「身体拘束」問題についてのご報告

2015 年 3 月 9 日
患者様・利用者様・ご家族様および関係者の皆様
「身体拘束」問題についてのご報告
1.東京都勧告および東京都北区指導の概要
2015 年 2 月 17 日 、東 京 都 よ り 、当 法 人 が 運 営 す る「 西 が 丘 居 宅 介 護 支 援 事 業 所 」お よ
び 「 西 が 丘 訪 問 介 護 事 業 所 」 に 対 し て 、「 医 師 の 指 示 と は い え 、 身 体 拘 束 を 行 う に は 、 介
護支援専門員(ケアマネジャー)および訪問介護事業者(ヘルパー事業所)ともに、居
宅サービス計画(ケアプラン)の作成および訪問介護の提供において慎重に検討するな
どに努めなければならない」旨の勧告がなされました。
ま た 同 日 、東 京 都 北 区 よ り 、上 記 の 身 体 拘 束 が 、20 人 の 患 者 様・利 用 者 様 に つ い て「 高
齢 者 虐 待 」に 該 当 す る と の 判 断 が な さ れ 、3 月 6 日 に は さ ら に 75 人 が 追 加 さ れ 、計 95 人
の患者様・利用者様に拡大することとなりました。
2.当法人の見解
当法人としては、当法人が行っている身体拘束について、かねてより、上記事業所の
介護サービスを利用している患者様・利用者様の心身状況等に鑑み、その生命・身体を
保護するために必要やむを得ないと医師が判断し、医師法に基づいて、家族または家族
の代わりとなる訪問介護員(ヘルパー)に指示して行わせているものであって、特別養
護老人ホームなどの介護施設等の従事者が自らの判断に基づいて行なう身体拘束とは性
格を異にする、と主張してまいりました。
当法人の主張は、東京都の勧告においては一定のご理解をいただけたものの、東京都
北区の判断においては全面的に無視されたという結果になりました。
3.東京都勧告への対応
まず、東京都の勧告について、実際にはすでに、医師は介護支援専門員(ケアマネジ
ャ ー )・ 訪 問 介 護 員 ( ヘ ル パ ー )・ 看 護 職 員 ・ 医 療 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー 等 と の 綿 密 な 協 議
のもとで身体拘束の判断を行ってきたのですが、居宅サービス計画(ケアプラン)にそ
の記載がない、訪問介護事業者がその協議を記録していないなどの不備が指摘されたも
のと考えており、これについては、即刻改善することといたしました。
4.東京都北区の判断および協議の経緯
一 方 、 東 京 都 北 区 と は 、 昨 年 12 月 20 日 お よ び 本 年 1 月 12 日 に 協 議 を 行 い 、 上 記 2 の
見 解 を 繰 り 返 し 主 張 し て き た の で す が 、2 月 17 日 以 降 の「 高 齢 者 虐 待 」判 断 は 、患 者 様 ・
利 用 者 様 の 心 身 状 況 や 医 師 の 判 断 の 適 切 性 を ま っ た く 斟 酌 す る こ と な く 、「 身 体 拘 束 を 行
っている」との外形的な事実のみに依拠した不当な判断だと考えております。
東京都北区が「高齢者虐待」と判断した通知書には、身体拘束を行っている患者様・
利 用 者 様 の 全 員 に つ い て 、「 常 時 本 人 の 意 思 を 以 っ て ○ ○ ○ ○ が で き ず 、 こ れ を 正 当 化 す
る事情も認められないため」という定型文が等しく列挙されているだけであって、患者
様・利用者様お一人お一人の心身状況や医師の判断にはまったく言及されていません。
また、一部報道には「介護記録などを調べていた」とありますが、医師の判断が記録
されている診療録(カルテ)やその根拠となる看護記録などについては、当法人が提出
の準備をしていたにもかかわらず、これまで一切調査されておりません。
なお、上記協議の過程で、東京都北区健康福祉部高齢福祉課長・同介護保険課長等か
ら 「 ベ ッ ド を 壁 に 付 け て 4 点 柵 を 2 点 柵 に 変 更 し て は い か が か ? 」、「 身 体 拘 束 を 廃 止 し
て『けがをしてもかまいません』旨の同意書を取ったらいかがか?」などと、耳を疑う
ような発言を聞くにつけ、本件について、このまま東京都北区と協議を続け、そのご指
導に従うことは「医道の倫理」に反するばかりでなく、患者様・利用者様・ご家族様を
も著しく「侮辱」するものであると確信するに至りました。
さらに、東京都北区は公式の記者会見の場で、当法人が行っている身体拘束は「朝日
新聞報道によって初めて知った」旨の発言をしていますが、それは明らかな虚偽または
会見を行った者の怠慢により知らなかっただけであり、このような悪意を持った発言を
行う東京都北区との間に信頼関係を維持することは、困難な状態となっております。
5.東京都北区への対応と今後の方針
そこで、当法人としては、東京都北区が「特別養護老人ホームなどの介護施設等の従
事者」と混同した、西が丘訪問介護事業所の訪問介護員(ヘルパー)等が患者様・利用
者様の身体拘束の着脱に関与する従前の運用を改め、今後は、医療施設である有床診療
所「岩江クリニック」に所属する医師または医師の指示を直接に受けた看護要員等がこ
れを行うことにいたしました。
も と よ り 、医 療 行 為 と し て 行 う 身 体 拘 束 で あ っ て も 、
「 患 者 様・利 用 者 様 の 尊 厳 」と「 患
者様・利用者様の生命・身体の安全」という二律背反を慎重に比較考量したうえで、必
要最小限度の範囲内で行わなければならないことは言うまでもありません。今後は、医
療についての専門的な知見を有する、東京都の「医療施設における適切な医療提供」を
所轄する担当官等と協議し、そのご指導に従って、適切な運用を行うことに努めてまい
ります。同時に、本件に関する東京都北区のご指導には、今後一切、協力しないことと
いたしました。
6.患者様・利用者様・ご家族様および関係者の皆様へ
こ の 度 、 昨 年 11 月 9 日 の 朝 日 新 聞 報 道 を き っ か け に 、 当 法 人 が 行 っ て い る 身 体 拘 束 が
大きな「社会問題」となってしまい、患者様・利用者様・ご家族様および関係者の皆様
に大きなご心配・ご迷惑をおかけしておりますことを誠に申し訳なく思っており、心か
らお詫びを申し上げます。
また、このようなご心配・ご迷惑をおかけしているにもかかわらず、患者様・利用者
様・ご家族様や関係者の皆様から多数の激励のお言葉を頂戴しておりますことについて、
心から感謝いたしております。
なお、患者様・利用者様・ご家族様に対して、東京都北区等からシニアマンションの
退 去 を 勧 奨 す る か の よ う な 電 話 連 絡 等 が 行 わ れ て い る よ う で す が 、法 律 専 門 家 か ら は「 ご
自身の意思に反して、日本国憲法が保障する『居住の自由』が侵害されることは決して
ない」との助言を得ております。また、これまで当法人が患者様・利用者様に提供して
きた医療・介護サービスが継続できなくなる等のご心配もないものと考えております。
当法人は、今後もよりよい医療・介護サービスを提供するため、改めて全職員が一丸
となって全力で信頼回復に邁進する所存ですので、何卒ご理解、ご指導、ご協力のほど
お願い申し上げます。ご不明な点やご不安、ご意見などがございましたら、何なりと担
当の介護支援専門員(ケアマネジャー)または有床診療所「岩江クリニック」の医療連
携室・相談員にお問い合わせいただきたく存じます。
医療法人社団岩江クリニック
理事長
岩江
秀和