がんに罹患した従業員の治療と仕事の 両立支援ハンドブック がん

働きやすい職場づくりを応援します
がんに罹患した従業員の治療と仕事の
両立支援ハンドブック
発 行 年 月:平成 27 年3月
登録番号(26)301
発 行:東京都福祉保健局
責 任 編 集:東京都福祉保健局医療政策部医療政策課がん対策係
〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
電話 03(5320)4389
編集委託先:みずほ情報総研株式会社
印 刷:合資会社新英社小泉印刷所
古紙配合率70%再生紙を使用しています
この印刷物は、印刷用の紙へ
リサイクルできます。
目 次
はじめに
Ⅰ 基礎知識編
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
現在、2人に1人が一生のうちにがんと診断されると推計されており
1.治療と仕事の両立支援の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
ますが、都民のがん患者数のうち、25歳から 64 歳までの占める割合は
(1)がん患者の治療と仕事に関する現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
3 割を超えており、高齢者だけでなく、現役世代にも多くのがん患者が
(2)治療と仕事の両立支援に企業が取り組む意義 ・・・・・・・・・ 4
います。
2.押さえておきたいがんに関する基礎知識 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
都では、このような背景を踏まえ、平成 25 年度、がん患者・家族及
(1)働く世代におけるがん罹患の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
び事業主における、がん罹患後の就労に関するニーズや課題の把握を目
(2)がんの主な治療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
的とした「がん患者の就労等に関する実態調査」を実施しました。
(3)がん罹患による心身への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
このハンドブックでは、実態調査の結果に基づいて、多くの事業主・
(4)がん治療について知っておいてほしい点 ・・・・・・・・・・・・・10
人事労務担当者の方々に必要とされていた「必要となる就業上の配慮」や
「他社での取組事例」等、がん患者の就労に関する知識や情報を掲載して
おります。
各企業において、がん患者・経験者である従業員の方々をサポートす
る際の一助となれば幸いです。
3.治療と仕事の両立の実現に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(1)治療と仕事の両立支援のための取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・11
(2)治療と仕事の両立支援を円滑に進めるためのポイント ・・・14
Ⅱ 実 践 事 例編
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
1.従業員ががんになった場合に備えて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
平成 27 年 3 月
東京都福祉保健局
(治療と仕事の両立のための環境づくり)
2.従業員からがん罹患の申告や相談があったら ・・・・・・・・・・・・18
3.休職が必要になったら ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
4.復職が見えてきたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
5.復職後・就労継続時の配慮 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
参考資料
本冊子
の
特 徴
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
● 本冊子は、がんの治療と仕事の両立支援に当たる人事労務
担当者及びサポートをする方々のためのハンドブックです。
ハンドブック制作協力:ワーキンググループ 委員一覧
●「基礎知識編」と「実践事例編」の2部構成となっています。
河野真理子(株式会社キャリアン 代表取締役)
自社の取組の進展度に応じて御活用ください。
● データや行政資料等に基づいて解説しています。
活動推進にお役立てください。
江口尚(北里大学医学部公衆衛生学 助教)
近藤明美(近藤社会保険労務士事務所 代表)
椎葉倫代(新日鉄住金ソリューションズ株式会社)
武田雅子(株式会社クレディセゾン 取締役)
山内英子(聖路加国際病院 ブレストセンター長)
山岡鉄也(株式会社日経 BP 広告局プロデューサー)
ハンドブック制作監修協力:
仁科晴弘(江東病院 緩和ケアセンター長) (敬称略)
がんを抱えながら生活し、働くことができるように
なってきました。
1. 治療と仕事の両立支援の必要性
●
(1)がん患者の治療と仕事に関する現状
表2参照)
。
●
図表 2
1
国民の2人に1人が「がん」に罹患すると推計されており、がんは非常に身
近な疾患となっています。
●
60%
がんは高齢になるほど罹患者が増えますが、都民の推計がん患者数のうち、
54%
男性は 45 歳頃、女性は 35 歳頃からがん罹患のリスクが上昇するという特
※5年相対生存率 : あるがんと診断された人のうち 5年後に生存している人の割合が、 日本人全体 で5年後に生存している人の割合に比べてどのく らい低いかで表します。
※出典 : 全国がん罹患モニタリング集計 2003-2005 年生存率報告 (独立行政法人国立 がん研究センターがん対策情報センター,2003)、
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開
発費 「地域がん登録精度向上と活用に関する研
究」 平成 22 年度報告書
53.2%
52%
徴もあります(図表1参照)
。
50%
(人口 10 万対)
58.6%
56%
無関係とは言えません。
図表1
がん患者の5年相対生存率
58%
約 34% が 25 歳から 64 歳の働く世代であり2、現役世代においてもがんは
●
がんに罹患しても、早期に発見され、適切な治療がなされれば「治る」ケー
スや「がんと共に生活し、働くことができる」ケースが増えてきました。
国民の2人に1人が「がん」に罹患する時代です。
●
がん医療の進歩等を背景に、がん患者の生存率は大きく向上しています
(図
性・年齢階級別がん罹患率(人口10万対,2010年全国推定値)
3500
1993 ~ 1996 年
に診断
2003 ~ 2005 年
に診断
3434.7
男
3000
がん患者にとって、仕事は生活・治療のためでもあり、
生きがいでもあります。
女
2706.4
2500
2000
1944.3
●
1500
1277.2
1000
1371.0
788.9
500
44.7
186.9
113.8
950.2
533.7
481.6
368.1
244.8
「生きがい」でもあります(図表3参照)
。
779.3
643.8
419.5
0
1142.1
患者や家族にとって、働くことは「家計」や「治療費」のためであると同時に、
図表 3 214.3
-2
4歳
20
25
-2
9歳
30
-3
4歳
35
-3
9歳
40
-4
4歳
9歳
-4
45
4歳
-5
50
55
-5
9歳
60
-6
4歳
9歳
-6
65
4歳
-7
70
-7
75
※地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(国立がん研究センターがん対策情報センター)より作成。
※図表は全部位のがん(上皮内がん含む)におけるがん罹患率を示す。
※がん罹患率:ある集団で新たに診断されたがんの数を、その集団のその期間の人口で割った値。
● 東京都では「東京都がん対策推進計画(第一次改定)
」
(平成 25 年 3 月)を定め、
「がんになっ
ても自分らしく生活できる社会の構築」を目指して対策を進めています。
● 平成 25 年度には「がん患者の就労等に関する実態調査」を実施しました。今後は、この調
査結果を踏まえ、正しい知識等の普及や相談支援・情報提供体制の整備を進めていきます。
1 公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計’13」による。 2 東京都福祉保健局「患者調査 東京都集計結果報告」(平成23年10月)による。
1
がん患者の就労の意向
9歳
無回答
7.6%
仕事を辞めたい
(したくない)
11.9%
仕事を
続けたい
(したい)
80.5%
【理由】(複数回答)
①家庭の生計を維持するため(72.5%)
②働くことが自身の生きがいであるため
(57.4%)
③がんの治療代を賄うため(44.5%)
(n=831)
※出典 : 東京都福祉保健局 「がん患者の就労等に関する実態調査」 (平成 26 年 5 月)
2
Ⅰ 基礎知識編
Ⅰ 基礎知識編
Ⅰ基礎知識編
●
企業経営の上で、治療と仕事の両立は、重要な課題です。
治療と仕事を両立する上で困難であったこととして、多くの患者が挙げた
問題は、次のとおりです(図表4参照)
。
●
▶ 治療費が高いことや収入の減少に伴う「経済的な問題」
す。現在がんに罹患した従業員がいない企業でも、今後、がんに罹患した
▶ 体調や治療の状況に応じた柔軟な勤務が難しいといった「働き方の問題」
従業員を抱える可能性は十分にあります(図表5、図表6参照)
。
▶ 誰に相談すればよいか分からなかったといった「相談先の問題」
●
▶ 職場の理解・協力が得られないといった「職場の理解・風土に関する問題」
図表 4
治療と仕事を両立する上で困難であったこと(複数回答)
0%
25%
50%
34.5%
治療費が高い、必要な治療費の見通しが立たない
29.7%
働き方を変えたり休職することで収入が減少する
体調や治療の状況に応じた柔軟な勤務ができない
24.9%
体調や症状 ・ 障害に応じた仕事内容の調整ができない
24.9%
限られた人材を活用し、生産性を向上させることが重要な課題となってい
ます。
●
実際、多くの企業が治療と仕事の両立が実現できる職場づくりが必要だと
感じています(図表7参照)
。
図表 5
過去3年間のうち、がんに罹患した従業員がいた法人の割合(従業員規模別)
働き方の問題
50%
合計(n=1,006)
50人未満(n=370)
100%
37.2%
13.0%
14.7%
治療をしながら仕事をすることで人事評価が下がる
50人以上100人未満(n=203)
13.7%
職場内に相談相手がいない
13.1%
通勤が困難である
治療と仕事の両立について誰(どこ)に
相談すればよいか分からない
相談先の問題
12.6%
11.9%
病気や治療のことを職場に言いづらい雰囲気がある
治療をしながら仕事をすることについて職場の
理解がない ・ 乏しい
職場の理解 ・ 風土に
関する問題
11.6%
4.0%
33.5%
100人以上300人未満(n=217)
50.7%
300人以上(n=209)
図表 6
7.2%
68.9%
11.4%
無回答
※出典 : 東京都福祉保健局 「がん患者の就労等に関する実態調査」 (平成 26 年 5 月)
● 厚生労働省が平成 26 年 8 月に取りまとめた「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関
する検討会報告書」では、がん患者とその家族側からみたニーズ・課題として、以下の点
が指摘されています。
・上司、同僚及び人事労務担当者の、がんやその治療に関する知識・理解が不足している。
(例)完治するまで休むよう指示される 等
・勤労世代には女性の患者が多いが、上司に当たる男性には体調の変化を話しにくい。
・企業において病名を伝えやすい、あるいは治療のための休暇を取得しやすい労働環境や
企業風土形成が必ずしも十分ではないことがある。
3
※出典 : 東京都福祉保健局
「がん患者の就労等に関する
実態調査」 (平成 26 年 5 月)
今後10年間のうちに新たにがんに罹患する従業員数(推計)
今後10年間のうちに
新たにがんになる従業員数
17.9%
困難と感じたことは無かった
(n=831)
少子高齢化が進み、労働力人口の減少が見込まれる中、各企業においては、
0%
23.9%
治療 ・ 経過観察 ・ 通院目的の休暇 ・ 休業が取りづらい
医師や看護師等に仕事のことについて
相談しづらい雰囲気がある
その他
経済的な問題
定年の延長等を背景に、がんに罹患する従業員が増えることが見込まれま
全 従業員数
50 人だったら…
100 人だったら…
300 人だったら…
2.2 人
今、職場に
がん罹患者が
いなくても…
1000 人だったら…
4.4 人
13.1 人
43.7 人
※「平成 24 年就業構造基本調査」(総務省統計局)の雇用者数、「労働力調査」(総務省統計局)の性・年齢階級別雇用者数(平成 25 年度値)
を基に、 仮定した従業員数規模の企業の性 ・ 年齢階級別従業員数を算出し、 「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ (1975 年~
2010 年)」 の全国年齢階級別推定罹患率 (診断年 : 2010 年。 上皮内がん含む。) を掛け合わせて、 仮定した従業員数規模の企業ごとの
がん罹患数を算出した。
※参考 : 「平成 24 年就業構造基本調査」 (総務省統計局)、 「労働力調査」 (総務省統計局)、 「地域がん登録全国推計によるがん罹患デー
タ (1975 年~ 2010 年)」 (国立がん研究センターがん対策情報センター)
4
Ⅰ 基礎知識編
Ⅰ 基礎知識編
(2)治療と仕事の両立支援に企業が取り組む意義
治療と仕事を両立する上で困難を感じている患者も
少なくありません。
治療と仕事の両立が実現できる職場づくりが必要だと感じている法人の割合
(従業員規模別)
0%
50%
100%
合計(n=1,006)
86.0%
11.4% 2.6%
50人未満(n=370)
81.6%
15.4% 3.0%
50人以上100人未満(n=203)
84.2%
14.3% 1.5%
100人以上300人未満(n=217)
88.0%
9.2% 2.8%
300人以上(n=209)
93.8%
4.3% 1.9%
必要性を感じている
必要性は感じていない
治療と仕事の両立を実現することで、様々な効果も
期待できます。
●
がんに罹患した従業員の治療と仕事の両立支援に取り組んでいる企業から
は、次のような効果が指摘されています。
直接的な効果
●
●
●
●
がん患者の就労継続とそれに伴う労働損失の回避
がんをカミングアウトしやすい風土の醸成
がん検診に対する従業員の意識の高まり
がんの早期発見・治療による支援コストの低減
波及的な効果
●
●
●
●
●
他の疾患での治療と仕事の両立支援の促進
生産性の向上
従業員満足度の向上、やりがいの創出
優秀な人材の定着
社会的認知度の高まり
無回答
※出典 : 東京都福祉保健局 「がん患者の就労等に関する実態調査」 (平成 26 年 5 月)
●
病気によって従業員が退職することで、その従業員が培った経験・ノウハ
ウを失うことは、企業にとっても大きな損失です。治療と仕事の両立を支
援することは、優秀な人材の確保、生産性の向上につながることが期待さ
れます。
●
傷病を抱える従業員が働きやすい職場・組織は、育児・介護その他諸事情
を抱える従業員にとっても働きやすい職場・組織であるとも考えられます。
●
がんに罹患した従業員が退職してしまった場合、がんに罹患した従業員の
就労継続を支援するよりも、相対的にコストがかかってしまうことがあり
ます。例えば、それぞれの場合には、次のような費用が想定されます。
取組のヒント
■「健康経営」の視点から
近年、従業員の健康を重要な経営課題と捉え、経営として取り組むことを明言し、会社・
社員等が一丸となって健康増進・疾病予防に取り組んでいる企業が増えてきています。
そうした考え方を「健康経営」と呼びます。健康経営では、疾病、障害、年齢に関わらず
皆が誇りとやりがいを持って安心して、
「活き活き」と働ける職場の実現を目指します。
それが会社・経営者と従業員、上司と部下の信頼関係にもつながると考えられています。
■「ダイバーシティ・マネジメント」の視点から
中途採用者の採用や育成にかかる経費
●
支払うことに
なる費用
続的経営に向けた取組です。性別や年齢、国籍における多様性について取り上げられる
中途採用者の採用までの間、同僚が仕事を
代わる経費
●
復職者が仕事に慣れるまでの間、同僚が
仕事を手伝う経費 等
●
中途採用者が仕事に慣れるまでの間、同僚
が仕事を手伝う経費 等
支払わない
ことになる費用
退職者の給与 等
休職者の給与 等
●
●
ことが多くありますが、病気などの困難を抱えた社員も多様性の一部ですので、人材活
用の視点から、治療と仕事の両立支援に取り組むことも大切です。
■「リスクマネジメント」の視点から
企業の中には、従業員ががんになったことを契機に、社員が長期休職したり、働き方に
制限が生じた場合でも事業を継続できるよう、全社的に生産体制を見直した企業もあり
ます。治療と仕事を両立できる職場(組織)づくりは、会社のリスクマネジメントとして
も重要な取組と言えます。
5
休職期間中、同僚が仕事を代わる経費
●
●
ダイバーシティは「多様性」と訳されます。ダイバーシティ・マネジメントは多様な人材
を活用し、企業のパフォーマンス、イノベーションにつなげていこうとする、企業の持
がん罹患後、休職を経て
仕事を続けた場合
がん罹患後、退職した場合
6
Ⅰ 基礎知識編
Ⅰ 基礎知識編
図表 7
(2)がんの主な治療法
●
がんの治療は、がんの種類・進行度等に応じて、
「手術」
「薬物療法(化学療
法)」
「放射線治療」を単独あるいは組み合わせで実施します。
(1)働く世代におけるがん罹患の状況
●
手 術
外科的にがんを切り取る治療です。近
働く世代のがん罹患数は、年々増加傾向にあります(図表8参照)。
図表 8
350,000人
■20-39歳
■40-59歳
0人
■60-64歳
薬物療法 (化学療法)
んの場合は抗がん剤、ホルモン剤等を
16,109人
使う化学療法(ホルモン療法)が該当
147,292人
116,223人
します。抗がん剤には、飲み薬(経口剤)
133,969人
58,563人
75,766人
102,716人
2000年
2005年
2010年
院治療が基本となってきています。
放射線治療
放射線を用いてがんを治療する、局所
的な治療です。臓器を温存したまま治
療ができます。通院しながら治療を行
60~64歳
男性
大腸がん
963人
大腸がん
14,019人
大腸がん
11,946人
2位
胃がん
628人
胃がん
11,205人
胃がん
11,614人
3位
白血病
568人
肺がん
6,949人
肺がん
7,890人
20~39歳
女性
1位
2位
3位
うことも多くなりました。
性・年齢階級別のがん罹患数(2010年全国推定値)
40~59歳
子宮がん 13,778人
40~59歳
60~64歳
乳がん
32,471人
乳がん
10,870人
4,681人
子宮がん
14,665人
大腸がん
6,378人
甲状腺がん 1,335人
大腸がん
8,716人
胃がん
3,744人
乳がん
※地域がん登録全国推計によるがん罹患データ (国立がん研究センターがん対策情報センター) より作成。
※上皮内がん含む。
7
放射線治療
再発予防等を目的として行います。通
大腸がんが多くなっています(図表 9 参照)
。
20~39歳
(化学療法)
取りきれない(取れない)がんの治療、
●男性では、大腸がん・胃がん・肺がんが多く、女性では乳がん・子宮がん・
1位
薬物療法
や注射(注射薬)があります。手術で
※地域がん登録全国推計によるがん罹患データ (国立がん研究センターがん対策情報センター) より作成。 ※上皮内がん含む。
図表 9
手術
薬を用いて行う治療のことであり、が
21,078人
150,000人
50,000人
てきました。
31,493人
250,000人
100,000人
負担を減らすこともできるようになっ
働く世代のがん罹患数の推移
300,000人
200,000人
年では、内視鏡手術等により身体への
(3)がん罹患による心身への影響
●
がん患者には、治療等に伴う身体的な負担に加えて、精神的な負担もあり
ます。
●
病気の告知に伴うストレスはもちろんのこと、治療が進む中でも、将来の
見通しや再発など、様々な不安に直面します。ホルモン療法の副作用等に
より、一時的にうつなどのメンタルヘルス不調を来す場合もあります。
●
治療が終わったからといって、精神的な負担が解消されるとは限りません。
●
倦怠感などにより、がん罹患前に比べて思うように就労できないことなど
が、大きなストレスとなっていることもあります。
8
Ⅰ 基礎知識編
Ⅰ 基礎知識編
2. 押さえておきたいがんに関する基礎知識
(4)がん治療について知っておいてほしい点
● 本図表は専門の医師の御指導の下、一つの例として作成したものであり、症状等に応じ
退院後も、通院しながら治療や経過観察が続く場合があります。
て治療と仕事の流れは様々です。
図表 10
がんの
疑い
乳がん患者の治療と仕事の流れ(例)
・定期健康診断、がん検診受診
・自覚症状(しこり等) など
●
働き方の例
・疑いから診断へ(検査を行いながら結果を待つ)
診断期 ・通院で可能、物理的な時間の拘束のみ
早期のがんであれば
(約1∼2か月)・1∼2 週間ごとに通院
短期間の休暇・休職で
治療を受ける患者さんも
・手術のために入院、その後療養
います。
手術(入院)・身体的に休養が必要
(約1か月) ・1 ∼ 2 週間入院後、2∼3 週間の自宅療養
通院の配慮が必要
Aさんの
ケース
休暇
・
休職
Bさんの
ケース
Cさんの
ケース
休暇
・
休職
休暇
・
休職
●
医療技術の進歩等により、外来で治療を行うことも多くなってきました。
●
必要に応じて、短期入院を要することもあります。
図表 12
放射線治療 ・術後に残った乳房などに再発を防ぐ為に行われる
職場
復帰
・再発を防ぐための経口治療
ホルモン療法・通院で可能だが、種々の副作用との身体的調整が必要
(5年以上) ・3∼4 か月ごとに通院
職場
復帰
・手術のために入院、その後療養
手術(入院)・身体的に休養が必要
通院の配慮が必要
早期のがんであれば
短期間の休暇・休職で
治療を受ける患者さん
もいます。
(約1か月) ・10 日∼2 週間入院後、2∼3 週間の自宅療養
時差出勤や短時間
Aさんの
ケース
休暇
・
休職
●
Bさんの
ケース
●
休暇
・
休職
29.6日
23.9日
20.6日
平成14年
平成17年
平成20年
入院受療率(人)
平成23年
外来受療率(人)
化学療法の副作用として、
「脱毛」
「吐き気」
「免疫力低下」等があります。主
ただし、症状の出方には波があったり、使用する薬剤や個人の体質等によっ
ても異なります。
●
化学療法に伴う倦怠感やしびれ、大腸がん切除に伴う排泄機能障害など、
治療が終了しても、長く付き合う病気です。
職場
復帰
●
・軽作業の場合:手術後2週間程度の休養が必要
・重労働の場合:手術後1∼2か月の休養が必要
・人工肛門(ストマ)の造設がある場合:上記の倍の期間の休養が必要
9
35.7日
外見からでは分からない症状や後遺症もあります。
(約1∼1.5か月)
※通院に要する時間は半日∼1日
40.1日
な副作用の症状や発現時期はあらかじめ予想することが可能です。
・再発を防ぐために内服治療もしくは点滴治療
勤務制度、
有給休暇など
を利用して通院
化学療法 ・通院で可能だが、種々の副作用との身体的調整が必要
職場
・内服治療の場合:1∼2か月ごとに通院(6∼12か月間)
(6∼12か月)
復帰
・点滴治療の場合:2∼3週間ごとに通院(6か月間)
・通院で可能だが、平日決まった時間に連日治療
107
副作用等の症状には個人差があり、治療の進み方に
よっても変わります。
働き方の例
放射線治療 ・術後にがん細胞が残っていると疑われた場合に実施
111
※厚生労働省 「患者調査」。
※入院受療率 ・ 外来受療率は、 推計罹患者数を人口10万対で示した数。
大腸がん患者の治療と仕事の流れ(例)
・疑いから診断へ(検査を行いながら結果を待つ)
診断期 ・通院で可能、物理的な時間の拘束のみ
(約1∼2か月)・1∼2 週間ごとに通院
94
平均在院日数(日)
・定期健康診断、がん検診受診
・自覚症状(血便、便秘等) など
130
113
95
平成11年
※通院に要する時間は半日∼1日
がんの
疑い
109
108
110
職場
復帰
・通院で可能だが、平日決まった時間に連日治療
がん患者の入院・外来受療率・平均在院日数の推移
123
などを利用して通院
(約1.2∼1.5か月)
手術を終えて退院した後も、進行度などによっては通院しながら抗がん剤
治療や放射線治療を行うことがあります。
・再発を防ぐために点滴治療
化学療法 ・通院で可能だが、種々の副作用との身体的調整が必要 時差出勤や短時間
勤務制度、
有給休暇
(3∼6か月)・1∼3 週間ごとに通院
図表 11
Ⅰ 基礎知識編
Ⅰ 基礎知識編
● 以下に、乳がん患者と大腸がん患者の治療と仕事の流れの例を御紹介します(図表 10、
11 参照)。
がんの生存率が向上し、早期発見されれば治る病気になりつつあるとはいえ、
再発の可能性が完全にゼロになるわけではありません。
●
治療終了後も、5 年程度は経過観察を行うことが一般的です。
10
Ⅰ 基礎知識編
Ⅰ 基礎知識編
相談・支援体制の整備
3. 治療と仕事の両立の実現に向けて
治療と仕事の両立支援に関する担当部署・担当者の設置
(1)治療と仕事の両立支援のための取組 ● 治療と仕事の両立支援に関する担当部署・担当者を設けておくことで、従業員や
その上司等からの相談にも対応しやすくなります。
柔軟に働くことができる制度の整備・運用
● 所属長や上司が対応に苦慮することがないよう、現場のマネジメントをサポート
することも大切です。
●
治療や経過観察のため、中長期にわたり通院が必要になる場合があります。
その場合、通院時間を確保できるよう配慮することが望まれます(図表 13
産業医等の産業保健スタッフ、主治医等との連携
参照)
。
●「病気そのものや治療の内容、仕事への影響が分からない」と悩む企業も少なくあ
対応例 時間単位・半日単位の休暇制度、短時間勤務制度、治療休暇制
りません。
度の活用、受診日を考慮したシフト編成 等
● 産業医等の産業保健スタッフが選任されている場合は、産業保健スタッフに相談
●
しながら、対応を検討すると良いでしょう。また、日頃から治療と仕事の両立支
治療の副作用や後遺症等に配慮し、一時的な職務内容の変更や配置転換等
援のあり方について検討しておくことで、円滑に対応することができます。
も検討する必要があります(図表 14 参照)
。
●
● 産業保健スタッフが配置されていない場合は、社外のサポート資源をうまく活用
がん罹患による仕事への影響は人によって様々です。既存の制度についても
することで対応できることもあります。
「病状」については本人を通じて主治医に、
本人の意向を踏まえながら、可能な範囲で柔軟に運用することが大切です。
「がんの一般的な情報」についてはがん診療連携拠点病院等のがん相談支援セン
ターに相談してみてください。がん相談支援センターでは、その病院の患者・家
図表 13
がん患者が利用した制度
43.0%
所定労働時間を短縮する制度(n=207)
失効年次有給休暇の積立制度(n=163)
※出典 : 東京都福祉保健局
「がん患者の就労等に関する
実態調査」 (平成 26 年 5 月)
51.9%
を挙げています(図表 15 参照)。
46.9%
試し(慣らし)出勤制度等(n=113)
● 所属長・上司には、適時担当部署につないだり、現場において必要な就業上の措
61.3%
治療目的の休暇 ・ 休業制度(n=155)
置が行われるよう適切なマネジメントを行うことが期待されます。
66.7%
0%
業務量の変更
せません。実際、がん患者の多くが、職場への報告・相談先として「所属長・上司」
42.3%
在宅勤務制度(n=52)
その他(n=12)
法人からの就業上の
配慮・変更の有無
● 治療と仕事の両立のためには、従業員にとって身近な所属長・上司の支援が欠か
61.3%
フレックスタイム制度(n=135)
図表 14
所属長・上司の役割
62.0%
時間単位の休暇制度(n=187)
※n は就労する法人に制度が
あった方の人数。 グラフは
その利用割合。
族だけでなく、どなたでも利用が可能です(巻末:参考資料参照)。
51.2%
時差出勤制度(n=211)
50%
56.5%
38.4%
100%
● 従業員から報告・相談があった場合の対応に困らないよう、所属長・上司の役割
5.1%
や対応方法について検討しておくことが必要です。
図表 15
勤務地の変更 11.2%
81.8%
7.1%
なかった
所属部署の変更 11.8%
82.1%
6.1%
無回答
就業形態の変更 15.9%
79.8%
4.3%
業務内容の変更 12.8%
82.4%
4.8%
同僚
86.9%
7.2%
人事労務担当者
50%
100%
あった
0%
職場において報告・相談した相手
50%
100%
所属長 ・ 上司
(n=555)
95.1%
(n=609)
役職の変更 5.9%
※出典 : 東京都福祉保健局
「がん患者の就労等に関する
実態調査」 (平成 26 年 5 月)
0%
11
64.9%
43.1%
12
※出典 : 東京都福祉保健局
「がん患者の就労等に関する
実態調査」 (平成 26 年 5 月)
●
がん患者の中には「周囲に心配をかけたくない」
「報告・相談するまでもな
い」
「仕事上、偏見を持たれたくない」等の理由で職場に病気のことを報告・
相談しない人もいます(図表 16 参照)
。
●
制度があっても、それを利用できなければ意味がありません。育児や介護
等と同じく、病気により働き方の見直しが必要な人も受け入れられるよう
な職場風土・雰囲気づくりが必要です。
●
その実現のため、例えば社内研修で制度を周知したり、治療と仕事を両立
させている事例を紹介することでも、効果が期待できます。
図表 16
職場への報告・相談状況
(2)治療と仕事の両立支援を円滑に進めるためのポイント
密なコミュニケーションの実施
●
がんになった際の仕事に対する思いは人それぞれですので、
「仕事を続けた
いと思っているか」
「続ける場合、周囲にはがんになったことを伝えるか」
「職場でどのような配慮があると良いか」など、がんに罹患した従業員の意
向をきちんと確認する必要があります。
●
従業員の状況や思いは、時間の経過とともに変わることから、コミュニケ
ーションをよく取り、随時本人の意向を確認することが大切です。
●
従業員の中には「職場や同僚に迷惑をかけて申し訳ない」と感じて、職場に
相談したくてもできずにいる方も少なくありません。一人で問題を抱え込
ませないよう、情報を引き出していくことが大切です。
職場に報告 ・
相談しなかった
6.7%
無回答
2.1%
【理由】(複数回答)
周囲に心配をかけたくなかったため(53.7%)
報告・相談するまでも無いことと思ったため(41.5%)
個人情報の適切な取扱い
仕事上、偏見を持たれたくなかったため(26.8%)
職場に報告 ・ 相談した
91.1%
人事労務担当者や上司は、健康情報等の個人情報を適切に取り扱うことが
解雇される心配があったため(7.3%)
●
希望しない配置転換をされる心配があったため(7.3%)
求められます。職場の関係者に、従業員の病気のことや治療の状況といっ
※出典 : 東京都福祉保健局 「がん患者の就労等に関する実態調査」
(平成 26 年 5 月)
た情報を開示する際は、誰にどのような内容を知らせるのか、あらかじめ
本人の同意を得ることが望まれます。
<法令・通知等>
(n=609)
・「個人情報の保護に関する法律」
(平成 15 年 5 月 30 日法律第 57 号)
・「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン」
(平成 24 年厚生労
働省告示第 357 号)
・
「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」
(平
従業員・家族へのサポート
●
成 24 年 6 月 11 日付基発 0611 第 1 号)
治療に当たり経済面でのサポートについて、例えば次のようなことを行う
だけでも、がんに罹患した従業員の助けになります。
例
傷病手当金・高額療養費制度・障害年金等に関する説明や情報提供、
団体長期障害所得補償保険の利用 等
●
また、従業員の家族も、従業員を支えるキーパーソンであると同時に、様々
な悩みも抱えています。会社の制度について、御家族の方から相談や問い
合わせがあれば対応するようにしている企業もあります。
13
上司や同僚等への配慮
●
がんに罹患した従業員が治療や体調不良のために休む場合、上司や同僚の
勤務体制や心身の状態にも配慮する必要があります。
●
従業員のみならず、一緒に働く上司や同僚等に対するサポートも重要です。
例 サポートスタッフの配置、業務分担の見直しによる負担軽減 等
14
Ⅰ 基礎知識編
Ⅰ 基礎知識編
休暇や勤務に関する制度を利用しやすい風土の醸成
Ⅱ実践事例編
治療と仕事の両立の実現に向けてポイントとなる取組について、企業に
1. 従業員ががんになった場合に備えて
(治療と仕事の両立のための環境づくり) おける具体的な実践事例をまとめました。企業によって、取り組むべき
内容や実施可能なことは異なりますが、自社での取組を検討する際の参
がんをはじめとした傷病を抱える従業員が働きやすい職場づくりを実現す
るためには、従業員のニーズを踏まえたきめ細やかな取組の実施、環境整
1.従業員ががんになった場合に備えて (治療と仕事の両立のための環境づくり)
○
○
○
○
●
治療と仕事の両立に関する状況を把握
治療と仕事の両立に向けた職場風土の醸成のため、意識啓発を実施
関係者の役割や対応を整理
対応手順や制度を周知
2.従業員からがん罹患の申告や相談があったら
○ 仕事を辞める必要はないことなど、会社の姿勢や方針を説明
○ 治療と仕事の両立支援に必要な情報を従業員に確認
3.休職が必要になったら
○ 休職前に、企業から文書で各種規定や連絡窓口等を情報提供
○ 休職期間中も互いの負担にならない範囲で連絡を取り合いフォロー
○ 従業員の休職期間中、事業継続のために上司・同僚等をサポート
4.復職が見えてきたら
備が不可欠です。
治療と仕事の両立に関する状況を把握
□ 支援ニーズを把握するため、傷病のために休職が必要になった従業員に対して、
治療と仕事を両立する上で助かったことや困ったことについてアンケート調査を
実施した。その際、回答内容は人事評価には影響せず、あくまで施策検討のため
に活用することを強調した。(複合サービス業、従業員約 1,200 人)
ヒント! ニーズを把握する方法としては、傷病を抱えながら仕事をしている従業員に
対するヒアリングや、労働組合が組合員に対して行うアンケート調査、衛生委員会・安全
衛生委員会等での意見交換といった方法があります。
治療と仕事の両立に向けた職場風土の醸成のため、意識啓発を実施
□ がんに対する偏見や誤解を払しょくするため、従業員向けのがんに関するセミ
ナーを企業独自に開催したり、外部のセミナーの受講を奨励している。(製造業、
従業員約 2,600 人)
○ 復職に向けて過不足なく情報を収集し、両立支援に活用
□ がんを抱えながら仕事を続けている従業員の体験談を社内のイントラネットで紹
介している。(建設業、従業員約 240 人)
○ 主治医から具体的な意見を収集
○ 関係者の意見を踏まえ、復職プランを作成
○ がんに罹患した従業員に対する就業上の措置
5.復職後・就労継続時の配慮
○ 定期的な面談によりフォローアップを実施
□ 疾病・障害があっても活き活きと働ける職場環境づくりのために、従業員同士が
議論し合うワークショップを開催している。(製造業、従業員約 2,500 人)
ヒント! がん治療と仕事の両立に関する意識啓発について、健康管理やがん検診の受
診勧奨等の取組と組み合わせて対応している企業もあります。
○ マネジメントに当たる上司をサポート
○ 職場への理解・協力を依頼
○ 現場でのちょっとした配慮の例
15
16
Ⅱ 実践事例編
Ⅱ 実践事例編
考にしてください。
2. 従業員からがん罹患の申告や相談があったら
関係者の役割や対応を整理
●
業所間で対応が異なるなどの問題が生じていた。そこで、関係者の役割を洗い出
し、フロー図で整理した。(小売業、従業員約 1,200 人)
□ 復職の可否や就業上の措置の解除の判断に迷うことがあったため、会社として考
える復職の目安等を、人事労務担当者、産業医、労働組合等との間で検討した。(製
造業、従業員約 6,500 人)
仕事を辞める必要はないことなど、会社の姿勢や方針を説明
□ がんと診断された人の中には、焦って「仕事を辞めなくてはいけない」と考えてし
まう人もいる。従業員からがん罹患の申告があった際には、会社としてサポート
できることや、がんになったからといって仕事を辞める必要はないことなどを伝
えて、安心して治療に専念できるようサポートしている。(卸売業、従業員約 80 人)
□ 病気のために療養等を行う従業員向けに、仕事を続けるに当たって心がけてほし
いことをリーフレットにまとめた。(医薬品製造販売業、従業員約 6,800 人)
ヒント! 関係者の役割や対応手順を整理する際、メンタルヘルス対策など、既存の取組
を参考にしながら対応を検討する方法もあります。
治療と仕事の両立支援に必要な情報を従業員に確認
□ 従業員から「がんと診断され治療が必要である」と申告を受けたとき、次のような
情報を確認し、当面の仕事や企業としての対応を検討する材料としている。
◎当面の治療スケジュール、入院の要否(休職が必要か否か)
対応手順や制度を周知
◎抗がん剤治療の有無
□ 管理職の着任研修の中で、従業員が病気になった場合の対応手順について、テキ
ストを配布し研修している。(建設業、従業員約 15,800 人)
□ 現場の管理職が対応に困らないよう、一定の基準(病気による休業や配慮が必要
◎現在の健康状態(通勤、勤務が可能かどうか等)
◎仕事に関する本人の希望
◎緊急連絡先、
(休職する場合は)療養中の所在・連絡先 等
(小売業、従業員約 1,500 人)
なケース、パフォーマンスが低下したケース)を満たす従業員が発生したら、人
事部の担当保健師に一報を入れるよう、管理職研修で周知している。(製造業、従
業員約 6,500 人)
患者さんの体験談
治療に伴い、傷病手当金や高額療養費制度、障害者手帳の取得など、初めて
ヒント! 上司や人事労務担当者等に相談しにくい従業員のために、守秘義務が課され
ている産業医等の産業保健スタッフが対応する相談先を、社内で明示しておくことも有
用です。
知る制度の手続きがたくさんあり、とても大変でした。あらかじめこうした
制度があることを情報提供してくれるだけでも、がんに罹患した従業員にとっ
てはとても助かると思います。
(建設業・舌がん)
ヒント! がん診療連携拠点病院等に設置されているがん相談支援センター(巻末:参
考資料参照)では、治療費の相談や社会保険制度の紹介も受け付けています。こうした情
報を従業員に提供することも有用です。
17
18
Ⅱ 実践事例編
Ⅱ 実践事例編
□ 病気のために配慮が必要な従業員が出た際には個別に対応していたが、上司や事
従業員からがん罹患の申告や相談があった際、従業員が安心して治療・療
養に専念できるようにサポートできることがあります。
3. 休職が必要になったら
休職期間中も、復職や就労継続に向けてサポートできることがあります。
●
上司や同僚等へのサポートも重要です。
休職前に、企業から文書で各種規定や連絡窓口等を情報提供
□ 休職可能な期間や利用できる会社の制度、サポート体制、休職中の連絡窓口等に
ついて、後で確認できるよう文書でも情報提供している。従業員の家族など、キー
パーソンとなる人とも情報を共有することができ、家庭でのサポートも期待でき
る。(医薬品製造販売業、従業員約 6,800 人)
患者さんの体験談
手術のため1週間程度入院した後、外来で抗がん剤治療を始めました。初め
は副作用がとても強く大変でしたが、少しずつ対処方法を身につけていきま
した。
会社とは、休職のために1∼2か月に一度、診断書を提出するタイミングな
どで連絡を取り合っていました。体調が落ち着いてきたら、それ以外でも職
場を訪問して上司に近況を報告したり、職場の様子を教えてもらうなどして
いました。それにより互いの状況を把握できたので、結果として、円滑な復
職につながったのだと思います。
(食品製造販売業・大腸がん)
休職期間中も互いの負担にならない範囲で連絡を取り合いフォロー
□ 休職に入る前、あらかじめ休職期間中の会社・従業員間の連絡の取り方(頻度や
方法、連絡窓口等)について従業員と確認している。原則、入院期間中や退院後
3週間程度は会社から連絡を取らないようにし、治療や症状が落ち着いてきたら
従業員から会社に連絡してもらうようにしている。(建設業、従業員約 40 人)
□ 手術による治療の場合、手術前におおよその治療スケジュールは分かるものの、
手術後に具体的な治療が決まることもある。そのため、受診のタイミングで、主
治医からどのような説明を受けたか、差し支えない範囲で会社に知らせてもらう
よう依頼し、逐次状況を共有している。(小売業、従業員約 1,500 人)
□ 休職の際には診断書の提出を義務付けている。診断書が提出されるタイミング
(1
∼2か月に1回の頻度)で従業員と電話やメールで連絡を取り、治療の状況や復
職の見込み、本人の就労意向について確認するようにしている。(食品製造販売業、
従業員約 1,500 人)
従業員の休職期間中、事業継続のために上司・同僚等をサポート
□ 従業員規模が小さな企業では 1 人欠員が出ることの影響は大きい。従業員が治療
のために長期休業することになった場合、人事部が対応を引き取り、他部署の派
遣社員の契約を延長し、従業員が休業している間の対応を依頼するなど、会社全
体の人的資源を最大限活用して業務の継続を図っている。(卸売業、従業員約 80 人)
□ 従業員の休職期間中、産業保健スタッフが同僚に困っていることがないか随時声
掛けをしている。引き継いだ業務のことが分からないといった意見があれば、休
職中の従業員との定期面談(来社)の際に、同僚と会う機会をセッティングし、業
ヒント! 休職期間中は、互いに過度の負担にならない範囲で、コミュニケーションを取
ると良いでしょう。
「できるだけ職場の様子を知りたい」と言う人もいれば、「できるだけ
仕事のことは考えたくない」と言う人もいるなど、考え方は様々です。また、治療の副作用
等により、連絡を取り合うことが大きな負担になることもあります。本人の意向、体調等
を踏まえた対応が望まれます。
務の引継ぎをフォローしている。(医薬品製造販売業、従業員約 6,800 人)
ヒント! がんに罹患して休職していた従業員と急に連絡が取れなくなることがあって
困ったという企業もあります。急な入院などの不測の事態に備え、御家族の連絡先を確認
しておくことも必要です。
19
20
Ⅱ 実践事例編
Ⅱ 実践事例編
●
4. 復職が見えてきたら
●
本人や主治医から復職の話が出てきたら、復職に向けた具体的な検討を始
係者とのコミュニケーションが重要です。
① 従業員の同意を得て、受診に同行して主治医の意見を直接聞く
② 産業医を通じて主治医に情報提供依頼書を出す
復職に向けて過不足なく情報を収集し、両立支援に活用
□ 復職の可否や就業上の措置を検討するため、従業員を通じて主治医に次のような
①の方法では、事前に主治医の同意も得るようにしておくと、比較的スムーズに意見
が聞けるようです。また、②の方法では、情報提供依頼書に記載されている内容につ
いて従業員の同意があることが分かるようにしておくと、主治医も安心して情報を
提供できます。なお、情報提供依頼書の発行には費用がかかり、その負担のあり方は
企業によって様々ですが、企業の中には「会社にとって必要な情報を得るための費
用」として、会社が負担しているケースもあるようです。
情報を確認し、仕事へどのような影響があるか、確認している。
◎現在の健康状態・症状
◎今後の治療スケジュール、受診頻度
◎今後想定される副作用、症状等
◎就業予定の業務の遂行が可能かどうか
◎就業上望ましい配慮と措置期間、禁忌事項(出張や残業等)
(小売業、従業員約 1,500 人)
関係者の意見を踏まえ、復職プランを作成
●
主治医から具体的な意見を収集
治療と仕事の両立を実現するためには、次の点に配慮することが望まれま
す。
□ 文書で主治医に意見をもらいたい内容をまとめて、従業員に渡し、主治医の意見
をもらうようにしている。(製造業、従業員約 1,800 人)
□ 主治医からの意見は、必ずしも職場環境や仕事上求められる業務遂行能力を踏ま
えたものにはなっていない。そのため、従業員を通じて、主治医に本人の仕事の
内容や職場環境、就業時間、通勤方法等について説明した上で、就業の可否につ
いて主治医の意見を得るようにしている。(運送業、従業員約 120 人)
□ 主治医に復職の可否や就業上の配慮について意見をもらうための様式を作成して
いる。様式の中には、企業として対応できる就業上の措置(残業禁止、出張禁止、
短時間勤務等)に関する選択肢を示している。これにより、会社の実情に応じた
意見を、具体的に得ることができている。(金融業、従業員約 2,000 人)
□ 通常は従業員を通じて主治医の意見を確認しているが、正確な情報が得られにく
いと感じた場合には、従業員の同意を得た上で、従業員の受診に同行し、主治医
に直接話を聞くこともある。(運送業、従業員約 120 人)
◎治療や経過観察のための時間の確保
(例)時間単位や半日単位の休暇制度、短時間勤務制度の活用 等
◎がん治療に伴う副作用や後遺症等に配慮した(一時的な)職務内容の見
直し、配置転換、柔軟な働き方(勤務時間の短縮等)の検討
◎通勤の負担への配慮
(例)時差出勤制度、勤務地の変更 等
□ 長期休職者を対象に、復帰から3か月間をフォロー期間として、軽減勤務から始
める復職プランを作成している。プランの内容は、がんに罹患した本人はもちろ
ん、産業医、主治医に見てもらい、無理のない復職ができるようにしている。また、
受け入れる側の職場の上司等の意見も確認し、現場にとっても無理のないプラン
を目指している。(小売業、従業員約 1,500 人)
□ 主治医から業務内容の見直しが必要との意見書が出された際、具体的な配置や業
務内容について検討するため、産業医に相談した。(運送業、従業員約 120 人)
21
22
Ⅱ 実践事例編
Ⅱ 実践事例編
ヒント! 復職の可否や就業上の配慮を検討するために必要な情報は、
「何ができて
何ができないか」
「健康に配慮しつつ能力を発揮してもらうためには、どのような環境
が必要なのか」という点です。
従業員を通じて主治医の意見を確認する方法のほかに
も、
次のような方法があります。
めます。本人や主治医、現場の上司、産業医等の産業保健スタッフ等、関
5. 復職後・就労継続時の配慮
●
□ がんに罹患し、手術のため1か月ほど休んだ従業員がいた。当該従業員の現場は
た従業員だけでなく、マネジメントに当たる上司等のサポートも重要です。
就労継続時にも、必要に応じてフォローアップを行います。がんに罹患し
日によっては業務が深夜に及ぶ。そこで、職場復帰の際、最初の 1 か月は所定労
働時間内の勤務とし、残業を禁止した。(運送業、従業員約 120 人)
□ 胃を切除したため、食事を頻回に取る必要が生じた従業員がいた。がん罹患前は
製造ラインにいた従業員で、昼食は決まった時間にしか取れなかったため、比較
的自由に休憩が取れる品質管理部門に異動してもらい、随時食事を取れるように
した。(製造業、従業員約 80 人)
定期的な面談によりフォローアップを実施
□ 長期休職から職場復帰する従業員については、復帰後1か月目は 1 週間ごと、2
か月目以降は月 1 回の頻度で従業員・人事部と面談を行い、業務負荷がかかりす
ぎていないか、仕事に問題はないかなどを確認している。(製造業、従業員約 6,500 人)
ヒント! 正社員の場合は、一時的にパート社員等に雇用形態を変えることで、就業時間
や業務量、業務負荷を軽減し、無理のない就業を支援している企業もあります。
一方で、がん患者からは「責任のある仕事には就かせられないと言われてショックだっ
た」
「希望しない配置転換をさせられる」といった声も寄せられています。企業としての安
全配慮と従業員の意向が必ずしも一致しないことがあるため、従業員と十分に話し合い、
双方が納得する形にすることが望まれます。
患者さんの体験談
□ 外来通院しながら治療を続けているケースなどでは、通勤の負担も大きなものと
なる。そのため、フォローアップの面談の際は、通勤の負担感や、安全面に不安
を感じていないかなども確認するようにしている。(小売業、従業員約 1,500 人)
ヒント! 通院しながら治療を続ける人の中には、体調や症状に波がある人もいます。
また、実際に復職してみると、想像以上に身体への負担が大きく、大変だったという人も
います。
「申し訳ない」という気持ちから、職場に対して大変であることを言えない人も
います。復帰後のフォロー面談を設定しておくことで、従業員側からも相談しやすくな
ります。
復職を考え始めたとき、正社員としてフルタイムで戻るか、あるいはパート
社員として戻るかを検討しました。というのも、復帰後も治療が長期にわたり、
これまで通り正社員としてフルタイムで働くことは難しいと感じていたからです。
人事部に相談したところ、正社員で働く場合とパート社員で働く場合、さら
には週 5 日勤務の場合と週3日勤務の場合の、勤務時間や年収、社会保険料
等の一覧を作成してくれました。
自身の健康・体調と生活、仕事の折り合いをつけていく中で、こうした情報
はとても参考になりました。
(食品製造販売業・大腸がん)
マネジメントに当たる上司をサポート
□ 人事労務担当者ががんに罹患した従業員との面談後、上司とも面談を行い、現場
での対応や業務遂行上の問題がないかを確認している。(小売業、従業員約 1,500 人)
□ フォローアップの面談は産業医が行っている。面談の結果は、従業員の同意の範
囲で産業医から従業員の上司にフィードバックしている。現場のマネジメントで
改善が必要であれば、その点も随時指摘している。(金融業、従業員約 2,000 人)
23
24
Ⅱ 実践事例編
Ⅱ 実践事例編
がんに罹患した従業員に対する就業上の措置
「こうして仕事を続けています !!」
∼がん罹患後も仕事を続けている方のエピソード∼
舌がん診断後、再発をしながらも職種変更などにより仕事を続けている事例
職場への理解・協力を依頼
誰にどこまで話すかは、がんに罹患した従業員とその上司の判断に任せている。
私は建設業の現場監督として、20 年以上勤めていました。ある日、歯科医から舌の様子がお
かしいと指摘され、病院を受診した結果、舌がんと診断されました。
最初の治療では3か月程会社を休み、手術と放射線治療を受けました。大きな後遺症もなく職
必ずしもがんであることを公にする必要はないため、体調不良のためと説明して
場に復帰できました。職場復帰後は3か月に一度、有給休暇を使いながら PET/CT や MRI の検査
いるケースもある。(卸売業、従業員約 80 人)
を受け、がんの転移や再発がないか経過観察をしていましたが、数か月後に再発が判明しました。
□ 病気に対する誤解や偏見を解くため、必要に応じて保健師が説明の場に同席し、
適時補足や説明を行ってもらうようにしている。(製造業、従業員約 1,800 人)
二度目の治療では、3 か月半会社を休み、手術と抗がん剤治療を受けました。抗がん剤治療は、
当初は入院して治療を受けましたが、その後、主治医から内服タイプの抗がん剤治療もあること
を聞き、内服タイプの治療を受けることにしました。
手術の後遺症で話すことに大きな障害が残ったため、解雇されるのではないかと大変不安でし
ヒント! 病気は個別の事情として捉えられがちですが、誰もがなる可能性があります。
また、治療等のために働き方を見直す場合、仕事に関わる問題は個人の問題ではなく、職
場・企業としての問題になります。組織の問題として捉え、お互い様の気持ちが持てるよ
う、上司等から職場へ働きかけることが大切です。
たが、所属長や上司が家まで見舞いに来てくれ、
「仕事を続けられるようできる限りのことをする」
と言われ、家族ともども安心しました。結果として、社内で見積りを作成する職場に異動し、残
業が発生しないような配慮のもと、1 年間、抗がん剤治療を受けながら仕事も辞めずに続けるこ
とができました。
(建設業・舌がん)
会社の人事部コメント 20年以上にわたる勤務により蓄積された専門性・現場経験を活かして仕事を続
けてもらっています。縁あって当社に入社いただいた貴重な人材であり、引き続き社内で活躍してもらう為
現場でのちょっとした配慮の例
にも、治療と仕事の両立は重要なテーマであると捉えています。病気になっても働き続けることができる職
患者さん
上司
Aさん「胃の部分切除をしたため、
食事を頻回に分けて取らなくては
ならなくなった。長時
間の会議だと困る…」
「社内の会議中も飲み物やお菓子
を出して、気兼ねなく飲食できる
ようにしよう」
場であることは、他の社員にとっての安心感にもつながっていると思います。
肺がん診断後、治療を続けながら、専門性を活かした仕事で活躍している事例
肺がんと診断された当時、私は営業部門の部長でした。仕事は激務であったものの、非常に
やりがいを感じていました。そのようなときにがんと診断され、強いショックを受けるとともに、
仕事への価値観の転換を求められました。
しばらく治療のために休職しましたが、その間、自分から職場に状況を報告するようにしま
Bさん「乳がんのホルモン療法中
で疲れやすいけど、
職場は立ち仕事。少
し休めると楽なのだ
けど…」
「バックヤードにすぐ休憩できる
スペースを確保しよう」
Cさん「大腸がんの手術の影響で、
トイレに頻回に行くよ
うになってしまった。
度々席を離れるのは周
囲の目も気になる…」
「入口に近いところに席を移動し
てはどうだろう」
したし、職場の方も、こちらの状況を把握するように努めてくれました。復職が見え始めた頃は、
特によく上司や人事室と話し合いました。治療が長く続くことや、体力的にも残業は避けた方
が良いことなどを勘案した結果、部長から専門職へと職種を変更して復職しました。当初はそ
うした職種の変更は必ずしも本意ではなかったものの、今振り返れば良い判断であったと思い
ます。
復職の前には試し出社をして、身体を慣らしていきました。復職後は、残業をせず、出張は
極力しないようにしています。これまでの人的ネットワークやノウハウを活かし、限られた時
間の中でもパフォーマンス(成果)に重きを置いた仕事を心掛けています。
(情報通信業・肺がん)
会社の人事室コメント 当社の事業は専門性や人的ネットワークが求められる業種であり、会社として
は社員に長く勤めて活躍してほしいと考えています。がんに限らず、社員の誰もが病気になる可能性があ
るため、安心して治療を受け、仕事も続けられるようサポートする制度・体制をつくってきました。一方で、
個別のケースに対しては
「どうしたら今後も能力を発揮しながら働き続けられるか?」
という発想を重視し、
状況に応じて柔軟に対応しています。
25
26
Ⅱ 実践事例編
Ⅱ 実践事例編
□ 短時間勤務や業務内容の変更などに伴い、職場への協力依頼が必要になった場合、
参考 資 料
情報収集・相談をしましょう!
(3)相談窓口
(1)参考サイト
がん相談支援センター ●がん診療連携拠点病院等 1 に設置されている「がんの相談窓口」です。
●東京都が運営する、がんに関する様々な情報を掲載したポータルサイトです。
●その病院の患者・家族だけでなく、どなたでも御利用できます。
●「がん患者の就労等に関する実態調査報告書」や都における治療と仕事の両立支
(都内のがん相談支援センター一覧)
援に関する取組もこちらに掲載しています。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/
soudan/center.html
がん情報サービス 東京産業保健総合支援センター
●独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターが運営する、がんにつ
●事業場で産業保健活動に携わる方々に対して、産業保健研修会や専門的相談等を
いての最新情報を一般の方にも分かりやすく紹介しているサイトです。
通じて支援を行っています。
●がん診療連携拠点病院の情報やがんに関する冊子・資料が掲載されています。
●産業保健に関する相談を御希望の場合は、下記ホームページを御覧ください。
http://ganjoho.jp
(東京産業保健総合支援センター 相談・お問い合わせについて)
「がんと共に働く 知る・伝える・動きだす」
http://sanpo-tokyo.jp/inquiry.html
●国立がん研究センターが日経BP社のサイト上で運営する、働くがん患者さんや
地域窓口(地域産業保健センター)
共に働く職場の方々をサポートする参加型サイトです。
●労働者50名未満の小規模事業場の事業主やその従業員を対象として、労働者の
●がん患者さんの事例を踏まえた意見交換会のレポート等が掲載されています。
健康管理に係る相談等のサービスを提供しています。
http://special.nikkeibp.co.jp/as/201401/work_with_cancer/
●各サービスを御利用の場合は、各センターにお問い合わせください。
(東京産業保健総合支援センター 地域窓口一覧)
(2)参考資料
http://sanpo-tokyo.jp/region.html
企業のための「がん就労者」支援マニュアル ●がんに罹患した従業員を、職場の上司・同僚や人事、事業者の立場からどう支え
るかについてのヒントが掲載されています。
http://www.cancer-work.jp/tool/
(作成:厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業「働くがん患者と家族に向けた包括的就業支援システムの構築に関す
る研究」班)
がんと仕事のQ&A
(第 2 版)
●多くのがん患者さんが直面する、職場復帰や経済問題などの悩みに関するQ&A
がまとめられた冊子です。
http://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/cancer-work.html
(発行:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)
27
1 都内には、 高度ながん診療機能を有する医療施設として、 国が指定するがん診療連携拠点病院、 都が指定する東京都がん診療
連携拠点病院、 東京都がん診療連携協力病院があります。
28
参考資料
参考資料
東京都がんポータルサイト