卒業式にあたってを掲載しました。

式辞
厳しい冬の寒さにも終わりをつげ、校庭の木々にも新芽が伸びは
じめ、春の息吹が感じられるようになりました。
本日ここに、平成26年度宇治市立西大久保小学校第45回卒業
証書授与式を開催するにあたり、宇治市教育委員会教育支援課学
校教育指導主事様、本校育友会会長様をはじめ、多数のご来賓の
みなさまのご臨席を賜りましたことに、高いところからではござ
いますが厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございます。
卒業生は、在校生の手本として、西大久保小学校の先頭に立って下級生を導き、西大久保小学校
の良き伝統と校風を守り育ててくれました。今日のこの立派な姿をご覧ください。そして、卒業し
ても西大久保の子どもとして、温かく、時には厳しくご指導いただくことをお願い申し上げます。
保護者の皆様、お子様のご卒業心よりお祝い申し上げます。本日は誠におめでとうございます。
小さな体に大きなカバンを背負って入学してから早や六年。卒業証書を受け取り、立派に巣立つ
我が子の姿に、どんなにかお喜びのことと存じます。
これまで本校の教育に対しまして、深いご理解と多くのご支援をいただきましたこと、心より御
礼申し上げます。
そのお子様も、いよいよ中学生です。この年代は、心身の成長ともに著しく、楽しみの多い反面、
心悩ますこともあるかと思います。どうぞ、これからも希望をもって人生を歩んでいけるように温
かく見守り、導いていただきたいと思います。
さて、55 名の卒業生のみなさん、あらためて、卒業おめでとございます。
ただいま、みなさん一人一人に卒業証書をお渡ししました。
この卒業証書には、みなさんが西大久保小学校の6年間で、学んだことや楽しかったことつらか
ったことなど様々な思い出がすべて刻み込まれています。
また、みなさんを支えてくれた、家族、先生、下級生そして地域の方々の温かい思いもこめられ
ています。どうか、大切にするとともに感謝の気持ちを忘れないでください。
そんな皆さんも四月からは中学生です。中学生として一番大事なことは、誰かが教えてくれるの
を待つのではなく、自分から進んで「学ぶ」事だと思います。この学ぶとはもちろん勉強のことだ
けではありません。
では、自分から進んで「学ぶ」ために大切なものは何でしょうか。それは「夢」だと思います。
ここで、ある小学校6年生が文集に書いた「僕の夢」という作文の一部を紹介します。
「ぼくはテニスのラリーが長く激しく続くところが好きです。いろいろなコースに打ち分け、深
く打ったり短く打ったりします。チャンスボールがきた時、強いボールを打つのが好きです。決ま
った時はすごく気持ちがいいです。このショットがいつも打てるように練習していきたいです。夢
は世界チャンピオンになることです。夢に向かって一歩一歩がんばっていきます。」
体も小さく泣き虫だった6年生は、その後、夢の実現にために、13 歳でアメリカに渡り、多く
の試練に耐え努力を積み重ねてきました。今日の試合では勝つことはできませんでしたが、今、作
文にあるプレースタイルで世界ランキング 5 位という位置で世界を相手に大活躍しています。そ
う、みなさんはもう気が付いたかもしれませんが、これは、テニスの錦織圭選手の作文です。
他にもイチロー選手や本田圭介選手の作文が有名です。彼らに共通することは、小学校時代から
「明確な夢」を持ち、それを『実現可能な目標』に替え、夢を励みとしながら努力を積み重ねてい
ることです。
また、今年のNHK大河ドラマの主人公杉文の兄で幕末の学者吉田松陰は、このような言葉を残
しています。「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者
に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」
そして、彼の教えを受けた若者たちが、明治維新の中心となって新しい日本をつくったのです。
やはり「夢」は、大きな力を持っています。
たとえ、どんなに生活が豊かであろうとも、明日や将来への夢がなければ、きっとつまらない毎
日になるでしょう。
あるいは、どんなに辛く苦しい時でも、将来の夢が描けるなら、きっと頑張り続けることができ
るはずです。
「朝のこない夜はない」し、
「春のこない冬もない」のです。
「明日はこうしよう」
「い
つかは、そうなりたい」という気持ちそのものが、夢であり希望であるのです。目標、こころざし、
あこがれ、理想と言ってもいいでしょう。
先ほどの証書渡しの際に、皆さん一人一人の「卒業の決意」を聞かせてもらいました。これもま
さしく皆さんの「夢」「目標」「こころざし」であると思います。
夢は、成長とともに変わっていきます。是非、夢を持ち続け大きな夢を育んでほしいと思います。
もちろん、
「夢」を持っているだけでは、夢は実現できません。
先にも紹介したように、
「夢」を「理想」
「実現可能な目標」に替え、その実現のための計画を立
て、実現するように努力する必要があります。「夢は見るものではなく、叶えるもの」なのです。
小学校の作文で書いたことが、実現できるのは一握りの人たちなのかもしれません。
しかしながら、スポーツでもそれ以外の分野でも、自分の将来に「夢」を持ち、その実現に向け
て多くの人が努力しています。
先人は、「努力に勝る天才なし」と教えてくれています。たとえ、素晴らしい能力や素質があっ
たとしても、努力なしには、結果を残すことはできません。
努力の成果は、すぐには表れないかも知れませんが、確実に積み上がっていくはずです。小学校
で学んだ基礎の上に、中学校で学ぶことを積み上げていってください。描いた夢と結果は違うかも
しれませんが、いつの日か、必ずそれが目に見える成果となって表れるはずです。それがいつの日
になるのかは、誰にもわかりませんが、地道な努力こそが、夢の実現に至るただ一つの道なのです。
そのように努力する皆さんを、家族、地域の皆さん、学校の先生方は、必ずや応援し、支えてく
れるはずです。少々の苦難や失敗を恐れることはありません。そうした苦難や失敗は、皆さんをい
っそう強くたくましくしてくれるはずです。
後ろに控えている 4 年生・5年生も、皆さんのそんな姿を見て、きっと、後に続いてくれるこ
とでしょう。西大久保小学校のことは、4 年生・5年生がしっかり後を継いでくれます。安心して
任せてください。
さあ、6年生のみなさん、この懐かしい校舎とも今日でお別れです。自分の夢に向かって、胸を
張って力強く第一歩を踏み出してください。
以上を持ちまして式辞といたします。
平成 27 年3月 19 日
宇治市立西大久保小学校
校長
濱野
俊朗