ガラス固化体

このような廃棄物にどのような対 策をとればよいのですか?
(その2)
1
発
生
と
処
分
人工バリアは廃棄体の性状に応じた構成となります。
高レベル放射性廃棄物の人工バリアは、ガラス固化体、オーバーパックおよび緩衝材から構成されます。
地層処分低レベル放射性廃棄物の人工バリアは、
ハル・エンドピースを例に取ると、充填材および緩衝材から構成されます。
これらは放射性物質を長期にわたって閉じ込めたり、
放射性物質が地下水に溶け出したとしてもその量と動きを抑えることができるように設計します。
高レベル放射性廃棄物と地層処分低レベル放射性廃棄物の人工バリアの違い
高レベル放射性廃棄物の人工バリア
高レベル放射性廃棄物は放射能が高く発熱が大きいことから、
それがある程度減衰するまでの期間(少なくとも1000年間)、
廃棄体(ガラス固化体)が地下水と接触しないようにオーバーパックと呼ばれる厚い鉄製の容器に収納します。一方、地層
処分低レベル放射性廃棄物は十分に放射能が低く発熱が小さい(注1)ことから、廃棄体をそのような容器に収納しません。
また、発熱が大きい高レベル放射性廃棄物は廃棄体(ガラス固化体)1体ずつ扱いますが、発熱が小さい地層処分低レベル
放射性廃棄物は、ハル・エンドピースを例にとると、取り扱いを容易にするため廃棄体(廃棄物を封入したキャニスタ)
をまとめ
て廃棄体パッケージにします。
ガラス固化体
地
層
処
分
の
し
く
み
ガラスにより放射性物質を
安定した形態に固めます。
放射性物質はガラスと一
体化した状態で閉じ込めら
れるため、
ガラスが地下水
に溶けない限り放射性物
質だけが地下水に溶け出
すことはありません。
※1:高レベル放射性
廃棄物処分場
※2:地層処分低レベル
放射性廃棄物処分場
※1
地層処分低レベル放射性廃棄物の人工バリア
(ハル・エンドピースの例)
※2
※発熱が小さい地層処分低レベル放射性廃棄物は、
処分坑道に廃棄体パッケージを積み重ねて定置します。
埋め戻し材(注4)
緩衝材
埋め戻し材
オーバーパック
(鉄製の容器)
放射能が高い期間、地下
水とガラス固化体の接触
を確実に阻止できるよう、
ガラス固 化 体をオーバー
パックに封入します。
岩盤
坑道
径約5m)
オーバーパック
に封入した
ガラス固化体
廃棄体パッケージ
廃棄体をまとめて金属製などの箱に収納し充填材を充填したもの。
下記はキャニスタを4体まとめた例。
処分坑道
(直径約9m)
キャニスタ
処分孔(直径約2m)
※ガラス固化体を処分孔に
竪置する方式
廃棄体パッケージ
(仕様例) キャニスタ4体収納
寸法:約1.2m×約1.2m
高さ約1.6m
緩衝材
仕 様例
材質:鉄(炭素鋼)
寸法:高さ約 1.7m、直径約 80cm、
厚さ約 20cm
重量:約 6トン
岩盤
鉄製容器をさらにチタンや銅でお
おったオーバーパックもオプション
として考えられます。
地
層
処
分
の
し
く
み
岩盤
処分坑道
(直径約2m)
オーバーパックに
封入したガラス固化体
※ガラス固化体を処分坑道に横置する方式
も検討しています。
※発熱が大きい高レベル放射性廃棄物は、処分孔や処分坑道に
ガラス固化体を1体ずつ間隔を空けて定置します。
インバート
(注5)
緩衝材(締め固めた粘土)
充填材
緩衝材は、天然の粘土(ベントナイト等)
を主成分としており、水を通しにくく、
廃棄物を封入したキャニスタは、金属製などの
物質を吸着することで、放射性物質の移動を遅くする働きをします。
箱に入れられ、充填材で隙間を埋め、動かない
材質の仕様例:ベントナイト(注2)70%とケイ砂(注3)30%の混合物
ように固定されます。充填材は放射性物質を吸
高レベル放射性廃棄物の場合:オーバーパックの周囲に施工します。
着してその移動を遅くする働きをします。充填
寸法の仕様例:高さ約3.1m、外径約2.2m、内径約80cm、厚さ約70cm
材としてセメント系材料などを検討しています。
地層処分低レベル放射性廃棄物のハル・エンドピースの場合:
廃棄体パッケージと処分坑道の内側の間は、緩衝材で埋めます。 寸法の仕様例(結晶質岩の場合)
:内径9.3mの円形坑道断面に、廃棄体パッ
ケージを横に4体縦に3体並べ、
その周囲に緩衝材を施工します。
岩盤
9
(注1)処分直後の時点で高レベル放射性廃棄物の約80分の1(放射能)、約130分の1(発熱)です(地層処分低レベル放射性廃棄物のうち、放射能が高く発熱
の大きい、ハル・エンドピースの場合)。
(注2)ベントナイト:モンモリロナイトという鉱物を主成分とする粘土の一種です。
(注3)ケイ砂:主に石英粒から成る砂です。ベントナイトと混合し、緩衝材や埋め戻し材としての使用を考えています。
(注4)埋め戻し材:P31、32の「処分場の埋め戻しは、
どのように行われるのですか?」をご参照ください。
(注5)インバート:コンクリート等により構築される坑道の底盤。
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