季刊誌「センターニュースvol.37」発行

京都府難病
お問い合わせ先
平成 27 年 2 月
相談・支援センター
第 37 号
京都市右京区鳴滝音戸山町 8 国立病院機構宇多野病院内
TEL:075-461-5148・5154
FAX:075-461-5163
URL:http://www.pref616kyoto-nanbyoucenter.jp
センターニュース
水田センター長より
2 月最終日(今年は 28 日土曜日)は「難病の日」とされてい
ます。世界中で難病に関する啓蒙活動が行われます。京都でも
イベントが行われる予定ですので、皆様お立ち寄りください。
平成 27 年 1 月より難病の新しい法律が施行されました。対象疾
患の選定、その他省令など中身がまだ整っていませんが、徐々
に整いつつあります。難病相談・支援センターのあり方も今後
変わってくるかもしれません。いろいろと変化することがあっ
ても、まずは一般の方に難病についての理解が深まることが必
「羊にまたがっております。
」
要であると考えています。
事業報告
26 年度も後半になり、センターの事業計画「難病医療ネットワーク支援」として個別療養支援等
を行う中で多くの医療機関・行政機関・介護保険機関・障害者支援機関・介護、障害サービス事業
所関係等の方々との連携をさせていただきました。難病の啓蒙という立場で各地域の事業所、支援
団体等での研修会講師、又将来の支援者育成のために大学での講師活動も多くさせていただき、
「企
画事業」も関係機関との共催で計 12 回開催しました。
昨年、障害者総合支援法に難病が入り、今年難病対策事業が難病新法として法律化され、難病を
取り巻く社会資源も大きく変化してきている状況の中、現場の方々に難病と難病患者さんたちを理
解していただけるように病診連携、難病ネットワークの充実のためセンターも支援していきたいと
思います。
就労支援報告
11 月に第 2 回日本難病医療ネットワーク学会学術集会(鹿児島)で「難
病者の就労支援における医療・労働機関の役割」について、また 12 月には
第 22 回職業リハビリテーション研究・実践発表会(東京)で「難病者の就
労支援に向けたアセスメントのあり方に関する一考察~京都障害者職業セ
ンターとの連携による就労支援~」を京都障害者職業センターと同じケース
の方の支援方法や課題について、それぞれの立場から発表を行いました。
日本難病医療ネットワーク学会学術集会では難病に関する医療・福祉・保健
機関の専門職の方々が多く参加され、職業リハビリテーション研究・実践発
表会では障害のある方への就労支援の専門職の方々が多く参加されていま
した。
難病のある方への就労支援はこの医療・労働機関における専門職の方々の
支援が必要です。まだまだどちらの学会や研究会でも「難病者の就労支援」
は多く発表されているものではないですが、少しずつでも上手くいったこ
とや、課題がまだまだあることなど伝えていきたいと思います。
講演会報告
10 月 4 日/12 月 7 日:iPS 細胞を用いたパーキンソン病治療
10 月 4 日アスピアやましろホールにて山城南保健所との共催で京
都大学 iPS 細胞研究所教授
高橋淳先生をお招きして講演会を行いま
した。患者さんとご家族で計 286 名の参加がありました。
12 月7日京都府総合教育センター北部研修所にて京都府中丹西、東
保健所との共催で京都府北部地域の患者さん・ご家族・関係者を対象
にした医療講演会を行いました。
125 名の参加をいただき「iPS 細胞だけでは治らないことが分かった。」
「iPS 細胞による移植治
療の研究が進んでいること、希望の持てる話であることが理解できてうれしく思いました。
」
「出
来るだけ早期に移植での治療ができることを望みます。そのタイミングには時期があるのできち
んと診断していただきたいと願います。
」
「人に実践されることがすぐそこまで来ているようで嬉
しく患者にも希望と励ましを持ってサポートしていきたい。しかし最後まで講演を聞いていると
希望と失望も感じます。
」との声をいただき、多くの参加者皆さんの思いが伝わりました。
11 月 1 日:第 3 回パーキンソン病の在宅ケア症例検討会
~今まで語られなかった事実を取り上げる~
11 月 1 日
NPO 法人パーキンソン病支援センターとの共催で
ひとまち交流館京都にて 36 名の介護支援専門員・保健師・リハ
ビリ療法士の参加をいただき、パーキンソン病患者さんの非運動性
症状の事例を中心にディスカッションを行いました。「事例を通して
いろいろな方向へ検討できた会だと思います」「普段聴けないリハビ
リや医療の話や色々なアイデア、サービスの利用が聞けた」
「テーマ
に沿った意見交換はイメージしやすかった」
「先輩 CM の意見をたくさん聞かせていただき勉強
になった」
「現場の CM さんや関係者の方々が手探りながら努力されていることがわかり、一緒
だなあと心強く思う」「非運動症状が QOL を下げる事をもっと本人家族に聞き取れるようにし
ていきたい。目に見えない症状に心配りが足らなかった事に気付きました」との声をいただき
ました。
「リハビリの制度については難しかった。グレイゾーンのような部分が利用する際には
確認が必要と思う。迷う部分がある」という意見の様にリハビリの制度など不明な部分での課
題も出されました。上記の感想が参加者の皆さんの気付きになり今後の支援や知識として活か
していただければと思います。
12 月 13 日:第 4 回京都人工呼吸ケア南部勉強会
12 月に京都在宅人工 呼吸療法従事者会、フクダライフテック京 滋株式会社と共催で
今年度も南部地域における「第 4 回京都人工呼吸ケア南部勉強会」を開催しました。
訪問看護師さんやセラピストの先生方など 30 名の方々にご参加いただきました。内容は「急性
期病院における口腔ケア」を宇治徳洲会病院 歯科口腔外科部長 中村亨先生、
「ミトコンドリ
ア脳筋症を持つ方への摂食嚥下訓練」を宇治徳洲会病院
摂食・嚥下障害看護認定看護師
岡田裕子先生、
「呼吸リハビリテーションにおける酸素療法と換気補助」については国立病院機
構南京都病院
呼吸器科
坪井知正先生にお願いしました。特別講演では「在宅で出来る呼吸
リハビリテーション」を兵庫医療大学
リハビリテーション学部理学療法学科
玉木彰先生に
講演をしていただきました。後半には玉木先生によるハンズオンレクチャーで実際の呼吸リハ
ビリの実技を教えていただきました。参加されていた方々は関わっておられる患者さんを思い
浮かべられながら、具体的な方法など真剣な表情で取り組んでおられました。
ボランティア育成報告
日時
講演名等
参加人数
11 月 1 日(土)
パーキンソン病の在宅ケア症例検討会
3名
12 月 4/5 日(金・土)
第 3 回リハビリテーション福祉用具・機器展
2名
12 月 7 日(日)
iPS 細胞も用いたパーキンソン病治療
1名
『2 月 28 日:レアディジーズデイ ~世界希少・難治性疾患の日~』
現在、京都ではレアディジーズデイに向け
て準備をしているところです。
今回は「世界希少・難治性疾患の日を市民の
皆さんに広く知ってもらいたい、難病を持ち
ながら同じ地域で暮らしている人のことを
理解してほしい、独りぼっちで悩んでいる人
がないよう仲間がいることを伝えたい。」と
いう思いから、京都難病連さんを中心に、公
共の広場にて開催することになりました。
メインイベントとして、ヤッサンの紙芝居
一座さんのご協力のもと「難病紙芝居」を
行います。その様子は Ustream 等を使い東
京会場と中継する予定にもなっています。
会場はゼスト御池
御幸町
広場にて 11~15 時の間に開
催します。ご興味ある方は是
非ご参加ください。
平成 26 年度は他の難病センターの活動を
各難病センターの特色
紹介します。このコラムを通して各センタ
ー間の連携を深めると共に情報を共有し
【第 4 回 鳥取県難病相談・支援センター 】
より良い患者さんへの支援を目指します。
愛知県から金色のバトンを受け取り、すっかり雪化粧で白くなった中国地方最高峰の大
山、別名“伯耆富士”の麓からからコラムをお送りいたします。
鳥取県難病相談・支援センター(以下難病センター)は県西部に位置する米子市にある
鳥取大学医学部附属病院(以下鳥大病院)が運営を行っており、平成 17 年の開設から今年
で 10 年目を迎えます。難病センターでは県の難病医療拠点病院でもある鳥大病院、難病セ
ンターと同じく鳥大病院が県から事業を受託している難病医療連絡協議会(以下難病協議
会)と協力し、難病患者支援にあたって相互連携のもと業務にあたっています。
大学病院の中にある難病相談・支援センターの特徴としては、大学病院の診療科、特に
神経内科との緊密な連携が挙げられます。新たに難病の診断が下された患者さんがいた場
合、病名告知に同席する場合や、難病が疑われている外来患者さんへの相談など、診断初
期から医師からの依頼によって相談を受けるケースも多くあります。また、鳥大病院以外
の病院にかかっておられる患者さんからも相談を受けています。
相談業務以外の活動では、難病協議会や鳥大病院の神経内科、県内外で活動する患者会
等と協力し、医療講演会や医療従事者向け研修会、患者交流会などを開催してきました。
現在難病センターは相談員1名、事務員1名で業務を行っているため、催しの多くについ
ては他の組織との協力によって開催しています。
その他、難病患者の生活に関するアンケート調査や患者同士の交流や療養生活を目的と
した、
「とっとり花回廊」での交流会なども行っており、後者については学生ボランティア
や大学病院看護師、リハビリスタッフ等にも協力を受けています。毎回県西部の医療機関
から医師や理学療法士、作業療法士などに難病患者の療養生活に関するテーマで講演をし
ていただき、参加者、スタッフの両者から好評を頂いています。
難病センターの今後の課題としては、指定難病の増加などにより県内に新たな患者会を
発足したいという意見や、希少な難病患者同士での交流会を開催する支援をして欲しいと
いう要望など、より多くの疾患患者に対する支援が求められている点が挙げられます。こ
の課題に対しては、医療機関や保健所、患者会等、異なる役割を持つ組織と連携しつつ、
支援の輪を広げていきたいと考えています。
以上鳥取県難病相談・支援センターの紹介でした。これまで 3 つの道県からバトンをつ
ないできましたが、今回の鳥取県からのコラムをもってゴールとなります。お読みいただ
き、ありがとうございました。
【写真】
左:花回廊のつどい
右:鳥取砂丘