「学生の意識を高める統計学教育の試み」 松野 純男(近畿大学薬学部) 近畿大学薬学部では、 2 年次および 3 年次に統計学の講義が開講されており、 両学年を通じて薬学に必要な統計学の内容を学ぶとともに、ソフトウェアを用 いた解析手法の習得を行う。しかしながら、多くの学生は「統計」や「計算」 に苦手意識を持っており、これらを克服しながら実践で使える統計解析手法を 習得する必要がある。 講義は前半でそれぞれの統計手法に関する内容を講義したのち、例題データ を提示して解析を行う形態をとる。さらに Moodle を用いて数回のレポート演習 を課している。 「統計学」という講義の性質上、本レポート課題はオンライン提 出を義務づけ、締切日まで繰り返し再提出可能とした。この際、期日前に提出 された課題に対して Moodle 上の課題に対する「フィードバック」(図 1)を用 いてコメントを返却し、レポートの 不備を解説して再提出を促した。こ のようなフィードバックの繰り返 しによって、学生は自分の理解の不 足している部分を実感し、レポート 回数を重ねるごとに統計学に関す る理解の深化が認められた。 最終的な到達度の確認として、成 図 1 Moodle の「フィードバック」を用いた学生へのコメント 績評価と授業アンケートの解析を行った。2014 年度受講生の成績は 76.3±14.8 点(平均±標準偏差)と概ね良好 であった。また、授業評価アンケ ートでの講義に対する満足度(10 段階)も平均 8.4 点(最頻値 8 点) と学生の満足度も高かった。また、 クラスター分析を行ったところ、 学生が授業を高評価している群 と低評価群の 2 群に分類された 図 2 授業アンケートのクラスター分析結果 (図 2)。今後は低評価群の割合をさらに減らす工夫が必要である。
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