第4章 更新需要予測・財政収支見通し 第1章 熊取町水道事業ビジョンの概要 ↓ 第 2 章 PI 算 定 結 果 ↓ 第3章 前期目標施策の進捗・評価 ↓ 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 第4章 更新需要予測・財政収支見通し ↓ 第5章 新水道ビジョンに示される新しい施策 ↓ 第6章 後期目標期間における施策 55 第4章 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 4.1 更新需要予測 1)更新需要予測の手順 熊取町水道事業における更新需要について、水道ビジョン策定時、町独自で更新需要予測を算 定しましたが、その後厚生労働省からアセットマネジメント簡易ツール(以下、「簡易ツール」 という。)が示されたため、水道ビジョン見直しに併せて、現状の固定資産台帳を元に以下のと おり簡易ツールを用いて算定を行いました。 当初水道ビジョン 水道ビジョン見直し (簡易ツール) START START 投資実績 (名目) 固定資産台帳 投資実績 (名目) 投資実績 (実績) デフレータ 投資実績 (実績) ストック額 耐用年数 本町における固定資産の 法定耐用年数 除却額 更新需要の試算 ・建物 ・構築物 ・機械及び装置 ・車両及び運搬具 ・器具及び備品 ・ダム使用権 ・ソフトウェア : 10∼50年 : 5∼60年 : 2∼40年 3∼4年 : : 2∼15年 55年 : 5年 : 更新需要の試算 END END ※ デフレータ・・・・・過去の投資実績を現在価値に置き換えるための係数 ※ ストック額・・・・・耐用年数に到達していない残存している現在価値 ※ 法定耐用年数・・・・地方公営企業法施行規則で定められている耐用年数 56 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 2)取得価格実績 固定資産台帳に示されている、昭和40年度以降の各費目に関する取得価格(帳簿原価)を以 下のとおり算定し、概要のグラフを次ページに示します。 ◇ 昭和40年度から現在までの投資額(受贈財産含める)の合計は、124.9億円です。 ◇ 投資額の内訳は、構築物(構造物、配管等)で全体の86.9%(108.6億円)で最も 多く、次いで機械及び装置で5.3%(6.7億円)となっており、この2項目で約92% を占めています。 ◇ 昭和40年度以降、毎年の投資額の平均は2.55億円/年(124.9億円÷49年)です。 6.器具及び備品 51,197千円 0.4% 7.車両 4,553千円 0.1%未満 1.土地 521,976 千円 4.2% 2.建物 284,077 千円 2.3% 5.機械及び装置 (量水器) 109,123 千円 0.9% 4.機械及び装置 668,253 千円 5.3% 3.構築物 10,853,476 千円 86.9% 図4.1 投資額の集計(帳簿原価、比率) 57 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 1,500,000 車両 1,400,000 1,300,000 器具及び備品 機械及び装置(量水器) 機械及び装置 1,200,000 1,100,000 構築物 建物 土地 1,000,000 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 平均 : 2.55億円 200,000 100,000 0 S40 S41 S42 S43 S44 S45 S46 S47 S48 S49 S50 S51 S52 S53 S54 S55 S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 帳簿原価(千円) 900,000 取得年度 図4.2 取得年度ごとの帳簿原価内訳 58 S56:南海ニュータウン関係資産受贈 H15:つばさが丘関係資産受贈 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 3)現在価値への取得価格換算 将来の更新需要を推計するためには、過年度の取得価格を現在価値に置き換える必要がありま す。このことから、固定資産台帳に示される各年度の帳簿原価をデフレータで除して、現在価値 に換算します。 ◇ 各年度の投資額をそれぞれのデフレータで現在価値に換算すると、取得額の合計は 151.5億円となります。 ◇ 毎年の投資額の平均は3.09億円/年(151.5億円÷49年)となります。 1,500,000 1,400,000 車両 器具及び備品 1,300,000 機械及び装置(量水器) 機械及び装置 1,200,000 1,100,000 構築物 建物 土地 1,000,000 900,000 700,000 600,000 500,000 400,000 平均 : 3.09億円 300,000 200,000 100,000 0 S40 S41 S42 S43 S44 S45 S46 S47 S48 S49 S50 S51 S52 S53 S54 S55 S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 帳簿原価(千円) 800,000 取得年度 図4.3 取得年度ごとの現在価値内訳 59 S56:南海ニュータウン関係資産受贈 H15:つばさが丘関係資産受贈 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 4)更新需要予測 更新需要を予測するにあたっては、取得価格を現在価値に置き直し、更新サイクルの年数ごと に更新需要費として発生するものとしました。更新サイクルは通常、各費目ごとに設定された法 定耐用年数が基準となりますが、今回の見直しでは平成21年度の水道ビジョン策定時と同様に 本町における実績や他事業体の例を参考に法定耐用年数の1.5倍を更新サイクルとして予測を行 いました。 なお、土地については更新が発生しないので、更新需要予測から除外して考えます。 ◇ 平成26年度に更新需要が大きくなっているのは、平成26年度以前に更新時期を迎え ている施設等の更新がまとまって計上されているためです。 ◇ 今後50年間における更新需要は129.2億円であり、平均すると毎年2.6億円の更新 需要が発生する結果となりました。 ◇ 本予測は現存する資産と同じ規格で更新した場合の試算であり、現在の耐震基準に適 合させると今回の算定結果より更新需要費が膨らむことが想定されることから、精度 の向上が今後の課題となっています。 1,600,000 ビジョン計画期間 1,400,000 1,000,000 800,000 平準化が必要 600,000 400,000 平均 : 2.6億円 200,000 0 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 H39 H40 H41 H42 H43 H44 H45 H46 H47 H48 H49 H50 H51 H52 H53 H54 H55 H56 H57 H58 H59 H60 H61 H62 H63 H64 H65 H66 H67 H68 H69 H70 H71 H72 H73 H74 H75 更新需要費(千円) 1,200,000 図4.4 平成26年度以降50年間における更新需要費 60 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 4.2 財政収支見通し 4.1更新需要予測で予測した今後50年間の更新需要予測に基づき、施設更新を平準化して 行った場合の今後10年間の財政収支見通しを下表のとおり示します。 財政収支見通しにおいては水道ビジョン見直しに伴い、給水人口等の動向や平成26年度から の地方公営企業会計制度改正による影響等を反映させております。給水収益については、3.2 水需要実績による動向を踏まえ、実績に近い平成24年度に算定された国立社会保障・人口問題 研究所の推計値を用いた給水人口予測値により算出しています。 1)収益的収入 ◇ 給水収益が収益的収入の大部分を占めています。給水収益は、人口減少予測が緩やか な平成32度頃までは大きな変化はありませんが、徐々に減少する見通しとなってい ます。 ◇ 平成26年度からは、会計制度改正に伴い長期前受金戻入が発生することにより、収 益的収入が増える見通しになっています。長期前受金は受贈財産や資産の取得に伴い 交付された補助金等について、資産の減価償却や除却に対応して発生するため、施設 の更新や廃止に密接に関連します。 (千円) 1,200,000 実 績 予 測 1,000,000 特別利益 営業外収益 長期前受金戻入 その他営業収益 給水収益(料金収入) 800,000 600,000 400,000 200,000 0 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 図4.5 収益的収入内訳 61 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 2)収益的支出 ◇ 企業団からの受水費が収益的支出全体の約40∼50%と最も比率が高く、次いで減価 償却費の比率が約15∼30%と高くなっています。 ◇ 減価償却費が平成26年度より増加しているのは、会計制度の改正によりみなし償却 制度が廃止されたことによるものです。 ◇ 平成26年度については、南海受水・配水場の送水施設整備工事の完成、平成27年度 については永楽浄水場の休止に伴い、施設の除却が発生するため、他の年度よりもそ の他(除却費含む)が高くなっています。(永楽浄水場については経理上の除却また は減損処理を行う年度が未定のため、平成27年度で除却するものとして試算してい ます。) ◇ 実績、予測ともに、受水費と減価償却費を合わせると、概ね各年度における収益的支 出の約70%を占めることとなります。 (千円) 1,200,000 実 績 予 測 人件費 支払利息 受水費 1,000,000 維持管理費 減価償却費 その他(除却費含む) 800,000 600,000 400,000 200,000 0 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 図4.6 収益的支出内訳 62 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 3)収益的収支差引 ◇ 平成15年度以降は、収入>支出となっており、健全な状態が続いています。会計制 度改正により平成26年度からの収支差引にはプラスの影響がありますが、現行料金 では、黒字額は平成31年度より徐々に減少していく見通しです。 ◇ 会計制度改正に伴い、以前よりも現金収支を伴わない収支が増えており、収益的収支 は黒字でもキャッシュフローが悪化していくケースも十分に考えられます。このため、 今後はキャッシュフローの動向についても注視していく必要があります。 収支差引(千円) (千円) 1,200,000 240,000 実 績 予 測 収益的収入 収益的支出 収益的収支差引 1,000,000 200,000 800,000 160,000 600,000 120,000 400,000 80,000 200,000 40,000 0 0 H15 H16 H17H18 H19 H20 H21H22 H23 H24 H25 H26H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36H37 図4.7 収益的収支差引 63 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 4)資本的収入 ◇ 年度によって多少のバラつきはありますが、平成25年度までの資本的収入の平均は 毎年約1.4億円となっており、企業債や工事負担金(給水負担金や他事業の施工に伴 う配水管移設工事負担金など)が多くを占めています。 ◇ 平成26年度以降の主な資本的収入は、企業債及び工事負担金となっています。 (千円) 700,000 その他 工事負担金 600,000 他会計出資補助金 500,000 企業債 400,000 300,000 実 績 予 測 200,000 100,000 0 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 図4.8 資本的収入内訳 64 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 5)資本的支出 ◇ 年度によって増減はありますが、平成25年度までの資本的支出の平均は毎年約3.8億 円となっており、事業費(建設改良費)の平均は、約2.8億円/年となっています。 ◇ 事業費(建設改良費)については、平成32年度までは工事計画に基づく計画額を、 平成33年度以降は更新需要の算定結果を反映させ、平均更新需要2.6億円に改良費等 0.5億円を加えた3.1億円で試算しています。 ◇ 今後の更新需要の予測については、より精度を高めていけるよう算定方法の改善を続 けていく必要があります。 (千円) 700,000 企業債償還金 事業費(建設改良費) 600,000 実 績 予 測 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 図4.9 資本的支出内訳 65 第4章 更新需要予測・財政収支見通し 6)資本的収支差引 ◇ 今後の見通しについては、事業費(建設改良費)に毎年約3.1億円の支出が発生し、 企業債償還金を含めると毎年2.5億円程度の資本的収支不足が予測されます。 ◇ 資本的収支不足額は、損益勘定留保資金や減債積立金等の補填財源により補填するこ ととなりますが、会計制度改正により現金収入が伴わない収入が発生するため、補填 財源の残高について注視していく必要があります。 (千円) 750,000 実 績 予 測 500,000 250,000 0 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 (250,000) (500,000) 資本的収入 資本的支出 資本的収支差引 (750,000) 図4.10 資本的収支差引 66
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