マーケット展望 「地方創生特区」が選定、活性化問われる地方経済;pdf

マーケットウィークリー・820号
2015.3.20
マーケット展望 緩和マネーの流入期待高まる日本株市場
作成者:奥村義弘
日本株は高値を
追う展開
13日の日経平均株価は、FRBが利上げを急がないという見方が広
がり反発したNY株式市場の流れを受けて、1万9,000円台に乗せて始
まった。その後も「円安→企業業績の好調→賃上げ→消費増」の好循
環期待を背景に高値圏で推移した。13日の終値は1万9,254.25円。さす
がに上昇ピッチの速さは気になるが、持たざるリスクも高まり、先高
期待は強い。3月末には2万円という声も増えてきそうだ。
好調な欧州株、日
本株
このところドル高を材料に、先進国市場では欧州株や日本株の上昇
が顕著である。ドル高は米国の経済ファンダメンタルズが強いことを
示すものであるが、米国の長期金利上昇の動きなどをみると政策転換
点が近づいていることを示唆している。3月18日のFOMC声明文で
「忍耐強く」という表現の取り扱いが話題となるなど神経質な動きを
示している。ただ現状の米国の企業業績、消費や景況感を見る限り力
強さに欠ける。利上げに向けてはまだ慎重な判断がされるというのが
大方の見方だろう。米国市場は利益確定売りに押される局面もあるが
高値圏を維持するものと考える。米国と金融政策の方向感が異なる、
量的緩和を始めたECBの欧州、日銀の異次元緩和が続く日本は、景
気回復期待も強まっており、変化を買う緩和マネーの投資先として魅
力的に映っているようだ。
クローズアップ
される年金資金
日本の株式需給面では信託銀行を通じた年金の買いがクローズアッ
プされている。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の公表
資料をみると、安定重視の国内債券中心の運用から、資産運用を多様
化し、効率性を高めようとしている様子がうかがえる。外債や外国株
の購入が進められており、ドル高円安要因につながっていると言われ
る。また、国内株の良好な運用結果もあり、国内株式のウエイトは14.3
末の16.5%から14.12末には19.8%に高まった。総資産137兆円、ウエ
イト25%で逆算すると、まだ7兆円強の買い余力があるという計算にな
る。この他、国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済
組合連合会、かんぽ生命保険など公的資金の買いが期待できる状況は
当面続きそうだ。
海外投資家の買
いはまだ短期資
金中心
投資主体別の売買動向をみると、これまで日本株を買い続けてきた
GPIFを中心とする年金資金や日銀のETF買いに加えて、海外投
資家が買い主体に復帰してきたことも支援材料である。ただ、海外投
資家の先物の売買動向を反映する裁定取引に伴うネット買いポジショ
ンの動きを見る限り、短期筋が割安感の強まった日本に資金を振り向
けてきている様子が推測できる。ポジション解消リスクも高まってお
り、株価変動の大きさには注意したい。
日本企業の変化
への注目も高ま
る
一方、現物株の海外投資の買い越しも2月中旬以降、3月第1週まで4
週連続で続いている。ロングポジションの海外投資家の資金流入に期
待するには、円安や原油安効果などによる短期的な景況の改善以外に
も、構造改革や成長戦略などの具体的な政策で変化する日本の姿を示
す必要があろう。幸い最近の日本株にはガバナンスの改善やROEの
向上、株主還元など株主の目線を意識した経営が増えてきた。来期の
収益計画の公表が相次ぐ4月に向けて、好循環の継続を期待したい。
マーケットウィークリー・820号
2015.3.20
◇先進国株価の推移(14.10.30=100)
129.5
121.3
3/29
1.40
90
1.30
95
1.20
100
1.10
105
1.00
110
ドル/円 終値レンジ 下限(東京)左目盛
0.80
120
ユーロ/ドル 終値レンジ 下限(東京)右目盛
0.70
125
0.60
14/1 14/3 14/5 14/7 14/9 14/11 15/1 15/3
(注1)直近は15年3月12日
(出所)Quick Astra Manager より CAM作成
(注)直近は15年3月12日
(出所)Quick Astra Manager より CAM作成
13,000
(注1)売買動向は3月第1週(3/2-3/6)まで、日経平均株価の直近は3月12日終値
(注2)日経平均株価は週足、売買動向は二市場差引き(東証調べ)
3,000
2,000
1,000
0
▲ 1,000
▲ 2,000
▲ 3,000
▲ 4,000
▲ 5,000
▲ 6,000
◇二市場売買状況(信託、差引)
(注)15年3月第1週(3/2-3/6)まで
(出所)Quick Astra Manager より CAM作成
3,000
2,000
1,000
0
▲ 1,000
▲ 2,000
▲ 3,000
▲ 4,000
▲ 5,000
▲ 6,000
◇年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
の資産運用構成比
14.3
末
14.6
末
14.9
末
14.12
末
資産規模(兆円) 126.6
乖離
許容幅
127.3
130.9
137.0
-
-
国内債券
55.4
53.4
49.6
43.1
35.0
±10
成
国内株式
16.5
17.3
18.2
19.8
25.0
±9
比
外国債券
11.1
11.1
12.1
13.1
15.0
±4
%
外国株式
15.6
16.0
17.4
19.6
25.0
±8
短期資産
1.5
2.3
2.6
4.3
-
-
(出所)GPIF公表資料よりCAM作成
◇主要株価指数の推移(14.12.30=100)
114
112
110
日経平均株価
108
TOPIX
106
JPX400
104
102
100
98
(注)15年3月第1週(3/2-3/6)まで
(出所)Quick Astra Manager より CAM 作成
基本
ポート
フォリオ
構
◇二市場売買状況(事業法人、差引)
13/1/5
13/2/16
13/3/30
13/5/11
13/6/22
13/8/3
13/9/14
13/10/26
13/12/7
14/1/18
14/3/1
14/4/12
14/5/24
14/7/5
14/8/16
14/9/27
14/11/8
14/12/20
15/1/31
億円
(注)ネット買いポジション=裁定取引に伴う現物株の「買いポジション」-「売りポジション」
(出所)Quick Astra Manager より CAM作成
区分
13/1/5
13/2/16
13/3/30
13/5/11
13/6/22
13/8/3
13/9/14
13/10/26
13/12/7
14/1/18
14/3/1
14/4/12
14/5/24
14/7/5
14/8/16
14/9/27
14/11/8
14/12/20
15/1/31
億円
15/3
12,000
14/1
5,000
14,000
15/2
7,000
15,000
15/1
9,000
16,000
14/12
11,000
17,000
14/11
13,000
裁定取引に伴う現物株ネット買いポジション
14/9
15,000
32
30
28
26
24
22
20
18
16
14
12
18,000
14/10
17,000
(億株)
日経平均株価
19,000
14/8
日経平均株価
◇日経平均株価と裁定取引に伴う現物株ネット買いポジション
(円)
20,000
14/7
19,000
(億円)
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
▲ 2,000
▲ 4,000
▲ 6,000
▲ 8,000
▲ 10,000
14/6
海外投資家
14/5
◇日経平均株価と海外投資家の売買動向
21,000
0.90
115
14/4
3/9
3/19
2/27
2/7
2/17
1/28
1/8
1/18
12/29
12/9
12/19
11/29
11/9
11/19
10/30
104.1
ユーロ/ドル
1.50
85
14/3
NYダウ
日経平均株価
独DAX
(円)
◇為替相場の推移(対ドル)
ドル/円
80
14/2
140
135
130
125
120
115
110
105
100
95
90
96
94
(注)直近は15年3月13日
(出所)Quick Astra Manager より CAM作成