り組む。 また、国民健康保険中央会で進めている次期国保総合システム及び新国保制度システム の設計に積極的に関わり、機能面、運用面、経費面の改善に努める。 4 保険者事務共同処理事業の推進 各種データの提供を保険者ネットワーク回線等の利用により、保険者事務の迅速化と効 率化を図り、一層の業務の安定化に努める。 5 国保制度の充実と財政運営 国保制度の改善と財政の安定を図るため、関係機関と協調して、新・国保3%推進運動 を促進し、県が策定した広域化等支援方針の取組みを積極的に支援する。 6 介護保険業務の円滑な実施 介護保険制度改正への適切な対応やインターネット請求の推進による業務の合理化など、 介護給付費の円滑な審査支払をはじめ、国の第3期適正化計画の指針に沿った保険者支援 に努めるとともに、保険者共同処理業務の充実及び関係機関との連絡調整を行い、介護業 務の一層の推進を図る。 また、障害者総合支援給付費等の支払及び保険料の年金からの特別徴収、高額医療合算 介護サービス費支給処理の円滑な実施に努める。 7 調査研究と情報提供等の充実 国保事業の安定的な運営に向けて、医療制度改革の動向や国保財政への影響及び医療費 の増加要因等を分析し、調査研究を行う。 また、保険者のニーズに応じた広報及び統計資料の作成、情報ネットワークを活用した 情報提供等の充実に努める。 8 保険者協議会と連携した保健事業の推進 本年4月からの法改正の方針に沿って、引き続き保険者協議会の健全な運営に努め、各 医療保険者の連携をもとに特定健診に係る受診率向上のための普及啓発及び円滑な実施の 支援を行う。 9 医療費分析システムの充実・強化 保険者と広域連合によるデータヘルス計画策定を支援するため、医療費分析システムと して新たに「国保データベース(KDB)システム(全国標準) 」を導入し、本県独自開発 の「しずおか茶っとシステム」と合わせて、 「保健事業支援・評価委員会」の機能を十分発 揮させ、保険者のニーズに応じた分析情報の提供と地域の健康状態の把握及び保健事業の 推進に努める。 10 特定健診・特定保健指導の推進への支援 保険者の実施計画に基づいた特定健診・特定保健指導の推進に関する支援・助言等を実 施し、また、健診結果などを基にしたフォローアップ事業を実施し、生活習慣病の重症化 予防に向けた支援を行う。 11 個人情報の保護とセキュリティ対策の強化 保険者におけるレセプト・健診情報などを活用した保健事業や国保・介護報酬の電子化 請求の推進を踏まえ、 「健診・保健指導」 、 「医療」 、 「介護」の各種データのセキュリティ対 策を一層強化し、個人情報保護の徹底を図るとともに、継続的な情報セキュリティ対策を 図る。 12 後期高齢者医療の円滑な審査支払 高齢化の進展や医療技術の向上などによる医療費の増嵩に適切に対応するため、広域連 合と連携し、審査支払業務及び事務代行業務の円滑な実施に努める。 13 保険者支援の強化 国保保険者並びに静岡県後期高齢者医療広域連合の事務処理負担の軽減及び効率化を図 るため、保険者からの委託により、レセプト二次点検、第三者行為疑いレセプトの抽出・ 調査及び書類作成事務(国保、後期) 、過誤調整業務(後期) 、柔整療養費適正化支援事務 を行うことにより、保険者における事務処理の効率化及び合理化を支援するとともに、未 委託保険者からの業務受託を目指す。
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