色や模様のついた面にちゃん と映す! 色補正のメカニズム

第3部
第
10 章 アイディア次第で使える度 UP!
色や模様のついた面にちゃん
と映す! 色補正のメカニズム
岩井 大輔,佐藤 宏介
カメラ
プロジェクタ
ここに画像
を投影する
写真 1 色補正の実験に使う装置
パソコン
(ヒューレット・パッカード)
1/2.5inch USBカメラ
FL3-U3-88S2C-C
(Point Grey)
カメラ
スクリーン上
の色情報を画
素ごとに取得
プロジェクタ
アナログ
VGA
EMP-1715
(エプソン)
プロジェクタとカメ
ラの画素対応計算
投影
画素ごとの
補正データ
生成
投影画像に
補正データ
を足し込む
OS:Windows 7 64ビット
CPU:Core i7-960 3.2GHz
RAM:12Gバイト
開発環境:Visual Studio 2010 Ultimate
図 1 色補正システムの構成
● なぜ色補正が必要か
プロジェクタが投影対象とするものの表面は白色で
なかったり,模様が付いていたりします.このような
ものの表面に画像や映像を投影すると,投影対象の色
や模様と混合し,所望の色を表示できません.そこで
本章では,投影対象の色や模様の影響をキャンセル
し,あたかも白色のスクリーンに投影したかのように
映像を表示する方法を紹介します(写真 1,図 1).
2015 年 5 月号
色補正技術の特徴
望みの色を表示するための色補正は,あらゆるディ
スプレイに必要な技術であり,プロジェクタに対して
も広く普及している技術です.ここでは,本章で紹介
する色補正技術が,こういった一般的な方法とどのよ
うに異なり,なぜ必要であるのかを説明します.
● 一般的な方式:テスト・パターンを投影し光セ
ンサで計測
市販のプロジェクタには,壁色補正と呼ばれる機能
が搭載されているものがあります.この機能は,プロ
ジェクタから複数の単一色パターンを投影し,その反
射色をプロジェクタに内蔵されている光センサを用い
て計測することで,プロジェクタの色空間を補正しま
す.これにより投影色を補正し,あたかも白色の壁に
映像が投影されたかのように表示します.
ここで用いられる光センサは,一般的に空間解像度
が低い(ほとんどの場合,1 画素とみなして良い)ため,
投影対象に模様がなく,全体が同じ色であれば色補正
は比較的うまく働きますが,細かな模様が付いている
ような投影対象の場合は適切に補正できません.
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